異世界で魔王っ娘に好かれて幼馴染みに睨まれる

楠富 つかさ

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第一章 エレス=センティア篇

魔王をさがして

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「ここが私たちの住むエレス=センティアにございます」

 例の鴉―カラウという名らしい―の展開した魔方陣で送られた先は城の謁見の間のようだった……否、実際にそうなのだ。後方には一対の女神像が佇んでおり、本来の道である階段を昇ると、彼女らが出迎えてくれる配置になっているのだろう。微かに放つ神聖さ……信仰対象なのだろうか。
 どんな動物の毛かは不明だが、赤い絨毯は革靴越しでも分かるフカフカ感。高い天井は豪奢ながらも繊細な装飾がなされており、少し離れた位置にある荘厳な玉座に腰掛ける若い男、豪奢な衣装を身に纏い黄金の冠を戴くその男こそ、エレス=センティアの王であるアヴァンである。眉目秀麗に手足を付けたような人間で、端正な顔立ちに気品に満ちた仕草、まさに王者たる姿だった。

「お待ちしておりました、救世の魔導師様。まさか本当にお会いできるなんて……爺や、アレを持ってきてくれ」

 爺やと呼ばれた初老の老人―おそらく大臣だろう―は玉座の側からこれまた豪奢な縦長の箱を持ってきた。それを我が目の前に置くとアヴァンが何やら詠唱を始めた。

「これは、王家に伝わりし黒曜石を嵌め込んだ杖にございます。貴方の魔力をより純度の高いものにするでしょう。長きに渡り正当なる継承者を待ちながら封印の眠りについていたのですが、今しがた封印を解きました。……おや、そちらの女性は?」

 アヴァンはユフィに気付き声をかけた。ユフィは一瞬だけ驚いてから姿勢を正し挨拶をした。

「え、えぇと……やな……じゃなくて、ユフィ・ソルディバリーです。剣士としてクライトに同行します」

 ユフィがそう言うと、アヴァンは驚愕の表情を浮かべた。

「伝説の通りだ……。異界の魔導師と共に現れる剣士……爺やアレもすぐに用意してくれ」

 大臣は謁見の間から外へ出ていった。

「アヴァン王、この箱を開けてよろしいのかな?」

 アヴァンはすぐに我に向き直り許可をした。箱に手をかけ、ゆっくりと開ける。そこにあったのは、我が身の丈と相違ない長さの杖、先端は豪奢な刀剣の鍔のようにアーチを描いている。魔力がたぎる感覚に満足していると、さっきの大臣が一振りの剣を持って戻ってきた。それをアヴァンに渡すと、ユフィに柄を向けた。

「ユフィ殿、この剣を抜いてみてくれまいか?」

 ユフィが剣の柄に手を掛けると、一瞬だけ閃光が迸った。閃光が収まる頃にはユフィは鞘から剣を抜ききっていた。この場にいる全員が唖然としている中、おもむろにアヴァンが口を開いた。

「それは王家に伝わりし聖剣、銘をブライトスターという。抜くことができるということは、やはり……いや、何でもない。旅の資金や諸々の道具はこちらで揃えてある。それと、この指輪をクライト殿に。魔力強化の指輪で王家の紋が刻まれているから関所の兵に見せれば通してくれるだろう。では、武運を祈る」

 こうして、城の者に見送られ我等は旅立つのだった。
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