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第二章 魔神域篇

魔神との決闘―決着編―

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唯燈が死んでいないことくらい分かっている。テリルが何か処置を施していることも。だが、許せないのだ。唯一無二の親友を傷つけられ、冷静でいられるものか! 弾かれた際に、近くに刺さったブライトスターを引き抜く。持ち主を選ぶ剣だが、光属性の魔力を注いで黙らせる。

「ほお? 二刀流かい?」

消耗して尚、余裕の笑みを崩さないヘルミナに一気に詰め寄る。

「アクセルフォース!! 双連光牙斬そうれんこうがざん!!」

 筋力上昇の魔法をかけ、横回転を伴う光の大技と二刀で放つ。

「ふん! まだだ!!」

 双振りの剣戟を一本の剣で受け止めるヘルミナ。あどけない少年のような表情が、苦悶のそれに変わる。
 押し戻される俺は跳躍で一度間合いを切る。

「今度はこちらから行かせてもらおう!!」

 重心を低く落としたヘルミナが刺突の構えで一気に間合いを詰めてくる。

「リジェクトウォール!!」

 低めに発動した防御壁をあっさりと打ち砕き、速度すら落ちずにヘルミナが突っ込んでくる。俺はブライトスターを突き立て結界を張るが、なおも押し込まれる。

「せい、はっ!!」

 真上から剣を振り下ろすヘルミナに合わせるように、頭上で剣を交差させる。そのままクロディアンの鍔で、ヘルミナの剣を打ち払って、そのまま振り上げる。

「……ぐは!!」

 胴がガラ空きになったヘルミナに、左手のブライトスターを突き出す。魔力的な防御をしているのか、刺さりこそしなかったがヘルミナは後方へ吹き飛ぶ。この隙を逃す手はない。


光波双襲撃こうはそうしゅうげき!!」

 双剣に込めた光の力を放つ。……だがその一撃はブラフ。既に体勢を整えつつあるヤツの意表を突くべく、俺は右へ駆けだしジャンプ、肩に担いだ双振りをただただ振り下ろす技名もへったくれもない強襲の一撃を繰り出す。

「喰らえぇ!!」
「……っぐ」

剣で受け止めようとするヘルミナを、空中で蹴っ飛ばし体勢を崩す。そこへ最後の大技を放つ……。

「――――極光乱舞!!!」

 着地した俺はクロディアンを肩に担ぎ、ブライトスターを腰溜めに構える。眩い光が周囲を照らす。

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 まずは右で袈裟、左でなぎ払い、手首を返して斬り下ろしを四連撃、続いて左で刺突、引き払いと同時に右で真上から振り下ろし、斬り払ってから全力で交差斬り。追撃で左からの水平斬り、右で逆袈裟、とどめとばかりに回転を伴う二連攻。
 計15連撃。俺の剣と魔力の粋を尽くした最終奥義。二撃目で剣を落としたヘルミナに躱す手段はなく、全ての斬撃を受けて倒れている。さぁ、唯燈のもとに……。

「させないよ……」

 背を向けたのが誤りだった……。胸に深々と刺さる黒い棘。視界が揺らめき、口には鉄の味が広がる……。

「この勝負、引き分けだよ。終幕之黒爆シュウマクノコクバク!!」

 ヘルミナが指を鳴らした後、俺の世界は音を失った……。
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