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#003 勇者召喚
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まばゆい光につつまれ、俺は二度目の生を授かった。目の前には美少女。俺には馴染み深い黒髪だが、その瞳は黄金色。肌は白くなめらかでその起伏はかなり豊か。しかも彼女は一切の衣服をまとっていなかった。生の裸体は刺激が強く、
「あぁ、お待ちしておりました。勇者さま」
抱きしめられた俺は抱き返すことも出来ずただただ硬直していた。しばらく経って彼女が正気に戻ると、そそくさと服を着るため離れていった。またしばらくするとウェディングドレスと見紛うような純白のドレス姿の彼女が現れた。
「先ほどはご無礼を。私はアリスグレーシャ・ラティア・フィソルディ。この国の第一王女で、皆からはアリーシャと呼ばれております」
「俺は……ソウヤだ」
名乗った俺に、世界を救って欲しい旨を語るアリーシャ。俺が先回りしてそのことを話すと、いたく驚いた様子だった。俺は未来予知が出来るからな、なんて言ったが神から聞いた内容を再び聞くのが少し手間だっただけだ。アリーシャに案内されて俺は玉座の間に向かうことになった。城は石造りらしく、床には絨毯が敷かれていた。窓枠は木製で、ガラスが嵌められていた。鏡がないため自分がどんな姿をしているか分からないが、服装は現代風というより世界観に合わせてあり、自然繊維っぽい服の上下に皮革と多少の金属で出来た軽鎧に腕甲、脚甲付きブーツという装いだ。勇者っぽさはせいぜい青いマント。懐かしい要素である。剣は国王からもらえるとあの茶髪の神は言っていたため、今は帯剣していない。身体能力の向上にも限度があるらしく、重金属の鎧に全身を包んだら動ける自信はない。
「こちらです」
俺が呼び出された場所が地下だったようで、階段を二階分上って地上階からさらに大階段とも呼ぶべきそれを上がって、重厚感溢れる扉の前に立つ。アリーシャはその扉を臆すること無く――当然か――開け、広い玉座の間、その最奥に大きな大きな椅子を目にした。
「汝が救世の勇者か。若いな。じゃが、信じるより他あるまい」
玉座の主、すなわちこの国の王から開口一番若いと言われ、不安がられているようだが、老執事に目配せをして細長い箱を持ってきた。あれがおそらく、俺の得物なのだろう。
「先代の勇者が魔王を討伐した時に、その証として持ち帰った片刃の剣だ。この剣の持ち主は瞬間移動を可能にするらしい。もちろん、相応の力を求められるがな」
未来予知に瞬間移動。シナジーはかなり高いように思われる。となれば、それが使えるかどうか。老執事から受け取った箱を開けると、以外なことにそこにあったのは日本刀だった。艶のある黒い鞘から引き抜くと、刀身は眩いほどの銀だった。振り向いて、念を込める。玉座と扉の中間地点へ、移動する。
「な!」
「え!?」
遠くから王とアリーシャの声が聞こえる。どうやら瞬間移動に成功したらしい。試しにもう一度、扉方向に移動しようとして成功した。反対に扉から玉座の近くへ移動しようとすると、
「うわっと……」
玉座のすぐ側まで移動していた。それなりに遠くへ行こうとすると多少の誤差が生じるらしい。王を驚かせてしまったことを謝罪してアリーシャの側まで下る。
「陛下、私もソウヤさまに同行し、必ずや魔王を討ち滅ぼしてみせます」
「うむ。そちならばそう言うだろうと思っておったぞ。よかろう。じゃが、おぬしら二人はこの世界の知識が乏しい。護衛としてエリックとタバサに同行してもらう」
異世界人の俺と生粋のお姫様じゃ、確かに旅をするのも不安ばかりだ。同行者が多いのはありがたい限りだ。しかも国王が姫の護衛に選ぶほどだ。腕の立つ騎士か何かなのだろう。
「さて、宴だ。宴を開くぞ」
立ち上がった国王は、座っていた時の老人然とした印象を打ち消すほどにしゃんとした背筋をしており、やせこけているどころか筋骨隆々として見えるほどだ。そんな国王に肩を組まれ、
「勇者どの、酒は飲めるか?」
と問われた。頷くと王は好々爺のような笑みを浮かべて、侍医長に止められて久しいが今夜ばかりは飲ませてもらうぞと快哉を叫ぶのであった。
「あぁ、お待ちしておりました。勇者さま」
抱きしめられた俺は抱き返すことも出来ずただただ硬直していた。しばらく経って彼女が正気に戻ると、そそくさと服を着るため離れていった。またしばらくするとウェディングドレスと見紛うような純白のドレス姿の彼女が現れた。
「先ほどはご無礼を。私はアリスグレーシャ・ラティア・フィソルディ。この国の第一王女で、皆からはアリーシャと呼ばれております」
「俺は……ソウヤだ」
名乗った俺に、世界を救って欲しい旨を語るアリーシャ。俺が先回りしてそのことを話すと、いたく驚いた様子だった。俺は未来予知が出来るからな、なんて言ったが神から聞いた内容を再び聞くのが少し手間だっただけだ。アリーシャに案内されて俺は玉座の間に向かうことになった。城は石造りらしく、床には絨毯が敷かれていた。窓枠は木製で、ガラスが嵌められていた。鏡がないため自分がどんな姿をしているか分からないが、服装は現代風というより世界観に合わせてあり、自然繊維っぽい服の上下に皮革と多少の金属で出来た軽鎧に腕甲、脚甲付きブーツという装いだ。勇者っぽさはせいぜい青いマント。懐かしい要素である。剣は国王からもらえるとあの茶髪の神は言っていたため、今は帯剣していない。身体能力の向上にも限度があるらしく、重金属の鎧に全身を包んだら動ける自信はない。
「こちらです」
俺が呼び出された場所が地下だったようで、階段を二階分上って地上階からさらに大階段とも呼ぶべきそれを上がって、重厚感溢れる扉の前に立つ。アリーシャはその扉を臆すること無く――当然か――開け、広い玉座の間、その最奥に大きな大きな椅子を目にした。
「汝が救世の勇者か。若いな。じゃが、信じるより他あるまい」
玉座の主、すなわちこの国の王から開口一番若いと言われ、不安がられているようだが、老執事に目配せをして細長い箱を持ってきた。あれがおそらく、俺の得物なのだろう。
「先代の勇者が魔王を討伐した時に、その証として持ち帰った片刃の剣だ。この剣の持ち主は瞬間移動を可能にするらしい。もちろん、相応の力を求められるがな」
未来予知に瞬間移動。シナジーはかなり高いように思われる。となれば、それが使えるかどうか。老執事から受け取った箱を開けると、以外なことにそこにあったのは日本刀だった。艶のある黒い鞘から引き抜くと、刀身は眩いほどの銀だった。振り向いて、念を込める。玉座と扉の中間地点へ、移動する。
「な!」
「え!?」
遠くから王とアリーシャの声が聞こえる。どうやら瞬間移動に成功したらしい。試しにもう一度、扉方向に移動しようとして成功した。反対に扉から玉座の近くへ移動しようとすると、
「うわっと……」
玉座のすぐ側まで移動していた。それなりに遠くへ行こうとすると多少の誤差が生じるらしい。王を驚かせてしまったことを謝罪してアリーシャの側まで下る。
「陛下、私もソウヤさまに同行し、必ずや魔王を討ち滅ぼしてみせます」
「うむ。そちならばそう言うだろうと思っておったぞ。よかろう。じゃが、おぬしら二人はこの世界の知識が乏しい。護衛としてエリックとタバサに同行してもらう」
異世界人の俺と生粋のお姫様じゃ、確かに旅をするのも不安ばかりだ。同行者が多いのはありがたい限りだ。しかも国王が姫の護衛に選ぶほどだ。腕の立つ騎士か何かなのだろう。
「さて、宴だ。宴を開くぞ」
立ち上がった国王は、座っていた時の老人然とした印象を打ち消すほどにしゃんとした背筋をしており、やせこけているどころか筋骨隆々として見えるほどだ。そんな国王に肩を組まれ、
「勇者どの、酒は飲めるか?」
と問われた。頷くと王は好々爺のような笑みを浮かべて、侍医長に止められて久しいが今夜ばかりは飲ませてもらうぞと快哉を叫ぶのであった。
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