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立ち上がる者達
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綾音の魔力暴走を舞斗が収束させ、その後の説明を砦人がした後の教室にて。魔力暴走の一件以来、女子達の中で若干の変化が起きていた。
「園村ちゃん、何してるの?」
「武器を作ろうかな……と思って」
教室で思案顔を浮かべる園村佳乃に話しかけてきたのは、三宅優莉だった。
佳乃はセミロングの黒髪と桜の花を模した髪飾りが特徴の少女で、一方の優莉は小柄で、可愛いらしい印象を与える。そんな彼女の片手には、黄色の鮮やかな片手剣が。彼女は小柄なその身に、溢れんばかりのパッションを持ち併せているのだ。もはや、戦闘狂と言っても過言ではない。
彼女は舞斗が魔力暴走を収束させている間に、武器を生み出し他の女子に呼びかけ、何度も戦闘を繰り広げてきたのだ。教室にいる女子で武器を持っていない方が少数派になりつつある。そんな中、優莉と戦闘をこなしていた主な女子は剣道部の海風渚と大川真冬。彼女らは今、剣道部の部長である石宮正人と別の教室へと向かっていった。
「どんな武器にするの?」
優莉が佳乃に尋ねると、佳乃は扱いやすそうな杖にすると答えた。すると、淡い光とともに佳乃の手に一振りの長い杖が握られた。先端部の膨らんだマッシブな印象を与える杖だ。
「それ……ハンマーみたくなったね。ま、メイスなんだろうけど」
それは魔導士が扱うような杖ではなく、どう見ても鈍器だった。
「振り回されないし、大丈夫だよ……」
苦笑いを浮かべる吉野に話しかけてきたのは、
「あら、佳乃の武器は……え? 鈍器?」
ふらっと現れた麻奈美に優莉が苦笑を浮かべ、言い返す。
「インパクトは同レベですよ。若林麻奈美さん?」
一見、清純を絵に描いたような麻奈美が持つのは、死神を連想するような鎌だった。ただし、まるで天使の祝福を受けたかのように……白い。純白と言っても差し支えない白さだ。
「えっと、綾音を守るためにも、強そうな武器をと思ったら……こうなったの」
「じゃあさ、取り敢えず一戦、やっとく? 叶恵もさ!」
戦闘狂の血が騒ぐのか、既に剣を引き抜いている優莉は、さらに他の女子に声を掛けた。
「あ、あたし?」
声をかけられたのは、永森叶恵、クラスで最も小柄な彼女は身長140センチ強。戦いとは無縁な柔和な印象の彼女は、武器とする杖を取り出した。
「えっと……じゃあ、お願い」
彼女の杖は、佳乃と異なりマッシブなものではなく、シャープな印象を受けるものだった。
「ねえ、凛ちゃんはどんな武器使うの?」
三宅は暇そうにしている女子に、武器を出すことを勧めては戦闘を繰り広げる。幸か不幸か、ほとんど武器を出すこと……いや、この現状を受け入れることを考えていなかった女子たちは、戦うために立ち上がれたのだ。池田凛もその内の一人だ。彼女は、女子の中では高い身長だが、眼鏡を掛けた文学少女然とした様子から、戦いには不向きに思えるが優莉には関係ないらしい。
「あたしは……銃を使うの。魔法は水属性が使える……ようになる筈」
「お、凄いね。隣の教室使って戦う練習しようよ!」
何が凄いのか、本人以外は全く把握出来ずにいる中、優莉は颯爽と教室を後にするのだった。
「園村ちゃん、何してるの?」
「武器を作ろうかな……と思って」
教室で思案顔を浮かべる園村佳乃に話しかけてきたのは、三宅優莉だった。
佳乃はセミロングの黒髪と桜の花を模した髪飾りが特徴の少女で、一方の優莉は小柄で、可愛いらしい印象を与える。そんな彼女の片手には、黄色の鮮やかな片手剣が。彼女は小柄なその身に、溢れんばかりのパッションを持ち併せているのだ。もはや、戦闘狂と言っても過言ではない。
彼女は舞斗が魔力暴走を収束させている間に、武器を生み出し他の女子に呼びかけ、何度も戦闘を繰り広げてきたのだ。教室にいる女子で武器を持っていない方が少数派になりつつある。そんな中、優莉と戦闘をこなしていた主な女子は剣道部の海風渚と大川真冬。彼女らは今、剣道部の部長である石宮正人と別の教室へと向かっていった。
「どんな武器にするの?」
優莉が佳乃に尋ねると、佳乃は扱いやすそうな杖にすると答えた。すると、淡い光とともに佳乃の手に一振りの長い杖が握られた。先端部の膨らんだマッシブな印象を与える杖だ。
「それ……ハンマーみたくなったね。ま、メイスなんだろうけど」
それは魔導士が扱うような杖ではなく、どう見ても鈍器だった。
「振り回されないし、大丈夫だよ……」
苦笑いを浮かべる吉野に話しかけてきたのは、
「あら、佳乃の武器は……え? 鈍器?」
ふらっと現れた麻奈美に優莉が苦笑を浮かべ、言い返す。
「インパクトは同レベですよ。若林麻奈美さん?」
一見、清純を絵に描いたような麻奈美が持つのは、死神を連想するような鎌だった。ただし、まるで天使の祝福を受けたかのように……白い。純白と言っても差し支えない白さだ。
「えっと、綾音を守るためにも、強そうな武器をと思ったら……こうなったの」
「じゃあさ、取り敢えず一戦、やっとく? 叶恵もさ!」
戦闘狂の血が騒ぐのか、既に剣を引き抜いている優莉は、さらに他の女子に声を掛けた。
「あ、あたし?」
声をかけられたのは、永森叶恵、クラスで最も小柄な彼女は身長140センチ強。戦いとは無縁な柔和な印象の彼女は、武器とする杖を取り出した。
「えっと……じゃあ、お願い」
彼女の杖は、佳乃と異なりマッシブなものではなく、シャープな印象を受けるものだった。
「ねえ、凛ちゃんはどんな武器使うの?」
三宅は暇そうにしている女子に、武器を出すことを勧めては戦闘を繰り広げる。幸か不幸か、ほとんど武器を出すこと……いや、この現状を受け入れることを考えていなかった女子たちは、戦うために立ち上がれたのだ。池田凛もその内の一人だ。彼女は、女子の中では高い身長だが、眼鏡を掛けた文学少女然とした様子から、戦いには不向きに思えるが優莉には関係ないらしい。
「あたしは……銃を使うの。魔法は水属性が使える……ようになる筈」
「お、凄いね。隣の教室使って戦う練習しようよ!」
何が凄いのか、本人以外は全く把握出来ずにいる中、優莉は颯爽と教室を後にするのだった。
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