【R18】幼馴染たち(※全員美形)に婚カツを邪魔されるので困っています

茅野ガク

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番外編

side 鷹嗣

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『たかちゃん、たかちゃん!』

『なぁに? なつみちゃん』

『あのね、なつみね』

『うん?』


 2歳年下の近所の女の子。
 4歳になった彼女は最近よくおしゃまなお喋りをするようになった。
 屈んで目線を合わせてやると、照れたようにほっぺたを赤く染める。


『なつみ、たかちゃんの「およめさん」になりたい!』

『僕の?』


 三条本家長男との結婚。
 それがどういう事か、目の前の無垢な少女はきっとわかっていない。


『僕のお嫁さんになってくれるんだ?』

『うん! パパとママがね、だいすきなひとと「けっこん」すると、ずっといっしょにいられるよって!』

『詩音や司じゃなくて、僕で良いの?』

『ううん! たかちゃんとけっこんして、しおんとも、つかさくんとも、みんないっしょにけっこんするの!』

『「一緒に結婚」か、それは面白いかもしれないね』


 父の妻は既に二度代わっていて、自分達の母親は全員違う。
 だったら、一人の妻を三人で愛することだって、許されるんじゃないだろうか。
 ふと、そんな考えが頭を過る。


『でしょうっ?』

『じゃあなつみちゃん。司が大人になったら、皆で結婚しようね』

『つかさくん、まだあかちゃんだよ?』

『大丈夫。司だってすぐになつみちゃんのことが大好きになるから。はい。約束の指切り』

『うそついたら、はりせんぼん、のーます!』


 絡んだ小指。約束の言葉。キラキラと輝く君の瞳。

 なつみちゃん。俺はね、あの日から20年。
 誓いを忘れたことはなかったよ。




* * *




「──で、なんだって兄貴?」

 呼び出した社長室のソファで不機嫌そうに足を組んで、詩音がイライラと爪先を揺らす。


「場所と時間はわかってるの? 鷹嗣兄さん」

 司は表面上はにこやかに紅茶を飲んでいるが目の奥が笑っていない。


「幸いにも『合コン』の場所はうちの子会社の系列店だそうだ」

 『報告書』を放り投げて促すと即座に二人が鋭い目で確認した。


「こんなの店に行く前に、ナツが仕事終わった時点で捕まえようぜ」

「そうだよ。僕もその方が良いと思う」

「まあ焦るな。お前達」

「なんでだよっ!」

「詩音?」

「っ!」


 憤って立ち上がった詩音を視線で座らせて、弟達それぞれの表情を見る。

「司の誕生日から半年。彼女が俺達から離れようともがいているのは知っていたが、具体的な行動に出るのは初めてだ」

 俺の言葉に詩音は悔しそうに顔を歪ませて、逆に司は全ての感情を消し去った。

「相手の男達と彼女を誘った『友人』とやらに、俺達の存在を印象づけた方が手っ取り早いだろう?」

「……それで、その後はどうするの兄さん?」

「今回の合コンを潰しても、ナツがまた同じことしたらどうする」

「もちろん、彼女にわからせるんだよ。──俺達の本気をね」



 ねぇなつみちゃん。
 俺はね、君と『約束』したあの日から。忘れたことはなかったよ。

 計算通り、司は20年間。君のことしか見ないで生きてきたね。
 最後まで三人で君を抱くことに躊躇していた詩音には、君の処女を奪う権利を与えた。

 逃げられるわけないだろう?



『たかちゃんとけっこんして、しおんとも、つかさくんとも、みんないっしょにけっこんするの!』



 今日こそ、あの言葉を真実にしよう。


「詩音、司。あと15分したら出発するよ」



 俺達の愛を、見せてあげる。


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