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後日談です
4日め
改めて見てみると、見れば見るほど反則的な造形をしているな。と思う。
180センチを越える長身。細身ながらも鍛えられた肢体に乗る小さな頭。太陽の光に透ける淡い金髪。
イエローサファイヤとタンザナイトをはめ込んだようなオッドアイ。分度器で角度を測りたくなる通った鼻筋。薄めの唇。
美しさで人を殺せる世界があったら正に全身凶器としか言い様のない青年が、黒い軍服とマントを身に纏い犬(※頭が3つあるケルベロス)と芝生の上で戯れている。
「なんだあのフェチ心が大爆発しそうな光景……」
私、アレと結婚すんのか。
この世界に来て4日め。私は城の中庭にセッティングされたテーブルで紅茶に似た液体を飲みながらラズのことを眺めていた。少年姿のあざといラズに押しきられ流されてここで暮らすことを決めた私だったけれど、予想以上にベグラガドでの生活は快適だ。
「ご飯、普通に美味しいし、渡される服は着心地最高だし」
今着ているオフショルダーの黒いドレスも、私が元の世界で持っていた冠婚葬祭用のワンピとは比べ物にならないくらいの高級品だと着ただけでわかる。
何故こんなにも服や料理が人間の私に馴染むのかと言うと、昨日紹介されたラズの父親──つまり国王が言うには人間界の文化はこの世界で非常に人気があり、たまに私のような『迷い人』が現れるとその人間がもたらしたファッションや料理の知識は爆発的に流行するらしい。
私が今飲んでる紅茶もどきも何十年か前に流行って定着したものだとかなんとか。
「城下には人間が集まった商人街もあるし、このままだと本気で帰る理由が無くなるな……」
衣食住が満足のいくレベルで確保されてしまったから生存本能が全力でここに残れと告げる。
「でも私まだ全身筋肉痛なんだよな……。て言うかあれから毎日なんだよな……」
昨夜、いや、今朝まで酷使した色んな関節や筋が痛い。
「──ヒトミ? 頬が少し赤いですがどうしました?」
「ぅわぁおっ?!」
いつの間にか筋肉痛の原因がドアップで目の前に来ていた。間近で見ても毛穴のない透き通る肌スゴい。さすが美しさは凶器。
「いやっなんでも?!」
「そうですか? せっかくヒトミが僕に見惚れてくださっていたのかと思ったのに残念です」
全然そんな風に思っていないのを隠す気もなく美貌の王子は艶やかに笑う。これは確実に私が見ていたことに気づいていた顔だ。だって見るだろ。こんな超絶美形が視界に入ったら。
「それとも……朝まで続いた閨でのことを思い出していてくださったのかな?」
そう言いながらラズの指が私の手の甲をなぞると、爽やかだった午前の空気がぐんと濃厚なものになる。
「いや、ちょっと待ってそのフェロモン引っ込めて。無理だから。さすがに腰が限界だから」
「だけどヒトミ。僕の心は、常に貴女に触れていたいと乞うのです」
「──っ」
指先を紅い舌に舐められてチリチリとした痺れがそこから広がった。
その痺れが甘く全身にまで回ってしまいそうで内腿にギュッと力を入れる。
「……本当に貴女は僕を惑わせるのがお上手だ。いけませんよ。拒みたい時に、そんな表情をしては」
どんな顔だ。人の話を聞けこの魔族。
そう言う前に抱えられ寝室まで連行された。
*
「それで、なんで君はちっちゃくなってるわけ?!」
ベグラガドに来て4日め。
最初に抱かれてからその後は昼となく夜となく既に二桁突入の勢いで抱かれてきたが、少年姿のラズに胸を揉まれる以上のことをされるのは初めてだ。
ベッドの中で押さえつけてくるラズは上半身裸。私も既にドレスを脱がされ残すはパンツ一枚のみ。仰ぎ見る少年特有のほっそりした首や肩のラインに、神聖なものを汚してしまっている気がして動悸が止まらない。
「えー? たまにはこっちの姿で最後までいくのも良いかなぁって思って」
「良くない! 良くない! この体勢、罪悪感がヤバイ!」
「なんで? 最初に会った時はこっちの僕に抱かれる気満々だったじゃない」
「あれ、はっ非常事態だったから! 生きるか死ぬかの瀬戸際だったからで! 今この冷静な状態で外見年齢中学校入学ギリギリみたいな君といたすのは私の日本成人女性としてのモラルがっっ」
「……おねーさんが言ってること、僕、難しくてよくわかんないや」
「嘘つけこの腹黒ショターー! はっぁ、ん」
全力で突っ込みを入れようと開いた唇にラズのそれが重なる。ミルクを求める子猫みたいな舌の動きに力が抜ける。そんな隙をラズが見逃すわけもなく、媚薬効果のある唾液を口内に流し込まれた。
「ヒトミ、僕の父のことずっと見てたでしょう?」
「ふぁ、ぁっなんの、はなし……っ?」
「昨日、父に会った時に。だから小さい方が良いのかと思って」
耳元で喋られるとそれだけでゾクゾクとして肌が粟立つ。
「あれ、は、君に似てると、思って」
ラズの言うとおり私は昨日彼の両親に紹介された。
この国の王とその妻の二人はさすがラズの親だと言うべきか魔族と言うべきか。母親は姉にしか見えないほどの若さを保ち、父親は若さを通り越して少年姿だった。淡い金髪も左右色違いの瞳もラズに(ラズが?)そっくりでついまじまじと見てしまったのだ。
「ぁあ──んっ!」
首筋に歯を立てられながら胸の先端を捏ねられて媚びを含んだ吐息が漏れる。
細い指に弄ばれて赤く腫れたそこに白い小さな顔が近づき思わず目をそらす。
「おねーさんのことを一番最初に見つけたのは僕なんだから。僕のことだけ見てくれなきゃヤダよ」
そう言って強めにかじられ、酔わされた身体はそれさえも快楽に変えた。
「ここ、もうトロトロ……」
いつもより一回り以上小さな手が茂みをかき分け、いつもより高く澄んだ声が卑猥な言葉を口にする。
そんな背徳感にすら、感じる。
なのに、ゴリゴリとズボンの布越しに押しつけられるそれは充分過ぎるほど存在を主張していた。
「僕にも触って。おねーさん」
姿かたちは変わっても変わらない青と金の瞳にねだられて私の理性は崩れ堕ちる。
*
「だいぶ戸惑ってたねヒトミ」
「そうですね。そんな姿も可愛らしかったですけど。人間界で暮らしていた彼女には刺激が強かったんじゃないでしょうか」
「そっかぁ。じゃあ、短時間なら『僕たち』が同時に存在できるって教えるのはまだまだ先かな?」
「いえ、ヒトミは覚えが良い方ですから。3人で愛し合えるのも遠い日じゃないですよ」
「楽しみだね!」
微睡みの中、そんな会話を聞いた気がした。
fin
180センチを越える長身。細身ながらも鍛えられた肢体に乗る小さな頭。太陽の光に透ける淡い金髪。
イエローサファイヤとタンザナイトをはめ込んだようなオッドアイ。分度器で角度を測りたくなる通った鼻筋。薄めの唇。
美しさで人を殺せる世界があったら正に全身凶器としか言い様のない青年が、黒い軍服とマントを身に纏い犬(※頭が3つあるケルベロス)と芝生の上で戯れている。
「なんだあのフェチ心が大爆発しそうな光景……」
私、アレと結婚すんのか。
この世界に来て4日め。私は城の中庭にセッティングされたテーブルで紅茶に似た液体を飲みながらラズのことを眺めていた。少年姿のあざといラズに押しきられ流されてここで暮らすことを決めた私だったけれど、予想以上にベグラガドでの生活は快適だ。
「ご飯、普通に美味しいし、渡される服は着心地最高だし」
今着ているオフショルダーの黒いドレスも、私が元の世界で持っていた冠婚葬祭用のワンピとは比べ物にならないくらいの高級品だと着ただけでわかる。
何故こんなにも服や料理が人間の私に馴染むのかと言うと、昨日紹介されたラズの父親──つまり国王が言うには人間界の文化はこの世界で非常に人気があり、たまに私のような『迷い人』が現れるとその人間がもたらしたファッションや料理の知識は爆発的に流行するらしい。
私が今飲んでる紅茶もどきも何十年か前に流行って定着したものだとかなんとか。
「城下には人間が集まった商人街もあるし、このままだと本気で帰る理由が無くなるな……」
衣食住が満足のいくレベルで確保されてしまったから生存本能が全力でここに残れと告げる。
「でも私まだ全身筋肉痛なんだよな……。て言うかあれから毎日なんだよな……」
昨夜、いや、今朝まで酷使した色んな関節や筋が痛い。
「──ヒトミ? 頬が少し赤いですがどうしました?」
「ぅわぁおっ?!」
いつの間にか筋肉痛の原因がドアップで目の前に来ていた。間近で見ても毛穴のない透き通る肌スゴい。さすが美しさは凶器。
「いやっなんでも?!」
「そうですか? せっかくヒトミが僕に見惚れてくださっていたのかと思ったのに残念です」
全然そんな風に思っていないのを隠す気もなく美貌の王子は艶やかに笑う。これは確実に私が見ていたことに気づいていた顔だ。だって見るだろ。こんな超絶美形が視界に入ったら。
「それとも……朝まで続いた閨でのことを思い出していてくださったのかな?」
そう言いながらラズの指が私の手の甲をなぞると、爽やかだった午前の空気がぐんと濃厚なものになる。
「いや、ちょっと待ってそのフェロモン引っ込めて。無理だから。さすがに腰が限界だから」
「だけどヒトミ。僕の心は、常に貴女に触れていたいと乞うのです」
「──っ」
指先を紅い舌に舐められてチリチリとした痺れがそこから広がった。
その痺れが甘く全身にまで回ってしまいそうで内腿にギュッと力を入れる。
「……本当に貴女は僕を惑わせるのがお上手だ。いけませんよ。拒みたい時に、そんな表情をしては」
どんな顔だ。人の話を聞けこの魔族。
そう言う前に抱えられ寝室まで連行された。
*
「それで、なんで君はちっちゃくなってるわけ?!」
ベグラガドに来て4日め。
最初に抱かれてからその後は昼となく夜となく既に二桁突入の勢いで抱かれてきたが、少年姿のラズに胸を揉まれる以上のことをされるのは初めてだ。
ベッドの中で押さえつけてくるラズは上半身裸。私も既にドレスを脱がされ残すはパンツ一枚のみ。仰ぎ見る少年特有のほっそりした首や肩のラインに、神聖なものを汚してしまっている気がして動悸が止まらない。
「えー? たまにはこっちの姿で最後までいくのも良いかなぁって思って」
「良くない! 良くない! この体勢、罪悪感がヤバイ!」
「なんで? 最初に会った時はこっちの僕に抱かれる気満々だったじゃない」
「あれ、はっ非常事態だったから! 生きるか死ぬかの瀬戸際だったからで! 今この冷静な状態で外見年齢中学校入学ギリギリみたいな君といたすのは私の日本成人女性としてのモラルがっっ」
「……おねーさんが言ってること、僕、難しくてよくわかんないや」
「嘘つけこの腹黒ショターー! はっぁ、ん」
全力で突っ込みを入れようと開いた唇にラズのそれが重なる。ミルクを求める子猫みたいな舌の動きに力が抜ける。そんな隙をラズが見逃すわけもなく、媚薬効果のある唾液を口内に流し込まれた。
「ヒトミ、僕の父のことずっと見てたでしょう?」
「ふぁ、ぁっなんの、はなし……っ?」
「昨日、父に会った時に。だから小さい方が良いのかと思って」
耳元で喋られるとそれだけでゾクゾクとして肌が粟立つ。
「あれ、は、君に似てると、思って」
ラズの言うとおり私は昨日彼の両親に紹介された。
この国の王とその妻の二人はさすがラズの親だと言うべきか魔族と言うべきか。母親は姉にしか見えないほどの若さを保ち、父親は若さを通り越して少年姿だった。淡い金髪も左右色違いの瞳もラズに(ラズが?)そっくりでついまじまじと見てしまったのだ。
「ぁあ──んっ!」
首筋に歯を立てられながら胸の先端を捏ねられて媚びを含んだ吐息が漏れる。
細い指に弄ばれて赤く腫れたそこに白い小さな顔が近づき思わず目をそらす。
「おねーさんのことを一番最初に見つけたのは僕なんだから。僕のことだけ見てくれなきゃヤダよ」
そう言って強めにかじられ、酔わされた身体はそれさえも快楽に変えた。
「ここ、もうトロトロ……」
いつもより一回り以上小さな手が茂みをかき分け、いつもより高く澄んだ声が卑猥な言葉を口にする。
そんな背徳感にすら、感じる。
なのに、ゴリゴリとズボンの布越しに押しつけられるそれは充分過ぎるほど存在を主張していた。
「僕にも触って。おねーさん」
姿かたちは変わっても変わらない青と金の瞳にねだられて私の理性は崩れ堕ちる。
*
「だいぶ戸惑ってたねヒトミ」
「そうですね。そんな姿も可愛らしかったですけど。人間界で暮らしていた彼女には刺激が強かったんじゃないでしょうか」
「そっかぁ。じゃあ、短時間なら『僕たち』が同時に存在できるって教えるのはまだまだ先かな?」
「いえ、ヒトミは覚えが良い方ですから。3人で愛し合えるのも遠い日じゃないですよ」
「楽しみだね!」
微睡みの中、そんな会話を聞いた気がした。
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追記
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