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第一章 NICU
生後7日目 最悪の上って、なんていう言葉なんでしょう
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今回は疲弊していますので、ばあばのよたごとを聞きたくない方は、ブラウザバックお願いします。
ネムルーは無事退院することが出来ました。
けれど、退院前にリノの担当医の先生から聞いた話は、家族が微かに抱いていた希望を粉々にしてくれました。
先生もスタッフの皆さまも、こんな希望のない状態で心を込めてリノに対応してくださっていたのかと思うと、泣けてきました。
昨日、自発呼吸が出たと喜んでいましたが、それは『しゃっくり』だったのではないか?ということでした。
鼻から胃に入れた管を通して母乳を入れてみたところ、ガスなどを調整をする機能が胃腸で上手くいってないらしく、胃からの逆流なども見られたため、経管栄養をいったん停止したとのことです。
もう一度、栄養点滴を入れる可能性が高くなりました。
※ この点滴は、手を固定して包帯でグルグル巻きにしてあります。
固定なんかしなくても、動かせないんだけどね。
ラクーは、先日、先生の説明を受けた時から気になっていた、脳波のことを聞いてみたのです。
「活動性が低い」というのは、どういうことなんでしょうか?
先生はパソコンで、脳波の線を見せてくれました。
それは波ではなかったのです。
脳波の線は………………ほとんどフラットでした。
やっぱりリノの予後は、最重度の部類に入るのか……
ただそのことは、ばあばも覚悟していたのです。
ブログでうちの子の脳波はフラットだったと書かれているものもありました。
そんな脳性マヒの子でも、人工的に呼吸を補助する機械と一緒に、家に帰れる子もいるのです。
ラクーは、痰を取る機械の動かし方も勉強するつもりになっていました。
ところが、栄養を身体が受けつけないという状態までは、さすがのばあばも想像していませんでした。
栄養が身につかないと、小さな新生児の身体では先が見えています。
その上、しこたま抗菌剤を入れているのに、リノは昨日から感染症にかかっているのです。
この時、先生が言われた感染症の怖さを始めて認識しました。
ここのところ、呼吸ができるかどうかが気になっていて、チラリと言われた感染症のことが頭に入っていなかったのです。
よくよく考えなおしてみると、この状態には覚えがあります。
亡くなった義母のララの、末期の時の症状と似ているのです。
ララは食欲がなくなり、欲しいものを食べても嘔吐してしまう。もともとは胃下垂だったのに胃が上に上がってきていて、食べ物を受け付けなくなっていました。そして、普通の人では罹らない、そのへんのどこにでもある菌が、身体に悪さをしていました。抵抗力がなくなっていたんでしょうね。
リノも同じです。
身体が生きることを拒否しているように思えました。
「今、とても厳しい状態です。ここを乗り越えても、目がこの先開くかどうかわからない。耳も聞こえるかどうかわからない。首も座らず歩けない四肢麻痺、そして重度の脳性まひになる可能性が極めて高いと思われます」
今回の先生の説明は堪えました。
ディープインパクトです。
ネムルーとムコー夫婦は号泣していました。
魔女のラクーもさすがに涙をこらえることが出来ません。
「あんなに可愛くて、見ただけだとすぐに起きそうに思えるのに……リノは目が覚めないの?!」
ネムルーの叫びは、ムコーの、ラクーの、家族の叫びでした。
「二人をお父さんとお母さんにするために、リノは辛い思いをして産まれてきてくれたんだから、しっかりしよう!」
ラクーはなんとかハッパをかけて、二人の背中をどやしつけ、重い身体を引きずって、家に帰って来たのです。
本当に、望まれなくて産まれてくる子もいれば、こうやって不妊治療をして何回も辛い思いをしながら、望んで望んで最後の最後にまたこういう思いを味わわせられる者もいるのです。
命というのは、自然というのは、本当に捉えどころのないものですねぇ。
この日からしばらく、リノの容態は一進一退を繰り返します。
この後、ネムルーとムコーから連絡がありました。
「手を握る力が強くなってきた」
もしかして、少しは生きる力があるのでしょうか?
お医者さんからの状況報告では、良いことと残念なことがありました。
★ 呼吸器のタイプが軽くなりました。
これは気管挿管して大きな機械に繋がれている状態ではなくて、すぐに外そうと思えば外せるものらしいです。
★ 経管栄養 10ml×8回
しかし、胃食道逆流がみられ、一時ストップ
ネムルーは帝王切開手術で縫ったところを抜糸した後で、ムコーと一緒に家に帰って来ました。
ムコーはネムルーが転院してからずっと病室のソファに泊まり込んでくれていたので、久しぶりにゆっくりとお風呂に入って、ベッドで手足を伸ばして眠ることができます。
ネムルーは無事退院することが出来ました。
けれど、退院前にリノの担当医の先生から聞いた話は、家族が微かに抱いていた希望を粉々にしてくれました。
先生もスタッフの皆さまも、こんな希望のない状態で心を込めてリノに対応してくださっていたのかと思うと、泣けてきました。
昨日、自発呼吸が出たと喜んでいましたが、それは『しゃっくり』だったのではないか?ということでした。
鼻から胃に入れた管を通して母乳を入れてみたところ、ガスなどを調整をする機能が胃腸で上手くいってないらしく、胃からの逆流なども見られたため、経管栄養をいったん停止したとのことです。
もう一度、栄養点滴を入れる可能性が高くなりました。
※ この点滴は、手を固定して包帯でグルグル巻きにしてあります。
固定なんかしなくても、動かせないんだけどね。
ラクーは、先日、先生の説明を受けた時から気になっていた、脳波のことを聞いてみたのです。
「活動性が低い」というのは、どういうことなんでしょうか?
先生はパソコンで、脳波の線を見せてくれました。
それは波ではなかったのです。
脳波の線は………………ほとんどフラットでした。
やっぱりリノの予後は、最重度の部類に入るのか……
ただそのことは、ばあばも覚悟していたのです。
ブログでうちの子の脳波はフラットだったと書かれているものもありました。
そんな脳性マヒの子でも、人工的に呼吸を補助する機械と一緒に、家に帰れる子もいるのです。
ラクーは、痰を取る機械の動かし方も勉強するつもりになっていました。
ところが、栄養を身体が受けつけないという状態までは、さすがのばあばも想像していませんでした。
栄養が身につかないと、小さな新生児の身体では先が見えています。
その上、しこたま抗菌剤を入れているのに、リノは昨日から感染症にかかっているのです。
この時、先生が言われた感染症の怖さを始めて認識しました。
ここのところ、呼吸ができるかどうかが気になっていて、チラリと言われた感染症のことが頭に入っていなかったのです。
よくよく考えなおしてみると、この状態には覚えがあります。
亡くなった義母のララの、末期の時の症状と似ているのです。
ララは食欲がなくなり、欲しいものを食べても嘔吐してしまう。もともとは胃下垂だったのに胃が上に上がってきていて、食べ物を受け付けなくなっていました。そして、普通の人では罹らない、そのへんのどこにでもある菌が、身体に悪さをしていました。抵抗力がなくなっていたんでしょうね。
リノも同じです。
身体が生きることを拒否しているように思えました。
「今、とても厳しい状態です。ここを乗り越えても、目がこの先開くかどうかわからない。耳も聞こえるかどうかわからない。首も座らず歩けない四肢麻痺、そして重度の脳性まひになる可能性が極めて高いと思われます」
今回の先生の説明は堪えました。
ディープインパクトです。
ネムルーとムコー夫婦は号泣していました。
魔女のラクーもさすがに涙をこらえることが出来ません。
「あんなに可愛くて、見ただけだとすぐに起きそうに思えるのに……リノは目が覚めないの?!」
ネムルーの叫びは、ムコーの、ラクーの、家族の叫びでした。
「二人をお父さんとお母さんにするために、リノは辛い思いをして産まれてきてくれたんだから、しっかりしよう!」
ラクーはなんとかハッパをかけて、二人の背中をどやしつけ、重い身体を引きずって、家に帰って来たのです。
本当に、望まれなくて産まれてくる子もいれば、こうやって不妊治療をして何回も辛い思いをしながら、望んで望んで最後の最後にまたこういう思いを味わわせられる者もいるのです。
命というのは、自然というのは、本当に捉えどころのないものですねぇ。
この日からしばらく、リノの容態は一進一退を繰り返します。
この後、ネムルーとムコーから連絡がありました。
「手を握る力が強くなってきた」
もしかして、少しは生きる力があるのでしょうか?
お医者さんからの状況報告では、良いことと残念なことがありました。
★ 呼吸器のタイプが軽くなりました。
これは気管挿管して大きな機械に繋がれている状態ではなくて、すぐに外そうと思えば外せるものらしいです。
★ 経管栄養 10ml×8回
しかし、胃食道逆流がみられ、一時ストップ
ネムルーは帝王切開手術で縫ったところを抜糸した後で、ムコーと一緒に家に帰って来ました。
ムコーはネムルーが転院してからずっと病室のソファに泊まり込んでくれていたので、久しぶりにゆっくりとお風呂に入って、ベッドで手足を伸ばして眠ることができます。
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