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第一章 NICU
生後54日目 団欒の話題
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今日のリノはこもり熱のせいで37℃台後半の体温だったようです。
最初の頃は冷え性だったので、ネムルーと長袖の冬服を探しに行きましたが、最近はこの真冬の寒さの中で、背中に氷をしょってるらしいです。(笑)
聞いただけで、ゾクッとしますね。
※ 低酸素状態に置かれて、脳細胞を損傷しているので、リノのような子は生命を維持していくための基本の場所、間脳・脳幹・小脳も一部が使えなくなっています。
そのため体温調節が上手くできない子が多いのです。
ネムルーは今日、看護師さんが気切から痰を吸引しているのを見学したそうです。
「これもこれから覚えてもらいます。お母さんが一通りの手技を覚えたら、最初にNICUで一晩のお泊り経験をしてもらうことになります。」
そう看護師さんに言われて、これはもっと長時間NICUに入り浸って練習しないと退院までの道のりが遠いなと思ったらしいです。
頑張れ~! ネムルーお母さん!
ところが、ムコーが仕事帰りに病院へ寄って、帰って来て言うことには……
「両親が揃ってインフルエンザにかかることもあるので、おじいさんとおばあさんにも『カニューレ交換』はできるようになってもらいます。命綱ですからね」
と主治医に言われたそうです。
あらら、これは私たち二人も、頑張れ~ですね。(爆)
そうか、カニューレ交換もかぁとラクーはビビっていましたが、じいじときたら「カニューレって何?」の状態でした。(;´Д`)
おいおい。
ムコーとネムルーはもちろん病院で見聞きして知っています。ラクーも毎日ブログの海を泳いでいるので、カニューレなんてーものは常識になっています。
ダンナーはよくパソコンの前にいるのですが、何をしてるんでしょうね?
そこで夕食を食べながら、家族の団欒に出てきた話題は、一般のご家庭ではまず聞かれないものでした。
「リノの吸引チューブの長さは……」
「SPO₂値は100が良くて、リノは心拍が通常で140ぐらい。180になることもあって、高めなのよ」
「鈴ちゃんとこはSPO₂値がよく落ちてるよね」
「すごいな、鈴ちゃんのお母さん。僕等も経験を積まないと……」
「のんちゃんちのブログでシリンジのゴムがダメになるから、自費でも買っていると書いてあったよ。でも先輩ママさんがコメントでオリーブオイルでゴムの弾力を回復させるって言ってた」
「なるほど~」
「meguさんが、昨日言ってたベベキュア(吸引器)の長所と欠点を教えてくれたよ。軽量化されてお出かけには抜群にいいけど、充電が面倒なのと、ダイヤルが簡単に回ってしまうんだって」
「へぇ~!」
「吸引チューブは口から用と気切用に分けて使わなきゃいけないんだって。気切の方は雑菌なしにしなきゃいけないから、口からの吸引に使ったチューブは気切に使っちゃダメらしいよ。だからいぶちゃんちのあのチューブ置きのボトルが5個はいるみたい」
「洗浄殺菌して後で使い回すものは、どうなるんだ?」
「あ、それはまた聞いておく」
こぉんな具合です。
この内容がわかる方は、こちらの世界の方ですね。(笑)
※ チューブの長さ・・・身体の大きさやカニューレなどの器具の長さに合わせて、チューブの先端が到達する長さが決められていて、医師から〇㎝まで入れていいと指示が出ている。これは成長と共に変わってくる。
鈴ちゃん・・・この時は小学校6年生。人工呼吸器で在宅に帰った先駆け的な伝説の人物。何度も死線をさまよいながら「絶対に逝かせません!一緒に頑張りましょうね」と救急隊員並みの根性と技術を持つお母さんに助けられてきた。
meguさん・・・寝たきりの息子さんを連れてアウトドアライフも楽しむアクティブな家族。肌が弱い息子さんのために考えたカニューレバンドは必見。
のんちゃん・・・前出の笑いの絶えない家族。
いぶちゃん・・・前出のインテリア素敵家族。
シリンジ・・・おもちゃの注射器に似ている。針がなくて太いもの。チューブ受け口に刺して胃残チェックをしたり、溶いたお薬を入れたりする。ミルトン消毒液に浸けて管理するので、ピストンのゴムが劣化しやすい。胃瘻になると、こん棒みたいに太いシリンジでミルクやペースト食を注入する。
ベベキュア・・・グッドデザインの吸引器。皆の憧れの医療機器なので、あちこちのブログで話題にのぼっている。
SPO₂(血中酸素濃度)と心拍は常時モニターされているので、こちらの世界のママ友たちは、この数値を挨拶の話題にすることができる。
ところで今日ラクーは、ママンとパパンの様子を見に実家に行ったのです。二人とも高齢なので、たまに顔を出しています。リノの最近の様子も伝えようと、アルバムも持っていきました。
ところがいつもは開いている裏口のドアがしっかりと閉まっていました。
家の中には人の気配がありません。
??
鍵を開けて台所に行ってみると、机の上にママンのメモが置いてありました。
『早朝出発 車で 大阪のお義姉さんお見舞い』
………………………………
なんということでしょう。
高速を使って、日帰りでお見舞いを強行したようです。
去年、ヘロヘロになって死にそうだったのは誰なんでしょう…………
あきれ果てて、仕事から帰ったダンナーにそのことを言うと、ダンナーは「不良じゃな」と一言。(爆)
とんだ不良老年の二人です。
私たちに言うと反対されると思ったんでしょうね~
リノにもこの人たちの血が流れているはずです。
なんともたくましいこの生きる力が、リノにもたっぷり遺伝してるといいな。^^
最初の頃は冷え性だったので、ネムルーと長袖の冬服を探しに行きましたが、最近はこの真冬の寒さの中で、背中に氷をしょってるらしいです。(笑)
聞いただけで、ゾクッとしますね。
※ 低酸素状態に置かれて、脳細胞を損傷しているので、リノのような子は生命を維持していくための基本の場所、間脳・脳幹・小脳も一部が使えなくなっています。
そのため体温調節が上手くできない子が多いのです。
ネムルーは今日、看護師さんが気切から痰を吸引しているのを見学したそうです。
「これもこれから覚えてもらいます。お母さんが一通りの手技を覚えたら、最初にNICUで一晩のお泊り経験をしてもらうことになります。」
そう看護師さんに言われて、これはもっと長時間NICUに入り浸って練習しないと退院までの道のりが遠いなと思ったらしいです。
頑張れ~! ネムルーお母さん!
ところが、ムコーが仕事帰りに病院へ寄って、帰って来て言うことには……
「両親が揃ってインフルエンザにかかることもあるので、おじいさんとおばあさんにも『カニューレ交換』はできるようになってもらいます。命綱ですからね」
と主治医に言われたそうです。
あらら、これは私たち二人も、頑張れ~ですね。(爆)
そうか、カニューレ交換もかぁとラクーはビビっていましたが、じいじときたら「カニューレって何?」の状態でした。(;´Д`)
おいおい。
ムコーとネムルーはもちろん病院で見聞きして知っています。ラクーも毎日ブログの海を泳いでいるので、カニューレなんてーものは常識になっています。
ダンナーはよくパソコンの前にいるのですが、何をしてるんでしょうね?
そこで夕食を食べながら、家族の団欒に出てきた話題は、一般のご家庭ではまず聞かれないものでした。
「リノの吸引チューブの長さは……」
「SPO₂値は100が良くて、リノは心拍が通常で140ぐらい。180になることもあって、高めなのよ」
「鈴ちゃんとこはSPO₂値がよく落ちてるよね」
「すごいな、鈴ちゃんのお母さん。僕等も経験を積まないと……」
「のんちゃんちのブログでシリンジのゴムがダメになるから、自費でも買っていると書いてあったよ。でも先輩ママさんがコメントでオリーブオイルでゴムの弾力を回復させるって言ってた」
「なるほど~」
「meguさんが、昨日言ってたベベキュア(吸引器)の長所と欠点を教えてくれたよ。軽量化されてお出かけには抜群にいいけど、充電が面倒なのと、ダイヤルが簡単に回ってしまうんだって」
「へぇ~!」
「吸引チューブは口から用と気切用に分けて使わなきゃいけないんだって。気切の方は雑菌なしにしなきゃいけないから、口からの吸引に使ったチューブは気切に使っちゃダメらしいよ。だからいぶちゃんちのあのチューブ置きのボトルが5個はいるみたい」
「洗浄殺菌して後で使い回すものは、どうなるんだ?」
「あ、それはまた聞いておく」
こぉんな具合です。
この内容がわかる方は、こちらの世界の方ですね。(笑)
※ チューブの長さ・・・身体の大きさやカニューレなどの器具の長さに合わせて、チューブの先端が到達する長さが決められていて、医師から〇㎝まで入れていいと指示が出ている。これは成長と共に変わってくる。
鈴ちゃん・・・この時は小学校6年生。人工呼吸器で在宅に帰った先駆け的な伝説の人物。何度も死線をさまよいながら「絶対に逝かせません!一緒に頑張りましょうね」と救急隊員並みの根性と技術を持つお母さんに助けられてきた。
meguさん・・・寝たきりの息子さんを連れてアウトドアライフも楽しむアクティブな家族。肌が弱い息子さんのために考えたカニューレバンドは必見。
のんちゃん・・・前出の笑いの絶えない家族。
いぶちゃん・・・前出のインテリア素敵家族。
シリンジ・・・おもちゃの注射器に似ている。針がなくて太いもの。チューブ受け口に刺して胃残チェックをしたり、溶いたお薬を入れたりする。ミルトン消毒液に浸けて管理するので、ピストンのゴムが劣化しやすい。胃瘻になると、こん棒みたいに太いシリンジでミルクやペースト食を注入する。
ベベキュア・・・グッドデザインの吸引器。皆の憧れの医療機器なので、あちこちのブログで話題にのぼっている。
SPO₂(血中酸素濃度)と心拍は常時モニターされているので、こちらの世界のママ友たちは、この数値を挨拶の話題にすることができる。
ところで今日ラクーは、ママンとパパンの様子を見に実家に行ったのです。二人とも高齢なので、たまに顔を出しています。リノの最近の様子も伝えようと、アルバムも持っていきました。
ところがいつもは開いている裏口のドアがしっかりと閉まっていました。
家の中には人の気配がありません。
??
鍵を開けて台所に行ってみると、机の上にママンのメモが置いてありました。
『早朝出発 車で 大阪のお義姉さんお見舞い』
………………………………
なんということでしょう。
高速を使って、日帰りでお見舞いを強行したようです。
去年、ヘロヘロになって死にそうだったのは誰なんでしょう…………
あきれ果てて、仕事から帰ったダンナーにそのことを言うと、ダンナーは「不良じゃな」と一言。(爆)
とんだ不良老年の二人です。
私たちに言うと反対されると思ったんでしょうね~
リノにもこの人たちの血が流れているはずです。
なんともたくましいこの生きる力が、リノにもたっぷり遺伝してるといいな。^^
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