1 / 3
第一章 出会い
可哀想なトカゲ
しおりを挟む
ここは20XX年の地球。爆発的に人口を増やしていた人類は最早見る影もなく衰退していた。理由は感染症の流行だ。まるで増殖したウイルスを退治するかの如く、地球から人間という存在はほぼ排除されてしまった。そこで人間達はすっかり数が減ってしまった自分達の代わりとして新たな生命を作り出し、彼らにさまざまな仕事を任せた。彼らはリザードマンのような見た目をしていて、蛇のような顔立ちのものもいればカメレオンのような顔立ちのものもいた。がっしりした筋肉質の身体を持つ彼らには工事などの力仕事も任せられたし、毛もなく衛生的なので料理も任せられる。人間の知能と爬虫類の鱗や尻尾を持った彼らのことを殆どの人間は化け物と呼び馬鹿にした。自分達の生活がその「化け物」によって成り立っていることも忘れて。それでも尚、彼らは従順に働いていたが、人間の彼らに対しての扱いは段々と酷いものになっていった。
彼らの従順さに味を占めた人間によって、餌の量は減らされ、寝床も貧相になり、一睡もさせずに1週間働かせることもあった。その為、いくら丈夫な人工生物であっても病気になって死ぬものや精神が参ってしまい働けなくなるものも現れた。大抵精神の病や病気になって治る見込みのないものは小金持ちの人間に安く売られ、サンドバッグになることが殆どだ。この話の主人公、「D-810」は毎日のように仲間が倒れ、一睡もさせて貰えず僅かな餌だけで1週間働かされる状況により、精神だけでなく身体の方も限界を迎えようとしていた。この地獄のような仕事場から逃げ出したいという気持ちも芽生えた。しかし誰一人として彼と同じ意見を唱えるものはいない。彼ら人工生物には遺伝子改造が施されており、人間に反感を持たないよう設計されているのだ。だからD-810はバグが発生した個体と言える。ただでさえ酷い目に遭っているのに自分がバグ個体だとバレたらどんな仕打ちが待っているだろう、と彼は自分の心境は主人にはもちろん仲間にも決して話さなかった。
そんなある日彼が三日連続労働で強張った身体を引き摺る様に仕事場へ歩いていると、早朝の空に朝日ではない、何か眩しいものが浮かんでいた。
彼はこの光るものに巻き込まれて死ねたらな、と考えながらゆっくりとその光源に近寄っていった。
次の瞬間、彼はその場から消えていた。
ここは惑星アガローン。星全体を帝王が治めており、帝都がある大陸を中心に緑あふれる小島がいくつか浮いている。
早朝4時。
ドシャッ!
ピエカワ公園の入り口付近の空に何かが光ったかと思うと、リザードマンのような見た目の生き物が落ちてきた。さっきのD-810である。ワープのショックで意識を失っているようだ。
朝の散歩だろうか。オオカミのような見た目の獣人が公園の入り口に近づいてくる。2月の早朝だというのに半袖、短パンだ。段々彼が倒れている方に近づいている。次の瞬間、
「ギャッ‼︎すっぽんぽんじゃねえか!」
彼らの従順さに味を占めた人間によって、餌の量は減らされ、寝床も貧相になり、一睡もさせずに1週間働かせることもあった。その為、いくら丈夫な人工生物であっても病気になって死ぬものや精神が参ってしまい働けなくなるものも現れた。大抵精神の病や病気になって治る見込みのないものは小金持ちの人間に安く売られ、サンドバッグになることが殆どだ。この話の主人公、「D-810」は毎日のように仲間が倒れ、一睡もさせて貰えず僅かな餌だけで1週間働かされる状況により、精神だけでなく身体の方も限界を迎えようとしていた。この地獄のような仕事場から逃げ出したいという気持ちも芽生えた。しかし誰一人として彼と同じ意見を唱えるものはいない。彼ら人工生物には遺伝子改造が施されており、人間に反感を持たないよう設計されているのだ。だからD-810はバグが発生した個体と言える。ただでさえ酷い目に遭っているのに自分がバグ個体だとバレたらどんな仕打ちが待っているだろう、と彼は自分の心境は主人にはもちろん仲間にも決して話さなかった。
そんなある日彼が三日連続労働で強張った身体を引き摺る様に仕事場へ歩いていると、早朝の空に朝日ではない、何か眩しいものが浮かんでいた。
彼はこの光るものに巻き込まれて死ねたらな、と考えながらゆっくりとその光源に近寄っていった。
次の瞬間、彼はその場から消えていた。
ここは惑星アガローン。星全体を帝王が治めており、帝都がある大陸を中心に緑あふれる小島がいくつか浮いている。
早朝4時。
ドシャッ!
ピエカワ公園の入り口付近の空に何かが光ったかと思うと、リザードマンのような見た目の生き物が落ちてきた。さっきのD-810である。ワープのショックで意識を失っているようだ。
朝の散歩だろうか。オオカミのような見た目の獣人が公園の入り口に近づいてくる。2月の早朝だというのに半袖、短パンだ。段々彼が倒れている方に近づいている。次の瞬間、
「ギャッ‼︎すっぽんぽんじゃねえか!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる