もんすた〜ず

ドッジボールの時間

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第一章 出会い

町の散策

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ん・・・?
眩しさで目が覚める。
「朝か・・・。」ゆっくり上体を起こす。人口生命体である私の回復力は凄まじいようで、あの光の輪から落ちた時に骨の1本か2本は折れたはずだが、体にはもう痛いところはどこにもない。ふと隣を見ると、布団が乱れている。どうやら彼・・・改め彼女は、私の横で寝たあともう起きているらしい。
ジュー
部屋の奥の方から何かが焼ける音と美味しそうな匂いが漂ってきた。私はそこでまる2日何も食べていなかったことを思い出した。
布団から出て、料理をしているらしい彼女の元へ向かう。どうやらベッドがあるスペースの反対側にキッチンがあり、部屋の真ん中にテーブルがあるようだ。
「おっ、もう起きたか!」私の存在に気づいたらしいオオカミが話しかけてくる。「今ベーコンエッグ焼いてるんだ。パンに乗せて一緒に食おうぜ!」
ベーコンエッグ?聞いたことのない料理だ。私は作られてから液状の総合栄養食しか口にしていない為、初めて食べる「料理」というものに興味津々だった。斜め後ろからいきなり「チーン!」と音が鳴った。どうやらこの機械でパンを焼いていたらしい。
「トカゲっち、そこに皿があるからパンを乗せといてくれるか?」とゴードンが言った。彼女の指示通り皿にこんがり焼けたパンを乗せると、ゴードンがフライパンから直接ベーコンエッグとやらを乗せていった。なんとも言えない美味しそうな匂いが部屋に充満した。
「いっただっきまーす!トカゲっち、冷めない内にさっさと食えよ!」
どうやら地球の日本で使われていた食前のあいさつはモンスター達も使用しているらしい。
自分でもいただきますと呟いてから目の前のパンを一口齧る。なんだこれは。ベーコンの塩見とパンの香ばしさがうまくマッチして、とろりとした卵の黄身が更にその美味しさを際立たせている。
「う、うまい・・・!」
「そうだろ?世の中にはもっとうまい食いもんがいくらでもあるぞ!」
食パンは意外に分厚く、一枚でも充分に満足できる量だった。
「さて・・・トカゲっち、ちょっと外に出てみるか?アパートの周りを案内してやるよ」
「あ、うん・・君がよかったら、お願いするよ」
彼女に連れられ、外に出ることになった。外は青空で、太陽のような天体も見える。どうやら地球とはあまり変わらない環境らしい。
お世辞にも綺麗とは言えない・・良く言うなら歴史がありそうなアパートの部屋を後にする。アパートの周りには、地球のものとそう変わりない古い家々が立ち並んでいた。
ゴードンに連れられて少し歩く。私は普通のトカゲ系モンスターとそう変わらない容姿をしているため、服を着さえすれば普通に町を歩けるのだ。よく猫のような見た目のモンスターや、ドラゴンが歩いているが、彼女によると見た目が違うだけで全て同じ種族なのだという。

町をひと回りして、アパートの部屋に戻ってきた。これからは彼女がいろいろと案内してくれるそうなので、少しずつ行動範囲を広げていこうと思う。わからないことだらけだけど、新しい一歩をこの星で踏み出そうと決めた。



※設定
・D-810:人口生命体。ヘビやトカゲのような頭部と尻尾を持ち、体は硬い鱗で覆われている。生命力と免疫力が非常に強く、人間なら死に至るような怪我でも3日ほどで全回復する。どんな生物とでも交配可能な遺伝子を持っている。
・ゴードン:オオカミ系モンスター。悲しい過去とかは一切なく、一人っ子として両親に愛情たっぷりに育てられてきた。太陽のような存在とよく言われる。現在は一人暮らし中。帝国文学大学一年生。
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