忘れない

れーみ

文字の大きさ
上 下
2 / 2
W

1日目

しおりを挟む

「ごめん、別れてほしいの……他に好きな人が出来て……ごめん、ごめんなさい!」








「和也また別れたの?笑」
そう言って肩を叩かれ、進路だなんだと盛り上がっている教室で馬鹿にされた。
別れはあまり悲しくないものだと思ってたが今回は違った。
本気だったあまり振られたショックはデカく、立ち直るにも時間がかかりそうだ。
「え?マジで落ち込んでんの?和也らしくねぇじゃん!つまんねえな」
「雅人にはわかんねぇだろうな」
雅人にとっては、恋愛も友情もごっご遊びでしかない。
たまにそれが腹立つが俺にとっても都合のいい相手だから、という理由だけで一緒にクラスいちのグループに所属している。
「ていうか、お前彼女は?」
「あー、今4人いるけど1人メンヘラ気質な奴いるからもうすぐ3人になるかな~」
本当にこいつは…
「お前…もっと人を大切にしろよ」
「うっせえな、てか今日の集まり来ねぇの?…は?無視かよノリ悪」
気が乗らなかった俺はその言葉を聞こえなかったかのようにそそくさと教室を出た。


その晩、俺は彼女…いや、元彼女に連絡してしまった。
どうしても気持ちの整理がつかなかったのだ。
元彼女は年下だが同い歳のような感覚で接してくる。しかしたまに幼さを発揮してきてそこがまた可愛い。
肌は真っ白で髪はツヤツヤ、顔立ちも少し幼いがとても綺麗で誰もが見とれるような顔。
俺が初めて大切にしようと思った人間…だから手放したくなかった。
「頼む!もう一度やり直そう。悪いところは全部直す!だからもう一度チャンスをくれ!」
しかし彼女からきた返事は…
「ごめんなさい、他に好きな人がいるから…」
俺はその返事がきた直後、枕を濡らし気を失った。

気がついたら朝だった。
気力が湧かず、今日は休もうと布団に潜った瞬間、玄関から大きなチャイムがなったと同時に俺を呼ぶ声が聞こえた。
あのクソ野郎だ…
無視しようにもあいつは一度来ると帰らない。仕方なく玄関へ向かった。
「う~すっ、今日も元気に行きましょー、6月なのに暑いなー」
「朝から元気だな、雅人」
「こうでもしてねーとやってらんね~、俺もう単位危ういから行かねーと卒業できねーんだよ」
「じゃあ今日はひとりでどうぞ」
「は?俺が迎えに来てやったのになにそれ、きも!大体、恋愛ごときで落ち込んでんじゃねーよ!だるいな、とにかくこいよ!!」
「あーもうるさいな、1人で行けって」
「いや、お前が来るまで俺は行かねー、お前うぜーけど俺は耐える」
「……」
なんなんだコイツは。コイツのためにクソだるい学校に行かねばならんのか。はあ。
しかし、本当に帰りそうにもない。
しょうがない、気分をリフレッシュさせるか。
「待ってろ」
そう言い、俺は支度し雅人と共に学校へ向かった。
しかし、着いたは良いものの、やはり気分は上がらない。むしろ、下がっていく一方だ。
学校でも何度も携帯を確認し、元彼女から何か来てないかを見てしまう。
大体、何故いきなり振られたんだ?俺は。なにか悪いことしたか?ワガママにも振り回されながらあいつが可愛いからと許してきた。プレゼントも、高校生ながらたくさんあげてきたつもりだ。ブランド物の鞄が欲しいと言われた時もバイトをシフトギリギリまで入れて20万弱稼ぎプレゼントした。とにかく尽くしてきた。なのに、なぜ振られたんだ?
もしかして、付き合ってる時からあいつには好きな人がいたのか?ならば、俺はただ利用されただけなのか?あれ、俺って都合のいい男になってたのか?
そう考えれば考えるほど、気になってしまう。
連絡してみようか。いや、しつこいと思われて嫌われてしまうかもしれない。
でもこの心の蟠りを取らないと俺は壊れてしまいそうだ。最後、これで最後にしよう。
そして俺は授業中にもかかわらず、元彼女に連絡した。

「何度もごめん、どうしても忘れられなくて。やっぱり寄り戻さないか?お前に好きな人がいるっていうのも気になるけど、俺はどんな男よりもお前を幸せに出来ると思うんだ。だから、もう一度考え直して、寄りを戻してくれないか?それが無理なら、別れた理由をもう一度詳しく教えてくれ。頼む。」

ああ、送ってしまった。これがラストチャンスか。
送ってしまった以上もう取り返しは付かない。気長に待とう。
そしてまた、聞いても頭に入ってこない授業へと耳を傾けた。

昼になり、俺はいつものメンツに誘われ昼飯を食べることにした。
「和也ー、その後調子どうよ?雅人から聞いたぜ、振られたんだってな笑」
「しかも超絶可愛い歳下彼女だったらしいじゃん。なんで紹介しねーんだよ!」
「諒也なんて30のババアにママ活断られたらしいから安心しろ!笑」
「あー!空!言うなよ!」
空、諒也、明人、和也、俺のメンバーはクラスで絶対のメンツ。
誰も口出ししないし、誰も逆らってこない。でも1人だけ逆らってきた女がいたっけなぁ…あのクソブスクソうぜーし、今はもういないからどうでもいいけど。
しばらくふざけ合っていると携帯が震えた。元彼女からだ。

「マジしつこいんですけどー。好きな人ができたって言ってんじゃん。うざ。」

は?なんだこの態度の変わりようは。
ついに怒りの感情がでてきた俺は、速攻で「教えろ、お前一生追いかけ回すぞ」と送ってしまった。
この際嫌われてしまってもいい。俺は真実が知りたい。
すると、彼女も速攻で返してきた。しかし俺はその内容に言葉を失ってしまった。










「ごめんなさい、その好きな人って体育科の佐藤先生。もう体の関係も持ってるの。誰にも言わないで。」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...