サカサマ

桜乃みなも

文字の大きさ
14 / 17

兄登場

しおりを挟む
「みなみちゃんのパーティー?行くよー?だって理奈が心配だから、保護者代わり」
そう言ってカラカラと笑うお兄ちゃん。
「もう、私は大丈夫だって!」
私はお兄ちゃんが妹を可愛がりすぎてるなあと常日頃感じていた。
「そんなんで良いの?お兄ちゃんもうすぐ結婚するんでしょ?」
「ああ…別れた」
なんですって!?なにこの展開。
「婚約してたんじゃ…」
「でも俺には護ってやりたい女の子がいるから」
そして見つめてくる。
「お兄ちゃん…私達、血は繋がらないけど兄妹じゃないの?」
「そうだよ。だけど理奈が何かあったときには助けてあげたい」
「理奈が悲しかったら笑顔にしてあげたいと思うし、理奈が嬉しい事なら俺も嬉しい」
「私は、お兄ちゃん以上には見られないよ」
うつ向く私は、どう返事をしていいかもう分からなくなっていた。
お兄ちゃんが私を好きだなんて、知らなかったよ。そして私は無意識にお兄ちゃんを傷つけていたんだと思うと胸が苦しくなった。
「ごめんね、私好きな人いるんだ」
思い浮かべたのは賢太郎の姿。
 私を肯定してくれた唯一の存在だと思っていたけれど、本当はお兄ちゃんも思ってくれていたんだね。
嬉しい。素直に嬉しい。私はパーティーが楽しみになった。
みなみには悪いけど、お兄ちゃんも賢太郎も、みなみには渡さない!
「…良いんだよ。俺は理奈が好きだけど、モノにしようとは思ってないから。賢ちゃんと幸せになりなさい」
肩をポンと叩かれた。
「がんばれ」と背中を押された気がした。
ダークサイドにいるのは、みなみだけじゃなかった。ねぇ、時でも神様でも何でもいいから味方して。
じゃないと私は切り札を発動させるから。
理奈の手にはみなみの整形前の写真が握られていた。
「いじらなくても美人じゃんね」
そう呟くとそっとスカートのポケットに仕舞った。
そして、パーティーの日がやってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...