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第一章・目覚めてみればディストピア
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しおりを挟む「ッ・・・ん・・・?」
長いこと眠っていたかのような気怠さがあったが、目覚め始める意識に倣い、俺は目を開けた。
視界に入ったのは見知らぬどこかの天井。頭の上に疑問符を浮かべながら身を起こし、辺りを見回すと見知らぬどこかの見知らぬ一室。俺は寝起きの空っぽの頭に問うた。
「どこじゃココは?」
そう口にした瞬間、脳裏に昨夜(?)の記憶が蘇ってきた。そうだ、俺は信号無視のトラックに吹っ飛ばされて死んでいるハズなのだ。いや、でもこうしてピンピンしているって事は生きていたのか。
しかし周りに心電図や点滴といった医療設備は全く無いし、どっかの病院に担ぎこまれたという線で行くのも難しい。どうも眠っている間にカーキの作業服を着せられてたみたいで、どこかの刑務所か?とも思ったが俺は悪い事はしてないしむしろ捕まるのは運転手の方。頭上に浮かんだ疑問符の数は増えていくばかりだ。
とりあえずベッドから身を下ろし、薄暗い室内に光を入れる為にカーテンを開ける。そして目に入ってきた景色に俺は驚愕した。
「・・・・・マジでどこじゃココは?」
出ました出ました中世ヨーロッパ風の街並み、と言うやつ。どこかはわからないが間違いなく日本ではない。
パリには行った事無いけれど誰かに話すにはパリのような感じと説明するのが適切、といった景色だった。パリジャンがフランスパンを紙袋に入れてボンジュールとか言いながらウロウロしてそうな・・・というかむしろパリに来ているかも知れなかった。
混乱した俺は「俺はまだ生きてて病院に担ぎ込まれたが生死の境を彷徨いながら変な夢見てる説」を発見し、直ちに現状打開策として目を覚ます為に自分の顔にビンタを数回かましたが痛いだけで目が覚める様子はなかった。
「畜生・・・・どうなってんだよ」
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