53 / 62
第五章 恐怖!カルト宗教
第五十二話 山崎救出作戦
しおりを挟む
二週間後の土曜早朝、済は吉井と一緒に群馬へと向かっていた。アパートから出勤する山崎を確保できるかもしれないと考え、東京のレンタカー屋でデミオを借りて金曜深夜に出発したのだ。関越自動車道を北上し、夜が明けるまでサービスエリアで休憩した後、Aインターチェンジを降りてY町に向かった。Y町は面積の七割が山地という山間の町で、麓の町役場と商店街を通り過ぎると、どんどん山に入っていく。役場から三十分ほど走り、山道に入ったところで一度車を停め、念のためダミーのナンバープレートを付けた。さらに三十分ほど走ったところで、ストリートビューで見たあのアパートが見えてきた。少し離れた空き地に車を止め、双眼鏡で出入りを見張ることにした。
運転の疲れはまだ完全に取れておらず、仮眠をとりながら交代で見張る。午前八時頃、吉井が見張る番になると、十人ほどがぞろぞろとアパートを出て山道を登って行った。工場に向かうのだろう。一時間して済に交代した後も数人が出て行き、その後吉井に交代すると人の出入りはなくなった。ここまでで山崎の姿は確認できていない。
「十時か。日勤ならもう働き出してる頃だな。どうする?」
「出てくるとすればあとは夜勤か。大分時間があるな。その前にまず、工場を見てみるか。」
車を空き地から出し、山道を上ると、見覚えのある門があった。「株式会社 購買製造」だ。こちらには守衛がおり、近くに車を停めていると確実に怪しまれそうだ。結局、山の上のほうに車を停め、ギリギリ双眼鏡で敷地内が見える距離で様子を伺うことにした。小柄なほうがいくらかバレにくそうということで、吉井が車に残り、済が監視をする。二十分ほど粘ってみたが、人の出入りはほとんどなく、山崎の姿も見えなかった。
結局工場でも収穫はなく、さっきの空き地に戻ることにした。サービスエリアで買ってきたパンやおにぎりを食べ、休んでいるうちに二人とも眠ってしまった。
◇
「おい、おい起きろ!」
吉井に体を揺さぶられて目が覚めた。時刻は午後四時を過ぎたところで、既に日が落ちかかっている。吉井は済を起こしながらも、双眼鏡でどこかを見ていた。
「んん?どうしたんだよ。」
「山崎がいるんだよ!」
「マジかおい!」
「俺が先に行って話をするから、お前は車で追いかけてきてくれ!」
吉井はすぐに車を飛び出し、山道を駆け下りていった。体型はぽっちゃりしているが、元ラグビー部だけあって足は速い。双眼鏡で見てみると、確かに吉井が走って行く先にジャンパー姿の山崎がおり、アパートへの道を上っていた。敷地まであと二十メートルというところだろうか。走ってくる吉井を見てかなり驚いた様子だったが、二言三言で話は付いたらしく、吉井がこちらに手を振った。
すぐに車を出して二人に近づくと、吉井が全力で後部ドアを開き、山崎と滑り込んできた。その後、どういうわけか山崎は後部座席の下に横になり、吉井は座席の間を無理やり移動して助手席に収まった。
「久しぶりだな山崎、ってどこに入ってるんだよ!」
「山のあちこちで見張られてるんだよ!外から見えないようにするにはこれしかない!礼は後でするが、山を降りるまで気を抜くなよ!」
山崎の口調は真剣で、思ったより危ない状況になっているらしい。とはいえ、そんなに大したことはできんだろう、と済は高をくくって運転していた。しかし、すぐにそれが見くびりであることが分かった。十分ほど山道を下っていると、非常灯と警察官が目に入った。どうやら検問をやっているらしい。
「何でこんなところで検問なんかやってるんだ?」
「それは警察じゃない!あいつらだ!とにかく走れ!」
「はあ?」
済が状況を飲み込めずにいると、吉井が「こんなこともあろうかと!」と言いながら後部座席から何やらゴーグル付きのヘルメットを取り出した。
「お前それ!」
「暗視ゴーグルを買っておいて良かったぜ!ワタル、確かにあいつらが着てるのは警察の制服じゃないぞ。ただの警備員みたいだ。」
「そんなこと言ってもこれ、どうすりゃいいんだよ!」
「このまま突破するしかない!!腹を括れ!」
「くそっ、こうなりゃヤケだ!」
警備員が道の真ん中で誘導棒を振っていたが、構わず進んだ。車がスピードを落とさないのに気付くと警備員は慌てて道の脇に引っ込み、間一髪で突破することができた。
「ふう、危ない……。」
「まだ気を抜くなよ!」
さらに二十分ほど走ると、吉井が何かに気づいて声を上げた。
「今度は女が立ってるぞ……おいおい、あれ、銃じゃないのか!?」
「あいつらが持ってるのは改造エアガンだ。実銃じゃないが、当たったらかなり痛いぞ。」
「全く、敵にとって不足ない奴らだな!」
吉井がまた何かいじっている雰囲気があったので助手席を見ると、今度はエアガンを準備していた。自衛隊が使っているアサルトライフル、89式小銃を電動エアガンにしたものだ。
「後ろに色々積みすぎだろ!」
「なに、任せとけって!」
吉井は嬉しそうに89式小銃を構えると、フルオートで女を狙った。
※本当は人に向けてエアガンを撃ってはいけません!
「よっしゃ当たったぞ!!」
女が倒れこんだ脇を全速力で飛ばす。その後も、プラスチックの柵を突破したり、後ろから着いてくる車を巻いたりと生きた心地がしなかったが、何とかY町を脱出し、東京に帰ることができた。
運転の疲れはまだ完全に取れておらず、仮眠をとりながら交代で見張る。午前八時頃、吉井が見張る番になると、十人ほどがぞろぞろとアパートを出て山道を登って行った。工場に向かうのだろう。一時間して済に交代した後も数人が出て行き、その後吉井に交代すると人の出入りはなくなった。ここまでで山崎の姿は確認できていない。
「十時か。日勤ならもう働き出してる頃だな。どうする?」
「出てくるとすればあとは夜勤か。大分時間があるな。その前にまず、工場を見てみるか。」
車を空き地から出し、山道を上ると、見覚えのある門があった。「株式会社 購買製造」だ。こちらには守衛がおり、近くに車を停めていると確実に怪しまれそうだ。結局、山の上のほうに車を停め、ギリギリ双眼鏡で敷地内が見える距離で様子を伺うことにした。小柄なほうがいくらかバレにくそうということで、吉井が車に残り、済が監視をする。二十分ほど粘ってみたが、人の出入りはほとんどなく、山崎の姿も見えなかった。
結局工場でも収穫はなく、さっきの空き地に戻ることにした。サービスエリアで買ってきたパンやおにぎりを食べ、休んでいるうちに二人とも眠ってしまった。
◇
「おい、おい起きろ!」
吉井に体を揺さぶられて目が覚めた。時刻は午後四時を過ぎたところで、既に日が落ちかかっている。吉井は済を起こしながらも、双眼鏡でどこかを見ていた。
「んん?どうしたんだよ。」
「山崎がいるんだよ!」
「マジかおい!」
「俺が先に行って話をするから、お前は車で追いかけてきてくれ!」
吉井はすぐに車を飛び出し、山道を駆け下りていった。体型はぽっちゃりしているが、元ラグビー部だけあって足は速い。双眼鏡で見てみると、確かに吉井が走って行く先にジャンパー姿の山崎がおり、アパートへの道を上っていた。敷地まであと二十メートルというところだろうか。走ってくる吉井を見てかなり驚いた様子だったが、二言三言で話は付いたらしく、吉井がこちらに手を振った。
すぐに車を出して二人に近づくと、吉井が全力で後部ドアを開き、山崎と滑り込んできた。その後、どういうわけか山崎は後部座席の下に横になり、吉井は座席の間を無理やり移動して助手席に収まった。
「久しぶりだな山崎、ってどこに入ってるんだよ!」
「山のあちこちで見張られてるんだよ!外から見えないようにするにはこれしかない!礼は後でするが、山を降りるまで気を抜くなよ!」
山崎の口調は真剣で、思ったより危ない状況になっているらしい。とはいえ、そんなに大したことはできんだろう、と済は高をくくって運転していた。しかし、すぐにそれが見くびりであることが分かった。十分ほど山道を下っていると、非常灯と警察官が目に入った。どうやら検問をやっているらしい。
「何でこんなところで検問なんかやってるんだ?」
「それは警察じゃない!あいつらだ!とにかく走れ!」
「はあ?」
済が状況を飲み込めずにいると、吉井が「こんなこともあろうかと!」と言いながら後部座席から何やらゴーグル付きのヘルメットを取り出した。
「お前それ!」
「暗視ゴーグルを買っておいて良かったぜ!ワタル、確かにあいつらが着てるのは警察の制服じゃないぞ。ただの警備員みたいだ。」
「そんなこと言ってもこれ、どうすりゃいいんだよ!」
「このまま突破するしかない!!腹を括れ!」
「くそっ、こうなりゃヤケだ!」
警備員が道の真ん中で誘導棒を振っていたが、構わず進んだ。車がスピードを落とさないのに気付くと警備員は慌てて道の脇に引っ込み、間一髪で突破することができた。
「ふう、危ない……。」
「まだ気を抜くなよ!」
さらに二十分ほど走ると、吉井が何かに気づいて声を上げた。
「今度は女が立ってるぞ……おいおい、あれ、銃じゃないのか!?」
「あいつらが持ってるのは改造エアガンだ。実銃じゃないが、当たったらかなり痛いぞ。」
「全く、敵にとって不足ない奴らだな!」
吉井がまた何かいじっている雰囲気があったので助手席を見ると、今度はエアガンを準備していた。自衛隊が使っているアサルトライフル、89式小銃を電動エアガンにしたものだ。
「後ろに色々積みすぎだろ!」
「なに、任せとけって!」
吉井は嬉しそうに89式小銃を構えると、フルオートで女を狙った。
※本当は人に向けてエアガンを撃ってはいけません!
「よっしゃ当たったぞ!!」
女が倒れこんだ脇を全速力で飛ばす。その後も、プラスチックの柵を突破したり、後ろから着いてくる車を巻いたりと生きた心地がしなかったが、何とかY町を脱出し、東京に帰ることができた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる