なおこちゃんの手紙【モキュメンタリー】

武州青嵐(さくら青嵐)

文字の大きさ
3 / 10

3話 10月23日 久美と真花の会話

しおりを挟む
「ちょっと、真花」
「なに? ピアノの練習なら今からするって」

「違うわよ。昨日の手紙の件だけど」
「手紙?」

「あなたがお姉ちゃんの部屋から見つけたっていう手紙」
「あー……、あの気持ち悪いやつ? お姉ちゃん、いじめられてるの?」

「そうなの⁉」
「知らない。でもあんなのがあるってさ。誰かから嫌がらせでもらったんじゃないの?」

「あれ、佳花のゴミ箱に捨てられてたのよね?」
「そう。昨日も言ったじゃん。お姉ちゃん、ここんところずっと部屋でなんか喋っててさ。私、こっそりママにケータイ買ってもらったんだって。ずっる!って思ってさ」

「買ってないわよ」
「でもそう思ったの。だから探して証拠を突き付けてやろうって」

「それでごみ箱を見たら、この手紙があったのね?」
「うん」

「あんたのクラスでもこんなの回ってるの?」
「回ってないよ。ってかさ、これ、変な手紙だよね」

「そう……ね」
「お姉ちゃんの学年ならもっと漢字使えばいいのに。なんでひらがなばっかなの?」

「……小学校全体ではどうなの? こういう手紙を回しちゃいけません、みたいに全校集会とかなかった?」
「ないよ。てかさー」

「ん?」
「そんなに気になるならお姉ちゃんに直接きけばいいじゃん」

「……それは、別に」
「私が聞いたげようか? お姉ちゃんの部屋で変なごみみつけたんだけどさー、お姉ちゃん、いじめられてるの?って」

「余計なこと言わないで」
「なんで。気になるじゃん」

「いいのよ、もう。ママは知り合いの人に尋ねることにしたから」
「知り合い? こんなのに詳しい人いるの?」

「さあね。それより、佳花はいまでもなんかこう……部屋で話してるの?」
「話してるよ」

「誰と」
「私が知りたいよ! 夜にボソボソボソボソ……。気になって寝られないんだから!」

「夜って……何時ぐらい?」
「まちまちだよ。部屋に入ってすぐのときもあるし。私がトイレに起きて、さ、また寝よーって思った時に始まったりとか。あ!」

「な、なによ」
「お姉ちゃん、ユーチューバーとかしてんじゃない⁉ 夜中に配信とか!」

「バカなことを言って……。スマホもパソコンもないのにどうやるのよ」
「学校からもらったタブレットある!」

「あれは制限がかかっててそんなのできない」
「そうなの?」

「……そう、いまでもなんか話してるのね……」
「今度壁に耳当てて聞いてみようか?」

「結構よ」
「なんで? ママも気になるんでしょ?」

「それより、いまからピアノ練習するって本当? ママが聞いてあげる」
「うげー。いいよ! ひとりでやるほうがいい!」

「そうやってサボろうとして! あんたには才能があるんだから!」
「サボんないし、才能もない! ……あ! ほら、お姉ちゃんが公文から帰ってきたよ!」

「……まったく、この子は。ちゃんと練習しなさいよ」
「はいはーい」

「はい、は一回! ……あ、佳花、おかえり。今日の公文はどこまで進んだ?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

処理中です...