1 / 1
1
しおりを挟むミーンミンミーン
ジジジジジジジジジ
ツクツクツクツク
煩いくらいの蝉の鳴く声がする
暑さに起され目を開けると
気持ちいいほど晴れた空が目に入った
起き上がると蝉以外の音がしないことに気づく
「誰もいないのかな…」
生ぬるい風と畳の匂いがした。
居間に行くと机の上に書き置きと飲みかけの麦茶があった。
「買い物に行ってきます。・・・かぁ、ちょっと散歩でもしようかな」
そう思って靴を履いて外に出た。
ジリジリとした肌を焼くような日差しを感じる
「暑いなぁ、、、」
帽子をかぶりお気に入りの自転車にまたがって家を出た。
夏休みももう一週間が過ぎた、友達はみんな家族と旅行なんかで出かけてしまっている。
自転車を漕ぎなら生ぬるい風を感じた
そこそこ走ると道の途中で自動販売機を見つけたので、飲み物を買うことにした。
-ソーダ水が飲みたいな-
小銭を入れる...ガコン。
自動販売機から冷えたソーダ水を取り出しその場で開けて喉に一気に流し込む
汗が流れ落ちた
ゴクゴクゴク
ミーンミーンミーン
蝉の声とソーダ水を飲み込む喉の音が頭の中で響いている
自転車のカゴに飲みかけのソーダ水を放り込みまた漕ぎ始める。
少し漕いで行くと
真っ直ぐ続く道から斜め右に入り、上り坂になったその道を足に力を込めて登っていく
坂を登りきったところに鳥居が見えてきた
そこは自分のお気に入りの場所だ
神社に入り自転車を停めると近くの木陰に座った
「ふぅ、、、」
滴る汗を腕で拭ってから目を閉じ寝そべると木陰に吹く少し冷たい風がとても気持ちいい
なんでもないこの時間が好きだ
・・・・・・・・
・・・・・・・・
「おーい、起きてる?」
「わっ!!!」びっくりして飛び起きた
「わ、悪い。そんなにびっくりするとは思わなかった」
ハハっと笑いながら奴はそう言って隣に寝転んできた
ほんとこいつはひょうきんなやつででいつもケラケラと笑ってばかりだ
まあ、そんな奴を見ていると自分もなんだかどうでもよくなってしまうのだけれど
「今日も暑いなー。焦げちまうよほんとー。」
「うるさいやつだな。暑い暑い言ってると余計暑くなるじゃんかー」
びっくりさせられたのが悔しくてちょっと強めに言ってしまう
「ごめんて、
あ、お詫びと言っちゃあなんだけどいいものあげるよ」
ほら、と手の上に小さなキラキラとした石のようなものを乗せた
「これなに?」
「んー、この前浜辺で見つけたんだ。きれいだろ、これあげるよ。」
木影から漏れる光にキラキラとしたそれを当ててみた。
透けて見えたそれはとってもきれいだった。
「ありがと」
「いーえ。機嫌なおった?」
まーね、と言いながらキラキラした石をポケットに押し込む。
「よかった。なあ、何か冷たいもの食べに行こうよ」
冷たいもの?と聞くとやつはうなづいた
「あー、じゃあモクレンでかき氷でも食べよっか」
「いいね!決まり!」
やつは勢いよく起き上がり自転車の所までかけていった。
慌てて自分も起き上がり彼を追いかけた。
汗がまたじんわりと滲む
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
【完結】狡い人
ジュレヌク
恋愛
双子のライラは、言う。
レイラは、狡い。
レイラの功績を盗み、賞を受賞し、母の愛も全て自分のものにしたくせに、事あるごとに、レイラを責める。
双子のライラに狡いと責められ、レイラは、黙る。
口に出して言いたいことは山ほどあるのに、おし黙る。
そこには、人それぞれの『狡さ』があった。
そんな二人の関係が、ある一つの出来事で大きく変わっていく。
恋を知り、大きく羽ばたくレイラと、地に落ちていくライラ。
2人の違いは、一体なんだったのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる