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第6章:ブラックアウト・ジャパン
暗闇に支配されたクラブ『胡蝶』。
客たちの悲鳴が響く中、揚羽は動いた。
視界はゼロ。だが、聴覚が研ぎ澄まされる。
(右、三時の方向。風を切る音!)
揚羽は身を低くし、ドレスの裾を翻した。頭上数センチを、何か鋭利な物体が通過し、壁に突き刺さる音。
男の気配がない。足音もしない。
だが、揚羽には聞こえていた。微かな「駆動音」。筋肉が軋む音ではなく、サーボモーターが唸る電子の音だ。
「……人間じゃないわね」
揚羽は懐から香水の瓶を取り出し、床に叩きつけた。
パリンッ!
割れた瓶から濃厚なジャスミンの香りが広がる。
(匂いは、空間を把握するレーダーになる)
香りの流れが乱れた場所。そこに敵がいる。
揚羽は躊躇なく、その一点に向けて簪(かんざし)を投擲した。
ガギィッ!
硬質な金属音と共に、闇の中で火花が散った。一瞬照らし出されたのは、顔の皮膚が剥がれ、銀色の骨格が剥き出しになった男の姿。
ヴォイドの工作員――アンドロイドだ。
その時、店の外から地響きのような轟音が轟いた。
新宿の街全体が悲鳴を上げている。
窓の外を見た揚羽は、息を呑んだ。
眠らない街・東京の光が、ドミノ倒しのように消えていく。
信号機が消え、交差点では車が衝突し、電子制御された電車が急停止して火花を散らしている。
「ブラックアウト……」
日本の動脈である電力網と通信網が、完全に遮断されたのだ。
店内の客たちがスマホを掲げるが、画面は「圏外」のまま。
スマートロックで施錠された扉が開かず、パニックになった人々がガラスを叩き割ろうとしている。
アンドロイドは闇に紛れて姿を消していた。
「任務完了。フェーズ2へ移行する」という無機質な声を残して。
揚羽は唇を噛んだ。
「……便利さのツケが、回ってきたってわけね」
客たちの悲鳴が響く中、揚羽は動いた。
視界はゼロ。だが、聴覚が研ぎ澄まされる。
(右、三時の方向。風を切る音!)
揚羽は身を低くし、ドレスの裾を翻した。頭上数センチを、何か鋭利な物体が通過し、壁に突き刺さる音。
男の気配がない。足音もしない。
だが、揚羽には聞こえていた。微かな「駆動音」。筋肉が軋む音ではなく、サーボモーターが唸る電子の音だ。
「……人間じゃないわね」
揚羽は懐から香水の瓶を取り出し、床に叩きつけた。
パリンッ!
割れた瓶から濃厚なジャスミンの香りが広がる。
(匂いは、空間を把握するレーダーになる)
香りの流れが乱れた場所。そこに敵がいる。
揚羽は躊躇なく、その一点に向けて簪(かんざし)を投擲した。
ガギィッ!
硬質な金属音と共に、闇の中で火花が散った。一瞬照らし出されたのは、顔の皮膚が剥がれ、銀色の骨格が剥き出しになった男の姿。
ヴォイドの工作員――アンドロイドだ。
その時、店の外から地響きのような轟音が轟いた。
新宿の街全体が悲鳴を上げている。
窓の外を見た揚羽は、息を呑んだ。
眠らない街・東京の光が、ドミノ倒しのように消えていく。
信号機が消え、交差点では車が衝突し、電子制御された電車が急停止して火花を散らしている。
「ブラックアウト……」
日本の動脈である電力網と通信網が、完全に遮断されたのだ。
店内の客たちがスマホを掲げるが、画面は「圏外」のまま。
スマートロックで施錠された扉が開かず、パニックになった人々がガラスを叩き割ろうとしている。
アンドロイドは闇に紛れて姿を消していた。
「任務完了。フェーズ2へ移行する」という無機質な声を残して。
揚羽は唇を噛んだ。
「……便利さのツケが、回ってきたってわけね」
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