閏述|一連の書簡に見られる石の挙動について

八角泰三

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書簡五

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――某月某日

拝啓

先に頼まれていた新しい軟膏の調合を、同封いたします。
湿疹はもとより、火傷や痔の患いにも効き目があるはずですので、よろしければ試してみてください。
用いる油の質で効き目が変わりますから、そこだけはご注意を。

さて、近ごろは、こちらの話ばかりが本題になっているような気がしてなりませんが、またもや石のことです。どうかご容赦ください。

新たに、一つ分かったことがあります。
それは、石がどのように移動するかではなく、いつ移動するかについて考えるべきではないか、という点です。

見ていないときに動くのであれば、見えぬ状態を保ったまま確かめればよい。そう思い至り、中の様子が分からぬ箱を用い、石を入れては蓋をし、しばらくしてから開ける、ということを繰り返してみました。

すると――
確かに、移動しました。

箱の中で、わずかに位置がずれているだけのときは、私の見間違いかとも思いました。
しかし、箱の外へ出てしまっていたこともあり、これは、もはや疑いようがありません。

興味深いのは、その起こり方です。

連続して蓋を開け閉めするうち、立て続けに位置が変わることもあれば、何度繰り返しても、まったく動かぬこともあります。

そこで、ただひたすらに、開けた回数と、移動した回数とを数えてみました。

均してみると、およそ百に一つほどの割合で、位置が変わっているように見えます。

この石は、動くものではありません。
動くことがあるものです。

これまでは、ただ面妖な出来事に過ぎなかったものが、このように数として現れてくると、そこには、何らかの理が潜んでいるのではないか、そう思わずにはいられません。

この点について、あなたの考えを聞かせてもらえれば、
これほど心強いことはありません。

草々不一

敬具


同封された軟膏の調合
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