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弐章 国づくり
34 交渉
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「ただし、少し条件がある」
トモエゴゼンが提示した条件、それは2つであった。
一つは鎌鼬退治への動向、これは先程見せた妖術で負傷者が出た際に治療して欲しいとの事だ。
いわば後衛、問題は無い。
そして二つ目は今売っている布の輸出をここだけにして欲しいと言う話。
「なに、こっちもただで貰おうって訳じゃない。
この条件を飲んでくれたなら…布相場の3倍は払うよ」
これにはつい飛び付きたくなってしまう様な話しだった。
しかし、少し引っかかる所がある…。
「相場の3倍? なぜだ、それはとても助かる事だが…それなら普通に布を買えばいいなぜ、この布にこだわる?」
その問にトモエは少し考える素振りを見せると少し顔をそらし微笑した。
「なるほど…やはりルーク、貴殿はただの小鬼では無い様だな。
いささか、頭がきれる…ふむ。
いいだろう、訳を聞かせてやる」
トモエは、俺を見据え話を進める。
内容はこう、俺達の持ち込んだ布は上等な物でこのままでは白色。
死に装束にしか使えない為、売れないが色鮮やかで雅(みやび)な色に染めれば都にいる高貴な位の人達に高く売れる。
つまるところ、こちらが持ち込んだ布を加工し付加価値をつけより高く売ると言う仕組みだ。
ふーむ…。
いろいろ思う所はあるが、アラネアには服を染める技術も材料も無い。
金も無い…ここは…。
「良いだろう、契約しよう」
その答えにトモエは満足そうに頷き手を差し伸べようとした。
しかし…。
「ただしこちらにも条件がある」
俺はトモエゴゼンの目を見て話を切り出す。
「条件?…ふむ…まあいい 聞こうか」
「ここ鉄石、タタラとアラネア、その2国間で友好的な同盟関係を結びたい!」
「そうか…ならばこの話は無しだ」
鉄石とアラネアの友好同盟。
できればそんな関係を…と思っていたのだがトモエゴゼンはそれに対し否を突きつけた。
理由は…。
「信頼できぬ…それに私はそのアラネアと言う国を見てはいない。
それにその周辺諸国と関係…それを知らずしてその関係は結べぬ。
こちらも、友好的にしている国があるのでな。
下手な過ちでその国との交易が失われるなどは御免こうむる」
これには何も言い返せず、ただ…それならと前の条件を呑むしか出来なかった。
ただ…。
「こちらとしても友好同盟の話、考えていない訳では無い」
…
食事と話が終わり俺達はそのままその家を出てある人達を紹介すると再び来た道を戻った。
それは陰陽師、彼らはタタラ吹きが行われている大きな施設の前で鬼達を見て何やら話をしている。
「本当に鬼と過ごしてるなんてな」
「考えられねぇ、あんな下等な奴らと…」
それは5人の男で見た目は着物姿、そして中には剣や槍、弓そして長杖を所有しているらしい。
それに加え長杖を持っている人はおかしな長い帽子を被り白い服を着ていた。
これは…。
「紹介しようこちらが…」
トモエが紹介しようとする前に俺とアンリが前に出て商売を始めた。
「そこの白い服を着た方、とてもお似合いですねー」
「どうですか? 私達が作った服なんかもお似合いだと思いますよー」
見事な連携プレー、まさに商売上手とはきっとこの事だろう。
俺達はまだ足りないかとそのままグイグイ推し進めていく。
「おいっ!
貴様等、妖魔如きが気安くこの方に話しかけるんじゃない!!」
「そうだ! この方を何方と心得ている! セイヨウ様だぞ!」
『なんだ? 調子に乗るなよ人間共』
この攻撃的な反応が少し奴の逆鱗をかすめたらしい。
一瞬だが、俺の体から妖気が溢れ辺りに静寂を作り出した。
シュラは一瞬俺のスキを突き体の主導権を奪ったが直ぐに抑え込み騒ぎは起きずに済んだ。
「全く…街ではおとなしくしてろっ…」
小声でそう呟く。
『妾に命令をするな。
それを決めるのは貴様では無い…』
そんな事をする中…この一瞬の妖気に気づいたのは目の前にいるセイヨウと呼ばれた人物…。
彼は目の前にいる青い子鬼を凝視し、最大限の警戒を向けていた。
そして気づいたのはトモエゴゼンも同じだった様で反射的に自らの懐に持ち歩いている短刀に手を伸ばし。
無意識で行ったそれに気づいたトモエは驚きの表情を見せた。
更には、鬼達も例外では無かった。
彼らは今の妖気に気圧され全員が作業を止めこちらを見ている。
「おいおい! 何やってる!
火を消すつもりか!?
急いでふいごを踏め!!
火が消えたら洒落にならんぞ!!」
鬼達はその声にはっとし担当の者達はすぐ様、作業に戻ったが…。
ふと、気づくと残りの休憩していた鬼達は続々と集まり俺の事を何も話しかけずじっと観察する様に、尊敬する様に見ている。
そんな鬼達に気を取られているとセイヨウが周りの静かな時間を戻し再び流れさせた。
「お前たちは下がっていなさい。
申し訳ありません…私の弟子達がとんだご無礼を。
私はセイヨウ、都で陰陽師をしております。
どうか以後お見知りおきを…」
セイヨウはそう、敵意の無い綺麗な笑顔を見せ手を差し出した。
トモエゴゼンが提示した条件、それは2つであった。
一つは鎌鼬退治への動向、これは先程見せた妖術で負傷者が出た際に治療して欲しいとの事だ。
いわば後衛、問題は無い。
そして二つ目は今売っている布の輸出をここだけにして欲しいと言う話。
「なに、こっちもただで貰おうって訳じゃない。
この条件を飲んでくれたなら…布相場の3倍は払うよ」
これにはつい飛び付きたくなってしまう様な話しだった。
しかし、少し引っかかる所がある…。
「相場の3倍? なぜだ、それはとても助かる事だが…それなら普通に布を買えばいいなぜ、この布にこだわる?」
その問にトモエは少し考える素振りを見せると少し顔をそらし微笑した。
「なるほど…やはりルーク、貴殿はただの小鬼では無い様だな。
いささか、頭がきれる…ふむ。
いいだろう、訳を聞かせてやる」
トモエは、俺を見据え話を進める。
内容はこう、俺達の持ち込んだ布は上等な物でこのままでは白色。
死に装束にしか使えない為、売れないが色鮮やかで雅(みやび)な色に染めれば都にいる高貴な位の人達に高く売れる。
つまるところ、こちらが持ち込んだ布を加工し付加価値をつけより高く売ると言う仕組みだ。
ふーむ…。
いろいろ思う所はあるが、アラネアには服を染める技術も材料も無い。
金も無い…ここは…。
「良いだろう、契約しよう」
その答えにトモエは満足そうに頷き手を差し伸べようとした。
しかし…。
「ただしこちらにも条件がある」
俺はトモエゴゼンの目を見て話を切り出す。
「条件?…ふむ…まあいい 聞こうか」
「ここ鉄石、タタラとアラネア、その2国間で友好的な同盟関係を結びたい!」
「そうか…ならばこの話は無しだ」
鉄石とアラネアの友好同盟。
できればそんな関係を…と思っていたのだがトモエゴゼンはそれに対し否を突きつけた。
理由は…。
「信頼できぬ…それに私はそのアラネアと言う国を見てはいない。
それにその周辺諸国と関係…それを知らずしてその関係は結べぬ。
こちらも、友好的にしている国があるのでな。
下手な過ちでその国との交易が失われるなどは御免こうむる」
これには何も言い返せず、ただ…それならと前の条件を呑むしか出来なかった。
ただ…。
「こちらとしても友好同盟の話、考えていない訳では無い」
…
食事と話が終わり俺達はそのままその家を出てある人達を紹介すると再び来た道を戻った。
それは陰陽師、彼らはタタラ吹きが行われている大きな施設の前で鬼達を見て何やら話をしている。
「本当に鬼と過ごしてるなんてな」
「考えられねぇ、あんな下等な奴らと…」
それは5人の男で見た目は着物姿、そして中には剣や槍、弓そして長杖を所有しているらしい。
それに加え長杖を持っている人はおかしな長い帽子を被り白い服を着ていた。
これは…。
「紹介しようこちらが…」
トモエが紹介しようとする前に俺とアンリが前に出て商売を始めた。
「そこの白い服を着た方、とてもお似合いですねー」
「どうですか? 私達が作った服なんかもお似合いだと思いますよー」
見事な連携プレー、まさに商売上手とはきっとこの事だろう。
俺達はまだ足りないかとそのままグイグイ推し進めていく。
「おいっ!
貴様等、妖魔如きが気安くこの方に話しかけるんじゃない!!」
「そうだ! この方を何方と心得ている! セイヨウ様だぞ!」
『なんだ? 調子に乗るなよ人間共』
この攻撃的な反応が少し奴の逆鱗をかすめたらしい。
一瞬だが、俺の体から妖気が溢れ辺りに静寂を作り出した。
シュラは一瞬俺のスキを突き体の主導権を奪ったが直ぐに抑え込み騒ぎは起きずに済んだ。
「全く…街ではおとなしくしてろっ…」
小声でそう呟く。
『妾に命令をするな。
それを決めるのは貴様では無い…』
そんな事をする中…この一瞬の妖気に気づいたのは目の前にいるセイヨウと呼ばれた人物…。
彼は目の前にいる青い子鬼を凝視し、最大限の警戒を向けていた。
そして気づいたのはトモエゴゼンも同じだった様で反射的に自らの懐に持ち歩いている短刀に手を伸ばし。
無意識で行ったそれに気づいたトモエは驚きの表情を見せた。
更には、鬼達も例外では無かった。
彼らは今の妖気に気圧され全員が作業を止めこちらを見ている。
「おいおい! 何やってる!
火を消すつもりか!?
急いでふいごを踏め!!
火が消えたら洒落にならんぞ!!」
鬼達はその声にはっとし担当の者達はすぐ様、作業に戻ったが…。
ふと、気づくと残りの休憩していた鬼達は続々と集まり俺の事を何も話しかけずじっと観察する様に、尊敬する様に見ている。
そんな鬼達に気を取られているとセイヨウが周りの静かな時間を戻し再び流れさせた。
「お前たちは下がっていなさい。
申し訳ありません…私の弟子達がとんだご無礼を。
私はセイヨウ、都で陰陽師をしております。
どうか以後お見知りおきを…」
セイヨウはそう、敵意の無い綺麗な笑顔を見せ手を差し出した。
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