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1章 家族
1章ー3:マヒコとミツル、魂斬家の日常
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自室を出た命彦達は、家の2階から階段を下りて1階の居間に入った。
「あら、時間ピッタリね? 命絃が呼びに行ったのに随分遅かったから、心配してたのよ? また命彦を間に挟んで、命絃とミサヤちゃんが棘のある言い争いをしてるのかもって」
居間と隣接する台所から料理を持って、割烹着姿の、ややおっとりした色っぽい美女が、姿を見せる。
魂斬魅絃、命彦が姉と共に愛し、慕っている、自慢の母親であった。
娘の命絃と似た顔付きに、穏やかさを宿す眼差し。緩く弧を描いたくせのある長く黒い髪と、極めて豊満である胸や腰付きを持つ、妖艶さが目に眩しい美女。
実の娘と、まるで姉妹のようにも見える46歳の母親が、魅絃であった。
「棘のある言い争いね……その心配は無用よ、母さん]
「実はミサヤ、まだ工房で寝てるんだよ」
「あら、そうだったの? てっきりもう起きて、命彦の部屋に戻ってると思ってたのに。……むむ? ということは、さっきまで命彦の部屋に2人きり? 命絃、まさか……」
「言い付け通りに節度は守っているわ。文句があるかしら、母さん?」
厳しい表情で問う魅絃に、姉は余裕の笑みを返した。その横で、命彦が頬を染めている。
実の娘をやや疑わしげに見るも、魅絃は小さくため息をついて、話を続けた。
「むうー本当かしらねえ? まあ今回はいいわ。10分くらいは見逃しましょう。それよりミサヤちゃんね? まだ工房内で寝てるってことは、昨日からの徹夜作業がよっぽどきつかったのかしら?」
料理を食卓の上に置いて問う魅絃に、命彦が小さく首を縦に振った。
「多分ね。そろそろ本格的に整理する必要があったとはいえ、今工房にある魔法具の一覧表の更新と、補充する必要がある消費型魔法具の選定。あと、効力がヘタってる魔法具の選別。こいつらを1人で処理するのは相当きつい筈だ。魔法具は300以上もあるし……だから2人でしようって言ったんだけど、気を遣われて追い出されちまったよ」
「ミサヤちゃんらしいわね? それだけ作業があったら、昨日の夕食後からずっと工房にオコモリだったのも当然だわ。考えてみれば、私や命絃が今まで作った魔法具は、命彦に全て試用してもらってるわけだし、去年の分だけでも50くらいはあった筈。効力が切れたり、壊れてる物を差し引いたとしても、これまでの累積で300以上は確かにあるわね」
魅絃がハの字に眉を寄せて、どこか気の毒そうに言った。
その魅絃の横では、クククとやや小馬鹿にするように、命絃が慎ましく笑っている。
「ミサヤも命彦に褒めて欲しいのは分かるけど、点数稼ぎの方法は考えるべきよねぇ? わざわざ1日で終わらせようとするから無理が出るのよ。作業を分割して日を分けて行うとか、幾らでも方法はあるでしょうに。まあ今回は、その主想いの頑固さのお蔭で、私は少し得をしたけど……」
「姉さん、そうやってミサヤを小馬鹿にしてると、もう寝る時、添い寝してやんねえよ?」
少し怒ったように姉を諫める命彦。すると命絃が慌てて言葉を返した。
「うぐっ! そ、それは嫌よ! ミサヤを笑うのは止めるから、添い寝して!」
「うむ、分かればよろしい。よしよし、厳しいことを言ってごめんよ」
思いのほかすぐに態度を改め、くっ付いて来る命絃。命彦は笑って姉を抱き締めた。
命彦の自室での様子を見ると、完全に主導権を命絃が握っているようであったが、どうやら命彦には、姉の命絃に対抗し得る、切り札が幾つかあるらしい。
ただ姉に踊らされるだけの弟にはあらず、ということか。年頃の青少年であるために、欲望に負けることは多々あるが、ここだけは譲らん、という芯はしっかりあるようであった。
今だけは兄と妹のように見える子ども達の様子を見て、魅絃が楽しげに言う。
「物事には気分が乗ってる時に一気に終わらせた方が、いい結果を生むこともあるわ。特に、整理作業みたいに単調で飽きやすいモノの場合にはね? それにミサヤちゃんは、命絃みたいに打算的意識を持たずにやってるのよ。ただ命彦に尽くしたい、役に立ちたい。その一心だと思うわ……うふふ、愛されてるわね、命彦?」
魅絃の言葉に、命彦がはずかしそうに、しかしどこか嬉しそうに、照れ笑いを返した。
「いやあ、それほどでもあるね。母さんに姉さん、ミサヤと、美女達に愛されて幸せ者だよ、俺は。あはははは……」
「あらまあ、美女ってもう、命彦ったら本当のことを言って。母さん嬉しいわ、ふふふ」
「母さん、顔が緩み過ぎよ。それに美女って私のことだし……それより、早くお昼ご飯を食べましょうよ? 折角の料理が冷めてしまうわ」
「少しくらい浸らせてくれてもいいのに、心の狭い子ねぇ? 美女達って言ってるんだから、私やミサヤちゃんも、美女って言われてるのよ? ……あ、ところでそのミサヤちゃんの分のお料理だけど、どうしようかしら?」
そう言って艶っぽく首を傾げる魅絃の姿は、実に男心をくすぐる仕種であり、息子である筈の命彦でも、思わずクラッと来るほどの色気を感じさせた。
命絃のジトリとした視線を背後に感じ、我に返った命彦が、その場を誤魔化すように食卓の上を見る。命彦達3人と話題のミサヤ。合計4人分の人間用の料理が、そこにはあった。
お箸もしっかり4人分が食卓に用意されている。
「心配ねえよ、母さん。後で俺が工房に持って行くからさ? ミサヤは俺のために徹夜してまで作業してくれたんだ……もう少し寝かせてあげたいんだよ」
「分かったわ、じゃあお願いするわね? あと工房に運ぶ時は、もう1度温めてあげるから事前に言うのよ?」
「りょーかい」
命彦がそう言うと、台所から最後の料理を持って来て食卓に置いた魅絃が、席に着いた。
命彦も命絃と共に、食卓の席へ座る。魅絃が白米を茶碗によそい、家族3人で合掌した。
「「「いただきます」」」
1人欠けているのが残念だが、普段と同じ、命彦の心落ち着く一時が始まった。
「あぐあぐ、もぐぐ……、ごくり……」
小柄である外見に似合わぬ食べっぷりで、次々と母の手料理を平らげる命彦。
その息子の食べっぷりを見守って、穏やかに魅絃が笑った。
「命彦はいつも美味しそうに食べてくれるから、母さんも料理の作り甲斐があるわ」
「むぐ? ごくごく……ぷはっ、ご馳走様でした。母さん、美味しそうに食べるってのは間違いだ。実際に美味いから食べてるんだよ。母さんの作る料理はどれも本当に美味い、まさに絶品だ。世界で1番美味いと思うね?」
最後の味噌汁を飲み干して手を合わせ、満足気に腹を擦り、命彦が言う。
お世辞抜きで本心からそう思っているのだろう。命彦の目には、余りある母への信頼と愛情が宿っていた。
「お粗末様。真顔で嬉しいことを言ってくれるわ。さすが私の愛する息子、良い子ねぇ?」
息子の母親偏愛発言に、くすぐったそうに笑った魅絃は、すっと席を立つと、まるで幼い子供をあやすように、満腹感に浸る息子を抱き締めた。
全く抵抗せずに、母の愛情表現を受け入れた命彦の顔は、姉に抱き締められた時と同じくニヤケ顔であり、傍から見ていると、どこまでも緩み切った間抜け面であった。
「むふふふふ、けしからん感触ですよ、母上様。ああー……やわらけえぇ」
「まあ、命彦ったら面白い顔して。よしよし」
自分の顔に感じる、姉を超える量感を有した母の胸。
その感触を堪能し、鼻の下を伸ばしていた命彦は、重度の姉偏愛主義者であると同時に、重度の母親偏愛主義者でもあるらしかった。
どこまでもふやけたその表情。心の病のように見える姿である。
「……2人ともそのくらいにしたら? 私がまだ食べてるし、ねえ命彦?」
つんと澄ました顔で命絃が口を開いた。表情こそ笑っているが、こめかみが微妙に引きつっている。加えて、額には十字の血管がくっきり浮かんでいた。分かりやすい姉である。
魅絃の胸に溺れ、文字通り骨抜き状態であった命彦は、命絃の様子を見て我に返った。
「ね、姉さん……怒ってる?」
余人を立ち入らせぬ、ほんわかした空気を作る母と弟を見て、苛立ちを募らせていたのか。命彦の問いかけに対し、命絃は優しくも冷たい笑みを浮かべつつ、言葉を返した。
「いいえ。ただ、さっきまで姉さんに甘えていた命彦が、数十分後には母さんにも甘えているという認めがたい現実に、少し苛立っているだけよ?」
嫉妬心をゆらりと全身より発し、命絃が冷たい笑顔のまま緑茶を飲んで、言葉を続ける。
「あと少し褒め過ぎよね? 母さんの料理が美味しいのは認めるけど、世界で1番というのは言い過ぎでしょう? それと母さんもくっ付き過ぎよ。息子に料理を絶賛されて嬉しいのは分かるし、命彦が可愛いのは痛いほどよく分かるけど、母親と息子の距離感としては、問題があるように思うわ」
道理を説くように落ち着きを払い、私情まみれでやつあたりの感情を、柔らかい言葉に包んで言う姉。まさに物は言い様というヤツである。しかも、命絃の文句はまだ続いた。
「幾ら魂斬家の者が愛情表現に豊かであると言ってもね……限度はあると思うの。今年で16歳の息子を、幼児をあやす様に目一杯抱き締めるのは、母親としてどうかしら?」
自分も同じことを命彦の部屋でしていたくせに、平然と母に弟との接し方を説く姉。
驚くべき面の皮の厚さで、努めて気品の良い笑顔を浮かべた命絃が、魅絃を見据える。
「……まあとにかく、そろそろ命彦から離れてくれるかしら、母さん?」
それが1番重要とばかりに、命絃は命彦をぐいっと自分の方へ引き寄せた。
娘に息子を取られた魅絃だったが、その表情には余裕の笑みが浮かんでいる。
「あらあら。命絃ったら、困ったお姉さんねぇ? 母さんにまで妬いてるの?」
「まさか。私は別に、命彦に料理の味を褒められて羨ましいとか、抱き締めてるのが妬ましいとか、そういうことは全然……あっ!」
自分の傍に命彦が戻ってホッとしたのか、思わず母の問いに素で答え、口を押さえる姉。
「語るに落ちてるわよ命絃? そう思っていたのね?」
「姉さんはヤキモチ焼きだからねぇ。まあそういう風に、時折抜けてる可愛らしい面を見せてくれる所が、俺は好きだけどさ?」
頬を紅く染めて眼を泳がせる命絃の姿を見て、魅絃と命彦は顔を見合わせ、互いに笑い合った。
愛すべき姉と母。2人との生活が、命彦にとっての幸せであり、生きる意味であった。
食休みも終わった命彦が、壁にかかった年代物の時計を見てそっと席を立つ。
「母さん、そろそろミサヤを起こしに行くよ。料理を温めてくれる?」
「いいわ、少し待っててね?」
魅絃に、食卓に残る1人分の料理を温めてもらい、自分の空の食器を台所へ持って行く命彦。
食器を炊事場へ置いてお盆を手にした命彦は、温め終わった料理を受け取り、お盆にのせた。
そのままお盆を持って居間を出ようとした命彦が、ふと立ち止まって背後を振り返る。
「……姉さん、まさか付いて来るつもり?」
「当然でしょう? 場所が迷宮だったらともかく、家の敷地内の……ましてや工房という隔絶性の高い密室空間で、異性と2人っきりの食事とか、姉さんが許すと思って? ミサヤの命彦への愛情と献身は私も認めるし、だからこそ命彦の傍にいることを許してるけれど、魔獣とはいえミサヤも女。間違いを起こす可能性は十分ある。いえ、絶対あるわっ!」
命彦の背後には、有無を言わさぬ冷たい笑顔を作った命絃が、幽霊のように立っていた。
「ミサヤちゃんが間違いを起こすねぇ……命絃じゃあるまいし、母さんから見ると、その可能性は相当低いように思えるけど? ミサヤちゃんの方が命絃より精神的に成熟してるし、分別もあるでしょうからね? 食事くらい落ち着いてさせてあげたら?」
「……俺もできれば、今のツンツンした姉さんは席を外してくれると嬉しいんだけど?」
「い、や、よ。命彦は姉さんが邪魔だって言うのかしら?」
ズモーッと、命絃の笑顔からどす黒い圧迫感が生じた。
命絃の視線は氷点下の冷たさで、命彦の全身にグサグサと突き刺さる。
「あーまあ、邪魔とまでは思わんけども……姉さん、ツンツンしてる時は凄い殺気出すし、多分ミサヤが落ち着かねえと思うからして……えーと」
姉の視線を受け、目を泳がせて動揺する命彦が、どうにか言葉を選び、遠回しに伝えようと努力する。その甲斐はあったのか、命絃の視線に込められていた冷気がやや減った。
「そ、それは……」
「ミサヤちゃんが羨ましいのよね? 相手は魔獣とはいえ、美女に人化もできるし、可愛い子犬にも化けられる。おまけに主を立てて、とても気遣いができる才色兼備の優しい子だもの。心配よねえー、命彦を取られるかもって?」
むふふと笑いを堪える魅絃の言葉に、命絃の表情がピシリとひび割れた。
「母さん、少し黙っててくれるかしら? 私はミサヤが、命彦に不貞を働くかもと思って……」
「よく言うわ。命絃の方が余程その可能性が高いでしょうに」
すかさず返された母の言葉に、命絃は過剰に応じた。
「わ、私はいいのよっ! 命彦の姉ですもの! 弟の全ては姉のモノでしょっ!」
ムスッとした表情を浮かべる命絃にも全く動じず、魅絃はごく普通に言葉を返した。
「それ、どこの世界の姉弟関係かしらね?」
「ウチの家における姉弟関係ですが、文句があるの母さん?」
自信満々に語る命絃の言葉に、魅絃はがっくりとため息交じりに肩を落とした。
「はあぁー……どこで育て方を間違えてしまったのかしら。母さんが焚き付けたせいだわ」
「お祖母ちゃんのせいにしても無駄よ、母さん? 遅かれ早かれ、私と命彦は結ばれるわ。私達は相思相愛だし、そもそもそういう運命にあるんですもの……」
虚空を見上げる姉の表情はとろけるようであり、妄想に浸っているのが十分に伝わった。
その娘の痛過ぎる姿を見て、魅絃は頭痛を堪えるように、手でこめかみを押さえる。
「仮にそういう未来が待っていたとしても、私は母として、今の命絃に命彦はあげられません。その嫉妬心から、いつか命彦を刺しそうですもの……まあいいわ。今から命絃には、食器の後片付けをしてもらいます。命彦はお昼ご飯を持って行ってあげてね?」
「あ、はい……分かりました、母上様」
問答を続けても時間の無駄と思った魅絃が、迫力のある笑顔で命彦に告げる。
その母の笑顔に、底知れぬ怒気を感じた命彦は、壊れた人形のようにコクコクと首を振った。
「力づくで私の邪魔をするつもり、母さん? いいわ、受けて立ちましょうっ!」
「……色惚け娘を躾けるだけよ? 嫉妬心も行き過ぎれば、可愛さ減じて醜さ百倍。命絃が命彦に見捨てられる可能性があるとすれば、その嫉妬心ね?」
ガシッと姉と母が両手で取っ組み合い、ミリミリと腕力を比べ始める。
実力的には命彦に匹敵、あるいは凌駕する可能性すらある、姉と母の魔力が溢れ出し、居間の室内に置かれた物が、その激しい魔力の波動を受けてガタガタと震え始めた。
「……ふ、2人とも、ほどほどにしてくれよぉ?」
命彦は小声でそう告げて、お盆と共に、母娘の戦場と化した居間を脱出する。
居間の扉を命彦が閉めたすぐ後のことであった。
「この若作りのオバさんがぁっ! 娘の恋路の邪魔ばっかりしてぇっ!」
「若作りじゃありませんっ! 魔力の細胞活性作用で実際に若いのよ! というか、実の母親によくも言ったわね、この色惚け馬鹿娘がぁっ! もう許しませんからねっ!」
ドタンバタン、キャアキャアと色々と聞こえて来る。
命彦はやれやれと肩を竦めると、すぐに苦笑を浮かべ、廊下を歩いて行った。
どうやら姉と母、命絃と魅絃の取っ組み合いは、魂斬家では毎度のことらしい。
「あら、時間ピッタリね? 命絃が呼びに行ったのに随分遅かったから、心配してたのよ? また命彦を間に挟んで、命絃とミサヤちゃんが棘のある言い争いをしてるのかもって」
居間と隣接する台所から料理を持って、割烹着姿の、ややおっとりした色っぽい美女が、姿を見せる。
魂斬魅絃、命彦が姉と共に愛し、慕っている、自慢の母親であった。
娘の命絃と似た顔付きに、穏やかさを宿す眼差し。緩く弧を描いたくせのある長く黒い髪と、極めて豊満である胸や腰付きを持つ、妖艶さが目に眩しい美女。
実の娘と、まるで姉妹のようにも見える46歳の母親が、魅絃であった。
「棘のある言い争いね……その心配は無用よ、母さん]
「実はミサヤ、まだ工房で寝てるんだよ」
「あら、そうだったの? てっきりもう起きて、命彦の部屋に戻ってると思ってたのに。……むむ? ということは、さっきまで命彦の部屋に2人きり? 命絃、まさか……」
「言い付け通りに節度は守っているわ。文句があるかしら、母さん?」
厳しい表情で問う魅絃に、姉は余裕の笑みを返した。その横で、命彦が頬を染めている。
実の娘をやや疑わしげに見るも、魅絃は小さくため息をついて、話を続けた。
「むうー本当かしらねえ? まあ今回はいいわ。10分くらいは見逃しましょう。それよりミサヤちゃんね? まだ工房内で寝てるってことは、昨日からの徹夜作業がよっぽどきつかったのかしら?」
料理を食卓の上に置いて問う魅絃に、命彦が小さく首を縦に振った。
「多分ね。そろそろ本格的に整理する必要があったとはいえ、今工房にある魔法具の一覧表の更新と、補充する必要がある消費型魔法具の選定。あと、効力がヘタってる魔法具の選別。こいつらを1人で処理するのは相当きつい筈だ。魔法具は300以上もあるし……だから2人でしようって言ったんだけど、気を遣われて追い出されちまったよ」
「ミサヤちゃんらしいわね? それだけ作業があったら、昨日の夕食後からずっと工房にオコモリだったのも当然だわ。考えてみれば、私や命絃が今まで作った魔法具は、命彦に全て試用してもらってるわけだし、去年の分だけでも50くらいはあった筈。効力が切れたり、壊れてる物を差し引いたとしても、これまでの累積で300以上は確かにあるわね」
魅絃がハの字に眉を寄せて、どこか気の毒そうに言った。
その魅絃の横では、クククとやや小馬鹿にするように、命絃が慎ましく笑っている。
「ミサヤも命彦に褒めて欲しいのは分かるけど、点数稼ぎの方法は考えるべきよねぇ? わざわざ1日で終わらせようとするから無理が出るのよ。作業を分割して日を分けて行うとか、幾らでも方法はあるでしょうに。まあ今回は、その主想いの頑固さのお蔭で、私は少し得をしたけど……」
「姉さん、そうやってミサヤを小馬鹿にしてると、もう寝る時、添い寝してやんねえよ?」
少し怒ったように姉を諫める命彦。すると命絃が慌てて言葉を返した。
「うぐっ! そ、それは嫌よ! ミサヤを笑うのは止めるから、添い寝して!」
「うむ、分かればよろしい。よしよし、厳しいことを言ってごめんよ」
思いのほかすぐに態度を改め、くっ付いて来る命絃。命彦は笑って姉を抱き締めた。
命彦の自室での様子を見ると、完全に主導権を命絃が握っているようであったが、どうやら命彦には、姉の命絃に対抗し得る、切り札が幾つかあるらしい。
ただ姉に踊らされるだけの弟にはあらず、ということか。年頃の青少年であるために、欲望に負けることは多々あるが、ここだけは譲らん、という芯はしっかりあるようであった。
今だけは兄と妹のように見える子ども達の様子を見て、魅絃が楽しげに言う。
「物事には気分が乗ってる時に一気に終わらせた方が、いい結果を生むこともあるわ。特に、整理作業みたいに単調で飽きやすいモノの場合にはね? それにミサヤちゃんは、命絃みたいに打算的意識を持たずにやってるのよ。ただ命彦に尽くしたい、役に立ちたい。その一心だと思うわ……うふふ、愛されてるわね、命彦?」
魅絃の言葉に、命彦がはずかしそうに、しかしどこか嬉しそうに、照れ笑いを返した。
「いやあ、それほどでもあるね。母さんに姉さん、ミサヤと、美女達に愛されて幸せ者だよ、俺は。あはははは……」
「あらまあ、美女ってもう、命彦ったら本当のことを言って。母さん嬉しいわ、ふふふ」
「母さん、顔が緩み過ぎよ。それに美女って私のことだし……それより、早くお昼ご飯を食べましょうよ? 折角の料理が冷めてしまうわ」
「少しくらい浸らせてくれてもいいのに、心の狭い子ねぇ? 美女達って言ってるんだから、私やミサヤちゃんも、美女って言われてるのよ? ……あ、ところでそのミサヤちゃんの分のお料理だけど、どうしようかしら?」
そう言って艶っぽく首を傾げる魅絃の姿は、実に男心をくすぐる仕種であり、息子である筈の命彦でも、思わずクラッと来るほどの色気を感じさせた。
命絃のジトリとした視線を背後に感じ、我に返った命彦が、その場を誤魔化すように食卓の上を見る。命彦達3人と話題のミサヤ。合計4人分の人間用の料理が、そこにはあった。
お箸もしっかり4人分が食卓に用意されている。
「心配ねえよ、母さん。後で俺が工房に持って行くからさ? ミサヤは俺のために徹夜してまで作業してくれたんだ……もう少し寝かせてあげたいんだよ」
「分かったわ、じゃあお願いするわね? あと工房に運ぶ時は、もう1度温めてあげるから事前に言うのよ?」
「りょーかい」
命彦がそう言うと、台所から最後の料理を持って来て食卓に置いた魅絃が、席に着いた。
命彦も命絃と共に、食卓の席へ座る。魅絃が白米を茶碗によそい、家族3人で合掌した。
「「「いただきます」」」
1人欠けているのが残念だが、普段と同じ、命彦の心落ち着く一時が始まった。
「あぐあぐ、もぐぐ……、ごくり……」
小柄である外見に似合わぬ食べっぷりで、次々と母の手料理を平らげる命彦。
その息子の食べっぷりを見守って、穏やかに魅絃が笑った。
「命彦はいつも美味しそうに食べてくれるから、母さんも料理の作り甲斐があるわ」
「むぐ? ごくごく……ぷはっ、ご馳走様でした。母さん、美味しそうに食べるってのは間違いだ。実際に美味いから食べてるんだよ。母さんの作る料理はどれも本当に美味い、まさに絶品だ。世界で1番美味いと思うね?」
最後の味噌汁を飲み干して手を合わせ、満足気に腹を擦り、命彦が言う。
お世辞抜きで本心からそう思っているのだろう。命彦の目には、余りある母への信頼と愛情が宿っていた。
「お粗末様。真顔で嬉しいことを言ってくれるわ。さすが私の愛する息子、良い子ねぇ?」
息子の母親偏愛発言に、くすぐったそうに笑った魅絃は、すっと席を立つと、まるで幼い子供をあやすように、満腹感に浸る息子を抱き締めた。
全く抵抗せずに、母の愛情表現を受け入れた命彦の顔は、姉に抱き締められた時と同じくニヤケ顔であり、傍から見ていると、どこまでも緩み切った間抜け面であった。
「むふふふふ、けしからん感触ですよ、母上様。ああー……やわらけえぇ」
「まあ、命彦ったら面白い顔して。よしよし」
自分の顔に感じる、姉を超える量感を有した母の胸。
その感触を堪能し、鼻の下を伸ばしていた命彦は、重度の姉偏愛主義者であると同時に、重度の母親偏愛主義者でもあるらしかった。
どこまでもふやけたその表情。心の病のように見える姿である。
「……2人ともそのくらいにしたら? 私がまだ食べてるし、ねえ命彦?」
つんと澄ました顔で命絃が口を開いた。表情こそ笑っているが、こめかみが微妙に引きつっている。加えて、額には十字の血管がくっきり浮かんでいた。分かりやすい姉である。
魅絃の胸に溺れ、文字通り骨抜き状態であった命彦は、命絃の様子を見て我に返った。
「ね、姉さん……怒ってる?」
余人を立ち入らせぬ、ほんわかした空気を作る母と弟を見て、苛立ちを募らせていたのか。命彦の問いかけに対し、命絃は優しくも冷たい笑みを浮かべつつ、言葉を返した。
「いいえ。ただ、さっきまで姉さんに甘えていた命彦が、数十分後には母さんにも甘えているという認めがたい現実に、少し苛立っているだけよ?」
嫉妬心をゆらりと全身より発し、命絃が冷たい笑顔のまま緑茶を飲んで、言葉を続ける。
「あと少し褒め過ぎよね? 母さんの料理が美味しいのは認めるけど、世界で1番というのは言い過ぎでしょう? それと母さんもくっ付き過ぎよ。息子に料理を絶賛されて嬉しいのは分かるし、命彦が可愛いのは痛いほどよく分かるけど、母親と息子の距離感としては、問題があるように思うわ」
道理を説くように落ち着きを払い、私情まみれでやつあたりの感情を、柔らかい言葉に包んで言う姉。まさに物は言い様というヤツである。しかも、命絃の文句はまだ続いた。
「幾ら魂斬家の者が愛情表現に豊かであると言ってもね……限度はあると思うの。今年で16歳の息子を、幼児をあやす様に目一杯抱き締めるのは、母親としてどうかしら?」
自分も同じことを命彦の部屋でしていたくせに、平然と母に弟との接し方を説く姉。
驚くべき面の皮の厚さで、努めて気品の良い笑顔を浮かべた命絃が、魅絃を見据える。
「……まあとにかく、そろそろ命彦から離れてくれるかしら、母さん?」
それが1番重要とばかりに、命絃は命彦をぐいっと自分の方へ引き寄せた。
娘に息子を取られた魅絃だったが、その表情には余裕の笑みが浮かんでいる。
「あらあら。命絃ったら、困ったお姉さんねぇ? 母さんにまで妬いてるの?」
「まさか。私は別に、命彦に料理の味を褒められて羨ましいとか、抱き締めてるのが妬ましいとか、そういうことは全然……あっ!」
自分の傍に命彦が戻ってホッとしたのか、思わず母の問いに素で答え、口を押さえる姉。
「語るに落ちてるわよ命絃? そう思っていたのね?」
「姉さんはヤキモチ焼きだからねぇ。まあそういう風に、時折抜けてる可愛らしい面を見せてくれる所が、俺は好きだけどさ?」
頬を紅く染めて眼を泳がせる命絃の姿を見て、魅絃と命彦は顔を見合わせ、互いに笑い合った。
愛すべき姉と母。2人との生活が、命彦にとっての幸せであり、生きる意味であった。
食休みも終わった命彦が、壁にかかった年代物の時計を見てそっと席を立つ。
「母さん、そろそろミサヤを起こしに行くよ。料理を温めてくれる?」
「いいわ、少し待っててね?」
魅絃に、食卓に残る1人分の料理を温めてもらい、自分の空の食器を台所へ持って行く命彦。
食器を炊事場へ置いてお盆を手にした命彦は、温め終わった料理を受け取り、お盆にのせた。
そのままお盆を持って居間を出ようとした命彦が、ふと立ち止まって背後を振り返る。
「……姉さん、まさか付いて来るつもり?」
「当然でしょう? 場所が迷宮だったらともかく、家の敷地内の……ましてや工房という隔絶性の高い密室空間で、異性と2人っきりの食事とか、姉さんが許すと思って? ミサヤの命彦への愛情と献身は私も認めるし、だからこそ命彦の傍にいることを許してるけれど、魔獣とはいえミサヤも女。間違いを起こす可能性は十分ある。いえ、絶対あるわっ!」
命彦の背後には、有無を言わさぬ冷たい笑顔を作った命絃が、幽霊のように立っていた。
「ミサヤちゃんが間違いを起こすねぇ……命絃じゃあるまいし、母さんから見ると、その可能性は相当低いように思えるけど? ミサヤちゃんの方が命絃より精神的に成熟してるし、分別もあるでしょうからね? 食事くらい落ち着いてさせてあげたら?」
「……俺もできれば、今のツンツンした姉さんは席を外してくれると嬉しいんだけど?」
「い、や、よ。命彦は姉さんが邪魔だって言うのかしら?」
ズモーッと、命絃の笑顔からどす黒い圧迫感が生じた。
命絃の視線は氷点下の冷たさで、命彦の全身にグサグサと突き刺さる。
「あーまあ、邪魔とまでは思わんけども……姉さん、ツンツンしてる時は凄い殺気出すし、多分ミサヤが落ち着かねえと思うからして……えーと」
姉の視線を受け、目を泳がせて動揺する命彦が、どうにか言葉を選び、遠回しに伝えようと努力する。その甲斐はあったのか、命絃の視線に込められていた冷気がやや減った。
「そ、それは……」
「ミサヤちゃんが羨ましいのよね? 相手は魔獣とはいえ、美女に人化もできるし、可愛い子犬にも化けられる。おまけに主を立てて、とても気遣いができる才色兼備の優しい子だもの。心配よねえー、命彦を取られるかもって?」
むふふと笑いを堪える魅絃の言葉に、命絃の表情がピシリとひび割れた。
「母さん、少し黙っててくれるかしら? 私はミサヤが、命彦に不貞を働くかもと思って……」
「よく言うわ。命絃の方が余程その可能性が高いでしょうに」
すかさず返された母の言葉に、命絃は過剰に応じた。
「わ、私はいいのよっ! 命彦の姉ですもの! 弟の全ては姉のモノでしょっ!」
ムスッとした表情を浮かべる命絃にも全く動じず、魅絃はごく普通に言葉を返した。
「それ、どこの世界の姉弟関係かしらね?」
「ウチの家における姉弟関係ですが、文句があるの母さん?」
自信満々に語る命絃の言葉に、魅絃はがっくりとため息交じりに肩を落とした。
「はあぁー……どこで育て方を間違えてしまったのかしら。母さんが焚き付けたせいだわ」
「お祖母ちゃんのせいにしても無駄よ、母さん? 遅かれ早かれ、私と命彦は結ばれるわ。私達は相思相愛だし、そもそもそういう運命にあるんですもの……」
虚空を見上げる姉の表情はとろけるようであり、妄想に浸っているのが十分に伝わった。
その娘の痛過ぎる姿を見て、魅絃は頭痛を堪えるように、手でこめかみを押さえる。
「仮にそういう未来が待っていたとしても、私は母として、今の命絃に命彦はあげられません。その嫉妬心から、いつか命彦を刺しそうですもの……まあいいわ。今から命絃には、食器の後片付けをしてもらいます。命彦はお昼ご飯を持って行ってあげてね?」
「あ、はい……分かりました、母上様」
問答を続けても時間の無駄と思った魅絃が、迫力のある笑顔で命彦に告げる。
その母の笑顔に、底知れぬ怒気を感じた命彦は、壊れた人形のようにコクコクと首を振った。
「力づくで私の邪魔をするつもり、母さん? いいわ、受けて立ちましょうっ!」
「……色惚け娘を躾けるだけよ? 嫉妬心も行き過ぎれば、可愛さ減じて醜さ百倍。命絃が命彦に見捨てられる可能性があるとすれば、その嫉妬心ね?」
ガシッと姉と母が両手で取っ組み合い、ミリミリと腕力を比べ始める。
実力的には命彦に匹敵、あるいは凌駕する可能性すらある、姉と母の魔力が溢れ出し、居間の室内に置かれた物が、その激しい魔力の波動を受けてガタガタと震え始めた。
「……ふ、2人とも、ほどほどにしてくれよぉ?」
命彦は小声でそう告げて、お盆と共に、母娘の戦場と化した居間を脱出する。
居間の扉を命彦が閉めたすぐ後のことであった。
「この若作りのオバさんがぁっ! 娘の恋路の邪魔ばっかりしてぇっ!」
「若作りじゃありませんっ! 魔力の細胞活性作用で実際に若いのよ! というか、実の母親によくも言ったわね、この色惚け馬鹿娘がぁっ! もう許しませんからねっ!」
ドタンバタン、キャアキャアと色々と聞こえて来る。
命彦はやれやれと肩を竦めると、すぐに苦笑を浮かべ、廊下を歩いて行った。
どうやら姉と母、命絃と魅絃の取っ組み合いは、魂斬家では毎度のことらしい。
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