戦慄の罠師 ~世界を相手取る俺の圧倒的戦術無双~

こたつぬこ

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第7話 フラグがポキポキ折れていく

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 ステータスを眺めながら俺は一人呟いていた。

「ふむふむ。SPはレベルごとに1で、習得可能の罠はレベルいくつかごとに増えてるってとこかな?」

 いきなりレベルがたくさん上がったのは嬉しいところ。
 体の動きも明らかに変わった。
 腕を振るとしゅばっと風きり音が鳴る。
 これは気持ちいい。ボクサーになれるかもしれないと思う程に。

 肝心のスキルは発火の罠と上昇の罠、移動の罠に煙爆弾の罠に振ってみた。これでSPは0。
 スキルの習熟はスキルレベルを上げるたびに倍々になっていくという方式のようだ。1⇒2⇒4⇒8⇒16
 なので温存しておくことにした。
 今後もっと有用な罠が取得できるようになるかもしれないからな。

 そう。俺は美味しいものは後にとっておくタイプなのだ。

 だが気になることが二つある。
 称号の守護像の破壊者。
 俺はとんでもないことをしてしまったのではないか?
 
 そして俺に賞金がついてしまったということ。
 20万シリカが結局どの程度の物か分からないわけだけど、おそらく守護像を壊したことが悪事判定されたということだろう。
 罠師の俺に対してそんな罠を仕掛けてくるとは、俺が未熟だからだろうか。
 ま、いいや。やっちまったものは仕方がない。

 さて!

 どうしたもんかな。
 俺が途方に暮れているにはわけがある。
 普通こういう場合は先ほどの女性が戻ってきて、

「あら素敵。倒したのねカッコうぃぃ!! このまま街まで行ってお宿も共にしましょう!」

 みたいな流れになるはずなんだ。それがテンプレというものだ。

 だがどうだろうか?

 そんな台詞なんてまるでなく、冷たい風が俺の汗を冷やすだけ。
 そう、俺のきもい物真似が遺跡の中に木霊しただけだ。
 戻ってくる気配すらない。
 入口まで戻ってみて外も確認してみた。
 それでももういなかったのだ。影も形もありゃしない。

 ここは本当に異世界なのだろうか?

 否! こんな異世界があっていいはずがない。
 俺は美少女と仲良くなれるフラグをたてたはずなのに、もう折れてるんだから。
 モンスターを倒した喜びも飛んで行ってしまう。
 なぜもう美少女フラグを二つも折ってしまっているのか。

 いや、一つ目はグラマー姉ちゃんの悪意のありそうな声かけのせいだったから仕方がないとしよう。
 けれど今のは違うだろ。
 俺は追われていた美少女を助けた英雄になったはずなんだ。
 それが寂しくポツンと遺跡に取り残されてるとはこれいかに!

 「…………歩こ」

 俺は現実の厳しさに涙を呑んで遺跡の中に入っていく事にした。
 おそらくは相当に強いモンスターがいるわけだが、俺もレベルが上がったし、さっきのゴーレムは宝石みたいなやつがいっぱいついてたし。
 勿論まるごとアイテムボックスに保管しました。
 ビバ! アイテムボックス!
 美少女なんて最初からいなかったんだ。

 うまくやればモンスターを倒せるというのも分かったし、お金持ちになれそうな気もする。
 そうであるならば、俺は前を向いて進んでいかなければならない。

 迷路のように入り組んでいる、ということはなく割と一本道を地下にずんずんと進んでいると、意外とすぐに行き止まりにぶち当たった。
 モンスターなんて一切いなかった。
 けれど、右の壁にくぼみというかなんというかがあり、先ほどの像がそこにいたんじゃないかというようなスペースがある。
 おそらくはそれが動き出すような仕掛けでもあったんだろう。

 左にも先ほど動いていたのと同じ見た目の像がある。
 ただ宝石は輝いていない、というか完全に灰色の石の像で色が全くない。
 何かのスイッチで動き出す仕掛けなのか、左側はもともと動かないのか分からないが。

 でだ。

 とりあえず保険として像の真下に落とし穴を設置しておく。
 これでもし動き出したとしても多少の足止めになり時間を稼ぐことができる、

 目を向けるのは行き止まりの正面にある扉のような物。
 漆黒で禍々しさ満点の地獄のような彫り物がされた扉。
 まあ、普通なら引き返すところだろう。
 だが俺はあえてこんなところの前に飛ばされていたんだ。

 ならば開けるしかなかろう。
 男は扉を開くことが大好きな生き物なのであるという俺の信念からだ。

 押しても引いても上にあげても左右に動かそうと頑張ってみたけど開きはしない。

「なんだよ……はずれかいっ」

 で、終わるわけにはいかないのは分かっている
 最初から気付いていたのだけど、嫌な予感がして触れなかった扉の中央。
 まるで常闇蟲の封印盤をはめろと言わんばかりの大きさになぜか丸い形が空いている。

 怪しすぎて汗が吹き出しそうになる。
 それでも俺は嵌めることにした。
 恐怖に勝るは好奇心、それを抑えることはできなかった。

 ゴゴゴゴと音が鳴って自動で開いたら雰囲気があったのだが、カチリと音がして鍵が開いただけのようで、結局手で押して開けることになった。
 重い重い扉。期待も高まるというもの。
 それを上回る不安も押し寄せてはくるが、俺には関係ない。
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