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第3章
第140話
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どうも戦いを楽しむ素質が自分に備わっているようなのは、このところ自覚させられることが多かったのだが、今日ばかりはハッキリと思い知らされた。
脳内麻薬がウンタラカンタラとかは、この際は心の底からどうでもいい。
少しでも間違えれば致命的な傷を負うような、危険と隣り合わせの戦いを楽しむ人間は、それこそ太古の昔からいたことだろう。
そして、そういった人種が居なければ人類がここまで発展することは決して無かったと言い切れる。
火を初めて使いこなした人……海に入ろうと決めた人……山に登っていった人……野原の草を食べてみた人……空を飛ぼうとした人。
恐らく率先したのは全て同じタイプだと思う。
まぁ……それも今はどうでもいいか。
ファハンの攻撃は止とどまること無く、オレを襲う。
オレも魔法を駆使して戦っている。
そして気付いた。
フィジカルエンチャント(水)のメイン効果は、恐らく持久力の向上だ。
過去最長クラスの激戦にも関わらず、全くと言って良いほど息切れをしていない。
そして、もう1つ気付いたことがある。
ファハンの鉄球だが、数は無限では無いらしい。
ちょくちょく地面の鉄球をファハンが回収しているようだった。
最初は圧倒的な数に騙されて気付かなかったが、ファハンが通過した後に鉄球が消えていることがあるのだ。
時おり足を止めて、金砕棒を手から魔法のように消し去り、代わりに鉄球を投げてくるファハンだが、これもつまりは同じ原理だろう。
だとすれば……だ。
勝ち筋がついに見えたと言える。
困っていたのだ。
ファハンと来たら、予備の槍を幾ら刺しても堪えないし、魔法も躱してみせたり金砕棒で防いでのけたり、たまに当たったとしても何ら痛痒を感じていないかのように、とにかく攻撃の手を休めてくれない。
ウインドライトエッジで切り傷を作っても、ファイアボールで火傷を作っても、まるで態度を変えないし、効き目も明らかに減衰されている。
素で魔法防御能力の高いモンスターなのか、火、水、風、闇の各種魔法属性に強い特性を持っているのか……恐らくは前者なのだろうとは思う。
闇の重力魔法や眠りの魔法も、水で刃の鞭を作る魔法も、ファハンにまともに効いたような気がせず、専ら火魔法と風魔法で攻撃しているが、魔法の見た目とファハンに与えているダメージが、まるで釣り合っていない。
しかも頑張ってようやく負わせた傷すらも、徐々に癒えてくる始末だ。
だからこそ、この発見には内心で小躍りしていた。
ファハンは鉄球や金砕棒の出し入れに、頻繁に魔法を使っている。
しかも高度な魔法を……だ。
ファハンの魔力切れを待つことなどしない。
こちらからヤツを魔力切れに追い込むのだ。
手段は明確。
そもそも闇魔法には搦め手が多いが、敵の魔力を自らのモノにする魔法が有るのだ。
その魔法の名はマギスティール。
魔法に変換される前の魔素すらも盗んでくる魔法で、ファハンの体内魔力(オド)を奪うと同時にヤツの周囲の外部魔力(マナ)を枯渇させていく。
こうすることで周囲から魔素を取り込めなくなったファハンは、自ずと体内の魔力をガンガン消費するようになっている筈だ。
良いことばかりに思えるかもしれないが即効性には欠けるし、戦場一帯の魔素が枯渇するわけだからオレの攻撃魔法も威力が落ちる。
途中で狙いを気付かれたら、ファハンが魔力使用を抑えて戦闘が長期化する恐れも有るため、マギスティールばかり使えば良いというわけでも無いのだ。
◆
途中で運に助けられる場面も多々あった。
金砕棒に打たれて超速で飛んで来た鉄球が、地面に落ちていた他の鉄球に跳ね返ってオレが避けた方に向かって来た時など、死すら覚悟したものだ。
あの時、ファハンの眼窩から滴り落ちた眼球の内容物に滑って転ばなかったら、今頃オレはこの世に居ない。
続けて振り降ろされた金砕棒を躱す際、ちょっとでも起き上がるのが遅かったなら、やはりこの命は無かったことだろう。
それでも……ようやくファハンの魔力は尽きた。
金砕棒はオレのスローイングナイフの一撃で取り落としたまま、地面に落ちている。
鉄球は大半がそこら中に転がったまま回収されることもなく、鈍く輝いているだけだ。
ファハンの命脈は尽きようとしている。
先ほどから、無手でオレに掴み掛かろうとしているが、繰り返し投擲されたオレの鉄球を受けて鷲鼻は潰れ、既にヤツ自身の血の匂いしかしていないだろう。
聴覚はワールウインドを継続的にヤツの耳元に放って阻害し続けている。
既に見当違いの方向を向いたまま、腕をめちゃくちゃに振っているだけの状態だ。
次々と放たれるファイアボールやウインドライトエッジは徐々に有効打を増し、ヤツの顔半分を覆っていた髭は焼け落ちて既に無い。
今や半月では無く、満月にしか見えない。
かといって今さらファハンに腕や足や目が増えるわけでも無いのだ。
オレの腕力は未だに、ファハンに遠く及ばないだろう。
だが、どうにかこうにかヤツが取り落とした金砕棒を持ち上げることは出来た。
あとは……開幕と同じ手段で閉幕といこう。
【転移魔法】が発動し、オレをファハンの頭上に運ぶ……特大の金砕棒を肩に担いだまま。
落下は重力に任せ、肩に担いだ金砕棒を無理やりに振り降ろす……ヤツの眼窩に突き立ったままの鎗の石突きに向かって。
金砕棒が叩いた鎗は深く……深くファハンの頭の内部を穿ち、役目を果たした金砕棒はさらにファハンの頭蓋をも割ってのけた。
鎗はファハンの後頭部から飛び出していく。
血液や諸々の内容物が勢いよく吹き出し、オレの身体を酷く汚したが、今はそれさえも心地良く思えた。
オレの着地を待たずして、白い光に包まれて消えたファハンが遺した物は、小さな宝箱と特大の金砕棒。
残念なことに巨大な鉄球の数々はファハンと一緒に消えている。
まぁ……金砕棒だけでも残って良かったと思おう。
いや、待てよ?
これ……ミドルインベントリーに入るのか?
過去最強の敵を倒した後のオレの内心は、残念なことにこんなものだった。
脳内麻薬がウンタラカンタラとかは、この際は心の底からどうでもいい。
少しでも間違えれば致命的な傷を負うような、危険と隣り合わせの戦いを楽しむ人間は、それこそ太古の昔からいたことだろう。
そして、そういった人種が居なければ人類がここまで発展することは決して無かったと言い切れる。
火を初めて使いこなした人……海に入ろうと決めた人……山に登っていった人……野原の草を食べてみた人……空を飛ぼうとした人。
恐らく率先したのは全て同じタイプだと思う。
まぁ……それも今はどうでもいいか。
ファハンの攻撃は止とどまること無く、オレを襲う。
オレも魔法を駆使して戦っている。
そして気付いた。
フィジカルエンチャント(水)のメイン効果は、恐らく持久力の向上だ。
過去最長クラスの激戦にも関わらず、全くと言って良いほど息切れをしていない。
そして、もう1つ気付いたことがある。
ファハンの鉄球だが、数は無限では無いらしい。
ちょくちょく地面の鉄球をファハンが回収しているようだった。
最初は圧倒的な数に騙されて気付かなかったが、ファハンが通過した後に鉄球が消えていることがあるのだ。
時おり足を止めて、金砕棒を手から魔法のように消し去り、代わりに鉄球を投げてくるファハンだが、これもつまりは同じ原理だろう。
だとすれば……だ。
勝ち筋がついに見えたと言える。
困っていたのだ。
ファハンと来たら、予備の槍を幾ら刺しても堪えないし、魔法も躱してみせたり金砕棒で防いでのけたり、たまに当たったとしても何ら痛痒を感じていないかのように、とにかく攻撃の手を休めてくれない。
ウインドライトエッジで切り傷を作っても、ファイアボールで火傷を作っても、まるで態度を変えないし、効き目も明らかに減衰されている。
素で魔法防御能力の高いモンスターなのか、火、水、風、闇の各種魔法属性に強い特性を持っているのか……恐らくは前者なのだろうとは思う。
闇の重力魔法や眠りの魔法も、水で刃の鞭を作る魔法も、ファハンにまともに効いたような気がせず、専ら火魔法と風魔法で攻撃しているが、魔法の見た目とファハンに与えているダメージが、まるで釣り合っていない。
しかも頑張ってようやく負わせた傷すらも、徐々に癒えてくる始末だ。
だからこそ、この発見には内心で小躍りしていた。
ファハンは鉄球や金砕棒の出し入れに、頻繁に魔法を使っている。
しかも高度な魔法を……だ。
ファハンの魔力切れを待つことなどしない。
こちらからヤツを魔力切れに追い込むのだ。
手段は明確。
そもそも闇魔法には搦め手が多いが、敵の魔力を自らのモノにする魔法が有るのだ。
その魔法の名はマギスティール。
魔法に変換される前の魔素すらも盗んでくる魔法で、ファハンの体内魔力(オド)を奪うと同時にヤツの周囲の外部魔力(マナ)を枯渇させていく。
こうすることで周囲から魔素を取り込めなくなったファハンは、自ずと体内の魔力をガンガン消費するようになっている筈だ。
良いことばかりに思えるかもしれないが即効性には欠けるし、戦場一帯の魔素が枯渇するわけだからオレの攻撃魔法も威力が落ちる。
途中で狙いを気付かれたら、ファハンが魔力使用を抑えて戦闘が長期化する恐れも有るため、マギスティールばかり使えば良いというわけでも無いのだ。
◆
途中で運に助けられる場面も多々あった。
金砕棒に打たれて超速で飛んで来た鉄球が、地面に落ちていた他の鉄球に跳ね返ってオレが避けた方に向かって来た時など、死すら覚悟したものだ。
あの時、ファハンの眼窩から滴り落ちた眼球の内容物に滑って転ばなかったら、今頃オレはこの世に居ない。
続けて振り降ろされた金砕棒を躱す際、ちょっとでも起き上がるのが遅かったなら、やはりこの命は無かったことだろう。
それでも……ようやくファハンの魔力は尽きた。
金砕棒はオレのスローイングナイフの一撃で取り落としたまま、地面に落ちている。
鉄球は大半がそこら中に転がったまま回収されることもなく、鈍く輝いているだけだ。
ファハンの命脈は尽きようとしている。
先ほどから、無手でオレに掴み掛かろうとしているが、繰り返し投擲されたオレの鉄球を受けて鷲鼻は潰れ、既にヤツ自身の血の匂いしかしていないだろう。
聴覚はワールウインドを継続的にヤツの耳元に放って阻害し続けている。
既に見当違いの方向を向いたまま、腕をめちゃくちゃに振っているだけの状態だ。
次々と放たれるファイアボールやウインドライトエッジは徐々に有効打を増し、ヤツの顔半分を覆っていた髭は焼け落ちて既に無い。
今や半月では無く、満月にしか見えない。
かといって今さらファハンに腕や足や目が増えるわけでも無いのだ。
オレの腕力は未だに、ファハンに遠く及ばないだろう。
だが、どうにかこうにかヤツが取り落とした金砕棒を持ち上げることは出来た。
あとは……開幕と同じ手段で閉幕といこう。
【転移魔法】が発動し、オレをファハンの頭上に運ぶ……特大の金砕棒を肩に担いだまま。
落下は重力に任せ、肩に担いだ金砕棒を無理やりに振り降ろす……ヤツの眼窩に突き立ったままの鎗の石突きに向かって。
金砕棒が叩いた鎗は深く……深くファハンの頭の内部を穿ち、役目を果たした金砕棒はさらにファハンの頭蓋をも割ってのけた。
鎗はファハンの後頭部から飛び出していく。
血液や諸々の内容物が勢いよく吹き出し、オレの身体を酷く汚したが、今はそれさえも心地良く思えた。
オレの着地を待たずして、白い光に包まれて消えたファハンが遺した物は、小さな宝箱と特大の金砕棒。
残念なことに巨大な鉄球の数々はファハンと一緒に消えている。
まぁ……金砕棒だけでも残って良かったと思おう。
いや、待てよ?
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