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第3章 校外学習で色々稼ごう

24.ダンジョン出発

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 今日もまた、学校が終わろうとしている。
 魔法学院というだけあり、時間割は半分以上が魔法についてだ。

 今日は、歴史を教えてもらった。この学院に来てから歴史は、この世界についてだ。
 そして、それによると昔は地上世界オンザワールド古代地下世界アンダーワールドとで別れてはいなかったそうだ。別れたのは大体、10,000年も前に遡る。

 その頃は、全員魔法を当たり前のように使っていた。文明レベルも今よりも高く、公共交通機関や公共施設も充実していた。地球でいうと凡そ二十世紀半ば頃の生活だった。
 しかし、それは一部の地域のことでしかなくそのことに対して不満を持つものが次第に増えていってしまう。

 そして、気づけば大規模な戦争が各地で勃発するようになる。そのときに戦争をすることに反対していた者がいて、異世界人と名乗る者を中心に地下に都市を築く。その異世界人は、日本人っぽいが、100,000年も前の人なので会えるかは、その人が転生魔法を使えるかにかかっているだろう。

 ただ地下に都市を作り、それだけでは戦争の影響を受けるそうで心配なので、戦争反対派の人々で魔法を行使することにする。総勢約200,000人による地上より隔離を行った。

 そして、戦争反対派の人は殆どが市民でその人たちは、すぐに魔法を使い敵意を持っていないかチェックした後、地下都市に移動させた。
                                               
 戦争をその頃もずっとしていたため、戦争が始まって約2年で地上の文明は大方滅びた。更に魔法技術についても、高名な魔法使いほど戦争時に潰されてしまい、生き延びた人も魔法がトラウマとなり次第に使う人も減り、技術も衰退していき地上は現在に至る。


 しかし、地下はその逆で人間同士で殺し会うなど愚かなことにはならなかったので、研究が進んでいき8000年くらい前にレベルという概念を表示できるようなった。そして、5000年前には、スキルという存在も発見され50年くらいかけてレベルと一緒に表示させた。

 科学技術は、大きな機械などを地上から持ってこれず開発するにも工場を地下に作ったり、人手を集めたりとやることが多すぎて科学については一旦放置していたら、それはもう一旦ではなくなり魔法で何でも補うようになっていき科学については衰退してしまった。

 一方地上は、魔法なども使ってそういった施設を運用していたため、それらをうまく整備や稼働が出来ず魔法も化学も衰退した。


 まあ、そんな感じだった。

 気づけば先生が教壇に上がり、話しをするようだ。

「皆、明日から校外学習としてここから1番近いダンジョンに行くことになった。いきなりですまないが、夏までの2ヶ月のとても長い合宿となるのでそのつもりで。これは、1年生の恒例行事だから知ってる人は知っていただろうが。兎に角、明日に向けて武器や着替えを用意しておけ。食事はこちらで用意してある。では、本日はこれにて終了」

 奇遇だな。俺達もそういえば、ダンジョンに行く予定だったな。しかも、1番近いということは行く予定のところと場所も同じだ。
             
「予定していたところと同じたぞ!学院とも気が合うものだな!」

 エンセリアはそういうが、単に近いだけという気もするが。

「そうですね。私もダンジョンは久しぶりですし楽しみです」

「学院でダンジョンに行くってことは、授業もダンジョンになるからずっと魔物を倒しまくれる!」

 カリスはとても魔物を倒す気マックスだけど、ダンジョンを歩き回るのはあまり好きではない。
 それに対応できるスキルを魔物を倒して獲得すればいいのか!
 それは楽しみだ。

「ボクも楽しみだな」


 今日は、特に部屋で遊ばずに明日の準備をして静かに寝ることにした。
 もちろん、例のビームが出る目覚まし時計もセットしました。もう、出ないように俺が改造したんですがね。


 ◇

 魔導式大型バスから降りると、地下へと続く幅15メートルくらいの大きな階段が佇んでいて、それを覆うような形で屋根や壁で雨水が入り込まないように配慮されていた。
 それを見た生徒は『大きい……』等と声を洩らしたり、何か鋭いもので切り裂かれたように傷付いた金属の装備を着けている冒険者を見て気を引き締めたり、宝物のような魔物から採れるドロップしたものを持って、嬉々としている者を見て早く自分もそうなりたいと気合いを入れる者等様々いた。

「みんな、ここがダンジョンだ。殆どの人が初めて来るところだと思うから少しダンジョンについて簡単に説明しよう。ダンジョンとは自然界に存在する魔物の発生の原因となる魔素を意図的に集まるようにして、街等のところに魔物が入る確率を下げるためにあるものだ。だから、発生頻度も多いし場合によっては気づいたら囲まれていたということも少なくない。更にダンジョンにしか生息しないような強い魔物がいるので気を付けるように」

「「はい!」」

 まあ、大方予想通りというところだろうか。

「長期の間、魔物倒せるということはレベルとても上がりそうですよね」

「目指せ、レベル3桁!」

「2ヶ月もあればそのくらいには多分いけるぞ」 

 計算すると最低でも3桁は越しそうだ。これは、なかなか嬉しいことを学院は企画してくれるではないか。

「魔物もどのくらいの強さか気になるな」

「確かに、ここにしかいない魔物もいるといってました。私もどの程度まで倒せるか知りたかったのでこれを機に自分の限界というものに挑んでみたいです」

 確かにここで俺の力を試して現時点で俺の強さがどれだけ通用するか調べることもできるということか。なかなか面白そうになってきた。

「みんな静かにするように!」

 先生の一言で場が一旦静かになる。

「1組は前にグループを作ったみたいだから大体分かると思うが、ここではグループ行動とする。ただし、各班に一人ずつ付き添いとして先生が1人ずつ同伴する。前回同様、準備のできた班からここに並ぶように。そして、早速ダンジョンに潜ってもらうことになる」

 俺達は今の4人で決定となり、先生に指示されたところに並ぶ。

 全員、決め終わったのを見計らってだろう。1人の男性がこちらに向かってきた。

「こんにちは。私は今回あなたたちの班を護衛兼詳しい情報を提供しますユリウス・ベゼーヌと申します。これでも私はレベル4378の者ですから、まだ戦えますから大丈夫ですよ」

 年齢は60歳前後だろうか。白髪が燻し銀のように清々しく光る、とても頼りがいのありそうな人だ。
 しかも、実力も4000超えとは流石です。俺の今のペースだと100年以上余裕で掛かってしまいますよ。

「では、ダンジョンに入りましょうか。今日は一階層を探索しましょうか。大体広さは10平方キロメートル程ですから、大分時間が掛かります。これは知っておいて欲しいのですが、ダンジョンではマッピングをしながらするものです。だから、誰かマッピングのできる方はいますか?」

 ゲームのときみたいにマップなんて無いし重要なことだ。
 ベゼーヌさん、ナイスです。

「そういう魔法やスキルはちょっと………」
「私もそういう作業は………」

 なんかみんなできなそうな雰囲気なので、俺がもうやります。

「では、ボクがマッピングをしていくよ」

「君にお願いするとしよう」

 先ず、認識空間記録魔法エリアメモリーマジックでマップを作成していく。まだ、入り口だけだけどね。
 そして、【知覚共有-10】でここにいる4人ともこのマップの情報を共有する。
 やっと、いいところでこのスキルが役に立った。嬉しい。

「え、なにこれ?マップが表示されてるみたいで、すごーい」 
「こんな風になるのか、視界を邪魔しないしいいぞ。これは」

 これは、視覚情報としてではなく直接脳内に情報を送り込む感じだから俺も初めてゲームでこういう魔法を使ったとき結構驚いた記憶がある。

「ベゼーヌさん。これでいいですか?」

 もしかしたら、ダンジョンでは専用の魔法とかが存在するかもしれないので一応訊いておく。

「上出来だ。私も君ほどの年齢のときにはここまでのことはできなかった。しかも、脳内に情報を伝えるというものも素晴らしい。魔法学院の卒業生でも使える者は限られるだろうな」

 そこまでだった?俺の魔法は厳密にいうと若干ジャンルが違うので、普通のマッピングをする魔法と同じにしない方がいいかもしれない。                                                       

「ありがとうございます」

「さあ、準備もこれで出来た。それでは出発するとしようか」

 剣も背中に背負い、ダンジョンの入り口へと向かって行く。
 剣、使う機会あるかな?でも、持ってた方が冒険者っぽいし飾りになっててもいいか。


 ◇

 コツンッ、コツンッ、コツンッ

 ダンジョンへの階段は思ったよりも深くまでも続いている。

 やがて天井が見え、俺達は一階層に降り立つ。

「ここが一階層です。高さも平均で5メートルはありますね」

 迷路のように道は入り組んでいる。

「ここって地下だよね?全体的になんか明るくない?」

 言われてみると辺りは昼間というほどではないが、普通に部屋の明かりくらいに照らされているくらい明るい。

「それはですね、このダンジョンには空気中の魔力を消費し半永久的に光り続ける物質が空気に散らばっています。それによってダンジョン一帯は全体的にこんな感じに地下でも明るいのです。あ、勿論身体には無害ですので大丈夫ですよ」

 成る程。それは凄い。
 全体が光っているので、手元に影ができたり、壁がゴツゴツしているところはうまく照らされなかったりということは起きない。非常にいいところではないか。

「基本私はあなたたちについていくだけですが、困ったことがあればその都度対応します」

 早速俺達は奥へと進む。


 最初に発見した魔物たちは、狼さんたちだ。
 でも、俺達が森で狩ってた魔物よりも一回り大きい。

「4匹狼の魔物が彼処にいます。1人1匹の魔物を倒しましょう」

 即座に誰がどれを狩るか分担した。
 どれか決まれば後は狩るだけ。

 その魔物に標的を俺に向けさせる誘導魔法をかけて、こっちに目を向けさせる。
 早速引っ掛かり、こっちに4匹の群れから突然離れていき俺のもとへ一直線に駆けてくる。どの程度の強さか確かめるために、ギリギリ森にいた狼を倒せる速度と威力の風の魔法をこっちに向かって来る狼目掛けて放つ。

 それを難なく躱し、50メートルくらい離れていた距離をものの数秒で目の前まで来て、鋭い爪で俺に向かい切り裂こうと攻撃をしてくる。

 それを俺は避けずに敢えて、魔法障壁で受け止める。1枚目に張った森の狼が壊せるレベルよりも少し強化して若干皹が入る程度まで強化したやつは弾けとんでしまった。

 2枚目は普通に張ったやつだから壊されなかったが、それによって自分の攻撃が防がれ体勢を崩して地面に一瞬胴をつけたときに先程と同じ風の魔法を放つ。

 流石に避けることはできず、攻撃を受けた狼の魔物はそのまま息絶えた。

 どうやら、防御力は変わっていない様子だ。



 俺が遊んでいるうちに他の4人は瞬殺して終わらせてしまっていたようだ。

 更にダンジョンの奥へ奥へと入って行く。
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