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第3章 校外学習で色々稼ごう
41.カリスと採集
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「なあ、カリス」
「どうしたの?セシリアちゃん」
「いや、こうして2人きりになるのも久しぶりだなっと思っただけだよ」
俺たちは先ほどエンセリアとティアナと森の入口で別れて来たところである。
そうして2人で今、森に入って草を集めているのだが、カリスと俺のコンビだけで行動を共にするというのは数ヶ月ぶりだ。
「確かにこっちに来てからは初めてだったね」
カリスも確かにね、といった感じの様子だ。
「だな。っとそれはいいが魔物が1匹来てるがどうする?このまま歩いていくと鉢合わせは避けられ無いように思えるが」
懐かしむのも大概にして、魔物が近づいていることを伝える。何せ、今いるのは言わば人間の居住地から隔離された魔物のテリトリーなのだからいつまでも会話をいつまでも楽しんでいる訳にはいかないのだ。
「じゃあ、昔みたいに私が倒せなかったのだけセシリアちゃんが倒すってのはどう?」
「いい提案――面白い提案ではあるが、ダンジョンと違って然程強い敵はいないし、カリスの強さで倒せないのとかいないと思うからボクの出番が無くなちゃうぞ?」
ダンジョンレベルの強さの魔物、或いはカリスがここ一帯の魔物と同等程度の強さだったらいい提案だった。しかし、この際はそれではカリスが魔物を狩り、草を採集しているのに俺はただ魔物を放ったらかして、のうのうと採集?いやいや、ここは公平にするために分担する必要があるだろう。
「だから、襲撃を3回対処したら交代にしよう。あと、いちいち俺が知らせるのも面倒だから、これ――」
俺は空間収納から手中に収まる程度の大きさのステッキを取り出す。
金属で出来たそれは何かというと――
「――をカリスに渡そう。こいつは生物から自然に排出される魔力を感知するものだ。ただ、人間も例外では無いので反応があったからといって、いきなり魔法をぶっ放すことはしないように注意してくれ」
「分かったよ!……でどういう風に表示というか分かるの?」
肝心なところを説明して無かった。実際に来れば分かると思うがそういうことでは無い。
「忘れてた、すまんな。っで、早速使い方だがそのステッキの先端に黒い球体みたいのが着いてるだろ?」
「これ?」
カリスがステッキの先端に手でポンポン叩きながら訊いてくる。
「そうそう。そこの球体の真ん中に2つ赤い光が無い?」
「えーあったあった。これがもしかして私たちってこと?」
ステッキに目を落としたカリスはすぐに見つけたようだ。わざわざ覗き込むほど分かりにくい仕様では無いのだ。だってこれ、3000ゴールド(日本円だと30万円ほど)もしたんだからね?このくらいの性能は妥当であろう。
ダンジョンでは必要無いが念の為として買ったこいつが早速役立ってくれてるのは嬉しい限りだな。
「そうだ。概ねこんな感じだが、なにか分からないことはあるか?」
俺としては一通り説明したが、確認の意味も含めて尋ねる。
「大丈夫!魔道具貸してくれてありがとう、セシリアちゃん!」
満面の笑みを浮かべてカリスがお礼まで言ってくれた。
これだけでやる気が数百%まで跳ね上がりそうだ。
「そうか、なら行こうか」
あの魔道具の効果範囲は直径500メートルほどであり、その範囲だと気付いたときからこっちまで案外すぐに来てしまうだろう。しかし、ここの魔物は大抵が取るに足らぬ雑魚達ばかりだ。
ただ、油断はしないようにする。そんな油断で足元をすくわれたらバカみたいだからな。
「あ、それと最初の襲撃の対処は私でいい?」
「じゃあカリスに任せよう。3回やったら俺に声を掛けてくれればいいからな」
「うん!私に任せて!」
なんとも頼もしい返事だ。それに力こぶを作ってアピールする様子も可愛――っと呑気なことを考えるな。全く俺ってやつはすぐに違う方向に行こうとしてしまう。
可愛すぎるのにも原因が――ってだから、今はギルドの依頼を請け負ってる身だ。自覚を持つんだ俺!
◇
「うん、ここら辺に多くあるようだな」
初心者向けの依頼の薬草は森に入ってすぐにたくさん採れるようだ。ここに来るまでの道中も魔物には特に遭遇しなかった。
「もう着いちゃったんだ?早いねー」
カリスも同じようなことを思っていたようだ。
今回の依頼は結構あっさり終わってしまいそうだな。
「初心者向けだからね。しかし、ここまで森の入口に近いのは少し予想外だった」
「だよねー」
なんかほのぼのとした感じだ。好きだわ、こういうの。
「どうしたの?セシリアちゃん」
「いや、こうして2人きりになるのも久しぶりだなっと思っただけだよ」
俺たちは先ほどエンセリアとティアナと森の入口で別れて来たところである。
そうして2人で今、森に入って草を集めているのだが、カリスと俺のコンビだけで行動を共にするというのは数ヶ月ぶりだ。
「確かにこっちに来てからは初めてだったね」
カリスも確かにね、といった感じの様子だ。
「だな。っとそれはいいが魔物が1匹来てるがどうする?このまま歩いていくと鉢合わせは避けられ無いように思えるが」
懐かしむのも大概にして、魔物が近づいていることを伝える。何せ、今いるのは言わば人間の居住地から隔離された魔物のテリトリーなのだからいつまでも会話をいつまでも楽しんでいる訳にはいかないのだ。
「じゃあ、昔みたいに私が倒せなかったのだけセシリアちゃんが倒すってのはどう?」
「いい提案――面白い提案ではあるが、ダンジョンと違って然程強い敵はいないし、カリスの強さで倒せないのとかいないと思うからボクの出番が無くなちゃうぞ?」
ダンジョンレベルの強さの魔物、或いはカリスがここ一帯の魔物と同等程度の強さだったらいい提案だった。しかし、この際はそれではカリスが魔物を狩り、草を採集しているのに俺はただ魔物を放ったらかして、のうのうと採集?いやいや、ここは公平にするために分担する必要があるだろう。
「だから、襲撃を3回対処したら交代にしよう。あと、いちいち俺が知らせるのも面倒だから、これ――」
俺は空間収納から手中に収まる程度の大きさのステッキを取り出す。
金属で出来たそれは何かというと――
「――をカリスに渡そう。こいつは生物から自然に排出される魔力を感知するものだ。ただ、人間も例外では無いので反応があったからといって、いきなり魔法をぶっ放すことはしないように注意してくれ」
「分かったよ!……でどういう風に表示というか分かるの?」
肝心なところを説明して無かった。実際に来れば分かると思うがそういうことでは無い。
「忘れてた、すまんな。っで、早速使い方だがそのステッキの先端に黒い球体みたいのが着いてるだろ?」
「これ?」
カリスがステッキの先端に手でポンポン叩きながら訊いてくる。
「そうそう。そこの球体の真ん中に2つ赤い光が無い?」
「えーあったあった。これがもしかして私たちってこと?」
ステッキに目を落としたカリスはすぐに見つけたようだ。わざわざ覗き込むほど分かりにくい仕様では無いのだ。だってこれ、3000ゴールド(日本円だと30万円ほど)もしたんだからね?このくらいの性能は妥当であろう。
ダンジョンでは必要無いが念の為として買ったこいつが早速役立ってくれてるのは嬉しい限りだな。
「そうだ。概ねこんな感じだが、なにか分からないことはあるか?」
俺としては一通り説明したが、確認の意味も含めて尋ねる。
「大丈夫!魔道具貸してくれてありがとう、セシリアちゃん!」
満面の笑みを浮かべてカリスがお礼まで言ってくれた。
これだけでやる気が数百%まで跳ね上がりそうだ。
「そうか、なら行こうか」
あの魔道具の効果範囲は直径500メートルほどであり、その範囲だと気付いたときからこっちまで案外すぐに来てしまうだろう。しかし、ここの魔物は大抵が取るに足らぬ雑魚達ばかりだ。
ただ、油断はしないようにする。そんな油断で足元をすくわれたらバカみたいだからな。
「あ、それと最初の襲撃の対処は私でいい?」
「じゃあカリスに任せよう。3回やったら俺に声を掛けてくれればいいからな」
「うん!私に任せて!」
なんとも頼もしい返事だ。それに力こぶを作ってアピールする様子も可愛――っと呑気なことを考えるな。全く俺ってやつはすぐに違う方向に行こうとしてしまう。
可愛すぎるのにも原因が――ってだから、今はギルドの依頼を請け負ってる身だ。自覚を持つんだ俺!
◇
「うん、ここら辺に多くあるようだな」
初心者向けの依頼の薬草は森に入ってすぐにたくさん採れるようだ。ここに来るまでの道中も魔物には特に遭遇しなかった。
「もう着いちゃったんだ?早いねー」
カリスも同じようなことを思っていたようだ。
今回の依頼は結構あっさり終わってしまいそうだな。
「初心者向けだからね。しかし、ここまで森の入口に近いのは少し予想外だった」
「だよねー」
なんかほのぼのとした感じだ。好きだわ、こういうの。
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