代償

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第3章~肉薄~

尋問と物色

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ピーピーピーピー―――――。病室に1人の少年が意識不明の状態でベッドに寝ていた。
「お宅の息子さんはうちの子になんてことしてくれたんですか!!!」
その少年の病室の前の廊下でその少年の母親が激昂している。「本当に大変申し訳ありません!!」怒られている側の少年は無言でベッドに寝ている少年を見つめている。そしてその少年の母親は激昂している相手に泣きながらひたすら謝っているだけだった。ベッドに寝ている少年を見つめている少年は独り言のようにボソボソと呟く。
「お前が悪いんだ。お前があんなこと言うから・・・。俺はちょっと軽くおふざけ半分でお前の背中を押しただけなんだ。あのくらいで落ちちゃうお前が悪いんだ。」

この出来事は当時ニュースとしても報道された。
小学4年生の児童が2人屋上でふざけていたところ、誤って1人が転落してしまったとのこと。
不幸中の幸いというのか、落下した少年は車のボンネットの上に落ち、なんとか一命を取り留めた。
しかし、依然として意識不明の状態が続いているとのこと。

加害者の少年とその母親は家に帰ると少年は母親に怒鳴られたし打たれた。
そして、家にある地下部屋の暗い押し入れの中に閉じ込められた。
「しっかり反省するまであなたはずっとそこに居なさい!!!」
少年はずっと黙ったままそこに座っていたが、やがて涙が零れ落ちていた。
  
「・・・き!」「おい!・・伯!」「どうしたんだよ佐伯!!」
桂城大の元研究所に隠されていた地下部屋の真ん前で呆然と立ち尽くしていた佐伯。
倉敷と角田の呼びかけでハッと我に返る。「あぁ、悪い。ちょっと昔のことを急に思い出しちまってた。」
佐伯は思い出した内容は一切口外せず倉敷と角谷謝罪した。「頼むぞ!気を抜くなよ。早朝散歩ばばあの監視役!」角田がちょっとふざけた感じで場を和まそうとした。「あぁ、悪い。もう大丈夫だ。」倉敷は何も言わず、ずっと顔
は別の方向を向きながら視線だけで佐伯を見ていた。佐伯自身、ここ最近不思議な夢を見るとも言っていたし、
こういった場面が佐伯に多く見られる。倉敷はそのことは今は追及しなかったが、何かを考えているようだった。
「よし、まずは明かりを探そう。佐伯はそのままそのばばあを監視しててくれ。」
倉敷は携帯のカメラ機能でライトをつけて角田と共に証明スイッチを探した。
「お?これじゃないか?」角田がスイッチを見つけ押してみる。すると明かりが付き一同は目を細める。
「眩しい・・・。」時間が経つにつれ徐々に目も慣れていく。「しかしまあ、電気付くんだな。」倉敷は少し驚いた。あれだけの激しい爆発を巻き起こし、研究所は壊滅状態にあったにもかかわらず、この地下空間は無傷といえるような状態だった。「ここは独立空間なんだな。研究所が大破しても明かりがつくってことは。」佐伯も感心する。「おい、これ見てくれよ!」佐伯と倉敷が地下空間をなんとなく見渡していると、角田が2人に声をかけてきた。
「どうしたんだよ角田。」「この写真の男。こっちは桂城大だろ?んで、こっちのもう1人の男なんだけど、俺どっかで見たことある気がするんだよなぁ。」角田は自身の曖昧な記憶で見たことある気がする男を指さして伝えてきた。佐伯と倉敷もその写真に目をやると、「あれ?こんな雰囲気の男俺もどっかで見たかも。」
「マジかよ。俺もちゃんとは思い出せないけどなんか見たことある気がするな。」
ここでまさかの3人とも曖昧ながらも見たことある気がする人物が桂城大と2人で写真に写っていた。
「でも、全く思い出せないな。」角田は写真の前で腕を組み必死に思い出そうとする。
「でも、3人とも見た記憶があるとかならテレビで観たとかじゃね?俺と倉敷が角田と知り合ったのだってつい最近だし、共通の人物なんてそうそういないだろ。」「まぁ、そうなのかなぁ。」角田はどこか腑に落ちない感じだったが、いくら考えても思い出せなかったので断念した。

「さて、本題に入るか。この早朝散歩ばばあをどうするか。」倉敷が仕切り直す。
「まぁ、ざっと見たところイスとかベッドとかたくさんあるし、そこに縛り付けて拘束すればいいんじゃね?」
佐伯が答える。「そうだな。とりあえず、縛れそうなものをこの部屋で探そう。なんか見た感じいろいろありそうだし、この早朝散歩ばばあを縛り付けた後はちょっと情報収集も兼ねて物色するか。」「そうだな。」
3人は見つけてきたロープで早朝散歩ばばあを椅子に縛り付けた。
それと同じくらいのタイミングで早朝散歩ばばあが目を覚ます。「う、うぅ・・・。」
「あ?やっと目を覚ましたか。随分長い就寝だったな。」皮肉を込めて佐伯が言う。
「え?ん?なにこれ?一体あたしに何するつもりなのよ!あなたたちこんなことしてただで済むと思わないでよ!!」拘束されて抵抗できないにもかかわらず、強気な言葉を吐き続ける早朝散歩ばばあに佐伯と倉敷が近づく。
「どうも、俺たちのこと覚えてますかね?」あの時とは違って余裕綽々の態度で佐伯が接する。
「覚えてるわ。あなたたち2人は山菜を取ってきてもらって、そのあと一緒に食事会をした2人組じゃない。
一体なんでこんなことするのよ!」怒りくるって常に口調が荒い早朝散歩ばばあに倉敷が尋問を開始する。
「あなたには聞きたいことがいくつかあります。まずはこのキーケース。
中には鍵が3つほどついていますがそれぞれ何の鍵なんでしょうか?」
「ふん!何聞かれたって答えるわけないじゃない。こんな仕打ちしておいて普通に話し合えると思ってるわけ?」「これは話し合いではありません。尋問です。現状あなたは我々に拘束されている状態です。
それにここは街からかなり離れた位置にある建物で、人っ子一人近づきません。あなたは完全に我々の手中に収まったわけです。大人しく協力してくれませんかね?」「・・・。くっ!」完全に倉敷の言葉を信じたわけではないが、状況的に真実であることが大半であることを察し、早朝散歩ばばあは反論に困った様子をみせている。
「では、次の質問です。あなた方のことは、我々は謎の生物と呼んでいますが一体何者なんでしょうか?なぜ日本を侵略したのでしょう?」「何を聞かれても一切答えないわ。」状況がそんなに不利でも、早朝散歩ばばあは口を割らなかった。それからも暫く倉敷の尋問と佐伯の脅しが続いたが、いつまでも堅く口を閉ざしたままだった。

一旦、佐伯と倉敷は早朝散歩ばばあの相手を止め、角田と一緒に部屋の物色へと移行した。
「今はとにかく何でもいい。どんな些細な情報でもいいから何かを知りたい。」
倉敷はそう呟いてから地下部屋の探索を開始した。「おい、こんなところにテレビがあるぞ。」角田はテレビを
見つけるなり、さっそく電源を入れた。するとニュースがっていた。
「続いてのニュースです。少し前にSNSなどで拡散されて話題にもなったLGBT失踪事件ですが、失踪した人数がついに判明したとのことです。全国の警察各所で捜査し、その合計を合わせたところなんと1000人も失踪していたことがわかりました。」「え?」倉敷は耳を疑った。「1000人って謎の生物と同じ数じゃねーか?」
佐伯も驚きの表情を隠せないでいる。あまりの衝撃に沈黙が走る。
こういう時に佐伯はまたぼーっと例の夢を見てしまう。

目の前が光り輝き目を細める。徐々に慣れていき目を開けるとそこには何者かわからない何かのシルエットだけが
認識できる。そのシルエットが呟く。「あなたはどんな困難にも負けず乗り越えられるでしょう。
しかし、20XX年●月●日、あなたは死にます。」
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