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流水ノ章
21 急襲
しおりを挟む「清水…時期を見て新年会を開きますよ。詳細決まり次第、霧山に連絡させますので…今年からは美優さんも是非。」
「いえ。あの…私はお酒が飲めませんので、お邪魔しても逆にご迷惑をお掛けしてしまいます。会の皆さんでお楽しみ下さい。」
「はは!そんな事、気にしなくていいんですよ。貴女が来てくれるだけで若い者達は和みますから。…例え酒が飲めずとも。」
「…ありがとうございます。」
「まぁ…清水としては、却って落ち着かないんでしょうけどねぇ。」
「……会長っ…」
わかってるなら言うなと言いたげな表情で圭介が顔を顰め、そんな2人を見ていた小田切や司らが楽しげに笑い合う。
新年の挨拶をすると共に美優との結婚を正式に報告した圭介は、見送りの為と表まで出て来た会長の笛木とそんな会話を交わす。
終始穏やかに、それでいて思いのほか楽しく良い時間を過ごした皆にはそれを評するかのように、帰るというこの時ですら晴れやかだ。
タイミングを見計らって幹哉らが車を移動する中…何かを思い出した笛木が口を開く。
「…清水。そう言えばまだ言ってませんでしたね。おめでとう清水、美優さん…2人に幸多からん事を祈ってますよ。」
「ありがとうございます、会長。」
…だがこの時。絶妙な距離を取りつつ有効的に高所という『死角』を取ったその者らが笛木宅を見下ろしていた。
その手にある、年始時には到底相応しくない物をスッと抱え構えるとスコープを覗き狙いを定める…
「…では会長、オレらはこれで失礼します。」
「うん。気をつけて帰るように。」
「お邪魔致しました。…あの、会長…」
「どうしました?美優さん。」
「…。会長にこんな事言っては…生意気と思われるかもしれませんが…会長には圭介さんや小田切さん、霧山さんや他にも会の皆さんが慕って側にいます。…なので…あのような寂しい事を仰らず、何でもご相談になって下さい。もちろん私も、何が出来るかはわかりませんが…もし出来る事があるのならお手伝い致します。」
美優は『あんな思い、俺1人で十分だ…』と言った笛木の影のある表情を不安に思って進言する。そんな彼女の『優しさ』を垣間見て、驚くと同時に笛木の心に身を焦がさん程に愛し、今も尚側にいてくれる女(ひと)を思わせた。
「……。ありがとう、美優さん。貴女は本当に…優しい人ですね。清水が心底惚れ込んで溺愛する理由が少しわかったような気がします。」
「…溺愛…してるつもりはねぇすけど…美優の言う事は真っ当すよ。会長…貴方にはオレらがいます。どんな事もご相談下さい。」
「…そうしましょう。我が『北斗聖龍会』は結束の強さがウリですからね…あ、ちなみにですが。美優さんは何やら随分と畏まっていますけど…私はこう見えて貴女と『1つ』しか違わないんですよ?31歳相手に一々それでは疲れてしまいます…もっと気楽に接してくれると嬉しいですね。」
「……。そう、なんですか?…私、てっきり…」
「はは!酷いなぁ。私だってまだまだ『若い』んです。実はねっ。」
「美優さん。ウチの会は平均的に年齢が『若い』んですよ。長である会長が唯一の30代で、若頭以下幹部や他のモンは皆20代です。司と将也が一番若い20歳なんで。」
「…す、すいません…私ったら、会長の貫禄が凄すぎて…」
「ち、ちょっと待って下さい。…『おじさん』、とは言わせませんよ?美優さん。」
茶化すようなその言葉に、場の皆が一斉に吹き出し笑い合う。ひと頻り笑って、落ち着いた2人が再び頭を下げ挨拶すると圭介は美優の左手を取り歩き出す。
その際に笛木の目に映った彼女の左手の薬指にあるダイヤのリングを見て、その輝きが2人の未来の明るさのように思えた。
美優の拉致を除き、この暫くの間は会を挙げての争い事もなく…平穏に過ごしてきた。こんな日々が続くのなら、それはそれで構わない…そう笛木は思う。元々会を立ち上げたのも、人様に迷惑を掛けたいからではなく…族上がりのあぶれた“血気盛んな”者らの居場所となればと思っての事だ。
例え『極道』というレッテルを貼られようとも、縁(よすが)となる場所や人があれば生きていける…そんな信念の元に立ち上げられたのが『北斗聖龍会』なのだ。
圭介はその良い例だ。族上がりですぐに会の発足と同時に若頭となり…時に自分を戒めながらも務めを全うし、そして美優という伴侶を得て自分なりの幸せを掴もうとしている。
…笛木は圭介のようになってくれる者が、これからも続々と増えてくれれば良いと…会の長として、そして皆の『親』として密かに願った。
「会長…外は冷えます。中へ入りましょう。」
「……。そうですね…そうしましょうか。小田切…一杯付き合ってくれませんか?清水と美優さんの結婚を祝って。」
「会長…本当に会長は若頭が可愛いんですね。」
「…可愛い?…清水には本当に手を焼きましたからね…何回頭突いても物覚えが悪くて。こっちの頭が割れそうでしたよ…さっきだってそうです。」
「クククッ!初めて見た時は目玉飛び出ましたよ、自分は。それでも『いてぇー!』言いながらすぐにケロッとしてましたもんね。」
「全くですよ…」
「会長…知ってますか?若頭が司や将也にも同じように、何かあると頭突き食らわせてるそうですよ。」
「…はい?何ですかそれ。」
「クックック…多分自分が若かった頃やられたのを、無意識の内にやってんでしょうね。」
「……。石頭はいったいどっちなんでしょうねぇ…」
幸せな2人の姿を見ながら小田切とそんな話をし、家の中へ入ろうと振り返ったその時…
「ッ!」
背後で空を切る『ヒュッ!』という…異音を感じ取り、笛木と小田切が被りを振って勢いよく振り返る。そんな2人の目に飛び込んできたのは…車に辿り着くその直前で『狙撃』され、弾の勢いに押されるように身体が吹っ飛ぶ瞬間だった。
…圭介と美優が繋いでいたその手が…無情にも引き離されてしまう…
「若頭ぁ!!」
「兄貴!!」
「姉貴ぃーっ!!」
車の側にいて迎えようとしていた司や将也、幹哉はもちろん…会長や小田切は一瞬では何が起きたのか理解出来なかった。
けれど圭介は左腕を、美優は右肩の首近くを撃たれ…血の飛沫が吹き上がったのを見て『狙撃』なのだとようやく判断する。
「…ッ…清水ッ!!美優さん!!」
そうしてる間にも倒れ込んだ圭介は撃たれた痛みで動けず、美優に至ってはピクリとも反応しないばかりか血だけがドクドクと無駄に流れ…圭介と笛木が似合うと褒めた着物を赤黒く汚していく。
2人に駆け寄ろうと踏み出した笛木だが、『狙撃者(スナイパー)』はそれを許さない。まるで幕を張るかのように圭介らと笛木の間に間髪入れずに連続で弾を撃ち込んできた。
「ッ!会長!!」
危険と察知し小田切が身を呈して笛木を庇う。それでも尚、彼は圭介らの元へ行こうと足掻いた。
「退けや小田切!…清水!!美優さん!!」
「会長!落ち着いて下さい!…おい!誰か会長を頼む!!」
「…ッ、バカヤロ…小田切てめぇ…何ボサッとしてやがるッ!さっさと会長を中に連れてけやァ!!」
「若頭?!」
「兄貴!早く車に!!」
ワラワラと中から飛び出してきた若衆らに囲まれた笛木は動こうとせず…未だ牽制するように弾幕を張ってくる『相手』の場所を探そうと四方八方を睨み上げる。
そして圭介は…痛みを堪えフラフラと立ち上がると、力無く倒れ込む美優を幹哉に支えられながらも抱き上げ車に乗り込むと、すぐさま発進させその場を去った。
美優の容態も去る事ながら、自分が留まる事で会長や他の人間に累が及ばないようにと思ってだ。
圭介らが去った事で撃ち込まれていた弾も止む。最後の最後に笛木が見上げた先に人影らしきものを見て目を凝らした瞬間…正体がバレるのを恐れたのかおまけのような1発が放たれ、その弾は笛木の右頬を擦り眼鏡を吹き飛ばした。
「ッ!会長!」
「……。北斗聖龍会の『至宝』を狙うたぁ…良い度胸してるじゃねぇか……てめぇら、地の果てまで追いかけて地獄に叩き落してやるぜ…首洗って待ってやがれ…」
「ッ!…」
小田切は言葉を失った。…鋭く睨み、地を這うかのような低いその声は、笛木が本気で腹から怒り狂っている事を現しているからだ。
「ちょいと!何の騒ぎだい?!何やら銃声みたいのが聞こえた気が…っ!お前さんっ、どう…」
「るせぇ!!何の関係もねぇてめぇが出張ってくんじゃねぇ!!黙ってすっ込んでろォ!!」
「ッ!」
「……。おい…入るぞ。南雲先生に急いで連絡する。あと霧山を呼び出せ。」
「う、うす!」
騒ぎを聞きつけ表へ出て来た妻の紫乃を一蹴し、目も合わせる事なく中へと入っていく。
身を案じた妻としての思いを踏みにじられ、紫乃は悔しげに両手を握り震わせるのだった。
妻を華麗に無視し、中に入った笛木は自身の部屋へ入ると会のお抱え医師である『南雲』と電話で話をする。
『はい、もしもし。』
「…笛木です。いつも世話になってます南雲先生。」
『とんでもない、こちらこそ。…あの…さっき将也から連絡があったんですが、何だか混乱しているようで話の要領が得なかったんですけど…その、清水と清水の女が撃たれたって…』
「……えぇ。家に新年の挨拶に来てくれたんですけどね…その帰る直前に。直接見てはいませんが、恐らく清水より美優さん…清水の女の方が重傷だと思います。…どうか助けてあげて下さい…南雲先生。その女は只の女じゃない…清水にとって『大事な女(ひと)』なんです。」
『………。』
「2人は…近く結婚する予定です。出逢ってたった2ヵ月少しですがね…清水は本気で彼女に惚れ込んでる。彼女を失ってしまったら…アイツはもう立ち直れない…」
『っ…わかりました。ご安心下さい…俺も、もう二度と人の死なんか見たくありません。必ず助けてみせます。』
「…ありがとうございます。よろしくお願いします。」
力強く言い切ってくれた南雲に僅か救われた思いで電話を切り、ふぅ…と小さく息を吐く笛木は、再び携帯を取り電話を掛け始める。
『はい、どうしたの?『やぐっちゃん』。まだ昼間よ?』
2人きりの時以外には決して呼ばないその呼び名は、電話の相手が10年前に面白がって付けたものだ。そして今もその人は親しみを持って彼をそう呼ぶ。
「……みずき…」
『あら、元気がない。何かあった?短気は損気っていつも言ってるでしょう?まぁた小田切くんか誰かを怒鳴っちゃって自己嫌悪してるんでしょ。』
電話の相手はモナムールのオーナーママのみずき。古くからの知り合いである2人だが、実は結婚を視野に入れ付き合っていた『恋人同士』だった。けれど様々な事情と他者の介入によって泣く泣く別れ…人の夫とならざるを得なかった笛木は尚も忘れられずにいたみずきと再会した事で、妻の紫乃よりも彼女に重きを置くようになったのだった。
…そんな『不倫関係』は早7年になろうとしている。
「……。清水と美優さんが…撃たれた…」
『…ん?…何?何の冗談なの…』
「………。」
『…やぐっちゃん?…冗談、よね…ねっ、そうよねっ?』
「…冗談なんかじゃねぇ。俺がいる側で…撃たれたんだ…」
『……。ウソ…う、嘘よっ…何でしーくんが?…何でっ…美優さんがっ?!』
「…みずき…ッ…」
『ねぇ!嘘でしょ?!冗談なんでしょう!…冗談だって言ってよ八雲!!』
「…。今…南雲先生ん所に向かってる…清水は大丈夫だと思う、けど美優さんが…ッ…」
『っ、そん、なっ…何で?…何でそんな事になるのっ…っ……八雲は?貴方は怪我してない?!』
「……俺は…大丈夫だ。心配しなくてもいい。」
『っ…うっ…』
「…みずき。今回のスナイパーの狙いが『誰』なのか見当がつかない。清水なのか、美優さんなのか…それとも俺なのか。だからお前も用心してくれ。美優さんが撃たれた以上、お前も狙われないとは言い切れない…真次にも連絡しておくから、アイツから離れないようにな。」
『……。わかったわ…』
「…今夜もそっちに行く。客が引けたらさっさと帰って来いよ。」
『…ねぇ、こんな時こそそっちにいた方が良いんじゃない?……『奥様』が…』
「ハッ!何が『奥様』だ。…俺が欲しいと思う女はいつだってお前だけだ。同じ屋根の下にいるってだけでも虫唾が走る。」
『……。』
「みずき…愛してるぜ。あんな思いさせた俺だけどよ…今までも、これからもずっとお前だけなんだ。そんなつれない事言うなよ…」
『…私も愛してるわ。そっちよりも私が良いって言ってもらえて幸せよ。』
「……。うしっ、元気出てきたぜっ。お前のその言葉は魔法だな。…おう、庭に植えてる椿が今年も綺麗に咲いたんだ…行く時に持っていってやる。みずきは椿が好きだからな。」
『ふふ、楽しみだわ。ねぇ…八雲の背中の『絵』にも確か椿が咲いてたわよね?…それってもしかして私が好きな花だから?』
「フッ…さぁて、どうだったかなぁ?」
『ちょっとぉーっ!もう…いいわよ別にっ。後で会った時にたっぷり締め上げて吐かせてやるんだからっ。』
「おいおい…急に怖え事言い出したな。…そういや清水も、新たに墨を入れたらしい話を聞いたな。左胸に美優さんを想ってらしいぜ?」
『あら素敵っ。しーくんったらやるわねぇ。…ところで『おじさん』?今時は墨って言わないのっ、タトゥーよ!』
「おいコラ、お前今俺の事を『おじさん』つったな?同い年のお前に言われたくねぇっての。」
『ふふっ、私は年齢不詳で通っているのよ?同じにしないでっ。』
弟や妹のように可愛がる2人の事を知らせた笛木だが、取り乱しながらも受け止め、心配させまいと強がって笑うみずきにも救われる思いだ。
そんな愛しい女の為にも…どうか圭介と美優にこれ以上の大事(だいじ)が起きないようにと祈る笛木は、みずきと笑い話しながらも怒りで拳を震わせるのだった。
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