Hold on me〜あなたがいれば

紅 華月

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小話集

息子から見た両親〜ある日の清水家

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ぼくのかぞく  1ねん5くみ しみずりゅう

ぼくのおうちは、とうちゃんとかあちゃん、いもうとのこうめと、おとうとのようすけの5にんかぞくです。

あと、いっしょじゃないけど、おとなりのおへやにばあちゃんがいます。

うちのとうちゃんとかあちゃんはすごく“なかよし”で、かあちゃんをなかせたりこまらせたりすると、とうちゃんはすごくおこります。

とうちゃんはいつもおこっているようなかおをしてるけど、すごくやさしいしいつもあそんでくれます。

かあちゃんはすごくきれいで、やさしくて、つくってくれる“ごはん”と“おやつ”は、すごくおいしいです。

あと、つかさやまさやや、みっきーやきりにいちゃんや『かい』のみんなも、やさしくてかっこよくて、いつもあそんでくれます。

たまにしらない“おじさん”がはなしかけてくるけど、ぜったいとうちゃんが“むかえ”にきてくれます。

ぼくはみんながだいすきなので、おおきくなったらとうちゃんみたいになりたいし、かあちゃんみたいにきれいなおんなのひとと“けっこん”します!

・・・・・・

ある日の夜、長男が書いたというそれを読んだ父圭介が閉口する。

「…、…何だこれ…」

「流くんが頑張って書いた『作文』ですよ。今日の参観日で読んだんです。」

「いや…それはわかっけどよ…」

参観してきた嫁の説明に渋面を浮かべた圭介。自分たちの事を書くのは問題ないのだが…

「…なぁ美優。キリだとか会の奴らの名前は…マズいんじゃね?」

「うーん…確かにそうかなとは思いますけど。でも大丈夫だと思いますよ?」

妙な所で肝っ玉な発言をする美優に苦笑する。こんな風にコロコロとその表情を変えるのは昔のままだ。

「…だな。今更だぜ、ンな事気にしてちゃあよ。ウチは『ウチ』だ。」

「はいっ。」

夫婦でそんな会話をしていると、遊んでいた子らがわらわらと集まる。

「とうちゃん!よんだ?りゅうのさくぶん、よんだ?」

「あぁ、読んだぞ。上手く書けたな。」

父の大きな手が流の頭をグリグリと撫でつける。褒められた彼が嬉しそうに『えへへ♪』と笑った。

「とうちゃん!こんどはきてね?」

「ん…行けたらな。」

「良かったね流くん。今度も頑張ろうねっ。」

「うん!」

「おとうちゃん!こうめのようちえんにもきて!」

「あぁ…そういうヤツがあんならな。」

「ようも!」

「…お前にはない陽介。毎日母ちゃんとウチにいるだろ。」

「ゔぅー!」

「わ、わかったわかったっ…んじゃ、父ちゃんと事務所に行くか?」

「っ!いく!」

「わ、ずるいよ!りゅうもいきたい!」

「こうめも!」

「ンなんだよお前らはったく…わかった!全員来い!」

「「やったぁ~♪」」

「…。お母ちゃん…1人…」

隣に座っていた母美優がポツリと呟く。『…あ。』となった皆は見えぬ汗を密かに流す。

「み、美優も来いっ…な?そうしようぜっ。」

「…それはさすがに、皆さんにご迷惑を掛けてしまいますので。…その日はお義母さんと一緒に過ごさせて頂きます。」

「あ、あぁ…そか…ん…」

『さぁみんな、もう寝ようね。』と言う母美優の表情は、その頃にはいつも通りに戻っていた。それに従い、流達は一斉に父ちゃんに抱きつく。

「とうちゃん、おやすみー!」
「おやすみなさい!」
「とうた!」

「おうお休み。ちゃんと腹出さねぇようにして寝ろよ。」

「「はーい!」」
「あい!」

こんな風に素直な所は美優に似た子らは、先んじて子供部屋に入って行った母を追ってテケテケと走って行く。

…自らは父親に参観日やら行事などには来てもらった記憶などほとんどない。だからこそ父となった自分は、能動的に子らに寄り添う事を誓い、またそう行動してきた。

「…。授業参観、ねぇ…次の時行ってみるか。何着てっかな~。」

『普通で良いですよ、普通で!』

…そんなツッコミが聞こえてきそうではあるが、いづれやってくる“次”が、妙に楽しみになった圭介はクッと笑うのだった。
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