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悪意のレイド
告白
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夏休みが近づくにつれ、カナリアの表情が暗くなっていく。
「そんなに補習が嫌か?」
「補習は別に。ずっとあってもいいくらいです」
それが本心であり、嫌なことに繋がっているのが、ウサミミを見なくてもジャッジには分かるようになっていた。
そんなカナリアを後ろから思わず抱きしめた。
「ジャ……ジャッジ……さん?」
「なぁ。どうやったらお前のその己に対する評価を上げれるんだ? あれだけ発想力が豊かなのに、どうして『何も出来ない』と言うんだ?」
「……ほんとうの、ことですから」
そんなわけない。そう言ったところで、カナリアの心に響くとは思えなかった。
「どうして、名前をカナリアにしたんだ?」
「……小さい頃、歌を歌うと、お祖父ちゃんが『カナリアの歌声』みたいで綺麗だって言ってくれたんです。今になると別の意味も含んでいたって分かります」
「それって……」
「母方のお祖父ちゃんです。私のことを気にかけて両親に対して嫌味もこめて言ってくれてたんです。母方のお祖父ちゃん、お祖母ちゃんはものすごく私を気にかけてくれて、田舎から私のためだけに引っ越してきてくれたりしたんです」
「じゃあ、今は近くに?」
「はい。お祖父ちゃんは数年前に亡くなりました。……私のせいだって、母が言ってました」
「!」
祖父の死すら、娘のせいにする母親など、見たことがない。
「時々お祖母ちゃんのところに遊びに行くのすら、両親はいい顔しません。母は『お祖母ちゃんも殺すつもりか』って一回言ってきました」
「んなわけあるか!」
「はい。お祖母ちゃんもそう言ってくれました」
どこまでも雁字搦めに、カナリアを縛りつける呪詛のような言葉。実の親に言われ続け壊れそうなのだろう。
「……なぁ」
「はい」
「できることならさ……」
後ろから抱きしめたまま、カナリアの顔を直視することが出来ない。自分の顔がどうなってるかなど、分かりきっている。
「どうしたんですか?」
言葉に詰まっていたら、カナリアが顔だけこちらに向けてきた。
「十歳以上離れたオジサンでよければ、つきあって欲しい」
この言葉を言うだけで、どれくらいの勇気がいるかカナリアは知っているのだろうか。カナリアの顔はただ驚いているだけだった。
「もう限界。会って数ヶ月でこうなるなんて思わなかった」
最初は危なっかしいと思っただけだった。ひたすら努力する姿に勇気付けられた。気がついたら、誰よりも大切な存在になっていた。
今まで誤魔化してきたが、もう限界だ。ディッチは教師としてカナリアと会っている。その時はまだ、余裕があった。ディッチの家で「TabTapS!」をカナリアと繋げられると喜んでいると、スカーレットの家から繋ぐと連絡があり、落胆した。その様子を見た、ディッチにからかわれたが。
そして、極めつけは「シュウ」という従兄の存在だ。カナリアの努力を否定し、それが現実では当たり前だというその言葉に、ジャッジは頭に血がのぼった。
ジャスティスが止めなかったら、レッドカードを食らうようなPKをしただろう。
それを簡潔に伝えると、カナリアは驚いた顔になっていた。
「私……でいいん、ですか?」
「違う、俺はカナリアじゃないと嫌だ」
凄まじい勢いでカナリアの瞳から涙がこぼれていた。
「カ……カナリア?」
「嬉しいんです。私じゃないと嫌だってジャッジさんに言ってもらえて」
泣きじゃくりながら、カナリアが言う。
「それこそ、俺でよければとしか言えない。もうすぐ三十歳になるオジサンだぞ?」
「私も、ジャッジさんがいいです」
「そりゃ光栄だ」
これを他のメンバーが見ていたら「尻がかゆくなる!」と文句をつけただろう。
ジャッジが忘れた初々しさがそこにはあった。
「そんなに補習が嫌か?」
「補習は別に。ずっとあってもいいくらいです」
それが本心であり、嫌なことに繋がっているのが、ウサミミを見なくてもジャッジには分かるようになっていた。
そんなカナリアを後ろから思わず抱きしめた。
「ジャ……ジャッジ……さん?」
「なぁ。どうやったらお前のその己に対する評価を上げれるんだ? あれだけ発想力が豊かなのに、どうして『何も出来ない』と言うんだ?」
「……ほんとうの、ことですから」
そんなわけない。そう言ったところで、カナリアの心に響くとは思えなかった。
「どうして、名前をカナリアにしたんだ?」
「……小さい頃、歌を歌うと、お祖父ちゃんが『カナリアの歌声』みたいで綺麗だって言ってくれたんです。今になると別の意味も含んでいたって分かります」
「それって……」
「母方のお祖父ちゃんです。私のことを気にかけて両親に対して嫌味もこめて言ってくれてたんです。母方のお祖父ちゃん、お祖母ちゃんはものすごく私を気にかけてくれて、田舎から私のためだけに引っ越してきてくれたりしたんです」
「じゃあ、今は近くに?」
「はい。お祖父ちゃんは数年前に亡くなりました。……私のせいだって、母が言ってました」
「!」
祖父の死すら、娘のせいにする母親など、見たことがない。
「時々お祖母ちゃんのところに遊びに行くのすら、両親はいい顔しません。母は『お祖母ちゃんも殺すつもりか』って一回言ってきました」
「んなわけあるか!」
「はい。お祖母ちゃんもそう言ってくれました」
どこまでも雁字搦めに、カナリアを縛りつける呪詛のような言葉。実の親に言われ続け壊れそうなのだろう。
「……なぁ」
「はい」
「できることならさ……」
後ろから抱きしめたまま、カナリアの顔を直視することが出来ない。自分の顔がどうなってるかなど、分かりきっている。
「どうしたんですか?」
言葉に詰まっていたら、カナリアが顔だけこちらに向けてきた。
「十歳以上離れたオジサンでよければ、つきあって欲しい」
この言葉を言うだけで、どれくらいの勇気がいるかカナリアは知っているのだろうか。カナリアの顔はただ驚いているだけだった。
「もう限界。会って数ヶ月でこうなるなんて思わなかった」
最初は危なっかしいと思っただけだった。ひたすら努力する姿に勇気付けられた。気がついたら、誰よりも大切な存在になっていた。
今まで誤魔化してきたが、もう限界だ。ディッチは教師としてカナリアと会っている。その時はまだ、余裕があった。ディッチの家で「TabTapS!」をカナリアと繋げられると喜んでいると、スカーレットの家から繋ぐと連絡があり、落胆した。その様子を見た、ディッチにからかわれたが。
そして、極めつけは「シュウ」という従兄の存在だ。カナリアの努力を否定し、それが現実では当たり前だというその言葉に、ジャッジは頭に血がのぼった。
ジャスティスが止めなかったら、レッドカードを食らうようなPKをしただろう。
それを簡潔に伝えると、カナリアは驚いた顔になっていた。
「私……でいいん、ですか?」
「違う、俺はカナリアじゃないと嫌だ」
凄まじい勢いでカナリアの瞳から涙がこぼれていた。
「カ……カナリア?」
「嬉しいんです。私じゃないと嫌だってジャッジさんに言ってもらえて」
泣きじゃくりながら、カナリアが言う。
「それこそ、俺でよければとしか言えない。もうすぐ三十歳になるオジサンだぞ?」
「私も、ジャッジさんがいいです」
「そりゃ光栄だ」
これを他のメンバーが見ていたら「尻がかゆくなる!」と文句をつけただろう。
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