初心者がVRMMOをやります(仮)

神無ノア

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悪意のレイド

頼もしい味方

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「カナリア君、紹介する。新しいギルドメンバーだ」
 年配と思われる姿をした人が四人と、少し年上の姿をした人が一人。
「ユーリと申します。現実世界では、ディッチさんの妻です」
「ほえ!?」
 カナリアは思わず声をあげた。先生は既婚者だったのか!?
「カナリア君。俺、未婚だななんて一度も言ってないよね? そして、学校で自己紹介したとき『歳の離れた妻がいます』って言ったはずなんだけど?」
 呆れたような声だが、威圧感はもの凄く恐ろしい。
「……多分、その日休んでます」
 入学早々なら、親たちに色々言われ、休んでいたことも多かった。
「あら、身体が弱いの?」
 おっとりとした風で、ユーリが訊ねてきた。それに対して、カナリアは首を振っただけだった。
「ふふふ。そうですの。いつもはエルフなんですけど、今回はドワーフにしてみました。両親もドワーフのキャラクターですし」
 そう言って、ユーリが説明をしていく。ドワーフの男性がユーリの実父なのだそうだ。名前は「パパン」。そして女性が実母。名前は「ママン」。
 何てつけ方だと思ってしまう。
「いつもはパパン、ママンなんて呼ばせてくれない人たちです。夫に触発されて、お茶目になりましたの。そして、こちらのエルフのご夫婦が、夫の両親です」
 ということは、スカーレットの両親でもあるわけで。
「私が『とと』。ディッチの父親になる。妻の『かか』だ」
 イッタイドウイウナマエノツケカタデスカ。
 一瞬にしてカナリアの頭はフリーズした。
「名前呼びすれば、親のように思われているから楽なんだそうだ。というわけでカナリア君」
「は、はいっ」
 ディッチに言われ、フリーズが溶けたカナリアは反射的に返事をした。
「五人を呼んでみたまえ!!」
 いきなりハードル高すぎです!! その言葉は発することがなかった。
「全員『さん』付けがいいと、カナリアさんが来る前に話しておりますから」
 にっこりとユーリが言い、尚更カナリアは退路を塞がれた。
「えっと……ユーリさん」
「はい」
「……パパンさん、ママンさん……、ととさん、かかさん」
「いい響きだ!」
 そういったのはととだった。
「えっと、先生にはいつもお世話になってます。それからスカーレットさんにもお世話になってます」
 ぺこりと頭を下げると、ママンが頭を撫でてきた。
「礼儀正しい子は好きですよ。あなたのことをなんと呼べばいいかしら?」
「カナリア、と呼び捨てがいいです」
「そう。わたくし、ユーリしか子供がいないの。わたくしはユーリを産んだ後、二度と子供を望めない身体になりました。だから、この世界だけでも、わたくしのもう一人の娘、もしくは孫になっていただけないかしら?」
 優しい手に、カナリアは泣きそうになった。気がついたら、パパンととと、かかにまで囲まれていた。そしてパパンの手は今は亡き、祖父の手を思い出させた。
「私、で、よければ」
 今は泣いちゃいけいない。そう思って、笑顔でカナリアはママンに答えた。
「ふむ。ということは私の娘でもあるわけだ!」
 パパンが嬉しそうに言う。
「既に番犬がいますけどね」
 ぼそりとディッチが言えば、とととかかがディッチの頭を叩いていた。
「パパンさんとママンさんの娘なら、私たちの娘でもあるわね!」
 かかが言質をとったとばかりに言い放った。
「というわけで、ジャッジ君。カナリアを泣かせた場合は四人からの報復があると思いなさい!!」
 かかの発言に、ジャッジの顔が青くなっていた。


「ある意味、年上キラーだな」
 奥でこっそりと様子を見ていたジャスティスが、ジャッジと二人になった瞬間、言い放った。
「おまっ! 見てたんなら止めろよ!!」
「俺らがディッチさんのご両親に勝てるとでも?」
 その言葉に、ジャッジは何も言えなくなった。
「しかもユーリ先輩のご両親まで気に入ると思わなかったし」
「同感だ」
 ディッチの両親は間違いなくカナリアを気に入るだろうと思っていた。誤算は、ユーリの両親である。ユーリの両親は未だにジャッジたちにいい感情を持っていなかったはずだ。
 もっとも、在学中はディッチを介さなくては話もしなかったが。

 カナリアは現在、五人のアクセサリーを作っている。急ぎで「舞踏会クエスト」のものを。それが終わったら、次は普段使いのアクセサリーを作るらしい。
 作業モードに入ったカナリアは、集中力が半端ない。つまりジャッジはお預けを食らっているのだ。
「カナリアのために素材集めてくるか? 丁度フレンドクエストで『レッドドラゴンの討伐』クエストが来てる」
「だな。ただ、もう少し面子が欲しい」
 ディッチは五人を連れてレクチャーに行っている。ジャッジとジャスティスのAIを含めても四人。少しばかり火力が足りない。
 ディスカスとスカーレットに声をかければ、ディスカスが行くという。
「その方がジャッジも安心でしょ? ディスに口説かれるんじゃないかって心配しなくてもいいし」
 仕事が終わって放心状態になったときが、一番隙が多いカナリアである。
「レット。留守番よろしく」
「ほいよ。頑張って素材取ってきて」

 ディッチが数日でマイクロバスを作ったので、今回ジャッジたちは六人乗りの車を借りて、討伐に向かった。
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