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復帰の章
感動(?)の再会
しおりを挟む今回、カナリアとジャッジが通常の移動を使うことで時間稼ぎをしたのは、ディッチだった。
まずはGMに連絡をとり、ここに「深窓の宴」のギルマスを呼ぶ許可と、簡潔に事情を話す許可を貰った。
なるべくシュウとカナリアを会わせない為である。
「遅くなりました」
レイが到着したのは、予定時間を少し過ぎていた。
「私がディッチさんに呼ばれたのを、シュウが嗅ぎつけまして。自分も行きたいと言い出したのを丸め込むのに時間がかかりました」
そういう理由なら仕方ないだろう。
「で、お宅のサブマスは今どんな感じ?」
「機嫌悪いですね。常にカリカリしてます」
「プライベートでも知り合いなんでしょ?」
「……まぁ、そうですけど」
「じゃあ、サブマスの周囲で起きていることくらいある程度知っているんじゃない?」
その言葉にレイがため息をついた。
「ある程度、ですね。マスコミが自宅を取り囲んでいるので、地元老舗ホテルの一室にシュウはいます。大学もマスコミがいたりしますので、来ない日も多いです。着替えは使用人が持って来てくれるって言ってましたが」
「……報道理由は?」
「親族の虐待とかだったと思いますね。親族ぐるみでやってたって全国紙に載っていましたし」
「そう、その被害者がカナリア君だ」
「……彼女の姿が今まで見れなかったのはそういうことですか?」
「そういうことだ。VRMMOやヘッドギアも絡んだ事件だからな。ワイドショーのほうが面白く取り上げてるだろ」
ディッチが勤める学校にもマスコミがかなり来ている。だが、今回はどちらかと言えば好意的なほうが多い。無理を通して、助けた教頭と学年主任として。
それ位で好意的に捕らえられるほうがおかしいとディッチは思う。逆にただの病気の場合は転じて批判になっていただろう。ギリギリの綱渡りをしたに過ぎない。そして、その決断を下させてくれたのは教頭だ。
さすがに、ディッチ以上に問題を抱えた子供を見ていただけはある。
「……それと、今回の呼び出し、どう関係が?」
現実世界に思考が飛んでいたディッチをレイが引き戻した。
「現在やっている舞踏会クエストについて」
ディッチの言葉で二人に緊張が走った。
「ご心配をおかけしました」
ぺこりと頭を下げたカナリアに、その場にいた全員が寄ってきた。
「無事でよかったわ」
「ママンさん、ありがとうございます」
「今の場所はどうだい?」
「すっごく快適です。トトさん」
「家主に無理難題言われていないかい?」
「おばばさんは優しいですよ?」
パパンの言葉にカナリアが返した瞬間、その場にいた全員が絶句した。そして「あの女帝が優しい!? 天変地異の前触れか?」と視線で語り合っていた。
「? 皆さん、どうしました?」
「いや……あの砂○け婆様をみて、優しいって言うのはカナリアだけだろ。あの陰険策士が」
ジャッジの言葉に、ユーリとパパンが吹いていた。
「どうしてジャッジ君は、あの方を上手に現す言葉が出てくるのかしら?」
「さぁ? 色々言われまくっているせいでしょうね」
「対等に話をしているというだけでも凄いと思うがね。それ以上に凄いのはカナリアちゃんだが」
ユーリとパパンがジャッジを褒めつつ、カナリアに驚いていた。
「ん~~。でも優しいのは本当ですから」
動くウサミミが偽りのない本心だと伝えていた。
「お、カナリア君元気そうで何より。また、ギルメンが増えるからあとで紹介するよ。ジャッジ、如何わしいことはしていないな?」
「ディッチさん、如何わしいことってなんでしょうか? 例えばこんなこととか?」
楽しそうにジャッジが返していた。そしてカナリアを抱き寄せ、髪や耳を弄繰り回し始める。
「ジャ……ジャッジさんっ」
「文句はディッチさんに。しても大丈夫……」
「んなわきゃねぇだろうが! 阿呆!!」
暴走気味なジャッジの頭をジャスティス、ディスカスが叩き、スカーレットがカナリアを引き離していた。
「あ~~あ。ウサミミまで真っ赤。まぁ、これはこれで萌えて可愛いんだけどね、でも運営にちくってイエローカードでも渡してもらおうかな」
そう言いながら、今度はスカーレットがカナリアの髪をいじりだした。
「ふぇぇぇ」
「レット! あんたは何をやってるの!」
カカが呆れて止めてきた。
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