124 / 147
復帰の章
現実世界にて〈女帝の凄さ〉
しおりを挟む舞踏クエストと聞いた昌代が張り切り、現実世界でも社交界のマナーレッスンやダンスの練習が入っていく。
ある程度の練習をVRで出来るとはいえ、昌代のレッスンは厳しかった。
「ほれ、腕が曲がっておる! 保! エスコートの仕方がなっておらん! お主らのはダンスどころか、じゃれ合ってるだけじゃ!
別のじゃれあいをするでない!!」
びしばしと檄が飛ぶ。飄々とそれをかわす保が凄いと美玖は思った。
「え? 今の言い方だと『じゃれあっても問題なし』と取れるんだけど」
「おぬしの頭の作りはどうなっておるのじゃ!? かような卑猥なこと、本当の社交界でやったらただの笑いものじゃ!!」
「あれで卑猥かぁ。……ただ、美玖の耳朶をいじ……」
「たわけ!!」
ある意味派手な口論である。そんな二人を美玖はおろおろと見ているしかない。
「……まぁまぁ。少しばかり休憩いたしましょう。そうそう、美玖様。明後日地元の教会でバザーがあるのですが、少しばかり出店しませんか?」
狭山がにこにこと入ってきた。
昌代と一緒に作ったアクセサリーは少しずつ増えている。
保が祖母から何か依頼を受けているということなので、祖母や母方親族に渡すアクセサリーも作っているが。
「お気に入りのものがありましたら、それは省いていただいて結構です。出店しますと、出展料が一律二千円。それから売り上げ金額から五%が手数料という形での寄付になります。昌代様もレースで編まれたものを数点出品なさりますし、ついでです。一度出品すると、どんなものが好まれるかも分かるでしょうし、よろしいかと思います」
どうしよう、そう思っていると保が促してきた。
「ただ出すだけだろ? 駄目なら駄目でいいじゃないか」
「……は、はい」
「でしたら、明日までにここに入れておいてください。値段はどのように?」
「……原価代……」
「かようなもので済むと思うておるのか? まぁ、慈善事業じゃ。それもありかも知れぬの。値段は狭山と三浦で決めよ」
「かしこまりました」
にこりと笑って、狭山が出て行った。
翌日。美玖は作ったものをリビングに持って来ていた。
昌代と作るときは、大半が昌代の作業部屋になる。美玖も作るのが好きだとわかった昌代は、リハビリも兼ねてと美玖の寝室の隣に作業部屋を作ってくれた。
至れり尽くせりで、逆に恐縮している。
最近、昌代に感化されてちりめんも素材として用いている。だから尚更以前よりも作業が遅くなり、ほんの数点しかない。
並べたものをみた狭山と三浦が次々に手に取ってみている。
「年齢的なものも考えると、こういった色合いの落ち着いたものがいいかもしれませんね」
「若い方もいらっしゃるでしょうから、こちらも」
二人は言い合いながら、適当に小物を見繕っていた。
「美玖様。今回はこの数点を持っていきます。ありがとうございます」
「こんなも……いえ、こういったことでお役に立てるのでしたら」
「こんなもの」と言いそうになった美玖を、二人が制した。言い直すとにこりと笑っている。
「では、またお願いするかと思います」
「はい」
昌代の作ったレース編のひざ掛けなどと一緒に出展されることになった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる