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新しいトモダチ
「深窓の宴」からの謝罪
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現在、カーティスとディッチは頭を悩ませていた。
数人何とか目星はつけたが、足りないのだ。収穫祭クエストは舞踏会クエストとまた違う賑やかさがある。「他のクエストに飽きても収穫祭クエストには飽きない」という言葉があるくらいだ。
その間一週間丸ごと時間を空けろというのだから、無理があるのも知っている。だから、日替わりで頼むことにしている。
「作戦が練りづらいですね」
「……すまん」
カーティスの言葉にディッチは素直に頭を下げた。いつ誰を配置するかもまだ決まっていない。そして「出来ることなら、収穫祭を優先したい」と言われているのだ。
唐突に、二人のタブレットが立ち上がった。
――「深窓の宴」ギルマス、レイ様より、「カエルム」ギルマス、ディッチ様、「神社仏閣を愛する会」ギルマス、カーティス様へ連絡が入っております――
ギルドカウンターを通じて、ギルマス同士の連絡が入ってきたのだ。
「……で、何の用かな?」
理由はいくつか考えられるが、あえてそ知らぬふりをした。
『指名依頼拒否の件です』
「だとしたら、俺は関係ないんじゃないか? 『深窓の宴』に何も依頼したことはない」
しれっと、ディッチは返した。
『失礼しました。“名月クエスト”の件と言ったほうがよかったですか?』
やはりか、とディッチとカーティスは顔を見合わせた。
『先日謝罪に出向いて、元うちのサブマスがかなり失礼を働いていたことを知りました。そして、多額に金額を吹っかけていたことも』
「その話なら、もうしてもらいたくないのですよ。こちらは利害の一致で一緒に組むだけですから」
カーティスも話し合い拒絶を示す。こうなることが分かったからこそ、ギルドカウンターを通じての会話にしたのだろう。
『戦力が足りない、ということはありますか?』
「それこそ、おたくさんたちには関係ないんじゃないか?」
『ディッチさん。確かにそうかもしれません。今回我々は一日一万Pで請け負うつもりで用意を……』
「レイ。一つ言っておくがな、信用ってのは金じゃないんだ。今まで放置していたツケだろ? どう考えても十万Pはぼったくり。しかもレイド戦で手を抜くなんざどういう考えだ?」
『……馬鹿な』
「事実だ。非戦闘ギルドである『神社仏閣を愛する会』で一日に倒す巨大一角兎は一羽。それに対して、おたくらが十二人で倒すのが一羽から二羽。おかしいだろ?」
レイが絶句しているのが分かった。
「だからですよ、二度と頼まないと言っているのは。最悪我々だけでも一日二羽は倒せる数字になっておりますから」
それでは足りないと言うのは、あえて口に出さないでおいた。
『……お願いします。一度でいい。我々が汚名返上する機会をください』
「だったら尚更、俺に言うのが間違いだろうが。『神社仏閣を愛する会』に言うべきじゃないのか?」
レイが謝罪すべきなのは、カーティスである。何故ディッチに向かって謝るのかが分からない。
ぷつん、と途切れた会話は、「深窓の宴」本部に沈黙をもたらした。
どうしたものか。何をすればいいのか。今更カーティスに向けて言ったところで「それがどうした?」になるだろう。
「……マリル諸島まで行ってくる」
「俺もいく」
サイレンの言葉にシュウがすぐさま同意した。
「いつでも俺と連絡を取れるようにしてくれ。……本来ならば俺が行かなきゃいけない話だ。それから、シュウ」
絶対にカナリアのことで言質を取られないように。それだけを伝えた。
これ以上の失態を犯すわけにはいかない。
たかが二十歳の子供が背負うには大きすぎる話だった。
数人何とか目星はつけたが、足りないのだ。収穫祭クエストは舞踏会クエストとまた違う賑やかさがある。「他のクエストに飽きても収穫祭クエストには飽きない」という言葉があるくらいだ。
その間一週間丸ごと時間を空けろというのだから、無理があるのも知っている。だから、日替わりで頼むことにしている。
「作戦が練りづらいですね」
「……すまん」
カーティスの言葉にディッチは素直に頭を下げた。いつ誰を配置するかもまだ決まっていない。そして「出来ることなら、収穫祭を優先したい」と言われているのだ。
唐突に、二人のタブレットが立ち上がった。
――「深窓の宴」ギルマス、レイ様より、「カエルム」ギルマス、ディッチ様、「神社仏閣を愛する会」ギルマス、カーティス様へ連絡が入っております――
ギルドカウンターを通じて、ギルマス同士の連絡が入ってきたのだ。
「……で、何の用かな?」
理由はいくつか考えられるが、あえてそ知らぬふりをした。
『指名依頼拒否の件です』
「だとしたら、俺は関係ないんじゃないか? 『深窓の宴』に何も依頼したことはない」
しれっと、ディッチは返した。
『失礼しました。“名月クエスト”の件と言ったほうがよかったですか?』
やはりか、とディッチとカーティスは顔を見合わせた。
『先日謝罪に出向いて、元うちのサブマスがかなり失礼を働いていたことを知りました。そして、多額に金額を吹っかけていたことも』
「その話なら、もうしてもらいたくないのですよ。こちらは利害の一致で一緒に組むだけですから」
カーティスも話し合い拒絶を示す。こうなることが分かったからこそ、ギルドカウンターを通じての会話にしたのだろう。
『戦力が足りない、ということはありますか?』
「それこそ、おたくさんたちには関係ないんじゃないか?」
『ディッチさん。確かにそうかもしれません。今回我々は一日一万Pで請け負うつもりで用意を……』
「レイ。一つ言っておくがな、信用ってのは金じゃないんだ。今まで放置していたツケだろ? どう考えても十万Pはぼったくり。しかもレイド戦で手を抜くなんざどういう考えだ?」
『……馬鹿な』
「事実だ。非戦闘ギルドである『神社仏閣を愛する会』で一日に倒す巨大一角兎は一羽。それに対して、おたくらが十二人で倒すのが一羽から二羽。おかしいだろ?」
レイが絶句しているのが分かった。
「だからですよ、二度と頼まないと言っているのは。最悪我々だけでも一日二羽は倒せる数字になっておりますから」
それでは足りないと言うのは、あえて口に出さないでおいた。
『……お願いします。一度でいい。我々が汚名返上する機会をください』
「だったら尚更、俺に言うのが間違いだろうが。『神社仏閣を愛する会』に言うべきじゃないのか?」
レイが謝罪すべきなのは、カーティスである。何故ディッチに向かって謝るのかが分からない。
ぷつん、と途切れた会話は、「深窓の宴」本部に沈黙をもたらした。
どうしたものか。何をすればいいのか。今更カーティスに向けて言ったところで「それがどうした?」になるだろう。
「……マリル諸島まで行ってくる」
「俺もいく」
サイレンの言葉にシュウがすぐさま同意した。
「いつでも俺と連絡を取れるようにしてくれ。……本来ならば俺が行かなきゃいけない話だ。それから、シュウ」
絶対にカナリアのことで言質を取られないように。それだけを伝えた。
これ以上の失態を犯すわけにはいかない。
たかが二十歳の子供が背負うには大きすぎる話だった。
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