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6.面接
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「ようこそ〈ヒーローズ〉本部へ!左遷ファイター君。」
ニコリと微笑む美人所長。恥ずかしい自作ヒーローネームを晒された栄太郎は悶えた。
「な、なぜその名前を知っているんですか...」
「む?だって履歴書に書いてあったじゃないか。左遷ファイターって。いや~、最近のヒーローは気どったような洒落た名前をつけたがるからね。左遷ファイターなんて外聞をかなぐり捨てたような名前をつけるなんてどんな男か早く会いたかったんだよ。左遷ファイター...うむ、いい名前だ。」
何度もトラウマネームを連呼されて栄太郎のメンタルはボロボロである。
「もう勘弁してください...二度と社会復帰できそうにない...。それより履歴書って何ですか?そんなもの書いた覚えないんスけど。」
「あ、僕が代わりに書いてあげたんだ。朝の公園で君が怪人と戦ってるのを見かけてね。これは期待の新人だと思ってすぐに履歴書書いて所長に送ったんだ。優しいだろ?」
ニヤニヤしながらそう語る良に栄太郎は殺意を覚えた。
「てめぇ!人の黒歴史を広めてそんなに楽しいか!この腹黒イケメンが!」
もつれあってじゃれ合う2人を見て所長は静かに微笑んだ。
(こんなに楽しそうな良を見るのは久しぶりだな...)
「所長、笑ってないで助けてくださいよぉ」
「ふふふ、そうだな。それではそろそろ面接を始めようか。左遷ファイター君。」
(てか面接あんのかよ!そしてその名前は決定なのか...)
色々と複雑な栄太郎である。
「それでは最初の質問だ。君にとっての理想のヒーロー像を教えてくれ。」
「理想のヒーロー像...ですか...」
今でこそやる気のない成人男性と成り果てた栄太郎だったが、幼い少年だったころは正義感に満ち溢れていた。テレビの中で悪と戦うヒーローに憧れ、自分もいつかこんな風にかっこよく悪を倒したいと本気でそう思っていた。
「...俺にとっての理想のヒーローは、世の中の悪を憎み、弱きを助け強きを挫き、すべての人たちが平和に暮らせるような社会を守る。そんな圧倒的な力を持った存在のことです!」
「...うむ、立派な答えだ。では次の質問に移ろう...」
その後何回か正義に関する問答を繰り返し面接は終了した。
「なかなか立派な正義を持っているようだしヒーローの素質としては十分だろう。おめでとう。君は今日からうちのヒーローだ。」
「マジっすか!ありがとうございます!これから一生懸命ヒーローとして頑張ります!...で、具体的にヒーローって何をすればいいんですか?」
「む?良から何も聞いてないのか?」
「いやだなぁ栄太郎。ちゃんと来るとき説明しただろ?僕たちヒーローは指定の日時に指定の場所に行って〈怪人カンパニー〉から派遣された社員と戦うことによって給料をもらってるって。」
「そういえばそんなこと言ってたな。ん、待てよ。てことは仕事に正義とかまったく関係なくないか?怪人と待ち合わせて人前で戦うとか何か事務的だし...」
「うむ、面接で聞いた内容はすべて私の趣味だ!変身できる時点で君の採用はすでに決まっているようなものなのだ。」
(...とんだ時間の無駄遣いじゃねぇか!)
この会社にまともなやつはいないのかもしれないと栄太郎は薄々感じ始めた。
「そういえば何で怪人と戦ったら給料もらえるんですか?お金が発生する仕組みがよくわからないんスけど」
「あぁ、簡単に説明するとヒーローが怪人を倒すことによってそれを見ている人の道徳観や正義感を揺さぶり未来の犯罪を予防しようという国家プロジェクトなんだ。だから給料は国からの補助金という形で支給されているよ。」
「な、なんだって!?」
思っていたより話が大きくてビックリな栄太郎!
どうなる次回!
ニコリと微笑む美人所長。恥ずかしい自作ヒーローネームを晒された栄太郎は悶えた。
「な、なぜその名前を知っているんですか...」
「む?だって履歴書に書いてあったじゃないか。左遷ファイターって。いや~、最近のヒーローは気どったような洒落た名前をつけたがるからね。左遷ファイターなんて外聞をかなぐり捨てたような名前をつけるなんてどんな男か早く会いたかったんだよ。左遷ファイター...うむ、いい名前だ。」
何度もトラウマネームを連呼されて栄太郎のメンタルはボロボロである。
「もう勘弁してください...二度と社会復帰できそうにない...。それより履歴書って何ですか?そんなもの書いた覚えないんスけど。」
「あ、僕が代わりに書いてあげたんだ。朝の公園で君が怪人と戦ってるのを見かけてね。これは期待の新人だと思ってすぐに履歴書書いて所長に送ったんだ。優しいだろ?」
ニヤニヤしながらそう語る良に栄太郎は殺意を覚えた。
「てめぇ!人の黒歴史を広めてそんなに楽しいか!この腹黒イケメンが!」
もつれあってじゃれ合う2人を見て所長は静かに微笑んだ。
(こんなに楽しそうな良を見るのは久しぶりだな...)
「所長、笑ってないで助けてくださいよぉ」
「ふふふ、そうだな。それではそろそろ面接を始めようか。左遷ファイター君。」
(てか面接あんのかよ!そしてその名前は決定なのか...)
色々と複雑な栄太郎である。
「それでは最初の質問だ。君にとっての理想のヒーロー像を教えてくれ。」
「理想のヒーロー像...ですか...」
今でこそやる気のない成人男性と成り果てた栄太郎だったが、幼い少年だったころは正義感に満ち溢れていた。テレビの中で悪と戦うヒーローに憧れ、自分もいつかこんな風にかっこよく悪を倒したいと本気でそう思っていた。
「...俺にとっての理想のヒーローは、世の中の悪を憎み、弱きを助け強きを挫き、すべての人たちが平和に暮らせるような社会を守る。そんな圧倒的な力を持った存在のことです!」
「...うむ、立派な答えだ。では次の質問に移ろう...」
その後何回か正義に関する問答を繰り返し面接は終了した。
「なかなか立派な正義を持っているようだしヒーローの素質としては十分だろう。おめでとう。君は今日からうちのヒーローだ。」
「マジっすか!ありがとうございます!これから一生懸命ヒーローとして頑張ります!...で、具体的にヒーローって何をすればいいんですか?」
「む?良から何も聞いてないのか?」
「いやだなぁ栄太郎。ちゃんと来るとき説明しただろ?僕たちヒーローは指定の日時に指定の場所に行って〈怪人カンパニー〉から派遣された社員と戦うことによって給料をもらってるって。」
「そういえばそんなこと言ってたな。ん、待てよ。てことは仕事に正義とかまったく関係なくないか?怪人と待ち合わせて人前で戦うとか何か事務的だし...」
「うむ、面接で聞いた内容はすべて私の趣味だ!変身できる時点で君の採用はすでに決まっているようなものなのだ。」
(...とんだ時間の無駄遣いじゃねぇか!)
この会社にまともなやつはいないのかもしれないと栄太郎は薄々感じ始めた。
「そういえば何で怪人と戦ったら給料もらえるんですか?お金が発生する仕組みがよくわからないんスけど」
「あぁ、簡単に説明するとヒーローが怪人を倒すことによってそれを見ている人の道徳観や正義感を揺さぶり未来の犯罪を予防しようという国家プロジェクトなんだ。だから給料は国からの補助金という形で支給されているよ。」
「な、なんだって!?」
思っていたより話が大きくてビックリな栄太郎!
どうなる次回!
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