11 / 34
破
Ⅳ, B3
しおりを挟む
Ⅳ、「B3」
ユーリと同じ『BLUE ROSE』――NORA
雪とノラを中心に人垣が割れる。
血糊。
警察を呼ぶ声。
雪は喧騒の中、刺されたはずの背に痛みがないことを不思議に感じていた。
「やれやれ、王様もメフィスト様も人遣いが荒いからヤなんだ」
背後から聞こえるのは知らない少年の声だった。
「お前……邪魔するな!!」
「邪魔するよ。お前のせいで俺まで働かせられてんだよ? しかも刺されたし。もう治ったけど一張羅が破れた。謝れよ」
雪はどうやらこの少年のおかげで助かったらしい。触角のような髪がぴょこぴょこと揺れる、ぶかぶかの迷彩柄のパーカーを着た少年だ。
「君は……?」
「俺? ベルフェゴール。面倒だからB3でいいよ。王様の命令でお兄さんを護るように言われて影に入っていた魔族」
「エル達はノラの襲撃を予見していたってこと?」
「うん。魔眼のバロールで『異界』を覗いていたら、この単純な『BLUE ROSE』が犬神に踊らされたみたい」
緊張感が皆無で気だるい雰囲気の魔族は、パーカーの背が破れていた。さっきの血糊はB3のもののようだが、もう傷は無い。
怠惰を装っているが、素早い反射神経と驚異の回復力――。
(……こいつ、戦闘特化型か……!!)
怒りに支配されていた頭も、B3の態度で冷静になっていく。
戦闘特化型だと言う以外、この魔族の実力が読めない。ここにユーリと魔王、四将まで加わったら厄介だと判断したノラは、大きな舌打ちを漏らす。
手に持っていたナイフを捨て、その場を離脱しようとしたら、ノラの足元に青い魔法陣が浮かび上がって――消えた。
「おー、さすがメフィスト様。うまく釣れた」
空を仰いだB3は感嘆の声を上げるが、まったく感動が伝わってこない。雪も空を見上げると、ノラを連れ去った魔法陣と同じ青い光が雲にいくつも映っている。なにが起こっているのかよく解らないが、雪はとりあえず助けられたらしい。
「命令とは言え、僕を助けてくれたんだよね? ありがとう」
「気にしないでよ。どうせ、俺、これからもお兄さんの護衛役にされそうだし」
どういう意味かと、雪がB3に尋ねようとしたら「雪くん!!」とユーリが汗だくになりながら駆け寄ってきた。
「何とも無い!?」
「うん。ノラが来たけど、彼が助けてくれたから平気」
「……よか、った……!! 雪くんを護ってくれてありがとう。えっと……」
「ベルフェゴール。はじめまして、お嬢さん」
雪に紹介されたユーリよりも十センチほど身長の低いパーカーとだぼついたズボンの少年は、半分閉じかけた眠そうな眼をして、ユーリに挨拶をした。
「ご苦労、ベルフェゴール」
「王様、隔離は成功したみたいだね」
「ああ、ユーリ、状況を説明するから耳を貸せ」
ユーリにも何が起こっているのか、さっぱり解らなかったので、エルの説明があるのはありがたい。しかし、なにも情報共有されていなかった点については文句が先に出た。
「私に無断でなにをしたのよ」
「お前に話したら雪を狙っていたノラが釣れなかった。だから黙っていただけだ」
「……ったく、雪くんに怪我が無かったからよしとするけど、ベルフェゴールの存在すら知らされていなくて肝が冷えたわよ」
「ベルフェゴールは戦闘特化型の魔族だ。本来なら四将に加えてもおかしくない実力を有しているんだが……」
「B3でいいよ。俺、できるだけ働きたくないんだよね」
「この通り、怠惰と睡眠にしか興味がない。だから、これからも雪の護衛にしておく」
「だからそういう話を私抜きでしないでって言ってるの!!」
『魔界』の連中は一癖も二癖もあるが、B3は最たるものだ。ともあれ、エルとメフィストの企みが解らない今は雪の護衛の存在はありがたい。
「護衛くらいなら働いてあげる。その代わり、お役御免になったら十年は眠らせてもらうよ」
どこまでも我が道を行くB3の行動予測は不可能だが、実力は折り紙付きだとユーリは安堵する。
「それにしても、『魔界』の主戦力をこんなにも『異界侵攻』に割いて大丈夫なの?」
魔王であるエルことルシファー、宰相メフィストをくわえた四将、そしてベルフェゴール――これでは『魔界』に目標を変更されてもおかしくはない。そう考えたユーリの思考を読んだのか、エルは「だからノラを隔離したんだ」と平然と答えた。
「一度来たお前ならわかるだろう。『魔界』は環境自体が特殊だ。本来なら、『魔界』は門をくぐることすら敵わん。メフィストが趣味であちこちに自発的に発動する術や呪詛が数え切れないほどある」
ゆえに、ノラを除いた『異界』勢が襲ってこようが痛くもかゆくもない。エルは暗にそうほのめかす。
確かに『魔界』の環境は厳しい。酸の雨、入れない門、地雷原のような術と呪詛に覆われた世界。つくづくユーリはエルに「導かれた」のだと実感する。
「『異界』の主戦力はノラに依存している。私が『聖騎士』となったように」
「そういうことだ。で、本題だが、ノラと同時にニューヨークから半径五十キロメートル以内に身を隠していた『異界』の連中をメフィストが作り出した即席の亜空間に閉じ込めてある」
「つまり――今度こそ犬神に邪魔はさせん。血祭りの開催だ」
エルの目が爛々と輝く。その場にいる全員がぞくりと鳥肌を立てた。だが、これは魔王ルシファーの本性の一端でしかないのだろう。
◇
ノヴォシビルスクの雪原よりも真白の世界には果てが無かった。怒りに目がくらんで、まんまとルシファーの罠にかかってしまった浅はかな自身が愚かだ。結局はユーリの婚約者も仕留め損ねた。
「くそっ……!! これじゃあまるで」
そこまで言いかけて、ノラははっとした。
――まるで魔王と父さんの掌の上で踊らされているようだ。
「そもそも、父さんはなぜあんな話をボクにしたんだ……?」
ノラがユーリに固執するのは、もしかしたらただ一人の理解者になってくれるかもしれない。あわよくば、ボクを愛してくれるかもしれない。そう想っていたからだ。
「ま、さか……いや、そんな馬鹿な……だってボクは『異界』の主戦力だ。父さんにとっても、貴重な駒のはず……」
ノラと同様にここに連れてこられた『異界』の者達は気を失って倒れている。
「そうだ……こんな惰弱な連中とボクは違う……」
ひたすら自身にそう言い聞かせるノラをくつくつと笑う声があった。
「誰だ!!」
「実に滑稽だな、ノラ」
「――ルシファー!!」
髪も、衣装も、存在すら漆黒の男は愉快そうに歩み寄ってくる。ノラはルシファーと、彼に護られながら歩いてくるユーリに視線を移す。
「ユーリ……」
「そろそろ考えがまとまった頃かと思って来てみれば、同じ『BLUE ROSE』でもお前はユーリよりも単純だな。こちらとしては扱いやすくてありがたい」
「……なにが言いたい」
「気づきかけている真実を俺に委ねるのか? まあ、祭の開始合図にはもってこいだな。少々悪趣味なのが玉にキズだが」
エルがわざとノラを煽っているとは、ノラ以外の全員が気づいている。気づいていながら真実を口にしないのは同情からだ。
少なくともユーリは『そう』だ。しかし、エルを始めとする『魔界』勢はおそらくノラに一片も同情すらない。エルは今から行われるのは祭だと言った。
ならば、さしずめノラは祭に差し出される生贄と言える。
「おそらく犬神の思考回路に最も近いのは俺だ。外道を極めている。だから『魔界』と『異界』の交渉は決裂した。神界と人界を壊した後で、どちらが生き残るかの戦争が始まるのが予見できたからだ。予見できるようなつまらない未来を俺は欲していない――いいか、ノラ。今回、お前は利用された。父親である犬神にな」
「やめろ!! 聞きたくない!! ボクは、ボクこそが『異界』の尖兵筆頭であり、父さんの手足だ!!」
薙刀をエルに振り下ろしたノラの叫びは痛々しいほどに震えていた。だが、手甲剣でノラの一撃をあっさりと受け止めたエルは白い歯を覗かせる。
「めでたい頭だ。ノヴォシビルスクから三日しか経っていないのに、なぜこの地に行くように仕向けられたのかもわからんのか? 言っておくが、ユーリは『あの娘』とは違うぞ」
ニューヨーク、ユーリ、『あの娘』――すべてが繋がったノラは息をのんだ。
その隙をついて、エルは受け止めていた薙刀ごとノラを吹き飛ばした。
「……なぜ、お前が知っている……?」
「うちの宰相と使い魔は優秀だからな。過去を探るなど息をするように容易い。わざわざ犬神がノヴォシビルスクで意味深な言葉を残して行ったし、奴の計画に乗ってやったのさ」
エルとノラの話についていけないユーリは、こっそりとメフィストのカソックを引っ張った。
「どういうこと? 話がさっぱり解らない」
「なぜノラがたった三日で攻めてきたか……すべては犬神の思惑であり、ノラは利用されたにすぎません。お嬢様はノラがなぜあなたに固執するのか、ご存知ですか?」
メフィストの今更すぎる質問にユーリは怪訝な顔をする。
「私が『BLUE ROSE』だからじゃないの? 同胞が私しかいないから……」
「当たらずとも遠からず、と申しておきましょう。しかし、あなたも鈍いですね。婚約者殿しか目に入っていないせいでしょうか」
メフィストの呆れ交じりの言に、カチンときたユーリは「あんたは一言多いわよ」と返す。
「まあいい。王とノラも膠着状態です――長い話になりますが、今のうちにノラの過去について話しておくとしましょうか」
――メフィストは「始まりは十七年前です」と昔語りを始めた。
to be continued...
ユーリと同じ『BLUE ROSE』――NORA
雪とノラを中心に人垣が割れる。
血糊。
警察を呼ぶ声。
雪は喧騒の中、刺されたはずの背に痛みがないことを不思議に感じていた。
「やれやれ、王様もメフィスト様も人遣いが荒いからヤなんだ」
背後から聞こえるのは知らない少年の声だった。
「お前……邪魔するな!!」
「邪魔するよ。お前のせいで俺まで働かせられてんだよ? しかも刺されたし。もう治ったけど一張羅が破れた。謝れよ」
雪はどうやらこの少年のおかげで助かったらしい。触角のような髪がぴょこぴょこと揺れる、ぶかぶかの迷彩柄のパーカーを着た少年だ。
「君は……?」
「俺? ベルフェゴール。面倒だからB3でいいよ。王様の命令でお兄さんを護るように言われて影に入っていた魔族」
「エル達はノラの襲撃を予見していたってこと?」
「うん。魔眼のバロールで『異界』を覗いていたら、この単純な『BLUE ROSE』が犬神に踊らされたみたい」
緊張感が皆無で気だるい雰囲気の魔族は、パーカーの背が破れていた。さっきの血糊はB3のもののようだが、もう傷は無い。
怠惰を装っているが、素早い反射神経と驚異の回復力――。
(……こいつ、戦闘特化型か……!!)
怒りに支配されていた頭も、B3の態度で冷静になっていく。
戦闘特化型だと言う以外、この魔族の実力が読めない。ここにユーリと魔王、四将まで加わったら厄介だと判断したノラは、大きな舌打ちを漏らす。
手に持っていたナイフを捨て、その場を離脱しようとしたら、ノラの足元に青い魔法陣が浮かび上がって――消えた。
「おー、さすがメフィスト様。うまく釣れた」
空を仰いだB3は感嘆の声を上げるが、まったく感動が伝わってこない。雪も空を見上げると、ノラを連れ去った魔法陣と同じ青い光が雲にいくつも映っている。なにが起こっているのかよく解らないが、雪はとりあえず助けられたらしい。
「命令とは言え、僕を助けてくれたんだよね? ありがとう」
「気にしないでよ。どうせ、俺、これからもお兄さんの護衛役にされそうだし」
どういう意味かと、雪がB3に尋ねようとしたら「雪くん!!」とユーリが汗だくになりながら駆け寄ってきた。
「何とも無い!?」
「うん。ノラが来たけど、彼が助けてくれたから平気」
「……よか、った……!! 雪くんを護ってくれてありがとう。えっと……」
「ベルフェゴール。はじめまして、お嬢さん」
雪に紹介されたユーリよりも十センチほど身長の低いパーカーとだぼついたズボンの少年は、半分閉じかけた眠そうな眼をして、ユーリに挨拶をした。
「ご苦労、ベルフェゴール」
「王様、隔離は成功したみたいだね」
「ああ、ユーリ、状況を説明するから耳を貸せ」
ユーリにも何が起こっているのか、さっぱり解らなかったので、エルの説明があるのはありがたい。しかし、なにも情報共有されていなかった点については文句が先に出た。
「私に無断でなにをしたのよ」
「お前に話したら雪を狙っていたノラが釣れなかった。だから黙っていただけだ」
「……ったく、雪くんに怪我が無かったからよしとするけど、ベルフェゴールの存在すら知らされていなくて肝が冷えたわよ」
「ベルフェゴールは戦闘特化型の魔族だ。本来なら四将に加えてもおかしくない実力を有しているんだが……」
「B3でいいよ。俺、できるだけ働きたくないんだよね」
「この通り、怠惰と睡眠にしか興味がない。だから、これからも雪の護衛にしておく」
「だからそういう話を私抜きでしないでって言ってるの!!」
『魔界』の連中は一癖も二癖もあるが、B3は最たるものだ。ともあれ、エルとメフィストの企みが解らない今は雪の護衛の存在はありがたい。
「護衛くらいなら働いてあげる。その代わり、お役御免になったら十年は眠らせてもらうよ」
どこまでも我が道を行くB3の行動予測は不可能だが、実力は折り紙付きだとユーリは安堵する。
「それにしても、『魔界』の主戦力をこんなにも『異界侵攻』に割いて大丈夫なの?」
魔王であるエルことルシファー、宰相メフィストをくわえた四将、そしてベルフェゴール――これでは『魔界』に目標を変更されてもおかしくはない。そう考えたユーリの思考を読んだのか、エルは「だからノラを隔離したんだ」と平然と答えた。
「一度来たお前ならわかるだろう。『魔界』は環境自体が特殊だ。本来なら、『魔界』は門をくぐることすら敵わん。メフィストが趣味であちこちに自発的に発動する術や呪詛が数え切れないほどある」
ゆえに、ノラを除いた『異界』勢が襲ってこようが痛くもかゆくもない。エルは暗にそうほのめかす。
確かに『魔界』の環境は厳しい。酸の雨、入れない門、地雷原のような術と呪詛に覆われた世界。つくづくユーリはエルに「導かれた」のだと実感する。
「『異界』の主戦力はノラに依存している。私が『聖騎士』となったように」
「そういうことだ。で、本題だが、ノラと同時にニューヨークから半径五十キロメートル以内に身を隠していた『異界』の連中をメフィストが作り出した即席の亜空間に閉じ込めてある」
「つまり――今度こそ犬神に邪魔はさせん。血祭りの開催だ」
エルの目が爛々と輝く。その場にいる全員がぞくりと鳥肌を立てた。だが、これは魔王ルシファーの本性の一端でしかないのだろう。
◇
ノヴォシビルスクの雪原よりも真白の世界には果てが無かった。怒りに目がくらんで、まんまとルシファーの罠にかかってしまった浅はかな自身が愚かだ。結局はユーリの婚約者も仕留め損ねた。
「くそっ……!! これじゃあまるで」
そこまで言いかけて、ノラははっとした。
――まるで魔王と父さんの掌の上で踊らされているようだ。
「そもそも、父さんはなぜあんな話をボクにしたんだ……?」
ノラがユーリに固執するのは、もしかしたらただ一人の理解者になってくれるかもしれない。あわよくば、ボクを愛してくれるかもしれない。そう想っていたからだ。
「ま、さか……いや、そんな馬鹿な……だってボクは『異界』の主戦力だ。父さんにとっても、貴重な駒のはず……」
ノラと同様にここに連れてこられた『異界』の者達は気を失って倒れている。
「そうだ……こんな惰弱な連中とボクは違う……」
ひたすら自身にそう言い聞かせるノラをくつくつと笑う声があった。
「誰だ!!」
「実に滑稽だな、ノラ」
「――ルシファー!!」
髪も、衣装も、存在すら漆黒の男は愉快そうに歩み寄ってくる。ノラはルシファーと、彼に護られながら歩いてくるユーリに視線を移す。
「ユーリ……」
「そろそろ考えがまとまった頃かと思って来てみれば、同じ『BLUE ROSE』でもお前はユーリよりも単純だな。こちらとしては扱いやすくてありがたい」
「……なにが言いたい」
「気づきかけている真実を俺に委ねるのか? まあ、祭の開始合図にはもってこいだな。少々悪趣味なのが玉にキズだが」
エルがわざとノラを煽っているとは、ノラ以外の全員が気づいている。気づいていながら真実を口にしないのは同情からだ。
少なくともユーリは『そう』だ。しかし、エルを始めとする『魔界』勢はおそらくノラに一片も同情すらない。エルは今から行われるのは祭だと言った。
ならば、さしずめノラは祭に差し出される生贄と言える。
「おそらく犬神の思考回路に最も近いのは俺だ。外道を極めている。だから『魔界』と『異界』の交渉は決裂した。神界と人界を壊した後で、どちらが生き残るかの戦争が始まるのが予見できたからだ。予見できるようなつまらない未来を俺は欲していない――いいか、ノラ。今回、お前は利用された。父親である犬神にな」
「やめろ!! 聞きたくない!! ボクは、ボクこそが『異界』の尖兵筆頭であり、父さんの手足だ!!」
薙刀をエルに振り下ろしたノラの叫びは痛々しいほどに震えていた。だが、手甲剣でノラの一撃をあっさりと受け止めたエルは白い歯を覗かせる。
「めでたい頭だ。ノヴォシビルスクから三日しか経っていないのに、なぜこの地に行くように仕向けられたのかもわからんのか? 言っておくが、ユーリは『あの娘』とは違うぞ」
ニューヨーク、ユーリ、『あの娘』――すべてが繋がったノラは息をのんだ。
その隙をついて、エルは受け止めていた薙刀ごとノラを吹き飛ばした。
「……なぜ、お前が知っている……?」
「うちの宰相と使い魔は優秀だからな。過去を探るなど息をするように容易い。わざわざ犬神がノヴォシビルスクで意味深な言葉を残して行ったし、奴の計画に乗ってやったのさ」
エルとノラの話についていけないユーリは、こっそりとメフィストのカソックを引っ張った。
「どういうこと? 話がさっぱり解らない」
「なぜノラがたった三日で攻めてきたか……すべては犬神の思惑であり、ノラは利用されたにすぎません。お嬢様はノラがなぜあなたに固執するのか、ご存知ですか?」
メフィストの今更すぎる質問にユーリは怪訝な顔をする。
「私が『BLUE ROSE』だからじゃないの? 同胞が私しかいないから……」
「当たらずとも遠からず、と申しておきましょう。しかし、あなたも鈍いですね。婚約者殿しか目に入っていないせいでしょうか」
メフィストの呆れ交じりの言に、カチンときたユーリは「あんたは一言多いわよ」と返す。
「まあいい。王とノラも膠着状態です――長い話になりますが、今のうちにノラの過去について話しておくとしましょうか」
――メフィストは「始まりは十七年前です」と昔語りを始めた。
to be continued...
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―
酒の飲めない飲んだくれ
ファンタジー
俺は一度、終わりを迎えた。
でも――もう一度だけ、生きてみようと思った。
女神に導かれ、空の海を旅する青年。
特別な船と、「影」の船員たちと共に、無限の空を渡る。
絶望の果てに与えられた“過剰な恩恵”。
それは、ひとりの女神の「願い」から生まれたものだった。
彼の旅路はやがて、女神の望みそのものを問い直す。
――絶望の果て、その先から始まる、再生のハイファンタジー戦記。
その歩みが世界を、そして自分自身を変えていく。
これは、ただの俺の旅の物語。
『祈りの果てに ― 無限の箱庭で笑う者 ―』
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
アロマおたくは銀鷹卿の羽根の中。~召喚されたらいきなり血みどろになったけど、知識を生かして楽しく暮らします!
古森真朝
ファンタジー
大学生の理咲(りさ)はある日、同期生・星蘭(せいら)の巻き添えで異世界に転移させられる。その際の着地にミスって頭を打ち、いきなり流血沙汰という散々な目に遭った……が、その場に居合わせた騎士・ノルベルトに助けられ、どうにか事なきを得る。
怪我をした理咲の行動にいたく感心したという彼は、若くして近衛騎士隊を任される通称『銀鷹卿』。長身でガタイが良い上に銀髪蒼眼、整った容姿ながらやたらと威圧感のある彼だが、実は仲間想いで少々不器用、ついでに万年肩凝り頭痛持ちという、微笑ましい一面も持っていた。
世話になったお礼に、理咲の持ち込んだ趣味グッズでアロマテラピーをしたところ、何故か立ちどころに不調が癒えてしまう。その後に試したノルベルトの部下たちも同様で、ここに来て『じゃない方』の召喚者と思われた理咲の特技が判明することに。
『この世界、アロマテラピーがめっっっっちゃ効くんだけど!?!』
趣味で極めた一芸は、異世界での活路を切り開けるのか。ついでに何かと手を貸してくれつつ、そこそこ付き合いの長い知人たちもびっくりの溺愛を見せるノルベルトの想いは伝わるのか。その背景で渦巻く、王宮を巻き込んだ陰謀の行方は?
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる