人狼ゲーム『Selfishly -エリカの礎-』

半沢柚々

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『腸』――1日目

009.『目覚め』

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本堂 空太
「…………………………」

 ――――く……た……。

(誰かに呼ばれてる声がする)

本堂 空太
「…………………………」

 ――――い……おき……、……たっ!

(なんだ? なんだか体調が悪いんだ……。
 ………………母さん?
 いや、ちょっと勘弁、もう少し寝かせて……)

本堂 空太
「…………………………」

 ――――……た、く……た、

(母さん……うるさいって、静かにしてよ)

 ――――く……たっ……!

本堂 空太
(あれ、ちょっと待って。
 この声ってどう考えても母さんじゃ――)

間宮 果帆
「くうたあああああ!!!」

本堂 空太
「うわあーーー!!?」

間宮 果帆
「起きろっつーの! あ、起きたかよ」

本堂 空太
(…………間宮果帆。
 付き合って一年になる俺の彼女だ)

「っつぅ、ちょっとどうしたんだよ、大声出して。
 てか今耳キーンてしたから、耳キーンて」

(母さんと勘違いした俺も俺もだけどね)

間宮 果帆
「…………………………」

本堂 空太
「っ、てぇ……つーか、なんか頭いてーんだけど……」

間宮 果帆
「………………たんこぶ出来てる」

本堂 空太
「え、マジ?
 …………て、ゆーか。

 なにこれ? なんでみんな寝てんの……」

間宮 果帆
「知らないけど、あたしが一番最初に目覚めたみたい。
 ……起こさなきゃな」

本堂 空太
「え、ちょ――、…………っ!」
(なんかよくわかんないけど、これは……普通じゃない)

本堂 空太
「いや、うん! そうだね、起こそう!」

間宮 果帆
「美海、……美海、……美海……」

本堂 空太
(果帆は白百合たちか。じゃあ俺はあっちを)

白百合 美海
「――!! あ、か、果帆……
 っ、首が痛い……っ」

間宮 果帆
「大丈夫?」

白百合 美海
「うん、ありがと……」

間宮 果帆
「たぶんスタンガンでやられたんだ」

白百合 美海
「え? スタンガンって、いったい……」

間宮 果帆
「ごめん、話は後。みんな起こして」

白百合 美海
「え?」
**(なんだか果帆の様子がおかしい。
 いったいどうしたの?)**

白百合 美海
「――――――!!」
**(え、みんな……え、なんで倒れてるの?
 生きてるよね!?)**

白百合 美海
「え? え?
 あ、アキラ! 朔也!」

道明寺 晶
「っ、……美海?」
**(なに泣きそうな顔してんだよ……相変わらず可愛いやつ……。
 って、そんな冗談言ってる場合じゃないみたいだな)**

乃木坂 朔也
「………………?」
**(美海……?
 美海に起こされるなんてどんな状況だよ?
 確か……俺は……)**

道明寺 晶
「……なんだ、この状況」

本堂 空太
(筒井……よだれ垂らして寝てる……。
 もう! 一番しっかりしてほしい奴がぐーすか寝てんなって!)

「つ、つ、い! 生、徒、会、長! 起、き、て!
 ほら! お、前、ら、も!」

筒井 惣子郎
「…………ん?」
**(眩しい……朝、か?)**

小田切 冬司
「…………え?」
**(冷たい感触……なんで床なんかで)**

目黒 結翔
「…………あ?」
**(もう少し寝かせろよ)**

竜崎 圭吾
「…………ふぁ?」
**(なんかすっげー嫌な夢見た……)**

目黒 結翔
「ってぇ、背中いてぇ」

竜崎 圭吾
「俺は頭なんですけど……頭もげてない?」

小田切 冬司
「もげてないみたいだよ」

本堂 空太
(こんなときにこいつらは相変わらずだな)

筒井 惣子郎
「待て、……おかしいぞ、この状況」

本堂 空太
「ごめん、俺も起きたばかりで、全然……」
(俺に目で訴えられても……)

間宮 果帆
「……由絵、……勝平」

八木沼 由絵
「ふえ~? あ~果帆、おはよ~」
**(なーんか怖い顔してる……、
 けど気にしな~い)**

千景 勝平
「いてて……はあ? どこだ、ここは」
**(つーか、俺、飲み物買おうとしてなかったか?
 ……そうだ、あの時、変なやつらに!)**

白百合 美海
「花菜! サキちゃん! 起きて!」

乃木坂 朔也
「直斗、おい」

有栖川 直斗
「んぁ? っ……つぅ」
**(最悪の目覚めだ……)

道明寺 晶
「大丈夫か?」

有栖川 直斗
「あ、ああ……」

小日向 花菜
「美海……?
 え、な……、――――っ!」
**(そうだ、思い出した。確か――)**
「サ、サキ!」

和歌野 岬
「……花菜? いったい、どうしたと言うの?」
**(そんなに泣きそうな顔をしないで?)**

小日向 花菜
「よ、良かった……サキ……」

和歌野 岬
「………………?

 っ――――――!」

筒井 惣子郎
「七瀬、佐倉」

佐倉 小桃
「………………?」

七瀬 和華
「筒井くん…………?
 わ、たし……お買い物してて……それで……」
**(思い出せない……どうしたんだったかしら?)**

佐倉 小桃
「…………あ」
**(あ……よくわからないけど、乃木坂くんがいる……少し嬉しいな。
 でも……なんかみんな、顔が強張ってる)**
「みんな……どうしたの?」

道明寺 晶
「これで、全員か」

乃木坂 朔也
「ああ、そうみたいだな」

本堂 空太
(みんな、元クラスメイトだ。三年間同じ教室で過ごした、仲間だ)





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