【完結】残機✕2の殺人

暗闇坂九死郞

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第二部 転移 (二〇二四年十一月)

第25話

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 夏目なつめ雷太らいたは困り果てていた。
 先月の誘拐事件といい、今回の殺人事件といい、こうも訳のわからない事件が立て続けに起こると頭がどうにかなりそうだった。かといってどちらも実際に死人が出ている事件なので、警察としてはそれなりに捜査しなければならない。

 しかも、どうやらこの二つの事件は関連しているようなのである。
 殺されていた瀬川累次の部屋から身代金の五千万円が発見されたときは、流石の夏目も腰を抜かした。

 何故あれがこんなところにあるのか、皆目見当もつかない。
 そして、瀬川を殺した犯人は何故金に手を付けなかったのか?
 五千万円は持ち去るには確かにかさばるが、それでも少しも持っていかないというのは不自然だ。逃走するときに目立った荷物を持ちたくなかったとしても、ポケットに入る分だけでも持って行きたいと思うのが人情ではないか?

 それから謎の銃創だ。
 死体は胸を銃で撃たれていたのに、その弾丸がどこからも見つからない。弾丸が身体を貫通して、それを犯人が拾って持ち去ったと考えれば一応辻褄は合いそうだが、死体に残された銃創に貫通した形跡はない。弾丸はどこに消えたのか?

 ここまででも夏目としては十分頭が痛いのだが、一番の頭痛の種はやはり密室だろう。

 ――密室。
 全くもってふざけている。犯人は木製の扉の内側からわざわざ養生テープで目張りしており、窓は板を釘で打ち付けて塞いでいた。

 これでは犯人はどこへも逃げることはできない筈だ。
 犯人はどうやって密室を抜け出したのか?
 というか、そもそも殺害現場を密室にする意図がわからない。瀬川は胸を撃たれて殺されており、凶器の拳銃も現場にないことから、他殺であることは明らかだ。自殺に偽装するわけでもないのに、密室を作る意味がない。

 夏目は本日何度目かのため息をついた。
 どうやらこの事件の捜査は自分には荷が重いようだ。

 ――こうなれば、あの男を呼ぶしかない。
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