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夢を叶えたいならば、相互オナニーは必修科目です!
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草むらの影。
誰にも見られない場所――そう思っていたけど、ズボンを下ろして勇作の拡張器具に手を伸ばしかけた、その瞬間。
「流石に、外でやんのはやめといた方が良くない?」
ビクリ、と肩が跳ねる。
声の主――孝四郎。
こっちを見下ろすメガネが西陽を反射してギラリと光っていた。
「……なぁ、孝四郎、いつから敬語やめたんだっけ?」
自分でも脈絡のないことを口走ってる。
恥ずかしさを隠すための、言葉遊び。
孝四郎は少し眉をしかめて、でも、どこか冷静な顔。
「倫太郎が言ったんでしょ。タメ語でいいって。……ってか、ズボンあげなよ」
手で合図されて、慌てて下ろしかけたズボンを引き上げる。
マンキニの締め付けが、急に窮屈に感じる。
「ってか、お前今日はやけに冷静だなー。いつもなら混ざるところじゃん」
勇作が軽く笑いながら問いかける。
孝四郎は、肩をすくめて、
「まぁ、外じゃなかったらね」
「お、じゃあトイレ行く?」
勇作がすぐに調子に乗る。
孝四郎はため息混じりに、
「この前警察に注意されたばっかじゃん。声でかいって」
「……あー」
思い出す。
“事情はお察ししますが、もう少しお声を……”
淡々とした警察官の声。
変態の現行犯扱いされなかったのが奇跡だった。
あのときの恥ずかしさといったら、今思い出しても汗が滲む。
けど、それでも。
尻の奥の器具がズリズリと動くたびに、
さっきまでの性的興奮が一気に蘇る。
どうしようもなく、体が“抜きたがっている”。
理性が声をかけてくるのを待てずに、
つい孝四郎のマンキニ越しの股間に手を伸ばしていた。
「……? なんで、勃起してねーの?」
マジで不思議だった。
俺なら、今みたいな状況――
目の前で男二人が勃起して、息荒くして、草むらで露出しあって、それだけで確実にギンギンだ。
孝四郎は、すっと視線を逸らし、
「いや、個人差はあるでしょ。でも、そうだね……今日は薬断ちしてるからかな」
「薬……断ち?え?それって、フェロモンの……?」
勇作が首をかしげる。
「うん。フェロモン抑制剤。昨日から飲んでない」
孝四郎があっさりと言ったその瞬間、あの日――講義で見せられたビデオの光景が鮮明に蘇る。
全裸でよがり狂うオメガ、群がる男たち、白濁まみれの乱交パーティー。
講師の説明も頭をよぎる。
――オメガが薬でフェロモンをコントロールしなければ、ああやって周囲を巻き込むことになる。
万が一暴走した場合、すべての責任はオメガに降りかかる。
夢を叶えるどころか、学校も退学処分、社会的にも終わりだろう。
「え、なんでだよ。危なくね?」
俺は思わず声を荒げた。
孝四郎は少し肩をすくめて、
「まぁ、リスクはないわけじゃないけどさ……」
その目は妙に落ち着いていて、逆に不安を煽る。
「そうだろ。だって、もし、あのビデオみたいになったら……」
言葉に詰まる。
ケツの奥が、なぜかゾワッと疼いた。
勇作も真顔になる。
「あぁなったらさ、部活どころか、人生詰みだろ」
「……でもさ、飲むことにもまた、リスクはあるじゃない?」
孝四郎が呟いたその言葉が、俺の頭に妙に残った。
「え?リスクって?」
勇作が訊く。
孝四郎はため息混じりに、呆れた顔。
「……呆れた。何も調べてないんだね」
「なんだよ、リスクって」
俺も勇作も、思わず顔を見合わせる。
孝四郎はちょっと睨むような目で俺たちを見ると、
「倫太郎も?はぁ……二人とも、薬を飲み始めてからどう?変わったこと、あるでしょ」
勇作が少し悩んだような顔をして、
「変わったこと……うーん……」
俺は即答だった。
「性欲、強くなった」
「だよね」
孝四郎はすぐに同意した。
「でも、なんでそうなる?ってか、これの何がリスクだって言うんだ?」
「んー、そもそも、なんでフェロモンって出るんだっけ?」
孝四郎がじっと俺たちを見る。
勇作が拡張手帳の内容を思い出すように、
「生殖上の不利?ってやつを覆すためだろ。手帳にも書いてた」
「そうそう。オメガは妊娠できる。でも普通に生きてたらなかなか遺伝子を授かれない。男の見た目だしね」
孝四郎は淡々と説明する。
――あの講義で聞いた話。
生殖上の不利。
フェロモンで本能を誘引し、セックスに持ち込むことで生き残ってきたオメガ。
「そう、フェロモンによって男たちを誘惑することで、セックスにありつけるよう進化したわけだ。
じゃあ、これを無理やり抑制するとどうなると思う?」
俺と勇作は、言葉が詰まる。
そのとき、孝四郎が俺のチンコをがっしりと掴んだ。
「っ……!」
一瞬、呼吸が止まる。
そのまま、孝四郎の手が上下にゆっくりとさすり始める。
ぬるり、ぬちゃりと、布越しに伝わる生々しい熱。
「自身の性欲を促進することでカバーしようとするんだ。生殖上の不利をね」
孝四郎の手は止まらない。
俺のチンコは瞬時に硬さを増していく。
ズクン、ズクンと脈打つたびに、拡張器具が肛門の内側をピリピリと刺激してくる。
「え……そんな副作用……」
息が荒くなる。
孝四郎は、俺の様子をじっと見ながら頷く。
勇作が、ぽつりと呟いた。
「でも、性欲が強くなるってだけなら、他の誰にも迷惑かけないだろ?抜いたら良くね?」
孝四郎は、鼻で笑うように短く答える。
「まぁ、オメガとして、オメガらしく人生を終えていいなら、それで十分だね。でも、夢を叶えたいなら――話は変わってくる」
「え?」
俺は思わず聞き返す。
孝四郎は真面目な顔で言葉を続ける。
「んー、オメガになると、つまりは子宮が形成されると、その成長にリソースが取られて、普遍的な人としての能力が削がれていく。と、されている。ここまではOK?」
「おう」
実際、思い当たる節がある。
この前のシュートミス――今までの俺なら絶対やらない。
なぜか集中できなかった。
孝四郎は続ける。
「で、だいたいオメガになってから、最初の一年でIQで10程度下がり、運動能力は15%減。そう言われてる。でもそれって、子宮が成長するから?」
「じゃねーの? そこに栄養取られるんだろ?」
当たり前みたいに思ってた。
孝四郎が首を振る。
「でも、知能が低下するって、ちょっと変な話だと思わない?」
勇作が、眉をしかめて、
「確かにな。今まで解けてた問題が解けなくなるってことだろ?それはちょっと変だ」
孝四郎が、ふっと小さく笑った。
「そう。なら、なんで知能や能力の低下が起こるのかって話だけど――」
いきなり、孝四郎の手がギュッと俺のチンコを握りしめる。
「うあっ……やめっ……!」
孝四郎は俺の顔を真っ直ぐ見据えて、
「端的に言うとさ、これで頭がいっぱいになるからなんだよ」
「え、は?」
何を言ってるのかわからなくて、情けない声が出る。
孝四郎は、そのまま少し力を強めてさすり上げる。
「オメガの本能と、抑制剤の副作用の掛け合わせで、快楽のことしか考えられなくなる。そのせいで、僕らはバカになるし、走れなくなるんだよ」
「なっ……」
信じられない。
けど、心のどこかで、なんとなく納得してしまう。
確かに、最近は練習中も授業中も、気づけばケツ穴が疼いて、射精のことしか考えられなくなってる。
勇作が苦笑いして、
「たしかに……最近“集中”って単語自体が頭から消えてるかも」
自分のマンキニの上からぼりぼり掻く仕草をする。
孝四郎は、俺のチンコを指先で弄びながら呟く。
「でも、抜いた後に残るのは、一瞬の開放感だけ。すぐまたムラムラが襲ってきて、もう何もかもどうでもよくなる。
頭の中が“抜く”ことだけで埋め尽くされるから、他のことがどんどん遠ざかってく。
それが“オメガの知能低下”の正体。抑制剤が本能を逆撫でして、結果、僕らは“オナニーのことしか考えられない生き物”にされていく。人間をやめさせられるんだよ」
孝四郎に手コキされながら、このまま最後までやってもらいたい――本能はそう叫んでいる。
でも、快楽のことしか考えられなくなる。その果てに、オメガは“人”じゃなくなってしまう。孝四郎の言葉が胸の奥で反響する。
――なら。
少しだけ名残惜しく、俺は孝四郎の手をチンコから引き離した。
ぬるっと、亀頭に絡む残り香がやけに熱い。
「……なぁ、逆に、性欲を抑える薬とかねーの? それを飲めば……」
俺はわずかな希望にすがるように聞いてみる。
孝四郎は、すぐに否定する。
「そうするとさ、逆にフェロモンが促進されるんだ。オメガの性欲とフェロモンは、表裏一体。」
「同時に飲むとか……」
「意味ないよ。片方を押さえると、片方が膨れ上がる。薬を飲む前の状態になるだけだ」
勇作が眉をひそめて、
「……わかった。でも、強姦剤で逮捕されるよりはマシじゃね?」
「それもそうだ。性犯罪者になるよりは……まだ。でも、あんな暴走を引き起こさずに済むなら――」
孝四郎は遠くの空を見て呟く。
「僕も逮捕はされたくないよ。でも、あのビデオみたいな惨状になるのはさ、ヒートが薬断ちにかぶったタイミングがほとんどらしいんだ」
ヒート。
およそ三ヶ月に一度、オメガに訪れる生理のような期間。
爆発的にフェロモンと性欲が増す――“発情”の季節。
「ヒートのタイミングはだいたい読めるしね。そこさえ外せばいい……と思ってる」
勇作が首をかしげる。
「タイミング読むって?」
「……その、一昨日ヒートだったからさ。もー、一日中シコってたよ」
「うわ……それはそれで大変そう」
孝四郎が、サラッと恥ずかしいことを言うものだから、俺も勇作もつられて吹き出す。
「だから、あと二ヶ月は安心でしょ」
孝四郎は淡々としている。
――なるほど。ヒートは三ヶ月周期。その直後なら、しばらくは暴走リスクなし。
筋は通る。
孝四郎が、ほんの少しだけ自信ありげに言う。
「ってわけで、夢を叶えたい僕たちに朗報だ。ヒートのタイミングさえ掴んで薬を控えれば、能力の低下は最小限に抑えられる」
勇作が感心したように手を叩く。
「……おぉ! なるほどな」
「でも、リスキーだよな……」
そう思いつつも、“俺たちに残された希望”の輪郭が、うっすらと見えてきた気がした。
思い出す。紅白試合。イージーなシュートを外した自分。
プロバスケットボールプレイヤーになりたい。いや、ならなきゃいけない。そのために、負けるわけにはいかない。
でも、最近は性欲に飲み込まれっぱなしだ。拡張器具をいじることしか考えられなくなる。抑制剤のせいで、本来の自分を失いかけてる気がする。
そんなのは、絶対にダメだ。
孝四郎が、唐突に言う。
「……じゃ、そろそろ抜いちゃおっか」
え?と思う間もなく、孝四郎はズボンを脱いでマンキニ姿になる。
「え? は? お前が外はやめとけって……」
孝四郎は陽気に笑う。
「もう暗くなってきたし、いいでしょ。河川敷で人も通らないし」
確かに、周りはいつの間にか闇に沈んでいる。通行人なんて一人もいない。
孝四郎が拡張器具を握ったまま、やたら理知的な顔で続ける。
「今のうちに抜ききりたいんだよね。その方が、後で夢のための勉強に集中できるしさ」
その言葉、めちゃくちゃ分かる。
たっぷり射精した後じゃないと、頭の中にモヤモヤとした何かが残って、バスケだろうが勉強だろうが、全然集中できない。
孝四郎が俺の顔を覗き込む。
「倫太郎も、抜いた後のがパフォーマンス良くない?」
「……まぁ、確かに……」
あっさり認めてしまう。
自分がどれだけ“抜くこと”に振り回されてるか、言葉にされるとちょっと情けない。でも、それが事実だ。
孝四郎はにやりと笑い、
「でしょ?夢のための相互オナニーだよ」
“夢のため”――
どんな正当化やねん、と思いながらも、もう心の方は受け入れ体制バッチリだ。
勇作はというと、すでに服を脱ぎ捨てていた。
「じゃ、やるかー!」
「お前、脱ぐの早いな……」
勇作は股間のマンキニをグイッと引っ張って、
「さっさと抜いて、さっさと帰って自主練したいしな! ほら、倫太郎も脱げよ! 夢のために、脱げー!」
「……わあったよ!」
俺がもたもたしている間に、孝四郎が手際よく俺のズボンを下ろす。
「倫太郎、マンキニびっしょびしょじゃん」
孝四郎がイジワルそうに言う。
「お前がチンコ握ったりしてたからだろ!」
思わず怒鳴るが、下半身は正直だ。マンキニの薄い布地に汁が染みている。
勇作が覗き込む。
「うわ、倫太郎のちんこ、ガチガチだな。俺もさっきからやべーよ」
孝四郎も負けじと、
「二人とも、“抜く”時はしっかり快楽に集中しないとね。オメガらしくさ」
そう言って、三人とも並んでマンキニをずらす。
草の匂い、夜風のひんやりした感触、そのなかで、
ズチュッ、ヌチュッ……ビチャ、ビチャ、ジュルル……濃密な音が闇に溶けていく。
勇作がピストン運動しながら、
「はぁっ、くそ、外でやるのってやべーな」
孝四郎も、
「倫太郎、さっきより硬くなってない?」
「うるせぇ……っ、んあっ……!」
俺もつい声が漏れる。
みんなで互いの拡張器具をいじり合う。
ぐっぽ、ぐっぽ、ズチュズチュ……。
尻穴からは汁が溢れ、チンコはガッチガチに脈打っている。
「っ、はぁ……あぁっ……!」
全員で尻をほじり、
「あ゛っ、出るっ……」
ビュルルルルッ、ドピュ、ドピュピュッ。
草の上に白濁が飛び散り、マンキニは今日もグチョグチョ。
息を切らしながら三人で寝転がる。
「……なんだこれ」
「ほんとに、俺たち、何やってんだろな」
「でも、抜いた後の方が、やっぱちょっとスッキリするね」
夜風がちょっとだけ冷たくて、でも、どこか“同志”としての安心感がじんわり広がる。
「……夢、諦めたくないな」
「当たり前だろ」
「だね」
びしょびしょのマンキニのまま、真っ暗な河川敷で笑い合う俺たちオメガ三人。
バカみたいだけど、それでも、この時間だけは、少しだけ誇らしかった。
誰にも見られない場所――そう思っていたけど、ズボンを下ろして勇作の拡張器具に手を伸ばしかけた、その瞬間。
「流石に、外でやんのはやめといた方が良くない?」
ビクリ、と肩が跳ねる。
声の主――孝四郎。
こっちを見下ろすメガネが西陽を反射してギラリと光っていた。
「……なぁ、孝四郎、いつから敬語やめたんだっけ?」
自分でも脈絡のないことを口走ってる。
恥ずかしさを隠すための、言葉遊び。
孝四郎は少し眉をしかめて、でも、どこか冷静な顔。
「倫太郎が言ったんでしょ。タメ語でいいって。……ってか、ズボンあげなよ」
手で合図されて、慌てて下ろしかけたズボンを引き上げる。
マンキニの締め付けが、急に窮屈に感じる。
「ってか、お前今日はやけに冷静だなー。いつもなら混ざるところじゃん」
勇作が軽く笑いながら問いかける。
孝四郎は、肩をすくめて、
「まぁ、外じゃなかったらね」
「お、じゃあトイレ行く?」
勇作がすぐに調子に乗る。
孝四郎はため息混じりに、
「この前警察に注意されたばっかじゃん。声でかいって」
「……あー」
思い出す。
“事情はお察ししますが、もう少しお声を……”
淡々とした警察官の声。
変態の現行犯扱いされなかったのが奇跡だった。
あのときの恥ずかしさといったら、今思い出しても汗が滲む。
けど、それでも。
尻の奥の器具がズリズリと動くたびに、
さっきまでの性的興奮が一気に蘇る。
どうしようもなく、体が“抜きたがっている”。
理性が声をかけてくるのを待てずに、
つい孝四郎のマンキニ越しの股間に手を伸ばしていた。
「……? なんで、勃起してねーの?」
マジで不思議だった。
俺なら、今みたいな状況――
目の前で男二人が勃起して、息荒くして、草むらで露出しあって、それだけで確実にギンギンだ。
孝四郎は、すっと視線を逸らし、
「いや、個人差はあるでしょ。でも、そうだね……今日は薬断ちしてるからかな」
「薬……断ち?え?それって、フェロモンの……?」
勇作が首をかしげる。
「うん。フェロモン抑制剤。昨日から飲んでない」
孝四郎があっさりと言ったその瞬間、あの日――講義で見せられたビデオの光景が鮮明に蘇る。
全裸でよがり狂うオメガ、群がる男たち、白濁まみれの乱交パーティー。
講師の説明も頭をよぎる。
――オメガが薬でフェロモンをコントロールしなければ、ああやって周囲を巻き込むことになる。
万が一暴走した場合、すべての責任はオメガに降りかかる。
夢を叶えるどころか、学校も退学処分、社会的にも終わりだろう。
「え、なんでだよ。危なくね?」
俺は思わず声を荒げた。
孝四郎は少し肩をすくめて、
「まぁ、リスクはないわけじゃないけどさ……」
その目は妙に落ち着いていて、逆に不安を煽る。
「そうだろ。だって、もし、あのビデオみたいになったら……」
言葉に詰まる。
ケツの奥が、なぜかゾワッと疼いた。
勇作も真顔になる。
「あぁなったらさ、部活どころか、人生詰みだろ」
「……でもさ、飲むことにもまた、リスクはあるじゃない?」
孝四郎が呟いたその言葉が、俺の頭に妙に残った。
「え?リスクって?」
勇作が訊く。
孝四郎はため息混じりに、呆れた顔。
「……呆れた。何も調べてないんだね」
「なんだよ、リスクって」
俺も勇作も、思わず顔を見合わせる。
孝四郎はちょっと睨むような目で俺たちを見ると、
「倫太郎も?はぁ……二人とも、薬を飲み始めてからどう?変わったこと、あるでしょ」
勇作が少し悩んだような顔をして、
「変わったこと……うーん……」
俺は即答だった。
「性欲、強くなった」
「だよね」
孝四郎はすぐに同意した。
「でも、なんでそうなる?ってか、これの何がリスクだって言うんだ?」
「んー、そもそも、なんでフェロモンって出るんだっけ?」
孝四郎がじっと俺たちを見る。
勇作が拡張手帳の内容を思い出すように、
「生殖上の不利?ってやつを覆すためだろ。手帳にも書いてた」
「そうそう。オメガは妊娠できる。でも普通に生きてたらなかなか遺伝子を授かれない。男の見た目だしね」
孝四郎は淡々と説明する。
――あの講義で聞いた話。
生殖上の不利。
フェロモンで本能を誘引し、セックスに持ち込むことで生き残ってきたオメガ。
「そう、フェロモンによって男たちを誘惑することで、セックスにありつけるよう進化したわけだ。
じゃあ、これを無理やり抑制するとどうなると思う?」
俺と勇作は、言葉が詰まる。
そのとき、孝四郎が俺のチンコをがっしりと掴んだ。
「っ……!」
一瞬、呼吸が止まる。
そのまま、孝四郎の手が上下にゆっくりとさすり始める。
ぬるり、ぬちゃりと、布越しに伝わる生々しい熱。
「自身の性欲を促進することでカバーしようとするんだ。生殖上の不利をね」
孝四郎の手は止まらない。
俺のチンコは瞬時に硬さを増していく。
ズクン、ズクンと脈打つたびに、拡張器具が肛門の内側をピリピリと刺激してくる。
「え……そんな副作用……」
息が荒くなる。
孝四郎は、俺の様子をじっと見ながら頷く。
勇作が、ぽつりと呟いた。
「でも、性欲が強くなるってだけなら、他の誰にも迷惑かけないだろ?抜いたら良くね?」
孝四郎は、鼻で笑うように短く答える。
「まぁ、オメガとして、オメガらしく人生を終えていいなら、それで十分だね。でも、夢を叶えたいなら――話は変わってくる」
「え?」
俺は思わず聞き返す。
孝四郎は真面目な顔で言葉を続ける。
「んー、オメガになると、つまりは子宮が形成されると、その成長にリソースが取られて、普遍的な人としての能力が削がれていく。と、されている。ここまではOK?」
「おう」
実際、思い当たる節がある。
この前のシュートミス――今までの俺なら絶対やらない。
なぜか集中できなかった。
孝四郎は続ける。
「で、だいたいオメガになってから、最初の一年でIQで10程度下がり、運動能力は15%減。そう言われてる。でもそれって、子宮が成長するから?」
「じゃねーの? そこに栄養取られるんだろ?」
当たり前みたいに思ってた。
孝四郎が首を振る。
「でも、知能が低下するって、ちょっと変な話だと思わない?」
勇作が、眉をしかめて、
「確かにな。今まで解けてた問題が解けなくなるってことだろ?それはちょっと変だ」
孝四郎が、ふっと小さく笑った。
「そう。なら、なんで知能や能力の低下が起こるのかって話だけど――」
いきなり、孝四郎の手がギュッと俺のチンコを握りしめる。
「うあっ……やめっ……!」
孝四郎は俺の顔を真っ直ぐ見据えて、
「端的に言うとさ、これで頭がいっぱいになるからなんだよ」
「え、は?」
何を言ってるのかわからなくて、情けない声が出る。
孝四郎は、そのまま少し力を強めてさすり上げる。
「オメガの本能と、抑制剤の副作用の掛け合わせで、快楽のことしか考えられなくなる。そのせいで、僕らはバカになるし、走れなくなるんだよ」
「なっ……」
信じられない。
けど、心のどこかで、なんとなく納得してしまう。
確かに、最近は練習中も授業中も、気づけばケツ穴が疼いて、射精のことしか考えられなくなってる。
勇作が苦笑いして、
「たしかに……最近“集中”って単語自体が頭から消えてるかも」
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「でも、抜いた後に残るのは、一瞬の開放感だけ。すぐまたムラムラが襲ってきて、もう何もかもどうでもよくなる。
頭の中が“抜く”ことだけで埋め尽くされるから、他のことがどんどん遠ざかってく。
それが“オメガの知能低下”の正体。抑制剤が本能を逆撫でして、結果、僕らは“オナニーのことしか考えられない生き物”にされていく。人間をやめさせられるんだよ」
孝四郎に手コキされながら、このまま最後までやってもらいたい――本能はそう叫んでいる。
でも、快楽のことしか考えられなくなる。その果てに、オメガは“人”じゃなくなってしまう。孝四郎の言葉が胸の奥で反響する。
――なら。
少しだけ名残惜しく、俺は孝四郎の手をチンコから引き離した。
ぬるっと、亀頭に絡む残り香がやけに熱い。
「……なぁ、逆に、性欲を抑える薬とかねーの? それを飲めば……」
俺はわずかな希望にすがるように聞いてみる。
孝四郎は、すぐに否定する。
「そうするとさ、逆にフェロモンが促進されるんだ。オメガの性欲とフェロモンは、表裏一体。」
「同時に飲むとか……」
「意味ないよ。片方を押さえると、片方が膨れ上がる。薬を飲む前の状態になるだけだ」
勇作が眉をひそめて、
「……わかった。でも、強姦剤で逮捕されるよりはマシじゃね?」
「それもそうだ。性犯罪者になるよりは……まだ。でも、あんな暴走を引き起こさずに済むなら――」
孝四郎は遠くの空を見て呟く。
「僕も逮捕はされたくないよ。でも、あのビデオみたいな惨状になるのはさ、ヒートが薬断ちにかぶったタイミングがほとんどらしいんだ」
ヒート。
およそ三ヶ月に一度、オメガに訪れる生理のような期間。
爆発的にフェロモンと性欲が増す――“発情”の季節。
「ヒートのタイミングはだいたい読めるしね。そこさえ外せばいい……と思ってる」
勇作が首をかしげる。
「タイミング読むって?」
「……その、一昨日ヒートだったからさ。もー、一日中シコってたよ」
「うわ……それはそれで大変そう」
孝四郎が、サラッと恥ずかしいことを言うものだから、俺も勇作もつられて吹き出す。
「だから、あと二ヶ月は安心でしょ」
孝四郎は淡々としている。
――なるほど。ヒートは三ヶ月周期。その直後なら、しばらくは暴走リスクなし。
筋は通る。
孝四郎が、ほんの少しだけ自信ありげに言う。
「ってわけで、夢を叶えたい僕たちに朗報だ。ヒートのタイミングさえ掴んで薬を控えれば、能力の低下は最小限に抑えられる」
勇作が感心したように手を叩く。
「……おぉ! なるほどな」
「でも、リスキーだよな……」
そう思いつつも、“俺たちに残された希望”の輪郭が、うっすらと見えてきた気がした。
思い出す。紅白試合。イージーなシュートを外した自分。
プロバスケットボールプレイヤーになりたい。いや、ならなきゃいけない。そのために、負けるわけにはいかない。
でも、最近は性欲に飲み込まれっぱなしだ。拡張器具をいじることしか考えられなくなる。抑制剤のせいで、本来の自分を失いかけてる気がする。
そんなのは、絶対にダメだ。
孝四郎が、唐突に言う。
「……じゃ、そろそろ抜いちゃおっか」
え?と思う間もなく、孝四郎はズボンを脱いでマンキニ姿になる。
「え? は? お前が外はやめとけって……」
孝四郎は陽気に笑う。
「もう暗くなってきたし、いいでしょ。河川敷で人も通らないし」
確かに、周りはいつの間にか闇に沈んでいる。通行人なんて一人もいない。
孝四郎が拡張器具を握ったまま、やたら理知的な顔で続ける。
「今のうちに抜ききりたいんだよね。その方が、後で夢のための勉強に集中できるしさ」
その言葉、めちゃくちゃ分かる。
たっぷり射精した後じゃないと、頭の中にモヤモヤとした何かが残って、バスケだろうが勉強だろうが、全然集中できない。
孝四郎が俺の顔を覗き込む。
「倫太郎も、抜いた後のがパフォーマンス良くない?」
「……まぁ、確かに……」
あっさり認めてしまう。
自分がどれだけ“抜くこと”に振り回されてるか、言葉にされるとちょっと情けない。でも、それが事実だ。
孝四郎はにやりと笑い、
「でしょ?夢のための相互オナニーだよ」
“夢のため”――
どんな正当化やねん、と思いながらも、もう心の方は受け入れ体制バッチリだ。
勇作はというと、すでに服を脱ぎ捨てていた。
「じゃ、やるかー!」
「お前、脱ぐの早いな……」
勇作は股間のマンキニをグイッと引っ張って、
「さっさと抜いて、さっさと帰って自主練したいしな! ほら、倫太郎も脱げよ! 夢のために、脱げー!」
「……わあったよ!」
俺がもたもたしている間に、孝四郎が手際よく俺のズボンを下ろす。
「倫太郎、マンキニびっしょびしょじゃん」
孝四郎がイジワルそうに言う。
「お前がチンコ握ったりしてたからだろ!」
思わず怒鳴るが、下半身は正直だ。マンキニの薄い布地に汁が染みている。
勇作が覗き込む。
「うわ、倫太郎のちんこ、ガチガチだな。俺もさっきからやべーよ」
孝四郎も負けじと、
「二人とも、“抜く”時はしっかり快楽に集中しないとね。オメガらしくさ」
そう言って、三人とも並んでマンキニをずらす。
草の匂い、夜風のひんやりした感触、そのなかで、
ズチュッ、ヌチュッ……ビチャ、ビチャ、ジュルル……濃密な音が闇に溶けていく。
勇作がピストン運動しながら、
「はぁっ、くそ、外でやるのってやべーな」
孝四郎も、
「倫太郎、さっきより硬くなってない?」
「うるせぇ……っ、んあっ……!」
俺もつい声が漏れる。
みんなで互いの拡張器具をいじり合う。
ぐっぽ、ぐっぽ、ズチュズチュ……。
尻穴からは汁が溢れ、チンコはガッチガチに脈打っている。
「っ、はぁ……あぁっ……!」
全員で尻をほじり、
「あ゛っ、出るっ……」
ビュルルルルッ、ドピュ、ドピュピュッ。
草の上に白濁が飛び散り、マンキニは今日もグチョグチョ。
息を切らしながら三人で寝転がる。
「……なんだこれ」
「ほんとに、俺たち、何やってんだろな」
「でも、抜いた後の方が、やっぱちょっとスッキリするね」
夜風がちょっとだけ冷たくて、でも、どこか“同志”としての安心感がじんわり広がる。
「……夢、諦めたくないな」
「当たり前だろ」
「だね」
びしょびしょのマンキニのまま、真っ暗な河川敷で笑い合う俺たちオメガ三人。
バカみたいだけど、それでも、この時間だけは、少しだけ誇らしかった。
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篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
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※他サイトにも掲載
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