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現実逃避
しおりを挟む中型の竜翼機で移動中、修理から戻ってきたばかりの大剣をじっと見つめる
大剣には今までなかった印が刻まれている。
いや、その印は最初からあったのだ。その印は何度も修復される過程で塗りつぶされ表面から消されてしまっていた。
だが、今回修理に出した時、破損した箇所の下からその印がふたたび現れる事になった
楕円形の輪が3つ重なるように描かれている、どことなく鎖に似ているような‥‥‥
印が現れたのとは別に、もう一つ大剣についての出来事がある、それは以前の形とは少し異なる物へと変わることになる
それは‥‥‥新しくなった
いや‥‥修理したのに新しくなったという言い方は可笑しいだろうが、実際そうなんだから仕方ない、以前よりも幅・厚みが一回り小さくなってしまった
「これ違うやん」
鍛冶屋に文句を言ってみたが、鍛冶屋曰く━━
「この形が本来の剣の姿になる、以前のこの剣は誰がやったか知らないが、へたくそな修理のしすぎで分厚くなっていただけだ。つまりただのツギハギ修理だ。
幅が小さくなっているが、以前と重さは変わらないし、リーチも変わらない、逆に前よりも頑丈になったぞ‥‥それと、魔力を通してみろ」
「魔力を通せって‥‥おっ?」
言われた通り剣に魔力を通すと、うっすらとだが刃先が紫色に輝いている
「お前の持っている刀を参考にした。剣の中に魔鉱石を流し込んである、魔鉱石は『硬化』が付与しある部分に繋がっていて、魔力を流している間は、剣の強度が通常の『硬化』よりも増すようになっている、お前は元々『重力』魔法を使って剣の重さを変えていたようだが、その『重力』も中に仕込んである。
『硬化』と『重力』、二つの魔法に魔力を流す事になるが‥‥お前は器用らしいからな、それ位出来るだろう?」
・・・・・
・・・・・
引き取った大剣を実際に使ってみると、以前よりもかなり扱いやすくなっているのが分かった。
握りの部分も粘着物でも付いているのか? と思う位吸い付くし、かと思いきや放すときはサッと手から離れる。
そして俺の雷雲を参考にしたと言っていた内部に流し込んだ魔鉱石。
俺の場合切れ味に特化していたが、この大剣は硬度に特化するように出来ている
『折れない剣』
戦いにおいて武器を失う事はその時点で死を意味する
俺が考えていた相手を殺す為の武器とは違う、持ち主を最後まで守るための武器、どこか武器を玩具と同じように考えていた俺は、本当の武器の在り方について今回学んだような気がした
それはさておき、修理を頼む前でもかなり手になじんでいたこの大剣だが、今回の修理で更に手になじむようになった。
握りの太さがちょうどいいのかな? だいぶ古い剣らしいから、もしかしたら今まで殺して来た者の血が染みついているせいかもしれない
今宵の剣は血に飢えてるぜよ
今は夜では無いですが‥‥‥
竜翼機から降りた後も真剣な顔で体験を見つめている、何かその大剣に思う所があるように。
でもって、何でまたこんなに長々と、この剣に付いて考えているかと言えば
周りの目から逃げる為である、剣を両手に持ち真剣に見つめている、それは周りの視線など気づいてもいませんよと言いたげに
休暇が終わり、また元の場所に戻り物資の中継地点として機能している場所で任務に着いたが、ここにいるのはハヤト隊だけではない、他の部隊も存在している。
その他の部隊員達がチラチラとこちらを見ているのだ。
何でかって?
それは俺の黒歴史の一つになってしまった武闘大会、あの恥ずかしい自滅の事があるから、『人の噂も七十五日』その期間を過ぎるのはまだまだ先だ。
内心心の中ではみんな笑っているんだろう、いいさ笑えば! 笑えよ! そのまま笑い死ね! 死ね!
他の部隊はさておき、ハヤト隊の皆もあの試合は見ていた。
その皆も武闘大会の話に触れてもいいのかどうか? という顔をしている、ライカが剣技の部で優勝したので本当なら
「凄いねライカ」
「優勝おめでとう」
などの言葉があってもいいはずだが、俺に気を使ってか武闘大会の話は一切しない、どことなく気まずそうにしている
悪いねみんな、ライカには悪いけどそのまま気を使っていて欲しい、「武闘大会」という言葉を聞いただけで
「あああああああぁぁぁ!」
とか言って発狂しそうなんです、出来ればここに居たくない、誰かに言われるんじゃないか? いつか言われるんじゃないか? その恐怖で内心ビクビクしていた。
どこか遠くに行きたいな‥‥‥
その考えが天に通じたのかどうかは知らないが、どうやらタクティアには通じたようだった
「ああ、ハヤト隊長ここでしたか」
『武闘大会』‥‥その言葉が出てくるか? と若干身構えてしまったが
「実はハヤト隊長に行って欲しい場所があるんですが」
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