異世界陸軍活動記

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市街地戦~赤い柱

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『どうして女神はハルツールを消そうとする? そこに住む者達を全て滅ぼすということ?』

『ハルツールと言う名の国を消そうとはしているけど、人までは思っていないよ。そう思っているのはハルツール側だよ』

『話が掴めないんだけど』

『簡単に言ってしまうと、ハルツールは禁忌を犯したという事かな?』

『禁忌?』

『そう、禁忌‥‥。ハルツールはね━━』



 ◆◇◆◇




 大陸深部からハルツールに戻ってきたときの事

 俺はハルツールに帰って来てから日記を付けるようになった。あのマシェルモビアとの戦いにより、一度は命を落としかけたが結果、命を落とすことは無かった。そしてまたあの戦場へと向かう事になる

 一度拾った命をもう一度あの場所に賭けなければならない。そう思うと今まで普通に過ごして来た一日一日が、とても貴重なものに思えてきて、それを残そうと日記を付けている。
 昔の事はもう覚えていないところもあるが、そこは創造と美化を加えて書いて行こうと思う。
 ある事無い事書いていると興が乗り過ぎたのか、読み返してみると何だか俺が物凄い超人になってしまった。 
 これは日記どころか自画自賛の自伝に近い、そうだ‥‥自伝を出してみようか? 多分売れる気がする。
 だって俺、凄い人気者だし知名度も凄い高いし‥‥

 あっ!━━これ大金持ちになれるチャンスなんじゃない? 今まで以上の大金が手に入るかも!
 よし! 完成したら売ろう、これで老後は安泰だ!

 将来手に入るだろう大金を想像し、ニヤニヤしながら盛った話を日記に書き込む。ちなみに今日はやってもいない腕立て伏せを五千回やった事にする

「でもって、『これじゃあまだ足りない、こんなんじゃ力は引き出せない』とか言いながら魔法の練習をしたら都市一つが焦土に━━」
 
 とか書いていた時



「旦那様」
 【悪魔風】召喚獣執事のラグナが一つの皿を持ってやってきた

「何でしょう?」

「このワライダケで出汁を取ったスープを口にして欲しいのですが」
 
 ワライダケとは、大陸深部で見つけた見た目シイタケの様な菌類で、食べるだけで気分が高揚し、尚且つ出汁を取り、それをスープとしていただくと意識を失う位気持ちよくなれる超絶美味しいキノコである。
 見た目シイタケなので、シイタケ風に育てたら育てられるんじゃないかと思い、そのように育てたら上手くいき、こうしてハルツールに来ても食べられることが出来る。
 ちなみにシイタケの育て方は、『回想』魔法で思い出した

「昼からそんなもの食べさせる気でいるの? 日中から酒を浴びるほど飲む以上の行いなのに‥‥まぁ、でも? いただくけど」

 ワライダケはとても美味しいうえに、正気を失うほど気持ちよくなれる為、お気に入りのキノコだった。この危な━━━美味しいキノコを真っ昼間から食べられるとは‥‥

 ウキウキした気分で、ウキウキ出来るスープを口に入れる‥‥


 ‥‥ん?

 味が違う?
「ラグナ調理方法変えたの?」

「いいえ、まったく変えておりません。それで‥‥お気分の方はどうでしょうか?」

「気分? ‥‥んー特には」

「やはり‥‥」

「どしたの?」

「実は━━」

 大陸深部や緩衝地帯で採取した食べられる野草などは、それ以外の土地、つまりハルツール本国やマシェルモビア本国では栽培が出来ない。
 土の養分が違うのか、小さくなったり味が薄くなったりしてしまう。要するに深部で取ってきたワライダケの薬物的な反応や、ゴーヤに味の似たゴーヤ(偽)の舌に残る苦さも無くなってしまった。
 つまり、あの毒性━━じゃなくて、あの美味しい味が失われてしまった事になる

 これと同じくして、回復薬に使わる薬草などは全て緩衝地帯で採取されている。もちろんハルツールの領土内でも栽培は出来るが、回復薬に使った場合格段に効能が薄れる。
 どのくらい違うかと言えば、風を引いた時に飲む市販の風邪薬と、お婆ちゃんの知恵袋でお尻にネギを突っ込むぐらいの違いがある

 大陸東部の緩衝地帯はその回復薬に使う薬草の生産地であり、今まではそこで大量に採取されていた。だが、その緩衝地帯東部をマシェルモビアに取られた事により、回復薬の原材料になる薬草の生産は激減する。もちろん大陸の中部や西部の緩衝地帯でも採取できるが、西に行くほど魔物の強さが上がる為採取は難しくなる。
 まだ在庫には余裕がある為今は大丈夫だが、その内在庫にも不安を抱える事になるだろう

 奪還を目指す都市ブレドリアだが、まずその北にあるマシェルモビアに取られてしまった移転門は、敵国に最も近い移転門であり、緩衝地帯を越えて攻めてきた場合を考慮して軍が完全に管理し、一般人は使用できないようになっている。
 その為、緩衝地帯で採取された薬草は、移転門の南にある一番近い都市ブレドリアに運ばれる。なので直ぐに加工できるようにブレドリアには、ハルツールで最大の回復薬の製造工場が立ち並んでいた。
 その他に関連する企業の工場などがあり、ブレドリアはハルツールの工業都市でもあった。そこを落とされたために関連商品は生産できず、回復薬はもちろん他の製品も軒並み値上がりしている

 ブレドリアは工業都市でもある為に、職を求め人が集まり、人が集まる事により都市が拡大し、ハルツールで3番目に大きい都市であり、巨大な建造物が立ち並んでいた。
 今までは緩衝地帯で戦うのが普通で、周りにはだだっ広い野原の様な場所もあるが、大体は木々が生い茂る場所、丘や岩などが存在して、遮蔽物と呼べるのはそれ位だった。
 だが━━





「グース隊長! 上から狙われています!」
 間一髪、掠っただけで済んだレンダルが、上からの攻撃に構える

「━━ッ!」
 味方に降り注ぐ魔法攻撃を『水』魔法の応用である湿気魔法で全て遮断する。
 広がる湿気の境目に爆発が起き音と爆風が吹き荒れる、その間を縫うように今度は上からの銃弾と矢が降り注ぐ

「隊長! 本隊からの撤退命令です」
 背中に通信装置を担いだケンタ君

 魔法は湿気魔法で防げるが、銃弾と矢までは防ぐことが出来ない。しかも矢じりや弾丸に魔法が付与されており、湿気魔法に反応せず自分達に届いてしまう。
 それに今までは平面での戦いだったが、そこに建造物が加わり立体的な戦いになる。竜翼機が戦闘に加わる事は多々あったが、それは開けた空に限る事だった。
 建造物のどこから攻撃してくるのかが見えず、敵を発見するだけでも困難。
 回り全体360度、高くそびえ立つ建造物によって、半ドーム型の空間に閉じ込められたような感覚に囚われる。
 全て破壊して、上にいる敵兵を引きずり下ろしたいがそうもいかない。建物自体が民間の財産であり、むやみやたらに破壊することが出来ない。
 都市を奪い返したらまた使用するし、出来るだけ被害は最小限に‥‥とは言ってもかなり被害は進んでいるが

 4人共一斉に交代するが、その時

「━━ッ! コトン!」
 コトンがその場に倒れる

「デュラハン出てこい!」
 どこから『召喚者殺し』が飛んでくるのかと警戒し、今まで出てこれなかったデュラハンを呼び出し
「コトンを頼む」
 指示を出す。
 デュラハンは既にコトンに委譲しているので、俺の召喚獣では無いが命令は聞いてくれるらしい

「心得ました」
 そう言うと背中に担いである大剣を取り出し、その先でコトンのフードに引っ掛けそのまま吊り上げた

 少し前から思っていたが、デュラハンのコトンに対する扱いが雑過ぎると思う

「引くぞ! レンダルとケンタ君はデュラハンの左右に! しんがりは俺が持つ!」

「「了解!」」

 いつもお尻担当の俺が最後に付き、その場から撤退した。尚も飛んでくる銃弾や矢を躱しつつ、その場からの撤退をした


 ・・・・・

 ・・・
 

「コトンはどうだった?」

「幸いなことに、骨には異常はないようです。肩口に斜めに浅く矢が刺さっただけなので2、3日で回復出来ると言っていました。本人も痛みはもう無いと言ってます」
 
 軍医に連れて行ってくれたケンタ君が報告してくれた。コトンに刺さった矢は、何も付与されていない普通の矢だった。もし何か魔法が付与されていたら重症もしくは死亡もあり得た。
 コトンは元召喚隊の所属であり、今着用している防具は召喚隊の防具だった。召喚隊は常に安全な後方からの任務が殆どな為、簡単な胸当てなど急所を守るだけの防具である。
 前線に出る兵士と比べて防御力の点で劣っていた為、今回敵の矢で怪我を負ってしまった

 どうしようか? もしかしたら嫌がるかもしれないけどコトンには軽鎧を付けさせるか? 慣れない物を身に付けると逆に危ないしな‥‥そこは本人と要相談か。
 それと武器は‥‥接近用に銃を持たせるかな? 召喚隊として教育を受けて来たし、接近戦の経験もほとんど無いだろうから近接武器での戦いは不慣れだし、銃で敵の足止めをしてくれたら少しは楽になるかな?

 かつてエリート部隊と呼ばれていた召喚隊(召喚者)は、今や軍のお荷物と呼ばれ始めている。お荷物と罵られる事までは無いが、確実にその存在価値を失いつつある。
 集団で行動し、その絶大な力を発揮してきた召喚隊だが、ひと突きでもされたら召喚獣が消滅してしまうという『召喚者殺し』の出現によってその影響力を失った。
 もちろん召喚獣の力はとてつもなく大きいが、使い処が難しくなっている。
 しかも今ハルツールが戦場としている場所が都市であり、尚且つ完全に制圧されている場所でもある。完全に抑えられた場所をこちら側から攻めなくてはならない、それは相手からすれば完全な状態で迎え撃つことが出来るという事。
 一撃必殺の『召喚者殺し』がどこからともなく飛んで来て、それに当たりでもすれば召喚獣は消えてしまう。そんな場所に召喚獣だけを操る事に熟知した召喚者が入り込んでも、どうする事も出来ない。
 それはコトンにも当てはまり、いくらデュラハンがいたとしても変わらない

 そしてその市街地戦というのは、俺にとっても不利になる。今まで中距離からの魔法を主体にした戦い方をしてきたが、建物が周りに多く自然と近距離での戦いになる。
 しかも女神サーナよって『探知』魔法を封じられている為、建物のどこに敵がいるかも分からない。湿気魔法を使えば開けた場所では何となくだが分かるが、完ぺきではない。
 ポッポを空に飛ばして空から敵の位置を探ろうにも建物にいられたら意味が無い。
 出来るだけ建造物に被害を与えず、尚且つ被害を防ぐために魔法を使わない、そして自然と武器による戦い方になるとても難しい状況にあった


「ケンタ君、悪いけどコトンに銃を選ぶように言ってくれるかな? 出来れば連射の出来る物がいい」

「銃ですか? コトンは召喚隊所属だったから弓でも行けると思いますが?」

「守備側ならそれでいいけど、こっちは攻撃側だし、攻めるならどっちにしろ近距離メインになる。だからコトンには銃で相手を牽制して欲しいんだ」

「なら、そうコトンにはそう伝えます」

「お願いね、それと今度から軽鎧を装着して欲しいからサイズが合うのを選んでほしい、もし不都合があったら俺が調整するから。あと、銃の弾丸は俺の所に持って来て、全弾に魔法を『付与』するからさ」

「了解しました」

「うん、頼むよ」

「‥‥それはそうと隊長」

「どうしたの?」

「いつまでこうした戦いが続くのでしょうか?」

「どうして?」
 ケンタ君はもう戦争なんかしたくないとか言うのかな? と思ったが少し違った

「ブレドリアは最優先で取り返さなくてはならないはずなのに‥‥、いえ! 不満があるという訳では無いのですが、少し足踏みが過ぎるというか、取り返す気が無いように思えるのですが」

「んー、まぁ‥‥ブレドリア自体広いし時間が掛かるんだろう、それに人員的にも困ってるしね」

 ブレドリアはハルツールの一都市としてあるが、元々ハルツールという国に所属するまでは一つの国だった。
 その面積は日本の北海道から少しはみ出す位の面積がある‥‥と思う。そこが丸々一つ栄えた都市でもあった。
 一度取られた物を取り返すのは難しく、今の状況だとそこから出てこようとするマシェルモビア軍を抑え込むというのが精一杯の状態。
 二割程奪い返したロメと違い、ブレドリアは敵戦力と拮抗しており手つかずの状態である

「タクティア‥‥あぁ、コトンの叔父さんでロメ奪還の総指揮をしている人ね、その人がブレドリアは最優先で取り戻さないといけないって言っていたから、取り返す気は無いって事は無いと思うよ。ただ時間が掛かるんだろう、ブレドリアは大きいしそれなりにね」

「そうですか‥‥」
 
 ケンタ君は納得したようなして無いような顔をしているが、実際は俺もケンタ君と同じような事を考えてはいる。 
 今自分達がしている事は、出来るだけブレドリアから外に出さないようにしているだけの様な気はしていた




 ◆◇

 一カ月後

 ハルツールのブレドリア奪還部隊はついに動きだす。
 軍は一気にブレドリアを落とす計画でいるらしい




 いやいやいや‥‥、全然、一つも、まったく、一区画すら取り戻せてないのに一気に落とすとか。どう考えても無理だろう。
 俺達竜騎士隊が来た時から殆ど変わってないこの戦況で、「じゃあ今日から頑張りましょう」と言っても無理だろう、ホント無理。
 せめて半分くらい取り返せたならその言葉もありだろうが‥‥

 それは俺だけが思った事ではなく、この奪還に関わっている兵士全員が思っている事、いろんな場所で兵士達の不安と不満が募る。
 それでも今日やるらしい、どうやって?

 「今日からちょっとずつ攻めていくよ」なら分かるけど、一気に攻めるというのは意味不明。何を考えているのやら‥‥。
 どうやらブレドリアの総指揮は人柄はいいかもしれないが、頭がパーらしい。これだから机仕事の人は‥‥。
 なんでも今回は、空挺部隊を使い直接ブレドリアの中心に向かうという。竜騎士部隊は地上からブレドリアに向かう事が決まっているが‥‥

 なんかこう‥‥前もこんな作戦があった気がする。
 いやあったな、マシェルモビア領土に直接侵入して移転門を奪う作戦とか。
 もうこの時点で嫌な予感しかしない、でも悲しいかな‥‥我々軍人は上の偉い人には逆らえないのでした


 そんなこんなで我々竜騎士隊と地上から向かう大規模な部隊は、ブレドリアとギリギリの場所で待機している訳で

「みんなトイレとか大丈夫? この先トイレとか無いから草むらとかでしなきゃならないし、ブレドリアに着いたらトイレはあるけれど、ゆっくり用を足せないかもしれないからね」

 隊員達の不安を和らげるために下品なトイレジョークをかます、こういったジョークはこんな場面で人の心を安定させる効果がある。聞いていた他の部隊の人からの笑い声が聞こえてくる。
 それと同時に、急にトイレに行く者もあらわれる。レンダルもその一人で「ちょっとトイレに‥‥」と言ってこの場所を離れていった。
 何人かトイレに行くのを見ていると何だか自分も行きたくなり

「ちょっとトイレに行ってくる」
 ケンタ君とコトンにそう言って場所を離れる

 すると

「なら自分も」
「私も少し‥‥」

 二人もトイレに行くと言い出し、それにつられてか他の部隊の殆どがトレイに行きだした。
 壮大な連れションが始まる、そうなると次に訪れるのがトイレの奪い合いだ。中には『大』の人もいるだろうし時間が掛かる場合がある。それを知っている者達は自然に足早になり我先にとトイレに走り出す者もいる。
 俺も負けてはいられない、切羽詰まった状況では無いが列に並んでいると無性に尿意が近くなる現象が起こる為、俺も走り出した負けるわけにはいかない!

 そんな忙しい時、視界の隅にほんの小さな何かが映った

 ん? 

 それは移動しているようで青い空のかなり上を飛んでいた。何気なしに召喚獣のポッポを呼び出す
「ちょっとアレ見てくれない」

 ポッポがその視界に捉えた物を自分の目に写し出す。
 その飛んでいる物はどうやら中型の竜翼機で、ブレドリアの方向に向かっていた

「空挺部隊かな? その割には‥‥一機だけ? 他はどうしたんだろう‥‥それに」
 少し、竜翼機の形が違っているように見えた

 
 


 ◆◇


 中型竜翼機のパイロットであるオット。
 彼はかつてソルセリー救出の為に赴き、そして大陸深部を通過した過去を持つパイロットだった。そのオットは大陸深部通過後、無事に中型竜翼機の資格を取り、軍で中型竜翼機のパイロットとして人や物資の輸送に当たっていた。
 そのオットだが、今は特殊な竜翼機に乗り、特殊な物を積載していた

 彼の乗る中型の竜翼機は巨大なブースターや新型のエンジンを載せており、通常とは異なる中型機であった。
 当初小型の戦闘機でテストを重ねていたが、それを中型機に移した形になる。
 最高速度と限界ギリギリまで高度を上げられるよう改造されたその中型機には、特殊な形をした大型の爆弾が積んであった。
 中型機の内部に格納され、それを落とす際は中型機の腹が割れその中から投下される事になる

「それにしても一機だけで護衛も無く敵のど真ん中に行けとは、いったい何を考えているんでしょうね、死ねと言ってるものでしょう」
 副操縦士の兵士が呟く

 オットも同じことを考えていたが
「そうは思うけど、実際この高度まで敵機は来れないし攻撃も届かないとなれば安全なんじゃないか? 届いたとしても微々たるものだし、機体には影響ないだろう」

 そう言ってみたが、実際はかなり限界に近い高度であった。先ほどから計器に少しの異常があり、操縦も安定しない。でも軍からはこの高度で飛べと命令が来ている。
 震えて安定しない操縦桿を抑え込むように竜翼機を真っすぐに飛ばせる

 それにしてもおかしな任務だと思う、この少し大きな爆弾をブレドリアの中心に落とせと命令されたが、こんな物でどうにかなるとは思えないし、それに指定された緻密な場所ではなく『中心』に落とせと言われている。
 これがこの地点のここに落とせと言われたら何かしらの重要な拠点があるか、もしくはこのブレドリアを占領している部隊の中枢があると考えるが、そうでもなくとても曖昧だった。ただ中心に落とせとしか‥‥

 そして投下した際、全速力でその場から離れろと言われている。言われずとも敵のど真ん中にいるのだから逃げるだろう、こんな物はさっさと投下してこの作戦を終わらせよう

 そう考えている


「大体中心に入りましたが」
 
 機体は敵からの攻撃を受けることなくブレドリアの中心に達した

「良し、この場所でいいだろう、投下」

「はい、投下します」

 竜翼機の腹が割れ、そこから積んでいた爆弾が投下された

「さ、全速力で帰ろう。今日の仕事はこれで終わりだ」

「了解」

 こんなものが一体何になるのだろう、ただ闇雲に爆弾を投下して戦況に何の意味があるのだろうか? そう思いつつ機体を旋回させ、飛行場に向けて速度を上げた
 
 そして数十秒後に

 爆弾はブレドリアの中心に落下し

「えっ‥‥」
 オットは赤くそびえ立つその柱を目撃した





 ◆◇


「えっ‥‥」
 ブレドリアのある方にそびえ立つ赤い柱が現れる、それに言葉を失ってしまった

「何‥‥あの赤い柱」
 コトンが少し怯えた様子で呟き、他の兵士達にも動揺が走る

 巨大な赤い柱はブレドリアの外にいても見えるほどの大きなものだった


 ・・・・

 ・・・


『ハルツールはね、大量破壊兵器を作ったんだよ』

『破壊兵器?』

『そう、都市そのものを破壊するような強力な兵器だよ』

『そんなの、ソルセリーの『消滅』魔法があるんだから変わらないだろう、そんなんでハルツールを目の敵にするの?』

 ネクターは首をふるふると横に振る
『そんなものでは無いよ、それよりももっと強力な兵器だよ。君達が5年前にマシェルモビアに攻めた時、あの後行われる作戦が、都市を直接狙ったその兵器での攻撃だったんだ。その兵器で直接都市そのもの、街も兵士も民間人も全て狙った都市を消滅させる攻撃をする予定だった。だから神はハルツールを━━』
 
 
 ・・・・・
 
 ・・・

 その赤い光を見た時、俺は全て察した。あの柱こそ『大量破壊兵器』なのだと

「嘘だろ‥‥ハルツール‥‥‥、ソレを自国領土内で使うのか?」

 その柱が現れたと同時に、ブレドリア奪還作戦は開始された










『だからかみはハルツールを滅ぼすと決めたんだよ』
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