異世界陸軍活動記

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新居に帰る

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「という訳で竜騎士隊はこれより休暇に入る」

「「はい」」
 良い返事をしてくれるレンダル・ダーモンとケントゥアルクゥ・アルカシャーツの男性陣

 そしてそれを見て『うん』と俺の左横で満足げに頷くコトン・ラティウス。
 返事して下さーいコトンさん

 さて‥‥信じられないかもしれないが、竜騎士隊はまだひと月ちょっとしか働いていないのにもかかわらず、何と!。
 休暇を頂いた、休日ではなく休暇。
 まったくもって信じられない、5年前のハヤト隊の時だったら半年以上も働いてやっと貰っていた休暇なのに‥‥しかも2週間も頂いた。
 良いの? 良いのかい? 貰ったものは返さない主義だけど本当に良いの? だってハヤト隊の時は俺だけ休暇が無かったりしたのに

「急ですが竜騎士隊は明日から休暇に入って下さい」
 なんて突然言われたものだから

「はい?」
 って聞き返すぐらい信じられなかった。
 『馬車馬のように身を粉にして老体に鞭を打つように死ぬまで働け』というのがハルツール軍のキャッチフレーズだと思っていた

 だから
「あのさぁ、ひと月ちょっとしか働いてないのに休暇に入れって言われたんだけど」
 と部下のレンダルに聞いてしまったくらい動揺した

「たまにありますよね、人員とかの関係でそうなったり‥‥あとは少しばかり余裕が出たとか。今回ブレドリアの完全奪還は出来ませんでしたけど、それでも戦力になる者は今のうちに休ませておこうという考えなんでしょうね」

「へぇ‥‥」

 レンダル曰く、軍には特定の休日というのは特にないらしい。人によっては年間100日休める者もいれば、50日ほどしか休めない者もいる。
 もちろんその分給料に反映されるが、多く休む者は激戦地など激しい戦闘をしなければならない兵士で比較的休みも多く期間も長かったりする。
 逆に緩衝地帯の魔物を相手にしている兵士達、特に東部の弱い魔物を相手にしている兵士達は休みが少なかったりする

 今まで20年近く兵士をやってきたが、初めてその仕組みを知った。軍学校の座学では教えてくれなかったし、ハヤト隊の隊員達も特に何も言わなかったので『死ぬまで働け』が普通だと思っていた。
 ハヤト隊は、というか俺はかなり激戦地ばかりだった気がするが、それにしては休暇が殆ど無いのはどうしてなのだろうか?
 よくよくじっくりしっかりと考察してみた結果、ハヤト隊だった時と今の竜騎士隊とで違う事は、ハヤト隊の時の隊長は当然俺だったが、事実上の隊長であり上司はタクティアだったりする。
 そして今竜騎士隊ではそのタクティアはいない‥‥となると、タクティアがいたため休暇が貰えなかったのでは? と考えてしまう。
 タクティアという軛から解き放たれた結果、今の休暇があるのではないか? と

 つまり全てタクティアのせいではないだろうか? 

 要するにタクティアはクソ

 キレイに考えがまとまったので、ありがたく休暇を頂こうと思う



「休暇が終わればまた激しい戦いが始まる、遊んでばかりないでゆっくりと体を休めるように。レンダルは実家に帰るのかな?」

「はい、実家の手伝いもありますから」

「手伝いもいいけどちゃんと体を休めるんだよ」

「はい」
 短い良い返事だ

「ケンタクンは‥‥羽目を外して遊び過ぎないように」

「はい、んっ? えっ? ちょ、ちょっと待ってください隊長、自分もちゃんと実家に帰って休みますから。というかそんな風に見えますか?」

「‥‥うん」
 ウェーイとか言いながらサーフィンしてそう

「そう‥‥ですか」
 少ししょんぼりするケンタ君とクスクスと笑うコトン

「コトンは、あっそうか一人暮らしを始めたんだっけ」

「うん、そうだよ」

「そうか、でも一度家に帰った方がいいと思うよ、両親も心配してるだろうから」

「大丈夫だよ、帰らなくても多分二人とも家に遊びに来ると思うし」

「ならいいか」

 うん! と大きく返事をするコトン

「では俺は先に召喚獣で帰る事にするから、悪いけどケンタ君はレンダルとコトンを乗せてハルトの移転門まで戻ってくれ」

「了解しました。車は本部に置いておけばいいですね」

「うんよろしく」
 部隊の車はケンタ君が運転し本部に置いてもらう事にする、ケンタ君の実家は本部のある首都のサーナタルエにあるのでそうお願いする。
 ハルトの移転門でレンダルは別れる事になるだろうし、コトンもどこに住んでいるかは知らないがそのままケンタ君と帰るか、それともハルトの移転門で別れるだろう。
 と思ったのだが

「ねぇ、ハヤトの召喚獣って何人まで乗れるの?」
 コトンがガルーダの搭乗人数について聞いて来た

「んーっと‥‥ギリ3人かな?」
 (細身の人限定で)

「じゃあ私も乗せてってよ」
 と言って来た

 空でも飛びたいのかな? 別に断る要素はないので
「いいよ」
 
「やったぁ!」
 両手を胸の前で小さくガッツポーズする姿はちょっと可愛いと思ってしまった。両手で挟まれる大きな胸が更に強調される。
 『落ちないようにしっかり掴まっててね』とお約束の言葉を言って、背中にその胸を堪能して帰ろうか、感触を確かめるために防具は今のうちに脱いでおこっと♪

 さて帰ろうかと思い、召喚獣のガルーダを呼び出そうとしたが
「‥‥‥やっぱ車で帰るわ」
 急に気が変わった

「えーーっ!」
 いきなりの変更でびっくりした感じのコトン

 ガルーダで帰ろうとしたがペリドットからブレドリアに向かう途中、撃墜されたのを思い出した。
 あの恐ろしい体験はもうしたくない、もしかしたらまた途中で監視網を掻い潜って潜入しているマシェルモビアの部隊がいるかもしれない、ガッカリしているコトンには申し訳ないが俺は学習する男、二度とあの悲劇は起こさない。
 一時の快楽で身を亡ぼす人間ではない

 という訳で皆で竜騎士隊専用の軍用車に乗り、ハルトの移転門へと向かう事にした。
 運転は相変わらずケンタ君で助手席にはレンダル、後ろの席には俺とその左隣にはコトンが座る

 運転席からケンタ君が
「一度ペリドットに戻るんですよね?」
 
「‥‥そうだね、コーホン司令に報告もあるし、日報も出さないといけないから」

「了解しました」

 コーホン司令はいい人ぽいからいちいち報告を忘れても許してくれそうだけど、日報を提出しなければならないのでどうしても一度ブレドリアの奪還の為に軍が陣を置いていたペリドットか、もしくはサーナタルエの本部まで行かなければならない。
 日報は隊長本人が提出しなければならない為、どのみち提出するのならば帰り道に当たるペリドットで提出してこようと思う

 運転してくれるケンタ君はゆっくりとアクセルを踏み、滑らかに発車した。
 見た目とはうらはらに優しい運転をすると思う。
 普通ケンタ君のような見た目の人間だったら急アクセルでぶっ飛ばし、車内には爆音の音楽と重低音が外まで響き渡り、キラキラ光る派手な車に乗り、最後は電柱にぶつかり乗車していた男女の死亡が確認されました。
 と報道されるまでがワンセットのはずなのに‥‥見かけによらずというのはこういう人の事を言うのだろう

 どこにもぶつかる事無く事故る事も無く俺達の乗った軍用車はペリドットに到着した。そもそもこの世界には電柱など無いのでぶつかる心配も必要なかった


 ・・・・

 ・・


 ペリドットに到着し日報を提出し、更にコーホン司令に今作戦の報告を行う。
 この報告なのだが、日報があるのだから別にしなくてもいいと思うんだけど? と毎回思っていた。それでも昔からの習わしなのか今だにこの風習がある。
 無くなってしまった方が上の方の仕事も減ると思うんだけどな

 いつもだったら任務の内容を簡単に説明し『ご苦労』で終わるのだが、今回は次の任務の予定も聞かされた



「お疲れ様ですグース隊長、報告は終わりましたか?」

 軍用車で待っていたはずの我が竜騎士隊の3人だが、車の外にテーブルと椅子が並べてあり、そこでお茶を飲みながら何かを食べていた。
 それは召喚獣のラグナが出したものだったが、それにプラスして今やコトンの召喚獣になったデュラ子も一緒にお茶を飲んでいる。
 さながらキャンプをしに来た人達に見える、焚火なんかあったら完全にソレにしか見えない

「全部終わったよ、次の任務も決定しているみたいでそれも聞いて来た」

「へぇー次はどこですか?」
 スプーンで食べ物を口に運びながらケンタ君が尋ねて来る

「次の任務は『ロメ』の奪還だってさ、完全に決定では無いけどブレドリアに敵の動きが無かったらロメになるだろうって。ところで何食べてるの?」

 食べている物が気になって聞いてみると
「これはコトン様が頂いて来た試作品です」

 ラグナが答えてくれた。
 それに続いてコトンが

「体をほぐす為に散歩に行ったんだけど、その時試作品だってもらったの、でねこれ凄いの! お湯を掛けるだけで暖かいスープが飲めるの、ハヤトの分もちゃんともらって来たから」

「ふーん‥‥」
 お湯を掛けるだけ

「結構いけますよこれ」
 がつがつと食べるケンタ君

「旦那様、フラベリン社の製品の様です」

 フラベリン‥‥ああ、あの自殺しようとしていた人の会社か

 前に自殺しようとしていた人を助けた事があったが(実際には助けようとしなくても自殺はしなかったと思う)その人に教えたフリーズドライの製品だろう。
 もう完成したのか

「旦那様もいかがでしょうか?」

 ラグナが一応進めてくるが‥‥ここは一番普通な味覚を持つ者に聞いてみよう
「デュラ子、美味いか?」
 俺と同じ味覚を持つ召喚獣のデュラ子に

「砂糖のお湯割りの中に具が入っているだけです、食べるに値しません」
 美味しそうな顔もせず、淡々と食べてるデュラ子だった

「もう! デュラ子はいつも文句言いながら食べるんだから」
 コトンは少し怒った口調で話すが‥‥
 
 可哀そうにデュラ子、普段からまともな物を食べて無いんだろう
「うん、俺は要らない」

 ◆◇

 皆が食べ終わってからまたケンタ君の運転でハルトの移転門へと移動した

「じゃあケンタ君後はよろしく」

「はい」

 軍用車に乗ったままケンタ君と、降りた俺を含む3人。 
 ケンタ君は首都サーナタルエの軍本部に行くので乗ったまま移転門をくぐるが、それ以外は別々の移転門へと飛ぶので軍用車から降りた。
 コトンも降りたという事は、一人暮らしを始めた土地はサーナタルエでは無いのだろう

「皆ちゃんと休むんだよ、じゃお疲れ様」

「「「お疲れさまでした」」」

 部隊員と最後の言葉を交わし俺は移転門をくぐった

 ・・・・

 ・・

「ふぅ‥‥なんか変な感じ」
 
 いつも休暇だとサーナタルエの移転門へと移るのに、住所が変わったために帰ってくる移転門も『モレント』の移転門へと変わった。
 多少の違和感がありつつも、暫く感じて無かった気持ちが出て来る

 今回も無事に帰って来れたか‥‥と

 家に着いたら
「ゆっくりと休み━━」
「ねぇハヤト送って行ってよ」
「━━えっ?」

 俺の後ろには何故かコトンがいた

「えっ、え? 何でいるの?」

「私もこの移転門なんだけど」

「あっ、そう‥‥そうなんだ」

 身の毛もよだつという言葉がある。
 別にコトンに対してそんな気持ちは無いが、まさかいるとは思って無かった為、コトンを目にした瞬間ぞわっとした

「コトンもモレントなんだ、ここから近いの?」

「うんすごく近いよ・・・・・・

「車どうしたの? どうやって移転門まで来たの?」

「任務中に一人暮らしを始めたから、荷物も車も全部両親が運んでくれたの。だから新しい家に帰るのは初めてなんだ」

 ならしょうがないね
「じゃあ駐車場に行こうか? 俺そこに止めてるし、何か買う物があったら寄るけど?」

「大丈夫、ハヤトが寄る所があったら気にしないで寄っていいよ」

「別に買いたいものも無いし、そのまま帰るよ」

「そう、なら行こう」
 そう言って俺の左腕に抱きついてくる
 
 部隊にいる時はここまではしなかったが、二人になった瞬間にぴったりとくっ付いて来た。腕に当たる感触は嬉しいのだけれど‥‥。 
 コトンは5年前、俺と結婚するとか言っていたが今でもそう思っているのだろうか? そう慕ってくれるのだったら嬉しいが、でも俺はまだ忘れた訳ではない。
 俺の妻だったマイナの事‥‥形見である首から下げたペンダント、それがある限り忘れられないと思う。
 なんとも女々しい男だがこればかりは‥‥

 だからコトンが俺の事を想ってくれていても答えて上げる事は多分無いと思う‥‥


 とまあそれは別として! 背中に幸福を感じるのは別にいいと思うんだ!

 これから帰る為にはバギーに乗らなければならない、二人乗りの! バイクのシートに! 俺が前で! コトンが後ろ! 

 落ちないようにちゃんと掴まっててね! もう一度言うよ! 落ちないように! ちゃんと掴まっててね!

 これはマイナを裏切る訳ではない、落ちないようにするためにはそうするしかないし、仕方のない事なんだ! その際に、背中に幸せを感じてしまうのは不可抗力だと思うんだ!
 
 これは裏切りではない! 不可抗力! そう、圧倒的不可抗力!

 『不可抗力!』というパワーワードを武器に、俺はコトンをバギーの後ろに乗せる事に成功した。
 そして

「落ちないようにちゃんと掴まっててね」
 さらなるパワーワードを連発する

「うん、分かった」
 人を疑うという事を知らないのか、コトンは俺の腰に手を回しそして‥‥幸せが俺の背中に訪れた


 や、柔らかい!

 そしてコトンはその腰に回した手に更に落ちないように力を入れる、するとコトンの体全体が俺の背中に密着した

 す、凄い!

 コトンの巨乳が潰れ俺の背中に引っ付く。正直巨乳の女性が後ろからくっついてきたらどんな感じがするのだろうと妄想はしていた。
 それがこの以上に柔らかい感触だった。
 掴まっててねと言ったが、コトンは掴まるという一線を越え抱きついてきている‥‥女の子が抱きついてくるこの行為の何と幸せな事か!
 
 車では不可能な行為をこのバギーは見事に体験してくれた。 
 ありがとうバギー、ありがとう兄さんの元バイク


「じゃ、じゃあ出るよ」
 声が若干裏返りながらもバギーを発車させた



 その後、背中のオッパイの感触になれてくると、オッパイと言うよりも俺とコトンの間に潰れた風船が間に入っている感じに思えて来た。
 コトンはオッパイが大きすぎて何となくオッパイが当たっているという感触ではなく、何かが間に挟まっているという感じの方が大きくなってくる

 二つの山が当たるのではなく、ただ大きな一つの何かが挟まっているという感覚に、大きすぎるのもどうだろうと思う

 でもなんやかんやで楽しんだ挙句、コトンが道案内してくれた場所に到着した

「・・・・・」

「ここだよ私の一人暮らしの新しい家」

 コトンが道案内をし付いた場所と言うのが‥‥

「俺の家の隣なんだけど?」

「そうだよ」

「何で? この前夫婦か何か知らないけど男の人と女の人が引っ越してきていたはずなんだけど‥‥」

 コトンの新しい家は、任務に向かう前に丁度新しい住人が引っ越してきていた家だった

「じゃあハヤトはもうお父さんとお母さんに会ったんだね」

「お父━━両親?」

「そうだよ私の両親だよ」

 あの二人はコトンの両親だったらしい‥‥

「何でまたこんな偶然が‥‥」

「偶然? 違うよ、叔父さんがハヤトがこの場所に住むから隣の家も契約しておいたよって言ってくれたの、だから直ぐに両親に連絡して荷物を運んでもらったんだよ。それに叔父さんが隣にハヤトも住んでいるから安全だろうって」


 タクティア‥‥お前‥‥

 
 俺に部屋の鍵を渡してくる時、何故か和やかな顔をしてお礼を言って来た理由が今分かった

 姪と仲直りするために俺を売ったタクティアの計らいで、コトン・ラティウスとご近所さんになった
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