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ヒーロー
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槍の姿をした特殊な武器『召喚者殺し』が幾度も振るわれる。
その槍に貫かれた召喚獣は二度と呼び出す事が出来ず、相手の召喚者の力を十分に削ぐ事が可能。
対召喚獣に特化したその武器は、人に対しても絶大な力を発した
「はい! これおまけぇぇ!!」
下から切り上げた穂先はあらかじめ付与しておいた、ダメージが通る攻撃を防いでくれる『耐壁』魔法を破り、一度だけ物を元の状態に戻してくれる『修復』を消費し、既にボロボロだった手甲を砕き左腕に傷を負わせた。
そして敵兵ルイバ・フロルドは、くるりと槍を反転させると柄の部分を顔面に向かってカチ上げた。
柄の部分は既に負傷し痛みのある腕を弾き飛ばし、俺の顎に直撃した
脳が揺さぶられ一瞬で景色が反転するような感覚、体中の力が抜けそのまま意識が白く染まりそのまま落ちてゆく
「あはっ!」
楽し気な声を上げたフロルドは続けて右腕を狙おうとするが━━
俺の体にツタが巻き付き、そのまま後ろに引きずるように引っ張られフロルドの攻撃を回避した。
フロルドを捕まえるために様々な種を『成長・促進』魔法で大きくした植物で、巨木の方はフロルドに切られてしまったが、ツタの植物は切られてはいなかった。
それを召喚獣のドライアドが操り、後ろに引っ張る事で結果的に俺を助けてくれた。強制的に引きずられる衝撃で白く染まりつつあった意識は何とか戻る事になる
「ああっ、もう!」
攻撃を躱された事が悔しかったのか、槍を地面に叩きつけるフロルド。地面に思いっきり叩きつけた槍は黄色く輝き消滅するが直ぐに再召喚されフロルドの手に戻った
「すまない助かった」
普段子供の様に無邪気な振る舞いをするドライアドだったが、弱々しく立ち上がろうとする俺を見て不安気に手を伸ばそうとしてくる。
視界が揺らぐのを何とか抑えようとするが、直ぐに収まる気配は無い。手のひらで頭を叩き「治まれ」と念じるが変わる事は無い。ふらつく足に何とか力を入れ立ち上がる
正直フロルドの強さは誤算だった。
前回オーバと戦った時はここまででは無かった。こっちは俺とオーバの二人、対する相手は同じく二人だったが、更に向こうには召喚獣のカーネロがいた。実質2対3の戦いで何とか勝った‥‥とは言えないが、逃げる事に成功した。
もしあの時俺とフロルド1対1でも勝てるとは言えないが、そこそこの勝負にはなっていただろう。だが、今回の奴は強さの次元が違う。
6万のマシェルモビア兵と戦い、大陸深部の魔物を難なく倒せるまでになった俺は、腕にはかなりの自信があった、大概の事なら一人で何とかなると思っていた。
でもそれは間違いであった。
たった一人の敵兵相手に手も足も出ない、フロルドの強さの変わりように理解が出来ない、何故ここまで奴は強くなれたのか‥‥
このままでは撤退の隙も作れず、味方の艦砲射撃を浴びる事になるだろう。
フロルドは自身が開発した湿気魔法を展開している、属性魔法全てを防ぐことの出来る防御に特化した『水』魔法の使用方法。
既に女神サーナにより属性魔法全てを失った俺には大した意味は無いが、纏わりつく湿気により急激に体力が失われる。
呼吸一つにしろ息苦しく、動作一つでも疲労する。
どちらにしろ時間は無い、体力の消耗もそうだがトンプソンから味方兵士が撤退した事からいつ砲撃が飛んで来てもおかしくはない
どうする?
建物を破壊し、その瓦礫を『放出』魔法で吹き飛ばして壁にするか? それとももう一度『照明』魔法で目くらましをして逃げるか?
湿気魔法の特性上、術者はその湿気となった水が動く事により周りの動きが分かるようになっている。実際に俺もサーナに奪われる前に使用できた時は、水の動きによって周囲の行動が若干だが理解出来た。
『探知』魔法が使えなくなってからはよく多用したりしていた。
もし瓦礫を使った妨害も光での目くらましを使ったとしても、湿気魔法の範囲ならフロルドから位置を把握され召喚者殺しを投げつけられるだろう。
瓦礫は破られ、目くらましは意味が無い
蛇に睨まれた蛙のごとく、俺は逃げる事も出来ず戦いにもならない。
今だに視界が揺れ思考が乱れるる頭を抑え、何とか道を切り開こうとしていた
召喚獣のドライアドがツタを伸ばしフロルドを捕まえようとするが、まるで雑草を払うかのように切り飛ばす。
伸びてくるツタには興味が無いのかフロルドは俺だけを見つめ
「さあ、次々と、いくからねぇぇぇ!」
一気に迫って来た
キュイン!
突如響く金属同士がぶつかる高い音、音はフロルドの方から聞こえ同時にフロルドの左腕が揺らぐ。音からして衝撃を受けたのか、手にしていた召喚者殺しはその手から離れ地面に落ちた
「当たった」
離れた場所から驚いたような女の声、そして建物の間から二人の影が音も無く飛び掛かる
その時フロルドの気配が変わった様な気がした
フロルドの死角から飛び出した二人は、そのまま武器による攻撃で討ち取ろうとするが━━
「なんでよぉぉぉ!」
フロルドは叫びながら、死角から飛び掛かって来た相手の攻撃を躱し、その一人の腹にその拳を叩き込み、そのまま回転しもう1人の相手に裏蹴りを放った。
腹に拳を喰らった者は体をへの字に曲げ、蹴りを喰らった者は回転するように吹き飛ばされた
「どうして‥‥どうして私達の邪魔をするの!」
そのままフロルドは腹に拳を叩き込まれ、うずくまっている相手に馬乗りになり次々と拳を叩き込む。馬乗りで殴られているのはレンダル、蹴りで吹き飛ばされたのはケンタ君だった
撤退しろと言ったのに‥‥
命令したはずの3人が何故か戻ってきてしまった
「コトン!!」
銃を持ったコトンを怒鳴る
「ごめんなさい、でも━━」
そしてその時
『作戦』が開始された。
トンプソンの中央に着弾したであろう音が聞こえてくる、まずは一発。
最初の一発目が落とされた音がした後、続けて音が続く、遠くでも空気を伝い体に響いてくる大きな音。
それは音だけではなく━━
「あっ‥」
目視でも確認できる砲弾が落ちてくる姿を捉え‥‥
それが次々と落下してくる。
その一発がコチラを狙い定めたように飛翔し、約50メートル離れた場所に着弾した。
直後、荒れる風のように襲ってくる爆風と、まるで銃弾の嵐のように襲う破壊された建物の瓦礫がその場にいる5人を襲う。
でもそれは一発では終わらなかった
空に大量の黒い小さなゴミが浮かんでいると思いきや、急速に大きくなりそのまま地面に着弾。5人を吹き飛ばした
爆風と衝撃の中、フロルドの攻撃で一度は意識を失いそうになりながらも何とか耐えたが、そのあまりにもの衝撃にまた意識が飛びそうになる。
5人全員がふらふらになりながらも立ち上がる、どうやら今の砲撃で死んだ者はいないが皆傷を負っている様子、だが砲撃が止む様子は無い。
俺も体は痛むし、それに召喚獣のドライアドが砲撃により消失した
一体どれほどの軍艦を動員したのだろう?
「‥‥お前達は、何度私達の! 邪魔をすればっ!」
この中では一番ダメージが浅かったのだろうフロルドは、手に召喚者殺しを持ち一番近くにいたケンタ君に目を向けた。
ケンタ君は爆風でのダメージが多かったのか体を震わせやっと立ち上がったばかりだった
まずい!
「ハーメルン!」
このままではケンタ君がやられると判断した俺は、人の心を増幅させることの出来るハーメルンを召喚する。
対象の相手が今思っている事を増幅させることが出来、心を操る召喚獣。その力をフロルドに向かって行使した。
一か八かの賭けだった、もしケンタ君達への怒りが強かった場合、そのまま3人への攻撃へと移るだろうが‥‥
フロルドは召喚獣の精神攻撃を受けその動きをピタリと止めた。そしてゆっくりと俺の方へと振り返る。
どうやら俺に対する執着の気持ちの方が上回ったようだった。とてつもなく面倒な執着心だが今はその思考回路が有難い
「さあ‥‥私の貴方、続きをしましょうか」
砲弾により負傷したのか額を切り、血を流しているフロルドはまるで女性のような表情で俺に語り掛け、優雅にその左腕を俺に伸ばした。
そのフロルドの表情が一瞬強張る、そのまま自分の左腕に視線を落とすと自身が撃たれた事を自覚した。
撃ったのはコトンで先ほど当てたのと同じ左腕、しかも先ほどとは違い砲弾の衝撃の余波によりフロルドの防具は破損しており、左腕は防具が無い状態だった。
魔力が攻撃力の要の世界でも、防具の無い生身の状態で銃弾を浴びてしまったら、それは通ってしまう。
流れ出る血が指先を伝い地面に落ちる時、コトン以外の3人はこれが勝機と動いた。
砲撃は未だに続き、運が悪ければ味方の砲撃により命を落とすだろう、また一発の砲弾で破壊された瓦礫が飛散し、そのうちの大きな一つが今銃を使いフロルドを攻撃したコトンに直撃する。
直前にコトンの召喚獣であるデュラハンが出てきた事から、その体を盾にしてコトンを守るのだろう。
コトンの次は自分達かもしれない、だがそんな思いを振り切るように降り注ぐ砲弾の中、フロルドに肉薄する。
『収納』から俺が昔、『火』の魔法を付与した残り少ない人工魔石をフロルドに向かって投げつける、人工魔石はフロルドの近くでその力を解放し、『火』魔法が発動する。
だがフロルドの湿気魔法により、炎は出ず爆発した。
辺りに煙幕のように白い煙が一気に充満し、フロルドの視覚を塞ぐ。同時にあたりに漂う『水』の魔法も消滅した事で、フロルドは湿気魔法の効果による周辺の動きが一瞬だけ読めなくなり、視界と同時に感覚も失う━━はずだったが
「‥‥あああああぁぁぁぁぁ!!」
発狂した声が響き、飛び掛かった俺達3人は強い衝撃によって吹き飛ばされた。
地面に打ち付けられて気付く、大量の水により押し流されたのだと
大量の水の放出により、爆発で出来た煙まで吹き飛び、豪雨が起きた後のように辺りが水浸しになる
「どうして、どうしてどうして! 皆邪魔ばかりして! 全員死んじゃってぇぇぇ!」
ヒステリックに叫ぶフロルドは水で押し流した俺達3人に対し、召喚者殺しを投げつけて来た。
ケンタ君に投げつけるとその槍はケンタ君の足に直撃、ケンタ君は短い悲鳴をあげる。再召喚された槍をレンダルに、だがレンダルは体勢を捻りその軌道から逸れようとするが、槍は起動を変えレンダルの横腹に突き刺ささる、レンダルの防具は破損していなかったが、槍は防御無視と言わんばかりに防具ごと貫いた。
そして再召喚されフロルドの手に戻った槍は俺に向けられる
「貴方のせいで‥‥私の全てが狂ったの。友を失って、恋人を失って、貴方の事が憎い、私の全てを奪った貴方が‥‥。恨んで恨んで恨んで、憎んで憎んで憎んで、いつか私の手で殺してやろうと‥‥でもそれが出来なくて、ずっと貴方の事を考えて想って、想って想って! ‥‥‥だからこの世界で私が貴方の事を一番想っている、誰よりも理解している、愛している。だから‥‥私の手で死んで?」
そう語りかけるフロルドの目には涙が浮かんでいた
一周回って好きって事かな?
戦場で敵に対し涙を流しているフロルドを見て、何となく冷静になれた俺がいた。正直コイツは何を言っているのかさっぱり分からない。本当に狂ったようにしか見えない。
今動いているのは俺とフロルドのみ、コトンはデュラハンが守ったようだが動きはない、ケンタクンは足をやられて動けない、レンダルは腹をやられたようだが直ぐに回復が必要だろう。
意識があり回復薬を使う事が出来ればいいのだが、意識が無いのであれば急ぐ必要がある。しかし度重なる衝撃により俺の体も限界に来ていた
ああ‥‥俺も、ここで終わるのだろうか? 俺の判断のせいで3人も犠牲になってしまう、もう打つ手は無いがせめて隊員達だけでも━━
よくある物語にはピンチになった時必ず助けに入ってきて来る者がいる。『ヒーロー』と呼ばれる特殊な人種たち。
もしかしてさっきからずっと見てて、ピンチになってから出てきているのでは? と疑ってしまう程、丁度いいタイミングで出て来る彼ら
お前もそうだったりするのか?
砲弾が落ちてくる中、その『ヒーロー』は召喚獣にまたがり颯爽と登場した
「後は頼んでいいかな? ライカ」
その槍に貫かれた召喚獣は二度と呼び出す事が出来ず、相手の召喚者の力を十分に削ぐ事が可能。
対召喚獣に特化したその武器は、人に対しても絶大な力を発した
「はい! これおまけぇぇ!!」
下から切り上げた穂先はあらかじめ付与しておいた、ダメージが通る攻撃を防いでくれる『耐壁』魔法を破り、一度だけ物を元の状態に戻してくれる『修復』を消費し、既にボロボロだった手甲を砕き左腕に傷を負わせた。
そして敵兵ルイバ・フロルドは、くるりと槍を反転させると柄の部分を顔面に向かってカチ上げた。
柄の部分は既に負傷し痛みのある腕を弾き飛ばし、俺の顎に直撃した
脳が揺さぶられ一瞬で景色が反転するような感覚、体中の力が抜けそのまま意識が白く染まりそのまま落ちてゆく
「あはっ!」
楽し気な声を上げたフロルドは続けて右腕を狙おうとするが━━
俺の体にツタが巻き付き、そのまま後ろに引きずるように引っ張られフロルドの攻撃を回避した。
フロルドを捕まえるために様々な種を『成長・促進』魔法で大きくした植物で、巨木の方はフロルドに切られてしまったが、ツタの植物は切られてはいなかった。
それを召喚獣のドライアドが操り、後ろに引っ張る事で結果的に俺を助けてくれた。強制的に引きずられる衝撃で白く染まりつつあった意識は何とか戻る事になる
「ああっ、もう!」
攻撃を躱された事が悔しかったのか、槍を地面に叩きつけるフロルド。地面に思いっきり叩きつけた槍は黄色く輝き消滅するが直ぐに再召喚されフロルドの手に戻った
「すまない助かった」
普段子供の様に無邪気な振る舞いをするドライアドだったが、弱々しく立ち上がろうとする俺を見て不安気に手を伸ばそうとしてくる。
視界が揺らぐのを何とか抑えようとするが、直ぐに収まる気配は無い。手のひらで頭を叩き「治まれ」と念じるが変わる事は無い。ふらつく足に何とか力を入れ立ち上がる
正直フロルドの強さは誤算だった。
前回オーバと戦った時はここまででは無かった。こっちは俺とオーバの二人、対する相手は同じく二人だったが、更に向こうには召喚獣のカーネロがいた。実質2対3の戦いで何とか勝った‥‥とは言えないが、逃げる事に成功した。
もしあの時俺とフロルド1対1でも勝てるとは言えないが、そこそこの勝負にはなっていただろう。だが、今回の奴は強さの次元が違う。
6万のマシェルモビア兵と戦い、大陸深部の魔物を難なく倒せるまでになった俺は、腕にはかなりの自信があった、大概の事なら一人で何とかなると思っていた。
でもそれは間違いであった。
たった一人の敵兵相手に手も足も出ない、フロルドの強さの変わりように理解が出来ない、何故ここまで奴は強くなれたのか‥‥
このままでは撤退の隙も作れず、味方の艦砲射撃を浴びる事になるだろう。
フロルドは自身が開発した湿気魔法を展開している、属性魔法全てを防ぐことの出来る防御に特化した『水』魔法の使用方法。
既に女神サーナにより属性魔法全てを失った俺には大した意味は無いが、纏わりつく湿気により急激に体力が失われる。
呼吸一つにしろ息苦しく、動作一つでも疲労する。
どちらにしろ時間は無い、体力の消耗もそうだがトンプソンから味方兵士が撤退した事からいつ砲撃が飛んで来てもおかしくはない
どうする?
建物を破壊し、その瓦礫を『放出』魔法で吹き飛ばして壁にするか? それとももう一度『照明』魔法で目くらましをして逃げるか?
湿気魔法の特性上、術者はその湿気となった水が動く事により周りの動きが分かるようになっている。実際に俺もサーナに奪われる前に使用できた時は、水の動きによって周囲の行動が若干だが理解出来た。
『探知』魔法が使えなくなってからはよく多用したりしていた。
もし瓦礫を使った妨害も光での目くらましを使ったとしても、湿気魔法の範囲ならフロルドから位置を把握され召喚者殺しを投げつけられるだろう。
瓦礫は破られ、目くらましは意味が無い
蛇に睨まれた蛙のごとく、俺は逃げる事も出来ず戦いにもならない。
今だに視界が揺れ思考が乱れるる頭を抑え、何とか道を切り開こうとしていた
召喚獣のドライアドがツタを伸ばしフロルドを捕まえようとするが、まるで雑草を払うかのように切り飛ばす。
伸びてくるツタには興味が無いのかフロルドは俺だけを見つめ
「さあ、次々と、いくからねぇぇぇ!」
一気に迫って来た
キュイン!
突如響く金属同士がぶつかる高い音、音はフロルドの方から聞こえ同時にフロルドの左腕が揺らぐ。音からして衝撃を受けたのか、手にしていた召喚者殺しはその手から離れ地面に落ちた
「当たった」
離れた場所から驚いたような女の声、そして建物の間から二人の影が音も無く飛び掛かる
その時フロルドの気配が変わった様な気がした
フロルドの死角から飛び出した二人は、そのまま武器による攻撃で討ち取ろうとするが━━
「なんでよぉぉぉ!」
フロルドは叫びながら、死角から飛び掛かって来た相手の攻撃を躱し、その一人の腹にその拳を叩き込み、そのまま回転しもう1人の相手に裏蹴りを放った。
腹に拳を喰らった者は体をへの字に曲げ、蹴りを喰らった者は回転するように吹き飛ばされた
「どうして‥‥どうして私達の邪魔をするの!」
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撤退しろと言ったのに‥‥
命令したはずの3人が何故か戻ってきてしまった
「コトン!!」
銃を持ったコトンを怒鳴る
「ごめんなさい、でも━━」
そしてその時
『作戦』が開始された。
トンプソンの中央に着弾したであろう音が聞こえてくる、まずは一発。
最初の一発目が落とされた音がした後、続けて音が続く、遠くでも空気を伝い体に響いてくる大きな音。
それは音だけではなく━━
「あっ‥」
目視でも確認できる砲弾が落ちてくる姿を捉え‥‥
それが次々と落下してくる。
その一発がコチラを狙い定めたように飛翔し、約50メートル離れた場所に着弾した。
直後、荒れる風のように襲ってくる爆風と、まるで銃弾の嵐のように襲う破壊された建物の瓦礫がその場にいる5人を襲う。
でもそれは一発では終わらなかった
空に大量の黒い小さなゴミが浮かんでいると思いきや、急速に大きくなりそのまま地面に着弾。5人を吹き飛ばした
爆風と衝撃の中、フロルドの攻撃で一度は意識を失いそうになりながらも何とか耐えたが、そのあまりにもの衝撃にまた意識が飛びそうになる。
5人全員がふらふらになりながらも立ち上がる、どうやら今の砲撃で死んだ者はいないが皆傷を負っている様子、だが砲撃が止む様子は無い。
俺も体は痛むし、それに召喚獣のドライアドが砲撃により消失した
一体どれほどの軍艦を動員したのだろう?
「‥‥お前達は、何度私達の! 邪魔をすればっ!」
この中では一番ダメージが浅かったのだろうフロルドは、手に召喚者殺しを持ち一番近くにいたケンタ君に目を向けた。
ケンタ君は爆風でのダメージが多かったのか体を震わせやっと立ち上がったばかりだった
まずい!
「ハーメルン!」
このままではケンタ君がやられると判断した俺は、人の心を増幅させることの出来るハーメルンを召喚する。
対象の相手が今思っている事を増幅させることが出来、心を操る召喚獣。その力をフロルドに向かって行使した。
一か八かの賭けだった、もしケンタ君達への怒りが強かった場合、そのまま3人への攻撃へと移るだろうが‥‥
フロルドは召喚獣の精神攻撃を受けその動きをピタリと止めた。そしてゆっくりと俺の方へと振り返る。
どうやら俺に対する執着の気持ちの方が上回ったようだった。とてつもなく面倒な執着心だが今はその思考回路が有難い
「さあ‥‥私の貴方、続きをしましょうか」
砲弾により負傷したのか額を切り、血を流しているフロルドはまるで女性のような表情で俺に語り掛け、優雅にその左腕を俺に伸ばした。
そのフロルドの表情が一瞬強張る、そのまま自分の左腕に視線を落とすと自身が撃たれた事を自覚した。
撃ったのはコトンで先ほど当てたのと同じ左腕、しかも先ほどとは違い砲弾の衝撃の余波によりフロルドの防具は破損しており、左腕は防具が無い状態だった。
魔力が攻撃力の要の世界でも、防具の無い生身の状態で銃弾を浴びてしまったら、それは通ってしまう。
流れ出る血が指先を伝い地面に落ちる時、コトン以外の3人はこれが勝機と動いた。
砲撃は未だに続き、運が悪ければ味方の砲撃により命を落とすだろう、また一発の砲弾で破壊された瓦礫が飛散し、そのうちの大きな一つが今銃を使いフロルドを攻撃したコトンに直撃する。
直前にコトンの召喚獣であるデュラハンが出てきた事から、その体を盾にしてコトンを守るのだろう。
コトンの次は自分達かもしれない、だがそんな思いを振り切るように降り注ぐ砲弾の中、フロルドに肉薄する。
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だがフロルドの湿気魔法により、炎は出ず爆発した。
辺りに煙幕のように白い煙が一気に充満し、フロルドの視覚を塞ぐ。同時にあたりに漂う『水』の魔法も消滅した事で、フロルドは湿気魔法の効果による周辺の動きが一瞬だけ読めなくなり、視界と同時に感覚も失う━━はずだったが
「‥‥あああああぁぁぁぁぁ!!」
発狂した声が響き、飛び掛かった俺達3人は強い衝撃によって吹き飛ばされた。
地面に打ち付けられて気付く、大量の水により押し流されたのだと
大量の水の放出により、爆発で出来た煙まで吹き飛び、豪雨が起きた後のように辺りが水浸しになる
「どうして、どうしてどうして! 皆邪魔ばかりして! 全員死んじゃってぇぇぇ!」
ヒステリックに叫ぶフロルドは水で押し流した俺達3人に対し、召喚者殺しを投げつけて来た。
ケンタ君に投げつけるとその槍はケンタ君の足に直撃、ケンタ君は短い悲鳴をあげる。再召喚された槍をレンダルに、だがレンダルは体勢を捻りその軌道から逸れようとするが、槍は起動を変えレンダルの横腹に突き刺ささる、レンダルの防具は破損していなかったが、槍は防御無視と言わんばかりに防具ごと貫いた。
そして再召喚されフロルドの手に戻った槍は俺に向けられる
「貴方のせいで‥‥私の全てが狂ったの。友を失って、恋人を失って、貴方の事が憎い、私の全てを奪った貴方が‥‥。恨んで恨んで恨んで、憎んで憎んで憎んで、いつか私の手で殺してやろうと‥‥でもそれが出来なくて、ずっと貴方の事を考えて想って、想って想って! ‥‥‥だからこの世界で私が貴方の事を一番想っている、誰よりも理解している、愛している。だから‥‥私の手で死んで?」
そう語りかけるフロルドの目には涙が浮かんでいた
一周回って好きって事かな?
戦場で敵に対し涙を流しているフロルドを見て、何となく冷静になれた俺がいた。正直コイツは何を言っているのかさっぱり分からない。本当に狂ったようにしか見えない。
今動いているのは俺とフロルドのみ、コトンはデュラハンが守ったようだが動きはない、ケンタクンは足をやられて動けない、レンダルは腹をやられたようだが直ぐに回復が必要だろう。
意識があり回復薬を使う事が出来ればいいのだが、意識が無いのであれば急ぐ必要がある。しかし度重なる衝撃により俺の体も限界に来ていた
ああ‥‥俺も、ここで終わるのだろうか? 俺の判断のせいで3人も犠牲になってしまう、もう打つ手は無いがせめて隊員達だけでも━━
よくある物語にはピンチになった時必ず助けに入ってきて来る者がいる。『ヒーロー』と呼ばれる特殊な人種たち。
もしかしてさっきからずっと見てて、ピンチになってから出てきているのでは? と疑ってしまう程、丁度いいタイミングで出て来る彼ら
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ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
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