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そして、あなたのファンになりました!その4
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アサヒにとっては久々の馴染みある心地良い生活音であった。
「これって…」
大きな音に驚いたのかと思ったギリアは、
アサヒの耳元に顔を寄せる。
「高価なので広まってはいないが、
機械種達の技術の音声増幅装置だよ!
ステージの影で変に盛り上がってる集団がいるだろう?
彼らは雷系の精霊さんを持てなして、
電力ってやつを送っているんだ。
こういった施設や戦場ではたまに有る!
ビックリするよね、ははは!」
この世界のいい加減さに多少呆れつつ、
苦笑をひとつ浮かべて理解だけ済ませたアサヒは、
『へぇ~☆』
…っという顔だけ見せて返答に返させていただいた。
その他にライティングも素晴らしかったが、
発光源を見る限りだと…
そちらの方は各所にいらっしゃる方々の魔法による物の様だ。
数曲が終わり、
飲食の注文の為の小休止時間に入る。
慣れた様子で汗ひとつかかずに席に戻ってきたのはニリシュが一人。
他のメンバーは何人か居たが、
こういう場ではそれぞれに役割がある。
新規顧客の開拓、既存客への挨拶、コアなファンへの対応などである。
それらは主にフロントに立つ者達の仕事であり、
これ程社交的で楽しく明るいニリシュの担当楽器は
後方での様々な打楽器なので、
なかなか客の目にはとまらず、
挨拶に来られた客も戸惑ってしまうのだ。
人それぞれだろうが縁の下の悲しさであり、
気楽に感じる者にはその方が嬉しかったりもする。
「どうよどうよ~?
ウチら輝いとった!?」
どうやら気楽な側である彼女は、
ふかふかのソファーと、
疲れを癒す食事にありつけるこのテーブルに直行してきた。
「もちろん輝いていましたよ!ニリ様!
時に激しく、
時に身を潜めながら緩急をコントロールする様は…
正に様々な魔王を裏から指揮する世界のコンダクターの様で在りました!」
自身が尊敬し、生活、戦闘面で頼りにしきっていた、
この世界の大先輩であるギリアの意外な面に触れて嬉しく…
そんな愛おしさをこの世界に感じながらアサヒはユックリと酔い潰れていった。
翌日は本気でクルセイトまでの道中の買い出しを済ませ、
夜はまた件の店でのお楽しみだ。
その日のステージも盛況のうちに終わり、ひと通りの挨拶を済ませたノイは…
自分の楽器を持って、今日はまだほろ酔い程度のアサヒ達の席に来る。
「客人のお兄さん~、
前に聞いたっすけど…
元の世界では音楽やってたんっすよね!
なっんっか~…やってみて欲しいっす!」
軽い感じでトテトテと駆け寄ってきたノイは、
突然勢い良く跪いてその楽器を差し出した。
後から、お客さんに奢ってもらったグラスを揺らすニリちゃんが
ケタケタ笑いながら、
「その子、今めっさ煮詰まっとんのよ~☆
なんぞ天啓でもやったってくださいよ。」
自分の悩みをハッキリ言えず、
親友に代弁してもらった形になってしまったノイは
親友への感謝と、
余計な事を…!との感情を天秤に乗せた。
「…んもう!
その通りなんっす!
何でもヒントが欲しいんっす!」
少し涙目で、
投げられた物が小石や砂粒でも宝石に見えてしまう状態なのが…
何度もその砂粒の輝きに救われた経験の有るアサヒには痛い程、
よくわかる。
手渡された、ギターに近い形状のその楽器。
好奇心に勝てないアサヒは『まぁまぁ…』と
軽く遠慮しながらも手に取る。
どんな世界でも楽器というものは、
ある程度は似たような形状になるらしい。
それぞれの世界に馴染む音階に多少の違いはある様だが、
所詮は物理。
『1オクターブをどの様に分けるか?』それに尽きる。
心地よさを求めれば結局は似た様な音階に辿り着くのは、
彼女達の演奏を気に入ったアサヒからすれば当然の結果だった。
実にわかりやすい!
公園で使っていた物は、
遠目で見る限り弦の本数は多めで並びも乱雑だったが、
今手にしているものはもっとシンプルだ。
音の歪みを考えれば当然なのだろう、
複雑にすればする程、それはグチャグチャになる。
「へえ…、元の世界にも似たのは有ったけど、
この楽器はなんて言うんですか?」
「ん~、まぁこの世界でも地域によって変わるっすけど、
自分らの中では『シリウト』っすね。
こんな感じで、高めの方向に音を出すんは『シリウト』。
もっと低めの方向に向けて音を出すんは『リウトラ』って呼ぶっす。
そん中の分類も…」
「ええって!
兄ちゃん、何か音出してみ~や♪」
それでは…と、アサヒは何本かの弦を弾いてみる。
(音の並びは…ギターとは逆で、
フレットも無いしヴァイオリンとかに近いかな?知らんけど。
物理的にドレミ…も出来る。
これなら慣れれば…。)
と、少し音を確認してからあるワンフレーズを披露する。
「…何よそれ~☆笑
ケッタイやけど好き~♪」
チャルメラである。
ニリちゃんは気に入ったらしく、
暫く口ずさんでいた。
「ははは、今のは何なんっすか?」
好奇心に駆られたノイの質問にアサヒは答える。
「愉快だろ?
俺の世界で言うとさ…元々は知らないけど、
『ここに楽しい事がありますよ~
美味しい物がありますよ~♪』
って人を呼ぶための、
音を使った言葉みたいな物なんだと思う。
まぁ、楽しくなるフレーズでしょ?」
音そのものの言語化、
その辺りに興味を持ったらしいノイの質問責めに飲み込まれて、
悪い気もしないまま酔いは進み…
翌日は早朝に出発の為に早く切り上げる事になるが、
己の音楽思想について来てくれる仲間に感極まったのか、
次に会った時は…とか、また絶対に…とか。
困った客を演じた様であった。
やがて夜は明け、この街とのひと時の別れの朝。
ギルドで再会した女性陣…。
その背後には大漁旗の幻が見える程に英気が養われている様で…。
「ん、お前達。
旅立ちの準備、ご苦労であった。」
…この変な邪悪なローブ小娘は、また何に影響されてきたのか…?
「…リア、お前ら…重量に関してはお前の自業自得で頑張ってもらうけどな、
寝るスペースも無くなるほど恥ずかしい本を積み込むなよ!」
「大丈夫よぉ…昨夜は道具屋が閉まってて、
今朝もまだ開いてないけど…。
目的地に着いたら何かしらの魔道具は買えるわよね?」
開いた口が塞がらないままのギリアは、
何とか気力で返答を返す。
「あ、ああ、
隔離された国だけど、扱っている物は一級品揃いだ。
多少高額ではあるが…自分の寝床の為になら少しは援助しようかなぁ…。」
目の下に隈を存分に蓄えた変な竜人は、
ギラリと瞳を輝かせて自らの宝物を、
どこかに預けるでもなく…肌身離さず携帯すべく、
目的地の道具屋を目指して
ギリギリのスペースに乗り込んだ仲間達が乗る荷車を浮かべて走り出す。
「…竜人の脚力も凄いですけど…。」
「そうだねぇ…何だかこの後槍のように投げ飛ばされそうで怖いねぇ…。」
「ん、同意…。
本人は喜んでるけど…休みも大事。」
『馬、買おうか…。』
三人が同意の意思を示した頃、街外れの公園の前に差し掛かる。
あの公園だ。
また戻って来たら、彼女達はまだこの街にいるだろうか?
暫くは滞在しているとは言っていたが…。
もしまた戻って来た時に再開出来たなら、
この愉快な家族達も紹介しよう。
この街でなくても…
また会えたならきっと。
そう思いながら荷車に揺られる一行の元にメロディが届く。
そんな機材やら魔力やらまで使ってまで何をやっているのか、
こんな早朝に…
(全くもう…、
呑気って言うか粋な奴らが多いな、この世界は…。)
聞こえてくるのは馬鹿馬鹿しく愉快なチャルメラのフレーズ。
届いてくるメッセージは
『おいで!
美味しいと楽しいはココにある。
待っているよ♪』
アサヒとギリアは改めて彼女達を大好きになった。
そして、何となく目を合わせた男性陣は思う。
次にあの店に行ったら、飲ませよう。
『この二人には、
あの二人の爪の垢でも煎じた茶を一杯目に。』…と。
「これって…」
大きな音に驚いたのかと思ったギリアは、
アサヒの耳元に顔を寄せる。
「高価なので広まってはいないが、
機械種達の技術の音声増幅装置だよ!
ステージの影で変に盛り上がってる集団がいるだろう?
彼らは雷系の精霊さんを持てなして、
電力ってやつを送っているんだ。
こういった施設や戦場ではたまに有る!
ビックリするよね、ははは!」
この世界のいい加減さに多少呆れつつ、
苦笑をひとつ浮かべて理解だけ済ませたアサヒは、
『へぇ~☆』
…っという顔だけ見せて返答に返させていただいた。
その他にライティングも素晴らしかったが、
発光源を見る限りだと…
そちらの方は各所にいらっしゃる方々の魔法による物の様だ。
数曲が終わり、
飲食の注文の為の小休止時間に入る。
慣れた様子で汗ひとつかかずに席に戻ってきたのはニリシュが一人。
他のメンバーは何人か居たが、
こういう場ではそれぞれに役割がある。
新規顧客の開拓、既存客への挨拶、コアなファンへの対応などである。
それらは主にフロントに立つ者達の仕事であり、
これ程社交的で楽しく明るいニリシュの担当楽器は
後方での様々な打楽器なので、
なかなか客の目にはとまらず、
挨拶に来られた客も戸惑ってしまうのだ。
人それぞれだろうが縁の下の悲しさであり、
気楽に感じる者にはその方が嬉しかったりもする。
「どうよどうよ~?
ウチら輝いとった!?」
どうやら気楽な側である彼女は、
ふかふかのソファーと、
疲れを癒す食事にありつけるこのテーブルに直行してきた。
「もちろん輝いていましたよ!ニリ様!
時に激しく、
時に身を潜めながら緩急をコントロールする様は…
正に様々な魔王を裏から指揮する世界のコンダクターの様で在りました!」
自身が尊敬し、生活、戦闘面で頼りにしきっていた、
この世界の大先輩であるギリアの意外な面に触れて嬉しく…
そんな愛おしさをこの世界に感じながらアサヒはユックリと酔い潰れていった。
翌日は本気でクルセイトまでの道中の買い出しを済ませ、
夜はまた件の店でのお楽しみだ。
その日のステージも盛況のうちに終わり、ひと通りの挨拶を済ませたノイは…
自分の楽器を持って、今日はまだほろ酔い程度のアサヒ達の席に来る。
「客人のお兄さん~、
前に聞いたっすけど…
元の世界では音楽やってたんっすよね!
なっんっか~…やってみて欲しいっす!」
軽い感じでトテトテと駆け寄ってきたノイは、
突然勢い良く跪いてその楽器を差し出した。
後から、お客さんに奢ってもらったグラスを揺らすニリちゃんが
ケタケタ笑いながら、
「その子、今めっさ煮詰まっとんのよ~☆
なんぞ天啓でもやったってくださいよ。」
自分の悩みをハッキリ言えず、
親友に代弁してもらった形になってしまったノイは
親友への感謝と、
余計な事を…!との感情を天秤に乗せた。
「…んもう!
その通りなんっす!
何でもヒントが欲しいんっす!」
少し涙目で、
投げられた物が小石や砂粒でも宝石に見えてしまう状態なのが…
何度もその砂粒の輝きに救われた経験の有るアサヒには痛い程、
よくわかる。
手渡された、ギターに近い形状のその楽器。
好奇心に勝てないアサヒは『まぁまぁ…』と
軽く遠慮しながらも手に取る。
どんな世界でも楽器というものは、
ある程度は似たような形状になるらしい。
それぞれの世界に馴染む音階に多少の違いはある様だが、
所詮は物理。
『1オクターブをどの様に分けるか?』それに尽きる。
心地よさを求めれば結局は似た様な音階に辿り着くのは、
彼女達の演奏を気に入ったアサヒからすれば当然の結果だった。
実にわかりやすい!
公園で使っていた物は、
遠目で見る限り弦の本数は多めで並びも乱雑だったが、
今手にしているものはもっとシンプルだ。
音の歪みを考えれば当然なのだろう、
複雑にすればする程、それはグチャグチャになる。
「へえ…、元の世界にも似たのは有ったけど、
この楽器はなんて言うんですか?」
「ん~、まぁこの世界でも地域によって変わるっすけど、
自分らの中では『シリウト』っすね。
こんな感じで、高めの方向に音を出すんは『シリウト』。
もっと低めの方向に向けて音を出すんは『リウトラ』って呼ぶっす。
そん中の分類も…」
「ええって!
兄ちゃん、何か音出してみ~や♪」
それでは…と、アサヒは何本かの弦を弾いてみる。
(音の並びは…ギターとは逆で、
フレットも無いしヴァイオリンとかに近いかな?知らんけど。
物理的にドレミ…も出来る。
これなら慣れれば…。)
と、少し音を確認してからあるワンフレーズを披露する。
「…何よそれ~☆笑
ケッタイやけど好き~♪」
チャルメラである。
ニリちゃんは気に入ったらしく、
暫く口ずさんでいた。
「ははは、今のは何なんっすか?」
好奇心に駆られたノイの質問にアサヒは答える。
「愉快だろ?
俺の世界で言うとさ…元々は知らないけど、
『ここに楽しい事がありますよ~
美味しい物がありますよ~♪』
って人を呼ぶための、
音を使った言葉みたいな物なんだと思う。
まぁ、楽しくなるフレーズでしょ?」
音そのものの言語化、
その辺りに興味を持ったらしいノイの質問責めに飲み込まれて、
悪い気もしないまま酔いは進み…
翌日は早朝に出発の為に早く切り上げる事になるが、
己の音楽思想について来てくれる仲間に感極まったのか、
次に会った時は…とか、また絶対に…とか。
困った客を演じた様であった。
やがて夜は明け、この街とのひと時の別れの朝。
ギルドで再会した女性陣…。
その背後には大漁旗の幻が見える程に英気が養われている様で…。
「ん、お前達。
旅立ちの準備、ご苦労であった。」
…この変な邪悪なローブ小娘は、また何に影響されてきたのか…?
「…リア、お前ら…重量に関してはお前の自業自得で頑張ってもらうけどな、
寝るスペースも無くなるほど恥ずかしい本を積み込むなよ!」
「大丈夫よぉ…昨夜は道具屋が閉まってて、
今朝もまだ開いてないけど…。
目的地に着いたら何かしらの魔道具は買えるわよね?」
開いた口が塞がらないままのギリアは、
何とか気力で返答を返す。
「あ、ああ、
隔離された国だけど、扱っている物は一級品揃いだ。
多少高額ではあるが…自分の寝床の為になら少しは援助しようかなぁ…。」
目の下に隈を存分に蓄えた変な竜人は、
ギラリと瞳を輝かせて自らの宝物を、
どこかに預けるでもなく…肌身離さず携帯すべく、
目的地の道具屋を目指して
ギリギリのスペースに乗り込んだ仲間達が乗る荷車を浮かべて走り出す。
「…竜人の脚力も凄いですけど…。」
「そうだねぇ…何だかこの後槍のように投げ飛ばされそうで怖いねぇ…。」
「ん、同意…。
本人は喜んでるけど…休みも大事。」
『馬、買おうか…。』
三人が同意の意思を示した頃、街外れの公園の前に差し掛かる。
あの公園だ。
また戻って来たら、彼女達はまだこの街にいるだろうか?
暫くは滞在しているとは言っていたが…。
もしまた戻って来た時に再開出来たなら、
この愉快な家族達も紹介しよう。
この街でなくても…
また会えたならきっと。
そう思いながら荷車に揺られる一行の元にメロディが届く。
そんな機材やら魔力やらまで使ってまで何をやっているのか、
こんな早朝に…
(全くもう…、
呑気って言うか粋な奴らが多いな、この世界は…。)
聞こえてくるのは馬鹿馬鹿しく愉快なチャルメラのフレーズ。
届いてくるメッセージは
『おいで!
美味しいと楽しいはココにある。
待っているよ♪』
アサヒとギリアは改めて彼女達を大好きになった。
そして、何となく目を合わせた男性陣は思う。
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