クラスメイトに良く当たる占い師を紹介して貰ったら、可愛い彼女が出来ました

若葉結実(わかば ゆいみ)

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第48話 明日は最高に幸せな一日になりそうです

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 数日後。明日はいよいよ結婚式だ。俺は風呂から出るとリビングに居た星恵に「上がったよ」と声を掛けた。

 その後、明日の結婚式の事を話そうと口を開けたが、星恵は「うん、分かった」と返事をして、スッと立ち上がると、そそくさとお風呂場の方へと行ってしまった。

 ──まぁ、いいかぁ。俺は髪の毛をバスタオルで拭きながら、ソファに座る。ふと机の上にある携帯に目をやると、ピカピカと光っていて着信が来ているのに気づく。

「お、何だ?」と、呟きながら携帯の電源を入れて確認すると、星子さんからのメールだった。

『明日は最高に幸せな一日になりそうです。しっかり休んで備えましょう!』と、一言だけど、ふんだんに絵文字を使って仕上げている。

「ふふ……じゃあ今日は、早く寝ましょうかね!」

 俺は携帯を机に置くと、寝る準備を始めるため、立ち上がった。

 ※※※

 次の日……親族紹介が終わると、結婚式場へと移動する──パイプオルガンの音が響き渡り、神聖な雰囲気で、式が進んでいく──。

 結婚式は親族と家族のみにしたとはいえ、皆に見られていると思うと緊張するな。

 ──誓いの言葉となり、俺達は問いに対して「はい、誓います」と答えていく。本当に自分が結婚をするんだと、引き締まった気持ちになった。

 ──指輪交換となり、従兄妹の娘がリングガールとして俺達の結婚指輪を運んでくれる。リングピローを笑顔で持ちながら運ぶ姿が可愛らしくて、一気に和やかな雰囲気となった。

 俺は「ありがとう」と言って受け取り、司式者に渡す──星恵がグローブを外し、介添人に渡すと、お互いに向き合った。

 俺がリングピローから星恵の指輪を手に取ると──星恵は左手を差し出した。俺は左手で星恵の左手を支えながらスゥー……と、ゆっくり星恵の薬指に指輪を通していく。

 こうしていると二人で指輪を買いに行った事を思い出す。幸せな気持ちが胸一杯に広がり、笑みを零すと、星恵も同じ気持ちなのか嬉しそうに微笑んでいた。

 続いて星恵も俺の薬指に指輪をはめてくれる──俺達は司式者の方に向き直った。次はいよいよ誓いのキスだ──。

 俺達は向き合い、俺はキスがしやすいようにグッと星恵に近づく。スッとベールアップすると、星恵の肩にソッと手を添え、見つめた。

 最高に綺麗な星恵の顔をみて、俺は確信する。あ……やっぱりそうだ。星恵が唇に付けている口紅は俺が誕生日にプレゼントをしたやつだ!

 姉ちゃんの言葉が気になって、後で調べたけど、男性から女性に贈る口紅には、『あなたとキスしたい』という意味がある事を知った。
 
 きっと星恵はその事を知っていたんだ。そしてこうして今日まで取っておいた……最高に可愛い事してくれるぜ!!!

 最高にテンションが上がった俺は、がっつきたい気持ちを必死に抑え、プルプルと柔らかそうな星恵の唇に──優しくキスをする。

 1……2……3……4……5……いつもより長いキスをして、スゥー……と唇を離す。星恵は照れ臭そうに微笑みながら俺を見つめていた。俺もずっと、こうしたかったよ。

 ※※※

 無事に結婚式が終わり、俺達は披露宴の会場へと移動する──。

 会場の二階で、並んで歩きながら写真撮影をしていると、星恵は「なかなか慌ただしいね」と話しかけてきた。

「そうだね」

 俺がそう返事をすると、カメラマンさんが「はーい、一旦止まって。そうしたら見つめ合ってください」

 言われた通り、俺達は立ち止まり見つめ合う。こんなこと何度もしてきたのに……意識しているせいなのか、凄く照れくさくて、お互い「ふっ……」と笑ってしまった。

「うーん。二人とも、凄く良い笑顔ですね~。それじゃもう一度、歩いて下さい」

 さっきの星恵の可愛い笑顔が、目に浮かび、気持ちを高ぶらせる。いますぐホッペにキスをしたいぐらいだ。だけどそんな事は今できない。だからせめて──

 俺は歩きながら「あ、あのさ、さっき化粧している時、話し掛けて良いか分からなかったら黙ってたんだけど……星恵も純白のドレスも凄く綺麗だよ」と素直な気持ちを口にした。

 星恵は嬉しそうに微笑むと「へへ、ありがとう! 光輝も灰色のタキシード、かっこいいよ!」と褒めてくれた。

「おぉ、二人とも良い笑顔ですね~。もう一度、貰えますか?」

 星恵は苦笑いを浮かべながら「ちょっと、無理でーす」

「ははは、それは残念です。じゃあこっちに来て、ベンチに座ってください。それで終了です」

 ──俺達はベンチに座った写真を撮り終わると、スタッフさんに案内され、一階へと向かう。

 スタッフさんは大きな白い扉の前で止まると、「じゃあここで、待っていてください。扉が開くので、そうしたら入場してください」

「はい」と俺が返事をすると、スタッフさんは頭を下げて離れていく。

「緊張するねぇ……」
「うん……」

 本当……心臓の音が聞こえてきそうなぐらいドキドキしている。ここからでも、司会者の女性が届いていて「──それでは新郎新婦の入場です!」と聞こえてくる。

 扉がゆっくり開き、華やかで楽しそうなBGMが流れ、盛大の拍手と同時に中の様子が見えたかと思うと、感動がブワァっと押し寄せてきた。ヤバい……感動のあまり涙が込み上げてくる。

 俺は涙を必死に堪えながら、星恵と一緒に歩いていく──すると、組んでいた腕が少し離れ、俺が早足になっている事に気付いた。

 しまった……恥ずかしさのあまり、自分の事しか考えていなかった。俺は慌ててゆっくり歩き出す。

 星恵はそれに気付いたのか、俺を見上げながら「ありがとう」と呟いた。

「うん」

 ──無事に高砂席に着き、司会者の進行で披露宴が進んでいく。

 ケーキ入刀後のファーストバイトでは、星恵は加減が分からなかった様で、スプーン山盛りのケーキを食べる事になったが……まぁ、幸せ一杯って感じで楽しめたので良かった。

 その後、食事となったが──俺達はお色直しのため、別々に控室に移動した。俺が控室に入ると星恵は既に濃い青のカラードレスに着替えいて、髪型をアップにしてもらっている途中だった。

 俺が近づくと、鏡を見ながらでも星恵は気づいた様で「お疲れ様~」と声を掛けてくれる。

「お疲れ様。緊張したね」
「ねぇ」

 俺は星恵の横に立つと「試着の時もみたけど……あの時以上に、そのドレスも髪型も似合ってると思うよ」

「やだぁ~。動けないんだから止めてくれる?」
「本当の事だから恥ずかしがることなんて無いのに」
「もう……」
「ははは」

 ──控室の豪華な椅子で待っていると、星恵のヘアセットをしてくれたスタッフさんが「終わりました」と片付け始める。

 星恵はスッと立ち上がると俺の方を向き「どう?」と聞いてくる。俺は親指を立て「最高!」と返事をした。

「えへへ……」

「──それでは、時間となりましたので下に行きましょう」と、その場に居た別のスタッフさんが言って、動き出す。俺達は後に続いた。
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