34 / 73
俺が殺した
狂気と笑顔
しおりを挟む
ついにその日がやってきた。
もう何日やってるか分からないが、俺が尾行の為に高校へ向かっていると、緑地公園へと3人の高校生が入って行くのを見かけた。不良っぽい2人と長髪の少年だった。俺は後を尾けてみることにした。
緑地公園を抜けて、森へと入っていく。ヤンチャそうな2人は三木堂の制服を着ている。そして尾けている最中に気づいた。不良2人が、前に後輩が教えてくれたあの1年生のクラスの生徒だと…。確か首にタトゥーが入った藤宮と、モヒカンの佐川って生徒だ。
3人は、仮に大声で叫んだとしても公園の外まで届かないくらいの森の奥までやってきた。俺は樹の影に隠れて様子を見ていた。
佐川が少し怒鳴ったところで、長髪の少年に殴りかかった。少年は一歩下がってそのパンチを避け、透明な小瓶から薬らしい錠剤を何粒か手のひらに出し、口に含んだ。
"まさか…?"
すると今度は藤宮の拳が、長髪の少年の腹にきれいに入った。しかし少年は涼しい表情を見せ、小瓶を捨てた。何粒かが瓶からこぼれ落ちた。そして2人が瓶に気を取られた瞬間だった。長髪の少年の様子が変化した。
筋肉がついたかのように全身が一気に膨れ上がった。とんでもないことが起こっていると、俺は震えた。
そして少年は一言二言ボソボソと何かを2人に告げ、あっという間にその怪力で不良2人を肉塊にしてしまった。
素手で人体を凄まじい音とともに破壊して行く様は人間のそれじゃなかった。
俺は恐怖に怯え、吐き気をなんとか抑えながらも、踏ん張って、証拠写真をスマホに収めた。
長髪の少年は2人の死体から一部をもぎ取り、一度現場から走り去った。
俺はすぐさま死体だけになった現場へ駆け寄り、落とされた薬が"CRY"であることを確認した。
「やっぱり"CRY"だ。あいつが…トシオを。」
確信した。前に悟里が言っていた頭が吹き飛んだ売人の殺害は、あいつがやったんだ。
中学で事件を起こした薬の使用者は"気が弱い"奴らだ。その"弱さ"に薬は作用し"意識が飛び、暴走した"それ位のレベルだった。そんな甘い話じゃない。
あいつは、あの2人を殺している最中ずっと笑顔だった。それもただの笑顔じゃない。憎悪がそのほとんどを占めるような"狂気的な笑顔"だった。あいつは意識を飛ばすこともなく、薬が体に与える影響を理解して、使いこなしているようだった。
あいつが抱えているのは心の"弱さ"じゃない…深い"闇"だ。
『ザッザッザ…!』
「!」
背後から足音が聞こえ、驚いた俺はまた姿を隠した。
そこへやって来たのは中学生だった。この惨状に驚き、死体を確認した後で走り去った。すぐに逃げ出さずに死体を確認していくなんて妙な奴だとは思ったが…そこまで気にしていなかった。というより、もう頭の中がそんなガキ1人にかまっていられる状態じゃなかった。
ガキが走り去ると同時くらいにあいつが戻って来た。残った死体を軽々と抱え、中学生が走り去った方向をジッとしばらく見つめ、また凄い速さで走り去ってしまった。
「見てやがったのか…?」
あいつは戻って来ていたものの、ガキに気づき隠れて見ていたのかもしれない。もしかしたら、俺がここに居たこともバレていたのかもしれない。だが、もうここまで踏み込んだんだ。
もう絶対に引き返せない。あいつを調べるんだ。
もう何日やってるか分からないが、俺が尾行の為に高校へ向かっていると、緑地公園へと3人の高校生が入って行くのを見かけた。不良っぽい2人と長髪の少年だった。俺は後を尾けてみることにした。
緑地公園を抜けて、森へと入っていく。ヤンチャそうな2人は三木堂の制服を着ている。そして尾けている最中に気づいた。不良2人が、前に後輩が教えてくれたあの1年生のクラスの生徒だと…。確か首にタトゥーが入った藤宮と、モヒカンの佐川って生徒だ。
3人は、仮に大声で叫んだとしても公園の外まで届かないくらいの森の奥までやってきた。俺は樹の影に隠れて様子を見ていた。
佐川が少し怒鳴ったところで、長髪の少年に殴りかかった。少年は一歩下がってそのパンチを避け、透明な小瓶から薬らしい錠剤を何粒か手のひらに出し、口に含んだ。
"まさか…?"
すると今度は藤宮の拳が、長髪の少年の腹にきれいに入った。しかし少年は涼しい表情を見せ、小瓶を捨てた。何粒かが瓶からこぼれ落ちた。そして2人が瓶に気を取られた瞬間だった。長髪の少年の様子が変化した。
筋肉がついたかのように全身が一気に膨れ上がった。とんでもないことが起こっていると、俺は震えた。
そして少年は一言二言ボソボソと何かを2人に告げ、あっという間にその怪力で不良2人を肉塊にしてしまった。
素手で人体を凄まじい音とともに破壊して行く様は人間のそれじゃなかった。
俺は恐怖に怯え、吐き気をなんとか抑えながらも、踏ん張って、証拠写真をスマホに収めた。
長髪の少年は2人の死体から一部をもぎ取り、一度現場から走り去った。
俺はすぐさま死体だけになった現場へ駆け寄り、落とされた薬が"CRY"であることを確認した。
「やっぱり"CRY"だ。あいつが…トシオを。」
確信した。前に悟里が言っていた頭が吹き飛んだ売人の殺害は、あいつがやったんだ。
中学で事件を起こした薬の使用者は"気が弱い"奴らだ。その"弱さ"に薬は作用し"意識が飛び、暴走した"それ位のレベルだった。そんな甘い話じゃない。
あいつは、あの2人を殺している最中ずっと笑顔だった。それもただの笑顔じゃない。憎悪がそのほとんどを占めるような"狂気的な笑顔"だった。あいつは意識を飛ばすこともなく、薬が体に与える影響を理解して、使いこなしているようだった。
あいつが抱えているのは心の"弱さ"じゃない…深い"闇"だ。
『ザッザッザ…!』
「!」
背後から足音が聞こえ、驚いた俺はまた姿を隠した。
そこへやって来たのは中学生だった。この惨状に驚き、死体を確認した後で走り去った。すぐに逃げ出さずに死体を確認していくなんて妙な奴だとは思ったが…そこまで気にしていなかった。というより、もう頭の中がそんなガキ1人にかまっていられる状態じゃなかった。
ガキが走り去ると同時くらいにあいつが戻って来た。残った死体を軽々と抱え、中学生が走り去った方向をジッとしばらく見つめ、また凄い速さで走り去ってしまった。
「見てやがったのか…?」
あいつは戻って来ていたものの、ガキに気づき隠れて見ていたのかもしれない。もしかしたら、俺がここに居たこともバレていたのかもしれない。だが、もうここまで踏み込んだんだ。
もう絶対に引き返せない。あいつを調べるんだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる