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追いかける先に2
知らぬ事実
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現場へ戻ると、すでに片付けが終わっていて、血溜まり跡があるだけだった。そこに神無咲の後ろ姿があった。
「おい、何してんだ。」
「あ、あぁ雉子本さん。…いえ、別に。」
いつも冷静で余裕のある態度とは裏腹に、明らかに妙な反応をする神無咲。
「別にってお前、これは殺人事件でマトリは関係ねーだろ。」
「クラブBEASTの近くの殺人だったら、薬関係かもしれないと思って、覗きに来ただけじゃない。」
「…そうか。薬が関わってると分かってる中学の事件には顔も出さなかったのになぁ。」
「そ、それは私の自由じゃない。」
「ふん。…いつ来たんだよ。」
「ついさっきよ。…もう全部片付けられた後だったけど。」
神無咲は俺にまた背を向けて話した。
「野郎の緑の髪を見た時は驚いたぜ。最近の流行りかぁ?ありゃあ。」
「ふふ。ミロクのトレードマークなのよね。」
「…そのミロクって売人の所持品が一切見つかってねぇんだよ。」
「そうなのね。何も?強盗殺人ってこと?」
「さぁね。…なぁ神無咲」
「え…。」
一瞬の沈黙の後、俺はひとつため息をついた。
「…お前、なんで殺害されたのが"売人のミロク"って知ってる?」
「え、なんでって情報が共有されて…。」
俺は首を横に振った。
「まだ害者の身元を警察は分かってねぇ!…今は、俺しか知らない情報なんだよ。ましてやお前、死体が片付けられてからここに来たんだろ?」
「…!」
「俺は奴が売人のミロクだって知っている。だかな、俺以外に警察の人間で、害者の詳細知ってんのは、犯人以外いねぇんだよ、神無咲。」
「くそ!」
「!」
神無咲は振り向きざまに拳銃を俺に向けた。
『ゴッ!』
「…!」
「雉子本さん、大丈夫っすか?」
「い、犬窯田…!」
撃たれると思った瞬間、神無咲のうしろからいきなり現れた犬窯田が、背後から殴り神無咲を気絶させた。
「お、お前いつから…」
「いやぁ…聞き込み行くのだるくて…その辺でサボってたら、凄い状況になったんで出てきました。」
「…そ、そうか。」
褒めたいところだが、複雑だな…。
「まぁー、助かったぞ。」
「うす。でもまさか、身内に殺人犯が出るなんて、びっくりっすわ。」
「…あぁ。」
恐らく神無咲がミロクの所持品を持ってるはず…。
「犬窯田、神無咲の鞄を調べるんだ。中に被害者の所持品があるはずだ。」
「はい。」
神無咲のバッグの中身を全て出すと、男物の財布とスマホが出てきた。
「あ、ロックかかってますね。」
「パスワードか…くそぉ。」
「害者はミロクって名前なんですよね。」
「あぁ。」
「…あ、0369で開きました。」
「お…おぉ、セキュリティガバガバじゃねーか。」
「ラッキーでしたね。」
電話の履歴を確認すると、紅原の名前があったが、コールする前だったようだ。
「やっぱり、あいつら繋がってたのか。」
「そうっすね。…雉子本さん!この下の履歴…見てください。"悟里"に"トシオ"って…。」
「あ?なんだ?」
「忘れちゃったんすか?悟里…黒野悟里は先日、いじめの反逆で刺殺された中学生です。多分、ミロクの弟だったんじゃないすかね。あとトシオ…山中トシオは…」
「この前ランプが届けられて、後に死体が出た被害者か…!なんなんだ一体…」
「き、雉子本さん…これ…。」
「?」
感情を基本、表に出さない犬窯田が青い顔でスマホのアルバムを俺に見せてきた。
「おい、何してんだ。」
「あ、あぁ雉子本さん。…いえ、別に。」
いつも冷静で余裕のある態度とは裏腹に、明らかに妙な反応をする神無咲。
「別にってお前、これは殺人事件でマトリは関係ねーだろ。」
「クラブBEASTの近くの殺人だったら、薬関係かもしれないと思って、覗きに来ただけじゃない。」
「…そうか。薬が関わってると分かってる中学の事件には顔も出さなかったのになぁ。」
「そ、それは私の自由じゃない。」
「ふん。…いつ来たんだよ。」
「ついさっきよ。…もう全部片付けられた後だったけど。」
神無咲は俺にまた背を向けて話した。
「野郎の緑の髪を見た時は驚いたぜ。最近の流行りかぁ?ありゃあ。」
「ふふ。ミロクのトレードマークなのよね。」
「…そのミロクって売人の所持品が一切見つかってねぇんだよ。」
「そうなのね。何も?強盗殺人ってこと?」
「さぁね。…なぁ神無咲」
「え…。」
一瞬の沈黙の後、俺はひとつため息をついた。
「…お前、なんで殺害されたのが"売人のミロク"って知ってる?」
「え、なんでって情報が共有されて…。」
俺は首を横に振った。
「まだ害者の身元を警察は分かってねぇ!…今は、俺しか知らない情報なんだよ。ましてやお前、死体が片付けられてからここに来たんだろ?」
「…!」
「俺は奴が売人のミロクだって知っている。だかな、俺以外に警察の人間で、害者の詳細知ってんのは、犯人以外いねぇんだよ、神無咲。」
「くそ!」
「!」
神無咲は振り向きざまに拳銃を俺に向けた。
『ゴッ!』
「…!」
「雉子本さん、大丈夫っすか?」
「い、犬窯田…!」
撃たれると思った瞬間、神無咲のうしろからいきなり現れた犬窯田が、背後から殴り神無咲を気絶させた。
「お、お前いつから…」
「いやぁ…聞き込み行くのだるくて…その辺でサボってたら、凄い状況になったんで出てきました。」
「…そ、そうか。」
褒めたいところだが、複雑だな…。
「まぁー、助かったぞ。」
「うす。でもまさか、身内に殺人犯が出るなんて、びっくりっすわ。」
「…あぁ。」
恐らく神無咲がミロクの所持品を持ってるはず…。
「犬窯田、神無咲の鞄を調べるんだ。中に被害者の所持品があるはずだ。」
「はい。」
神無咲のバッグの中身を全て出すと、男物の財布とスマホが出てきた。
「あ、ロックかかってますね。」
「パスワードか…くそぉ。」
「害者はミロクって名前なんですよね。」
「あぁ。」
「…あ、0369で開きました。」
「お…おぉ、セキュリティガバガバじゃねーか。」
「ラッキーでしたね。」
電話の履歴を確認すると、紅原の名前があったが、コールする前だったようだ。
「やっぱり、あいつら繋がってたのか。」
「そうっすね。…雉子本さん!この下の履歴…見てください。"悟里"に"トシオ"って…。」
「あ?なんだ?」
「忘れちゃったんすか?悟里…黒野悟里は先日、いじめの反逆で刺殺された中学生です。多分、ミロクの弟だったんじゃないすかね。あとトシオ…山中トシオは…」
「この前ランプが届けられて、後に死体が出た被害者か…!なんなんだ一体…」
「き、雉子本さん…これ…。」
「?」
感情を基本、表に出さない犬窯田が青い顔でスマホのアルバムを俺に見せてきた。
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