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哀れ
四肢
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『どん!』
僕らは高柳さんに部屋の中へ突き飛ばされ、ドアを閉められ鍵をかけられた。
「いってぇー…!」
「な、なにを…高柳さん?」
「うわ…なんだこの臭い…!?」
部屋は嗅いだことのない臭いがした。何かが腐ったような強烈な臭いで充満していた。
「君たちがお探しの侠山くんなら…そこに居るよ。」
高柳さんが部屋の明かりをつけ、指さしたのは部屋の隅。そこには両腕を縛られた侠山くんが座り込んでいた。
「侠山ぁ!」
谷崎はすぐに彼に駆け寄った。
「う…谷…?おぇ…くっせ。」
「俺がくせぇ訳じゃねーからな。」
侠山くんは気を失っていただけのようだ。高柳さんは僕らをただ眺めている。
僕は部屋を見渡した。すると、目に飛び込んできたものは衝撃的なものだった。
部屋にはベッドもなく、ひとつの机と大量の本が収められた本棚があった。壁にも床にも血が飛び散った痕があり、隅にはランプがいくつも並べられていた。
「ランプ…。」
僕はそうであって欲しくなかった…でも、この連続殺人事件の犯人は高柳さんだと、もう認めるしかなかった。
「うぅ…。」
「え?」
誰かの呻き声が聞こえる。僕たち3人の声じゃない。それは机の上から聞こえた。
「な、なにが…うわあぁぁぁ!」
「どうした空也ぁ!」
"それ"を見て僕は絶叫し、後退りした。
「うぅぅ…。」
机の上では誰かが呻き声をあげていた。四肢をもがれ、止血され、管で栄養を供給され延命されている少年の姿だった。
「この目…!」
僕は気づいた。…よく似てる。
「さぁて。さっきの続きの話をしようか…3人とも。」
「これ…高柳さんが…?」
「さっきの話の続きと言ったのが…聞こえなかったのかい?空也くん。」
「…。」
高柳さんは笑っているが、そこに感情はもうなかった。
谷崎も黙って高柳さんを見ている。
「どんな気分か。…それは"最高"だよ。君たちのような"不良"をまたまた処分できるんだからね。あ、ちなみにあそこにもあと2人居るよ。」
そう言って高柳さんが指さした先には両腕と、両足のない三木堂高校の学生2人が転がっていた。
「じ、じゃぁやっぱりお前が指ランプ事件の犯人なのか…!?」
「ふふ。谷崎くん…僕は犯人なんかじゃない。僕は救世主だ。」
そう言うと高柳さんは谷崎が抱きかかえていた侠山くんの前に屈み込んだ。
「さぁよくを目を開けて、弟くん。最期の時だ…。」
「…高柳。てめぇ、兄貴をどうした…?」
侠山くんに向かって微笑むと、机まで高柳さんはやってきて僕を突き飛ばした。
「あ…!」
「ちょっと、どいててくれるかな空也くん…。」
やめろ…。
高柳さんは机の上の少年の首を掴み悶える体を持ち上げ、侠山くんに見えるように掲げた。
「さぁよく見て、弟くん。ずっと君が探していた、お兄さんだ。」
「え…あに…き…??」
侠山くんは発狂した。
「はぁ…可哀想に。侠山くんも起きてくれるかい?今日は猿轡は外してるし、喋れるよね。」
「う…ゆ、優?なんで…お前がここに…!」
『ドサ!』
机にまた侠山くんのお兄さんを乱暴に落とし、高柳は侠山くんを庇えないように谷崎も突き飛ばし、一発侠山くんを殴りつけた。
「なにすんだ…!」
「"黙ってろや、このインキャ野郎。気持ち悪ぃーんだよ。”」
まるで何かが乗り移ったかのように高柳さんは侠山くんを睨みつけ、似合わない口調で凄んだ。
「え…?」
そしてまたすぐに表情を戻し、笑いかけた。
「こんな風に罵って、君のお兄さんはいつも僕に暴力を振るった。ひどい話さ。」
「…。」
僕らは高柳さんに部屋の中へ突き飛ばされ、ドアを閉められ鍵をかけられた。
「いってぇー…!」
「な、なにを…高柳さん?」
「うわ…なんだこの臭い…!?」
部屋は嗅いだことのない臭いがした。何かが腐ったような強烈な臭いで充満していた。
「君たちがお探しの侠山くんなら…そこに居るよ。」
高柳さんが部屋の明かりをつけ、指さしたのは部屋の隅。そこには両腕を縛られた侠山くんが座り込んでいた。
「侠山ぁ!」
谷崎はすぐに彼に駆け寄った。
「う…谷…?おぇ…くっせ。」
「俺がくせぇ訳じゃねーからな。」
侠山くんは気を失っていただけのようだ。高柳さんは僕らをただ眺めている。
僕は部屋を見渡した。すると、目に飛び込んできたものは衝撃的なものだった。
部屋にはベッドもなく、ひとつの机と大量の本が収められた本棚があった。壁にも床にも血が飛び散った痕があり、隅にはランプがいくつも並べられていた。
「ランプ…。」
僕はそうであって欲しくなかった…でも、この連続殺人事件の犯人は高柳さんだと、もう認めるしかなかった。
「うぅ…。」
「え?」
誰かの呻き声が聞こえる。僕たち3人の声じゃない。それは机の上から聞こえた。
「な、なにが…うわあぁぁぁ!」
「どうした空也ぁ!」
"それ"を見て僕は絶叫し、後退りした。
「うぅぅ…。」
机の上では誰かが呻き声をあげていた。四肢をもがれ、止血され、管で栄養を供給され延命されている少年の姿だった。
「この目…!」
僕は気づいた。…よく似てる。
「さぁて。さっきの続きの話をしようか…3人とも。」
「これ…高柳さんが…?」
「さっきの話の続きと言ったのが…聞こえなかったのかい?空也くん。」
「…。」
高柳さんは笑っているが、そこに感情はもうなかった。
谷崎も黙って高柳さんを見ている。
「どんな気分か。…それは"最高"だよ。君たちのような"不良"をまたまた処分できるんだからね。あ、ちなみにあそこにもあと2人居るよ。」
そう言って高柳さんが指さした先には両腕と、両足のない三木堂高校の学生2人が転がっていた。
「じ、じゃぁやっぱりお前が指ランプ事件の犯人なのか…!?」
「ふふ。谷崎くん…僕は犯人なんかじゃない。僕は救世主だ。」
そう言うと高柳さんは谷崎が抱きかかえていた侠山くんの前に屈み込んだ。
「さぁよくを目を開けて、弟くん。最期の時だ…。」
「…高柳。てめぇ、兄貴をどうした…?」
侠山くんに向かって微笑むと、机まで高柳さんはやってきて僕を突き飛ばした。
「あ…!」
「ちょっと、どいててくれるかな空也くん…。」
やめろ…。
高柳さんは机の上の少年の首を掴み悶える体を持ち上げ、侠山くんに見えるように掲げた。
「さぁよく見て、弟くん。ずっと君が探していた、お兄さんだ。」
「え…あに…き…??」
侠山くんは発狂した。
「はぁ…可哀想に。侠山くんも起きてくれるかい?今日は猿轡は外してるし、喋れるよね。」
「う…ゆ、優?なんで…お前がここに…!」
『ドサ!』
机にまた侠山くんのお兄さんを乱暴に落とし、高柳は侠山くんを庇えないように谷崎も突き飛ばし、一発侠山くんを殴りつけた。
「なにすんだ…!」
「"黙ってろや、このインキャ野郎。気持ち悪ぃーんだよ。”」
まるで何かが乗り移ったかのように高柳さんは侠山くんを睨みつけ、似合わない口調で凄んだ。
「え…?」
そしてまたすぐに表情を戻し、笑いかけた。
「こんな風に罵って、君のお兄さんはいつも僕に暴力を振るった。ひどい話さ。」
「…。」
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