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水組の子
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しおりを挟むそいつはどこ行った!? と聞く前にタカマツは言った。
「伝言が、ありま……す」
「伝言? なんだ?」
「……」
「おい、タカマツ……? ……おい!」
タカマツは目をつむった。腹の傷を押さえていた手もパタっと落ちた。
「え……?」
血がドクドクと出てきて溜まっていく。
「……くそ、ユースケ! いつもの止血剤!!」
「は、はい!」
トシキとミヤシゲを見ていたユースケから止血剤が飛んでくる。
「ふざけんじゃねぇ!! 死ぬなよ!! しっかりしろタカマツ!!」
ーーどれ位経ったろう? 時計がないから、わからない。ただ陽は落ちてないようだった。
「……お、タカマツ、目ぇ覚めたか。」
「頭……。おれ……。」
「……はぁ~、よかったぁ。」
俺は力が抜けて、タカマツの横にゴロリと寝転んだ。コンクリートの床が痛い。
「頭、あ、あいつらは……?」
「大丈夫だ。」
「じゃ、じゃあ」
トシキは右胸を中心に斬られていたが、傷自体は浅く出血はあったものの一命を取り留めていた。撃たれた右手も出血は止めた。
ミヤシゲは合計4発もの銃弾を浴びた。俺も別人格のミヤツーを知ってるけど、ミヤツーに変わっている時は体が筋肉質に変化するだけじゃなくて、身体細胞の再生能力は異常だったようだ。全弾分の傷は塞がり始めていた。改造人間なのか?
2人は寝かせて、ユースケが看ていた。
「ミヤシゲの身体は凄いな。いや、ミヤツーの身体か。はははっ。」
2人の生存を確認して、気持ちが緩んだタカマツはボロボロと涙を流した。
「よかった……あぁ~……俺ぁもう、あいつらに何かあったら、どうしようかと」
「泣くなよタカマツ。全員生きててよかった。」
「うっすっ!……うぅ、あぁぁ~……。」
仰向けだったから両耳に水溜りができるかと思った。泣くなよ、男だろっと言ってやることしかできなかった。ごめんな。
「取り乱してすんませんでした。」
「おう、気にすんな。」
一通り泣いて気持ちが落ち着いたようで、タカマツがことの顛末を話してくれた。
「クアリクからの、伝言です。」
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