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第壱拾話
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名付けてすぐに帰れと言うのは随分と薄情だから、私は嫌がる瑞光を無理矢理館に連れて行った。
生まれたばかりの神と言うのは随分と珍しいものか、色葉ちゃんはとても楽しそうに暁光を見ている。
「うわぁ!!神様も生まれてすぐは人間の子供みたいなんだね!!全然自我が無いけど!!!」
そう言って暁光の頭を凄い勢いで撫でると、瑞光が色葉ちゃんから奪い取った。
「ちょ!!」
「テメェなんかが気安く触ってんじゃねぇよ!!これは俺様の物だ!!」
「物って…………」
何だか色々と不安になる一言を聞いてしまった気がするよ私は。
「そう言えば瑞光、私って君と別れてからどのくらい経ってる?」
最後に見た瑞光と比べれば、少し背丈が伸びている。神の成長は人間よりも妖怪よりもずっと遅い。それなのに成長しているとあれば、結構な時間経っていると言う事になる。
「えー………ざっと百年近く経ってんじゃねぇのか?」
この子も何だかんだ時間の流れに執着が無いなぁ。
だけど、百年経って瑞光に弟が生まれるなんて、瑞光一人じゃ殺し切れなかったのかな。いや、多分違うかな。瑞光は気まぐれだ、届いた願いを叶えたり、叶えなかったり。だからきっと瑞光の代わりが欲しくなったんだろう。人間の欲は、確かに深いのかもしれないなぁ。
そんなこんなと時間が進み、瑞光が帰ると言い出し、私は森の外まで送って行く事にした。
「それじゃあ気を付けてね。」
「俺様が一々気を付けるような事があるかよ。」
そんな憎まれ口を叩いて、瑞光は暁光を連れて帰って行った。
さて私は如何しようか、まだ外の時間は昼だし、館の辺りは時間の概念も無いに等しいから、急いで帰る必要も無い。だから私は森の中を探索する事にした。百年近く経っているらしいし、色々と変わっている事があるかもしれないからね。
森は静かで、鳥の鳴き声が響いている。遠くから川の水の音が聞こえる。あぁ、何とも心地良い。
特に目的も無く森の中を歩き回っていると、崖の下、滝のすぐ近くに一軒の小屋を見付けた。はて、こんな所にあんな小屋があったのか。いや、多分ここ百年で出来たんだろうな。
そんな事を考えていると小屋の扉が開き、中から人が出て来た。黒く、所々跳ねた腰の辺りまである髪をしている少女だった。
「ん?」
少女は私に気が付いた。そこそこ離れている場所から見ていたのに気付くとは思っていなかったから、私は少し驚いた。
「お前そんな所で何してんだ?」
そう言ってこちらに近づいて来ると、私をまじまじと見て来た。
「綺麗な髪色してんな。正直最初見た時周りの景色と同化してて分かりづらかったよ。」
「それは、何だか申し訳ない。」
「何がだよ。」
少女は随分と楽しそうにそう言った。
それにしてもこの子は随分と不思議な感じがする。人間である事に間違いは無さそうだけど、でも何だろう、私達の様な神に近い感じもする。
「この辺じゃ見ないな、どっか他所から来たのか?あたしは朱夏、お前は?」
「私は恵風。大陸から来たんだ。」
「大陸かぁ、と言う事はお偉いさんか何かか?あれだ、折角だし色々と聞かせてくれよ。」
随分と男らしい口調のその彼女、朱夏こそ、後の森を形作った人物の一人だった。
生まれたばかりの神と言うのは随分と珍しいものか、色葉ちゃんはとても楽しそうに暁光を見ている。
「うわぁ!!神様も生まれてすぐは人間の子供みたいなんだね!!全然自我が無いけど!!!」
そう言って暁光の頭を凄い勢いで撫でると、瑞光が色葉ちゃんから奪い取った。
「ちょ!!」
「テメェなんかが気安く触ってんじゃねぇよ!!これは俺様の物だ!!」
「物って…………」
何だか色々と不安になる一言を聞いてしまった気がするよ私は。
「そう言えば瑞光、私って君と別れてからどのくらい経ってる?」
最後に見た瑞光と比べれば、少し背丈が伸びている。神の成長は人間よりも妖怪よりもずっと遅い。それなのに成長しているとあれば、結構な時間経っていると言う事になる。
「えー………ざっと百年近く経ってんじゃねぇのか?」
この子も何だかんだ時間の流れに執着が無いなぁ。
だけど、百年経って瑞光に弟が生まれるなんて、瑞光一人じゃ殺し切れなかったのかな。いや、多分違うかな。瑞光は気まぐれだ、届いた願いを叶えたり、叶えなかったり。だからきっと瑞光の代わりが欲しくなったんだろう。人間の欲は、確かに深いのかもしれないなぁ。
そんなこんなと時間が進み、瑞光が帰ると言い出し、私は森の外まで送って行く事にした。
「それじゃあ気を付けてね。」
「俺様が一々気を付けるような事があるかよ。」
そんな憎まれ口を叩いて、瑞光は暁光を連れて帰って行った。
さて私は如何しようか、まだ外の時間は昼だし、館の辺りは時間の概念も無いに等しいから、急いで帰る必要も無い。だから私は森の中を探索する事にした。百年近く経っているらしいし、色々と変わっている事があるかもしれないからね。
森は静かで、鳥の鳴き声が響いている。遠くから川の水の音が聞こえる。あぁ、何とも心地良い。
特に目的も無く森の中を歩き回っていると、崖の下、滝のすぐ近くに一軒の小屋を見付けた。はて、こんな所にあんな小屋があったのか。いや、多分ここ百年で出来たんだろうな。
そんな事を考えていると小屋の扉が開き、中から人が出て来た。黒く、所々跳ねた腰の辺りまである髪をしている少女だった。
「ん?」
少女は私に気が付いた。そこそこ離れている場所から見ていたのに気付くとは思っていなかったから、私は少し驚いた。
「お前そんな所で何してんだ?」
そう言ってこちらに近づいて来ると、私をまじまじと見て来た。
「綺麗な髪色してんな。正直最初見た時周りの景色と同化してて分かりづらかったよ。」
「それは、何だか申し訳ない。」
「何がだよ。」
少女は随分と楽しそうにそう言った。
それにしてもこの子は随分と不思議な感じがする。人間である事に間違いは無さそうだけど、でも何だろう、私達の様な神に近い感じもする。
「この辺じゃ見ないな、どっか他所から来たのか?あたしは朱夏、お前は?」
「私は恵風。大陸から来たんだ。」
「大陸かぁ、と言う事はお偉いさんか何かか?あれだ、折角だし色々と聞かせてくれよ。」
随分と男らしい口調のその彼女、朱夏こそ、後の森を形作った人物の一人だった。
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