3 / 45
第参話
しおりを挟む
私は暫くぼんやりと空を眺めていた。あれは確か鰯雲だったかな、私は鱗雲が好きです。何となくほわほわした感じがして、見ているだけで落ち着きます。鰯雲は秋の雲なので、やっぱり今は秋なんだなと思います。
今日は暁光さんはお買い物でお出掛けしていて、鳩さんはお仕事に行っている為、今お家にいるのは私と槿花さんの二人だけです。
「にーちゃん、早く帰って来てほしいずら。」
槿花さんは少し寂しそうです。本当に鳩さんの事が大好きみたいですから、寂しいのは仕方が無いかもしれません。
「槿花さん。」
「何ずらか?」
「もし良かったら一緒にお外へ遊びに行きませんか?」
「良いんずらか!!?」
私の提案に槿花さんはとても嬉しそうに笑った。槿花さん、私より年上の筈なのに、何だか妹が出来た気分。
すぐにでも遊びに行きたいのか、槿花さんは私の手を引っ張って外へ出た。
少し冷たい風が頬を掠めると、私は小さく震えた。
(ちょっと寒い。)
だけどこのくらい遊んでいたらすぐに温かくなるよね。
「氷柱ちゃん!!鬼ごっこするずら!!」
「お、鬼ごっこですか?」
「そうずら!!」
鳩さんから槿花さんの事を聞いた時も、確かお二人は鬼ごっこをしていた様な気がするので、もしかしたら槿花さんは鬼ごっこが好きなのかもしれません。
「良いですよ。」
「ありがとうずら!!」
「あの、でも鳥になって飛んだりはしないでください。」
流石に私はそんな槿花さんを見付ける事はもう不可能ですから。
何だか知らない内に鬼にされると、槿花さんは走って行ってしまった。私は一から十まで数えてから槿花さんを探しに行った。
槿花さん隠れるの上手だな。そんな事を考えながら私は槿花さんを探していた。もうこれは殆ど鬼ごっこと言うよりは隠れん坊な気がします。
だけど、槿花さんは私と一緒で髪の毛が真っ白なので、すぐに見付かると思っていたけれど、そんな事は無く全然見付からない。
(槿花さん何処行ったの?)
如何しよう、あんまり遅くなってお家にいないってなった時、鳩さんなら何となく何があったか分かってくれそうな気がするけれど、暁光さんはそうはいかない様な気がして仕方が無い。やっとお家に帰って来た時に血を吐いて倒れていたら如何しよう。もしくは最初にあのお家に来た時みたいな事になったら…………………考えただけで怖い。
ガサガサと音が聞こえると、私は足を止めて耳を澄ませた。
近くの木の上。私はすぐに音の聞こえた木の下へ行くと枝を見上げた。枝には真っ白い何かが見えた。
「…………?槿花さん?」
「んぁ!!!氷柱ちゃんずら!!!」
槿花さんはするすると木から降りると、すぐに私から逃げた。
「あ!」
そうだこれは鬼ごっこだった。何処からか隠れん坊と間違えてた。
私は慌てて槿花さんを追い掛けた。
今日は暁光さんはお買い物でお出掛けしていて、鳩さんはお仕事に行っている為、今お家にいるのは私と槿花さんの二人だけです。
「にーちゃん、早く帰って来てほしいずら。」
槿花さんは少し寂しそうです。本当に鳩さんの事が大好きみたいですから、寂しいのは仕方が無いかもしれません。
「槿花さん。」
「何ずらか?」
「もし良かったら一緒にお外へ遊びに行きませんか?」
「良いんずらか!!?」
私の提案に槿花さんはとても嬉しそうに笑った。槿花さん、私より年上の筈なのに、何だか妹が出来た気分。
すぐにでも遊びに行きたいのか、槿花さんは私の手を引っ張って外へ出た。
少し冷たい風が頬を掠めると、私は小さく震えた。
(ちょっと寒い。)
だけどこのくらい遊んでいたらすぐに温かくなるよね。
「氷柱ちゃん!!鬼ごっこするずら!!」
「お、鬼ごっこですか?」
「そうずら!!」
鳩さんから槿花さんの事を聞いた時も、確かお二人は鬼ごっこをしていた様な気がするので、もしかしたら槿花さんは鬼ごっこが好きなのかもしれません。
「良いですよ。」
「ありがとうずら!!」
「あの、でも鳥になって飛んだりはしないでください。」
流石に私はそんな槿花さんを見付ける事はもう不可能ですから。
何だか知らない内に鬼にされると、槿花さんは走って行ってしまった。私は一から十まで数えてから槿花さんを探しに行った。
槿花さん隠れるの上手だな。そんな事を考えながら私は槿花さんを探していた。もうこれは殆ど鬼ごっこと言うよりは隠れん坊な気がします。
だけど、槿花さんは私と一緒で髪の毛が真っ白なので、すぐに見付かると思っていたけれど、そんな事は無く全然見付からない。
(槿花さん何処行ったの?)
如何しよう、あんまり遅くなってお家にいないってなった時、鳩さんなら何となく何があったか分かってくれそうな気がするけれど、暁光さんはそうはいかない様な気がして仕方が無い。やっとお家に帰って来た時に血を吐いて倒れていたら如何しよう。もしくは最初にあのお家に来た時みたいな事になったら…………………考えただけで怖い。
ガサガサと音が聞こえると、私は足を止めて耳を澄ませた。
近くの木の上。私はすぐに音の聞こえた木の下へ行くと枝を見上げた。枝には真っ白い何かが見えた。
「…………?槿花さん?」
「んぁ!!!氷柱ちゃんずら!!!」
槿花さんはするすると木から降りると、すぐに私から逃げた。
「あ!」
そうだこれは鬼ごっこだった。何処からか隠れん坊と間違えてた。
私は慌てて槿花さんを追い掛けた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる