大雪の中咲く一輪華

琴里 美海

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第参拾話

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 七日後、妾は完成した布を霰に差し出すと、霰は真っ先に妾の体調を気遣ってくれた。何とも優しい人じゃのう。

「大丈夫ですよ。言ったじゃないですか、私はこう見えて体は頑丈なんですから。」

 それでもやはり霰は妾の事を心配してくれた。
 霰が町へ布を売りに行くと、妾は大きく息を吐いた。流石に三枚も作ったせいで一気に羽根が減ってしまった。だがまぁ霰の為じゃ、致し方ない。
 雪が積もっておるから霰は大丈夫であろうか。転んではおらぬであろうか。妾は兎に角そう考えておった。
 数刻程して霰が戻って来ると、何故かやたらと困惑した様子だった。

「霰さん?」
「あ、いや、あの。」

 そう言って取り出した風呂敷を開くと、其処には小判が何十枚も入っていた。ほう、此処までの値段で売れるとは思っておらんかったが、中々見る目がある者が買った様で満足じゃ。

「あ、あの………………」

 霰が申し訳なさそうに妾を見た。まぁ何を言いたいのか、大凡の予想は出来るのじゃがのう。

「今度は何日後に何枚ですか?」
「え?如何して分かったんですか?」
「態々作り主を探し出して作らせる様な人です、次から次へと注文を出すなんて予想が出来ますよ。」

 人は次から次へと物を求める、そんな事何時もの事じゃから慣れておるわ。

「その、三日後までに一枚で………………」
「一枚ですか、なら簡単です。」

 そう言ってから妾はまた部屋に籠った。
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